春庭モブは語りたい   作:桃色レンコン

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前話のリリィウッドの皆さんは全員『処置』されたので初投稿です。


反花騎士結社は崖上で語る

反花騎士結社。

1000年前に異世界から現れ、理想郷スプリングガーデンを悠久の戦場へと変えた死にゆく世界の支配者を信奉する者達が集まって出来た集団。

その構成員は死にゆく世界の支配者、魔王アグレッサこそがこの世界の支配者と崇め、害虫をその使徒として奉る異端の者である。

彼らは同じ人間でありながらスプリングガーデン全土から害虫と同等の敵と見なされ、見つけ次第すぐに兵士や花騎士によって逮捕や『対処』されてきた。

無論彼らが一方的に味方と認識している害虫からは他の人間と同じようにしか思われておらず、一部の極めて知能の高い害虫以外からは自ら近づいてくる餌程度としか見なされていない。

 

これは、そんな世界のあらゆる者達から狙われる彼らの活動の記録である。

 

 

 

「ちくしょう!リリィウッドの組織の連中が騎士団に攻め込まれて壊滅したらしいぞ!」

 

某国、とある地図に載っていない名も無き村。国から逃げ延びた異端者達が作ったこの集落の結社構成員達が話し合いをしていると、信じられない報告が飛び込んできた。

 

「何だと!?あそこは地元の者ですら迷いかねない森の奥に作られた場所だったじゃないか!」

 

「存在を知っている私達だって細心の注意を払わなきゃ危険だっていうのに何故!?」

 

「それが偶然ブロッサムヒルのあの騎士団長が迷いこんできたから監禁したら、騎士団長の気配を辿って木をなぎ倒して一直線で森を駆け抜けてきた花騎士達に見つかってそのままやられちまったらしい…」

 

「おのれ騎士団長め!」

 

 

 

やれ神殿の敷地内で行為に及んだだの風邪を引いた女だろうと遠慮せず行為に及んだだのと根も葉もない噂を元にしたブロッサムヒルのあの団長を貶める発言が飛び交うが、リーダー格の男によってようやくその場が鎮まった。

 

「くそぅ世界の真なる統治者様の理想を理解しない馬鹿どもめ…」

 

「世界花なんていうあのデカい雑草の尖兵として隷属されているだけの花騎士も、それを持て囃すこの世も全てがクソだ!」

 

「我々にも偉大なるアグレッサ様の御加護があればあんな小娘なんて…!」

 

罵詈雑言の対象は次第に花騎士へと移っていき、花騎士達への中傷と彼女らをどうすれば無力化できるかという話題へと移っていった。

 

「…ボテ腹」

 

喧騒のなかで、誰かが呟いた。

 

「ふむボテ腹か…奴らとて一皮剥けばただの女。泣き叫び赦しを請う姿が思い浮かぶわ」

 

「ならそこから一歩進ませ、洗脳なり催眠なりで無力化した花騎士を孕ませて子供を産ませ、幼少期から教育を施し戦士とするのはどうだろうか?もし加護が発現し花騎士になったならそいつを花騎士どもにぶつけ、花騎士同士ですり潰させるんだ」

 

「それだッッッ!」

 

「天才か…っ!?」

 

「花騎士は数を減らし、こちらは信徒を増やせる。長い目で見れば必ずプラスだ!さっそく孕み袋の候補を挙げよう!」

 

 

 

反花騎士結社構成員達は次々と毒牙にかける花騎士の名を挙げていく。

構成員の中には花騎士達と同じ女もいたが、嬉々としてこの狂気の作戦の被害者を作るべく会議に参加していた。

 

「なあ、ストレプトカーパスなんてどうだろうか?以前事件現場で見たが、特殊能力といい探偵を名乗る頭脳といい孕み袋としての適性は抜群だと思うぞ。何よりおっぱいが大きくて柔らかそうだ」

 

男は下卑た笑いをしながら自信満々にの名を挙げた。

だが、周囲の構成員達は若干…いや、かなり引いていた。

 

「お前…本気か?」

 

「流石にそれは無いと思うぞ…」

 

「マジでドン引きよあなた…」

 

「あのさぁ…………」

 

「な、何だよ!」

 

本気で引かれていることに困惑している彼に、周囲は諭した。

 

 

 

「お前……………本気であんなポンコツを抱きたいのか?太ももが柔らかそうとはいえ」

 

「あっ…あぁっ!」

 

「ようやく気付いたのか。ありゃ探偵としては残念極まりないよ。ほっぺが柔らかそうとはいえ」

 

「そうよそうよ。ストレプトカーパスが騎士団長と一緒にいる所を見たことある?騎士団長の考えていることを当てようとしたら自分の想像以上に甘いこと考えてて、推理を外しまくってたのに嬉しそうに女の顔で蕩けてたわ。あんなの警察犬の方がまだマシな発情したメス犬よ。お尻が柔らかそうとはいえ」

 

「この前スワンボートで予想屋してるのを偶然見かけたけどさ、よく分からない予想の仕方してて大損こいたよちくしょうが!手籠めにするのはいいけどこちらに引き込むのは無しだね!お腹が柔らかそうとはいえ」

 

「皆ありがとう、俺が間違ってた。皆のおかげで目が覚めたよ。……何であんなこと言っちゃったんだろう。おっぱいがどたぷんとして柔らかそうとはいえ」

 

濁っていた瞳に光が戻った彼の姿を見て、皆一様に微笑みを浮かべていた。

やはり持つべき者は謝った道に進もうとした時に正しい道を示してくれる仲間だ。そして一人の構成員の心を迷わせた花騎士はやはりこの世にあってはならない存在だ。

彼らは死にゆく世界の支配者へ感謝の気持ちを抱きながら、さらに絆を深めた。

 

「よしっ、今日は疲れただろうしお開きにして明日また話し合おう!」

 

「そうだな。どうせ成功の暁には長期スパンの計画になるんだ。焦るより確実に成功させることを優先しよう」

 

「よーし!私、今日は景気付けに御馳走作っちゃお!皆も一緒に作って食べない?」

 

「そりゃいい!みんなで前夜祭だ!」

 

その日の晩、彼らは大いに食べ、飲んで英気を養った。

これからも反花騎士結社の考えを広めて誤った世界を正すため、それに気付いている自分たちが頑張らなければいけないのだ。

 

いけ!反花騎士結社ベルガモットバレー支部!この間違った世界を滅ぼしリセットするその時まで!

 

 

 

翌日、一人の男が川で砂金採りをした帰りに道に迷いこの隠れた集落に助けを求めて来ることとなるがそれはまた別の話である。




数日後、花騎士達によって制圧されベルガモットバレー支部は壊滅した(ネタバレ)
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