【完結】Re:Connect ―揺れ動く、彼女の想い―   作:双子烏丸

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 番外編も含め、本作もようやく本当の最終回に。
 前、中、後編と三部に分ける感じになります。



番外編最終話 前編 大切な彼女との日常と(Side ヒロト)

「――ヒロト!」

 

 元気の良い声と一緒に、後ろから抱き着かれる感触を覚える。

 

「またガンプラを作ってたんだ! ガンプラが好きなヒロトも私……大好きだよ」

 

 土曜休みの日、俺は朝から自分の部屋でガンプラを作っていた。そんな俺に抱きついているのは――俺の大切な恋人のヒナタだ。

 こうしていると彼女の暖かくて柔らかい身体の感覚と、ほんのり良い匂いもする。それに見るとヒナタの表情と瞳はとても嬉しそうに、きらきらしていて。

 

「いきなりで驚いた。今日は家に来るのは聞いていたけれど、急にこう来るだなんて」

 

「えへへっ、驚かせちゃったけど、ヒロトの後ろ姿を見たら我慢出来なくなっちゃって。だからつい、抱きついちゃったんだ」

 

「――そっか」

 

 だけどこうしているヒナタは、何よりも可愛いく見えた。俺もいつの間にか……惚気ているんだろうか。

 元々は幼なじみだった彼女が今はこうして、ずっと魅力的で可愛いと感じると言うか。もっと傍にいたいと、一緒にいてかけがえがないと思ったりと。

 もちろん、そんな思いがこれまでも無かったわけじゃない。ヒナタの事は今も昔もずっと、俺にとって大切な人なのは変わらない。けれど、何て言えばいいか。

 

「こんな風に、ヒロトと居るのもいいよね。二人でラブラブな雰囲気……とってもいいの。

 今も私の事を熱い眼差しで見てくれて、照れちゃうけど、嬉しいな」

 

「……っと、そんな風に見ていたのか? ついヒナタに……俺は」

 

 自分でも不思議な気分だ。

 あれから告白して、恋人同士になってから最初はあまり生活は変わらないものと考えてもいた。けれどしばらく経って、本当は大きく変わっているのかもしれないと、自分でも感じてもいたから。

 

 ――俺のヒナタに対する見方とか、自分自身の内心とかも。これが恋人に……特別な人になると言う事かな――

 

 そう考えていると今度はヒナタが、隣に座って心地良さそうに寄りかかっていた。

 

「うん。さっきみたいに見てくれたのも、今の関係になってからで。――もっと早く告白すれば良かったかも!」

 

 今、すぐ傍で笑顔でいるヒナタも、本当に良い笑顔をしていた。

 もちろん俺だけじゃない、彼女も随分と変わったと思う。明るくて優しい性格は同じだけれど、前はもっと……どこか控えめな所があった気がする。それが今は積極的で、直接好意を示すようにもなった。

 そして、そんなヒナタが見せる笑顔も――以前とまた違う感じの、幸せそうで良い笑顔をよく見せてくれるように。

 

「……やっぱりヒロトの傍が一番いいな。凄く落ち着くんだ、私」

 

 夢見心地みたいに彼女は呟く。こうして二人、あれから色々気づいたりして、変わった所もあったりで。俺も――今ならはっきり言える。

 

「俺だって一番いい。ヒナタと一緒に居れるのが、誰よりも落ち着くし……良い気持ちになれるから」

 

 そう素直に思った気持ち。俺はヒナタに言うと、彼女は両腕を優しく俺の首元に回して、上半身を寄せる。

 

「恋人になってから、そうした言葉も言われるようになったりで、もう慣れてもいいはずなのに……でも何回言われても変わらずに、すごく幸せに思えるんだ。

 ヒロトがそう言ってくれるの、だから――」

 

 心から喜んでいる感じで、こう言うとヒナタは俺の左頬にそっと、口づけをしてくれた。

 

「――本当に、ありがとう」

 

 そうお礼を言った彼女。ヒナタこそ、こうして俺と一緒になれて……凄く幸せでいるのは見て分かる。

 俺はそうして喜んでくれている彼女を見ているのが、特別にかけがえのない時だと思うから。こうして、そして――これからも。

 

 ――これからもヒナタの傍にいる。あんな風に笑っている彼女を、俺は誰よりも近くで守るし、ずっと大切にして行くから。きっと――

 

「ねぇ、しばらくこうしていていい? 暑苦しいかもだけど、ヒロトがガンプラを作っているの、今日はこんな風にして見てたいんだ」

  

 すぐ隣でヒナタは寄りかかったまま、俺に聞いた。答えは、もちろん。

 

「大丈夫だ。ヒナタが傍にいてくれた方が俺は凄く……良い気持ちだから」

 

「よかった、なら私はこうしているね。こうしてすぐ近くで、一緒に」

 

 俺はまたガンプラを作る手を動かす。ニッパーでパーツを切り離したり、やすりで削って接着剤で張り付けながら丁寧に組み立てて行く。

 そうしながら、途中途中で何度も、傍で心地よさそうに寄りかかってガンプラ作りを眺めているヒナタの方も見て、会話も楽しんだりも。

 

 ――ガンプラ、一人で作るのも悪くない。けれど……大切な人と一緒にいながら作るのは、やっぱり一人よりも楽しくて、幸せな感じだ――

 

 ヒナタとの二人でいる時間。こうしている時間がやっぱり、俺は大好きだ。

 

 

 

 ――――

 

 俺はヒナタと部屋で過ごした。ガンプラもそうだけれど、それからも他愛のない話をしたり、お菓子でも食べながら……彼女との時間を満喫した。

 それから昼食も、今日は彼女が作ってくれた。俺だけじゃなくて父さんと母さんの分まで、美味しいコロッケ料理を。

 

「どう? 私の作ったコロッケ……美味しい?」

 

「もちろんだ。きっと世界一美味しい、ヒナタの作ってくれる料理は」

 

 一緒に四人で食卓を囲んで、俺はヒナタの作ってくれたコロッケを、昼食を食べながら俺は素直な感想を答えた。実際に彼女の料理は、本当に美味しいから。

 それに俺の両親も気に入ってくれたようで。

 

「確かにヒナタちゃんの作ってくれる料理はとても良い、流石なものだよ」

 

「うんうん! こんなに美味しい料理を作ってくれて助かっちゃうわね」

 

「……えへへ、そう言われると私もすごく嬉しいです」

 

 みんなに褒められて喜んでいるヒナタ。俺はそんな彼女にこうも話す。

 

「それだけヒナタが作ってくれる料理は美味しいんだ。うん、前も美味しかったけど何て言えばいいか……段々と、もっと美味しくなって行っている気もする」

 

 今日のコロッケにしても、前に作ってくれた時と比べると格段に美味しくなっている感じがする。料理の腕が上がったのか、それとも。

 

「ヒナタちゃんの料理が前よりも……か。ヒロトの言う通り、もしかして腕を上げたかい? カフェでのアルバイトを続けたからかな?」

 

 俺の父さんもそう聞いた。ヒナタは嬉し気にはにかんで答えたんだ。

 

「気づいてくれた? アルバイトもだけど、自分でももっと美味しい料理を作りたいって思ったから。

 ヒロトにこれからだって、もっと私の料理が良いって思ってもらいたいから。愛情だって……立派な隠し味だから」

 

「俺のために、こうして料理まで」

 

 ヒナタが俺をどれだけ好きでいるのか、もちろん分かっている。けれど改めて俺のためだって言われると、結構どきっとしてしまう。  

 

「うん! だってこれからも、こうしていたいから。

 私たち二人が……ちゃんと大人になってからも、ヒロトの為に料理を作りたいんだ!」

 

 彼女はこっちを真っすぐに見てそう言った。一体何を伝えたいか、俺にはすぐに分った。答えを待っているヒナタに俺は、自分の心からの気持ちを告白する。

 

「――ああ。この先もずっと、俺はヒナタが作ってくれる手料理を……食べたい」

 

「ヒロト!? それって……」

 

「ふふっ」

 

 想いが分かるからこそ、俺はそう受け止める。何より、やっぱり自分でも……そんな将来を望んでいるから。

 俺の答えに父さんはびっくりしていて、母さんは嬉し気に微笑んで。そして、ヒナタは。 

 

「もちろんだよ! だって、私はヒロトを世界で誰よりも、愛しているから!」

 

 彼女は俺に笑顔を見せた。

 あんなに喜んでいるヒナタの笑顔。それはまるで俺だけの――太陽みたいで。

 

 

 

 ――――

 

「今日も、良い天気だね」

 

 昼食を食べてから、俺たちは外に出て軽い散歩を。

 

「あんなに晴れ渡った青空に、ポカポカの太陽……気持ち良いよ。それに、繋いでいるヒロトの手も、温かいな」

 

「とっても、ヒナタの温もりもこうして握っている手から伝わって来る。

 俺はそれが、たまらなく嬉しい」

 

 腕を組んでヒナタともっとくっついている事もよくあるけれど、こうして手を繋いでいるのも、俺は好きなんだ。

 最初はそれさえドキドキしていた。けれど慣れるにつれて、恋人同士としてこうしているのがとても、愛おしくて心地が良いと……感じられて。 

 

「ふふっ、ヒロトと居れて、今日も楽しかったよ」

 

「俺だってヒナタと過ごせて、嬉しかった。こうしていられるのが日常でも……当たり前のように君が傍にいてくれるのが、本当に」

 

 そんな気持ちを感じながら、俺はヒナタと一緒に街を歩いて……けれど。

 

「あのさ、ヒナタ」

 

「うん?」

 

「やっぱりもう、行ってしまうのか。俺はまだヒナタと……過ごしていたいけれど」

 

 俺自身寂しく感じながらもヒナタに聞いた。彼女はごめんねと、謝ると。

 

「午後から試合を見に行ってあげるって、後輩の子に約束してたから。それに試合の後はみんなで打ち上げもあるから、帰りも遅くなるかも。

 だから……今日はそろそろお別れかな。時間的にも、もう行かないとだから」

 

 ヒナタは昼から弓道部の試合を観に行くと……実は伝えてあった。だから今日は午前中と正午まで彼女と過ごした感じで、もちろん大切な時間が過ごせた。でも、だからこそ、これでお別れなのが寂しく思えて。

 

「いいんだ。でも、やっぱり寂しい。さっきまで一緒に居たのに、もう離れ離れになるなんて。

 ……せっかくだからGBNで、ヒナタと過ごせれば良かったけれど」

 

 もし大丈夫なら、一緒にGBNにも行きたかった。それもやっぱり名残惜しいと思って。

 

「ごめんなさい、もっと先に言っておけばよかったよね。――でも」

 

 ヒナタはにこっと、笑顔を見せて俺にこう言ってくれた。 

 

「でも明日は日曜日だから、その時に二人で過ごそう! 最初にGBNで遊んで、それから……お昼にいつもの海沿いの遊歩道の広場でピクニックなんてどうかな? 私、美味しいお弁当を作って来るから、一緒に食べよう。海や街の景色を眺めながら……そう言うのも、いいかなって」

 

 明日、か。明日だってヒナタとまた居られる。それに今日だって彼女と一緒に過ごせたから。俺は……だから。

 

「――楽しみだ。なら、明日は一日中ヒナタと過ごそう」

 

「うん、ヒロト! だから楽しみにしてくれたら、私も嬉しいなって」

 

「もちろんだ。また明日……約束だ!」

 

 俺たちはどちらも笑顔で、道の途中でそのまま別れた。ヒナタは弓道部の試合がある学校に、俺はGBNをプレイしにガンダムベースがある方向へと。

 もちろん自分のガンプラも持って来ている。ヒナタはもう居ないけれどせっかくだ、GBNで少し過ごして行こう。もしかするとカザミやパル、メイたちもログインしているかもしれないから。

 そう考えて俺はGBNに行くことにした、けれど。

 

 

 

 その時俺はまだ知らなかった。

 GBNで消えたと思っていた彼女と――もう一人の『ヒナタ』と、これから本当の……決着をつけに行く事にもなると。

 

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