チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえ、カーテンの隙間からは朝日が射し込む。
時刻は六時ちょうど。子供達は学校へ行くために、大人達は仕事をするために起き始める時間だ。かく言う自分も学校へ行かなければならないので、のっそりとベッドから起き上がる。
『おはよう、
ベッドから起き上がったままぼーっとしていると、電子音にも聞こえる無機質な声がかけられる。
声のした方を向けば、そこにはゴシック調の白色の衣服に身を包み、癖のある真っ白な髪をツインテールにした赤と青の瞳の少女が椅子に腰掛けて本を読んでいた。
「……おはよう、ミク」
天音と呼ばれた少女はあくびを漏らしながらミクという名の少女にそう返す。そしてベッドから抜け出すと、寝間着を脱ぎ捨てて下着を身に付ける。
するとミクが本のページをめくりながら口を開いた。
『今日は学校?』
「平日だからね。サボるわけにもいかないし」
ミクの言葉に気怠そうに返しながら高校の制服を身に纏う。そして朝食であるバターを塗りたくったトーストをかじりながらニュースを眺める。といっても毎日同じような内容しか流れないので、そんな大した情報は無かったが。
やがて朝食を食べ終えると、食器を洗ってから机の横に掛けているカバンを手に取った。
すると今までずっと本を読んでいたミクが本を閉じて椅子から立つ。
「ついてくるの?」
『ここにいても暇だから』
天音の言葉にミクが相変わらず無表情でそう返してくる。まあ家にいたところでやることが無いのだから、そう言うのも無理はない。
「邪魔さえしてくれなければいいよ」
天音の言葉にミクはコクリと頷く。
それを見た天音はミクを連れてアパートを出た。
………
……
…
『
天音の実家は羽丘学区から少し離れた都市部なのだが、《訳あって》高校生になると同時に羽丘学区に引っ越してきて、現在一人暮らししているのだ。
そして同居している彼女の名は『初音ミク』。何を隠そう、世間で知らぬものはいない『バーチャル・シンガー』そのものである。
といってもこの初音ミクはバーチャル・シンガーとは
ちなみに彼女、天音以外の人物には姿が見えていない。
────ポンポン────
ヘッドホンで音楽を聴きながら歩いていると、不意に後ろから肩を叩かれる。
肩を叩かれた方を見ると、そこには銀色の長髪にトパーズのような色の瞳をした少女が立っていた。
「おはよう、宵崎さん」
「ああ、おはよう、『湊』」
肩を叩いた少女の挨拶に、天音はヘッドホンを外してから挨拶を返す。
彼女は『
彼女は今話題のガールズバンド『Roselia』のボーカルにしてリーダーであり、その歌声と実力はプロにも引けを取らないほどだ。天音も何度か彼女たちのライブを観ているので一目置いている。
「で、何か用?」
「用も何も、例の件は考えてくれたの?」
天音の言葉に友希那がムスッとした表情でそう返してくる。
それを見た天音は忌々しそうに吐き捨てた。
「………言ったはずよ。『死んでも御免』って」
「どうしてかしら? あなたのその才能は殺しておくにはすごく勿体ないわ」
「その才能を生かすも殺すも私の勝手でしょ」
友希那の言葉にそれだけ返すと、返事を待たずにその場から歩き去る。
天音のそばに誰もいなくなったところで、ずっと隣にいたミクが口を開いた。
『本当にいいの?
「いい。私はもう自分のためにしか動かないから」
ミクの言葉に天音はそう返す。
あの人の、
だからもう他人に必要とされても、自分の才能は自分のためだけにしか使わないと誓ったのだ。
「まさかとは思うけど、ミクも私に才能を殺すなって言うの?」
『ううん。私は天音がやりたいようにやればいいって思ってる』
天音の言葉にミクは表情一つ変えずにそう返してくる。彼女が本心ではどう思ってるかはさすがにわからないが、少なくともそれ以外のことは言わないということはわかっている。
「………そう」
ミクの言葉に天音はそれだけ返すと、再びヘッドホンを頭に付ける。気休め程度だが、こうしていれば他人と関わることが無くなるので心が落ち着く。
天音はそのまま誰かと会話することもなく羽丘女子学園へと向かったのだった。
・
羽丘女子学園の生徒。
勉強や運動、楽器の演奏やプログラミングなど何でもできるハイスペック女子高生だが、本人はその才能を『無駄なもの』と称している。
他人と関わることを避ける一匹狼気質で、その原因となった双子の姉とは絶縁状態。ただし、地元にいる後輩の一人は妹のようにかわいがっている。
・初音ミク
バーチャル・シンガーと瓜二つの容姿の謎に満ちた少女。
なぜか天音以外の人物にはその姿が見えない。
基本的に無表情だが、天音を思いやる気持ちは持っている。
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友希那ルート
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BAD END