CiRCLEでガールズバンド限定のライブイベントが開催されることが決まり、それに伴いRoseliaとAfterglowの参加が決まった次の休日。
『他のガールズバンドの参加も決まった』とまりなさんから連絡が来たので、天音はCiRCLEへと向かっていた。
CiRCLEに到着し地下のライブスペースに入ると、そこにはRoseliaやAfterglowを含めたガールズバンドが5組もいた。
「あ、ようやく来た!」
天音がライブスペースの中に入ると、天音の姿を見つけたまりなさんが声をかけてくる。どうやら自分が最後らしい。
「もう! 来るのが遅いよ!」
「ちゃんと来たからいいじゃないですか。そもそも私ここにいります?」
「いるよ! 天音ちゃんが皆のまとめ役なんだから!」
それは初耳だ。自分はてっきりいつも通り受付か、裏方の仕事に回されるかと思っていた。
「じゃあまずは自己紹介ね。私は月島まりな。ここでスタッフをしてるよ。それで一番最後に来た子が宵崎天音ちゃん。一応バイトの子だけど、実質ベテランスタッフだから遠慮なく相談してね」
まりなさんが余計な一言を付け加えてくれる。いくら天音が何でもできると言っても、天音にだって限度はある。だから何でもかんでも頼られても困るというものだ。
(まあ言ったところで聞いてくれるとは思わないけど)
天音はため息を吐いてから口を開いた。
「……宵崎天音です」
「じゃあ皆も自己紹介しようか」
そう言って今回のライブイベントに参加するガールズバンドの面々が自己紹介していく。
花咲川女子学園の面々で組まれた、女子高生バンド『Poppin’Party』。
羽丘女子学園に通う幼馴染みで組まれた、王道ロック系バンド『Afterglow』。
事務所の意向で生まれた、この中で唯一の商業系アイドルバンド『Pastel*Palettes』。
プロ顔負けの高い技術を持つ、本格派ユニット『Roselia』。
『世界中を笑顔にする』という野望を抱く、異色のバンド『ハロー、ハッピーワールド!』。
今回のライブイベントに参加するのはこの五組だ。
はっきり言おう。
(………まとめられる自信がないんだけど)
掲げるものも、方向性も、何もかもがバラバラな五組のガールズバンド。特に最後のハロハピなんか、天音のかつての後輩であるわんだほいなお嬢様と全くタイプが同じなので、正直超が付くほど苦手な部類だ。ついでになんか見覚えのある高身長な女子生徒もいるし。
「でも意外です。湊さん達は『自分達のレベルに見合わない』とか言って参加しないと思ってました」
「あら、美竹さんは私達に参加してほしくなかったのかしら?」
「あ、いや、そういうわけじゃないんですけど………」
「ふふっ、冗談よ」
慌てる美竹にクスクスと笑みを溢す湊。
「そうね、美竹さんの言う通り以前の私達なら『自分達のレベルに見合わない』とか言って参加しなかったことでしょう」
「なら、どうして………」
「ある人に言われたのよ。『自分本意の音楽に価値なんか無い』って。それで皆で考えたのよ。『どうしたら私達の音楽が認められるのか?』って。それで『より多くの人に聴いてもらおう』と多くのライブに参加することにしたの」
そう語る湊はその際にチラッと見てくるが、天音は首を傾げるのみ。なぜこちらを見てきたのだろうか?
(それにしても、よく湊に対してそんなことを言えたな、その人)
湊の言葉を聞いて呑気にそんなことを思っていると、不意にPoppin’Partyのギターボーカルの『戸山 香澄』が声を上げた。
「あ、せっかくだから今から一回だけ演奏しませんか!?」
「お、いいね。皆の実力も知ることができるし」
戸山の言葉に宇田川姉が賛同する。その他のメンバー達もこの意見には賛同的なようだ。
「じゃあ一曲ずつ演奏してみようか!」
まりなさんの鶴の一声により、一曲ずつ演奏してみることが決まった。それならこれ以上天音がここに残る理由はない。
「じゃあ私は仕事に戻りますね」
天音はそう言い残してライブスペースから出ていく。そして受付に戻ったところで、地下のライブスペースの方から音楽が聞こえてきた。
(………へぇ、なかなかどうして)
地下のライブスペースから聞こえてくる音楽に感心する天音。
Roseliaは言わずもがな、Afterglowは以前よりもさらに腕を上げている。パスパレは最初のライブが嘘のようにバンドとしての腕が上達しており、アマチュアの中でもトップクラスとなっていた。
そして初めて聴くPoppin’Partyとハロー、ハッピーワールド!だが、Poppin’Partyはいかにもな高校生ガールズバンドだがその腕はなかなかに上手い。ハロハピの方はというと『これは音楽なのか?』と思ってしまうほど破天荒なものだったが、それが上手いこと音楽として成立している。まさに『世界中を笑顔にする』という野望を体現しており、ニーゴやOWN、そしてJOKERこと天音の音楽とは真逆であった。
どのバンドも今回のライブイベントにはうってつけと言える。しかし、だからこその懸念もある。
(果たして、全員が同調できるかどうか……)
そして何より、思った以上に天音への精神的ダメージが大きい。このバイトをする上で覚悟していたが、それでも今も聴いていくに連れて気分が悪くなっていく。
(どうして私は………)
天音は地下のライブスペースから聞こえてくる楽しげな音楽から逃げるようにヘッドホンを付けるのだった。
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BAD END