ようこそ実力至上主義の奉仕部へ 作:モーブラゼロ
プロローグ
青春とは嘘であり、悪である。
『中学校生活を振り返って』という課題でそんな一文から始まる作文を書いたのは何時のことだっただろうか。少し読んでみよう。
愚かなる青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境を全て肯定的に捉える。
何か致命的な失敗をしてもそれすら青春の証とし、思い出の1ページに刻む。
例を挙げるとするなら、万引きや集団暴走、賭け事という犯罪行為に手を染めてはそれを「若気の至り」だと呼んだりする事や、試験で赤点を取れば学校は勉強をするためだけの場所ではないと言い出す事だろうか。点数が良ければ「学校は勉強するところだ」などと言うだろうにだ。
彼らは青春という二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。彼らにかかれば嘘も秘密も、罪科や失敗でさえも単なる青春のスパイスでしかない。
さらに彼らはその悪に、その失敗性に特別性を見出す。自分たちの失敗は遍く青春の一部分ではあるが、他者の失敗は青春ではなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。
それは正しいことなのだろうか。いや、正しいわけがない。
仮に失敗することを青春の証であるとするならば、友達がいない人間もまた、青春のど真ん中にいなければおかしいではないか。
だが彼らは認めないだろう。何のことはない、特別なことも何もない。
全ては、彼らのご都合主義でしかない。
なら、それは欺瞞だろう。嘘も欺瞞も秘密も詐術も糾弾されるべきものだ。
では何故、そうならないか。
人が、社会が不平等なもので、平等な人間など、同じ人間など存在しえないからだーーー
そう、中学二年生の俺はこう考えていた。
だが、かけがえのない「奉仕部」の二人の少女。
あざとい後輩の生徒会長。
薄い仮面を被ったリア充イケメンを含む
トップカーストの各々。
女子にしか見えない親友、中二病の少年。
家族思いの少女に分厚い仮面を纏った部長の姉。
様々な人々と出会ううちに、何回も失敗や間違いを繰り返しながらも自分は変わっていった。
そしていつしかあるかどうかも分からない、
でも此処でなら見つけられるかもしれない、
そんな「本物」を探し始めた。
いつかそれが見つけられると信じて。
しかし、それは叶わなかった、
いや間に合わなかったと言っていいかもしれない。
切り裂いたのは春を迎え、始業式が終わった日、
珍しく帰宅していた親父からのある一言。
「八幡、総武高校じゃなく高度育成高校に入れ。学費も安いし人見知りなお前にはピッタリだろ。」
頭が真っ白になった。
呆然となりピクリとも動かない俺の体を揺らしつつ
我が妹の小町が珍しく父に詰め寄っていた。
自分は何も言うことができなかった。
母は何も言わずに沈黙を保ち、
小町は母をも責め立てながら父に再考を迫り、
父はお金や俺の性格を理由に、
何故か半分俺を睨めつけながら反論している。
俺はそれをただただ見つめているだけだった。
気づけばベッドに横たわっていた。
動く気が起きずただ横になるだけ。
何も言い返せなかった。
小町が必死に反抗していただけだった。
「数学にもう少し力を入れないと一緒に合格できないかもしれないわよ?サボリ谷君。」
「高校入ったらまた奉仕部作ろうよ!沙希や中二にも入って貰ってさ!ね?ヒッキー!ゆきのん!」
「先輩〜、ちゃ〜んと私の居場所、作って置いて下さいね〜!待ってますよ〜!」
彼女らの声が聞こえた気がした。
後悔や諦め、黒い感情が浮かんでは消えていく。
やはり俺は恵まれ過ぎていたんだと。
俺にはそう都合の良い事は起こらず
今までが幻の幸せだったのだと。
数学、雪ノ下のスパルタだったけど
頑張ったのにな。
由比ヶ浜や一色の為に正式な部活にするべく、
川・・・なんとかさんや材木座に籍だけでも
置いてもらえるよう頼みこんでおいたのにな。
そして彼女らの想いについて真剣に向き合いたいと思っーーー…。
俺は親父から示された進路を学校の知り合いに隠し続けた。小町には必死に口留めした。始めはせめて奉仕部の二人には話すべきだと主張して納得しなかったために、半分喧嘩状態に陥っていたが、数日後には何もそれに関しては言わなくなり、表面上はいつもの兄妹へと戻った。
雪ノ下さんも進級後どこか様子がおかしい自分へ始めはしつこく絡んで来たが、これも暫く経つと消えた。
また、とうの彼女らも進級後の数日間は俺をしきりに気にして心配していたが、これもまた暫く経つと収まっていった。
「欺瞞」という醜い物を被せて。
夏には四人で花火大会に行き、二学期になると文化祭実行委員へなんと奉仕部全員が参加した。その中では一色が史上初となる生徒会長と文実委員長の兼任を実現し、奉仕部は三人全員が記録雑務へと入った。文化祭は雪ノ下さんの時を超える大成功を収めることになる。その後受験が近づいても、総武高校へは内部進学のような物であるため、のんびりとした空気が部室には漂っていた。時折彼女らが葉山のような薄い仮面を被っている気配を感じたが、そんな事を一色はともかく、雪ノ下や由比ヶ浜がする筈がない、気のせいだと信じていた。
総武高校受験日の一週間前の日曜日、朝早く起きて海浜幕張駅まで歩き始発の列車で東京へ。さらに東京港付近から専用バスに乗車し海上の埋め立て地にある東京都高度育成高等学校へと向かった。入る前に立ち止まって、一度深呼吸してから門を潜り試験会場へと入る。色々な感情が渦巻いていたせいで俺を見る視線には気付かなかった。
試験が始まるとより一層頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。試験で手を抜いてわざと落ちようか。面接で汚い言葉を吐いて落ちようか。そう考えた。俺の居場所は此処じゃない。彼女らの元にあるべきだと。
しかし出来なかった。そんな時に何故か彼女らの寂しそうな顔がちらついて胸が張り裂けそうになり、そのような負の行動を阻むのだ。気づけば結局自分は「いつも通りの自分」で全力で試験に臨んでしまっていた。
結果は「合格」だった。
卒業式の終了後、俺は三人の少女から部室に呼び出され告白された。
三人の気持ちは進級する少し前から薄々気付いていた事だ。ずっと目を背けてきた、だがずっと欲しかったものがそこにはある。
しかし、受験の途中から自身が最も嫌い遠ざけてきた欺瞞をし続けた俺にそんな資格は、無かった。
何を言ったかは覚えていない。ただ、昔の卑屈で最低なやり方を使ったことだけは忘れていない。彼女らがそのやり方を、自分を知っていたからこそ、そのやり方を取ったのだ。今から思えば自分は何かを理解されたかったのかもしれない。
だが感情的だったせいで彼女らが何故それ以上迫って来なかったのか、どうしてそのやり方について咎めなかったのか、そしてどうして流している涙の奥に深い笑みを浮かべていたのかあの時の自分には分からなかった。
さて、長々とこれまで起きた出来事を追ってきた。中学のような間違った青春は消え去り、またボッチ生活にリターンするのだと、そう思っていた。
「何をぬぼーっとしているのかしら比企谷君。今更貴方から私たちが離れると思う?」
「ヒッキー!これから三年間も、いやその先もずーっと一緒だよ!」
「雪乃先輩も結衣先輩もずるいですぅ~!先輩、一年後覚悟しておいてくださいね?絶対に会いに行きますから。」
どうしてこうなった!?
ーま、まぁいい。結論を言おう。
やはり俺の高校生活も間違っている。
駄文を読んでいただきありがとうございました。感想等どしどし下さい。2話は他の方の作品を参考にしたり、感想等を参考にして書いていきたいと思います。また、プロローグも改訂はするつもりです。
各ヒロインの分岐を作るべきか
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作るべき
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作るべきではない