ようこそ実力至上主義の奉仕部へ   作:モーブラゼロ

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はい、地獄回の続きです。ここら辺はどうしてもいろんな作品で似通ってしまうために省略も検討しましたが、やはり書くなら完全体で書きたいと思い執筆しました。ではどうぞ。


地獄の宴は続き、ある妹は姉に想いを馳せる

「時間を取りすぎてしまったな。これで学校のシステムは理解出来たはずだ。次にこれを見ろ。」

 

茶柱先生は手にしていた筒から厚手の紙を取り出し、ホワイトボードにマグネットを使って貼り付けた。

 

「……これは、クラスの成績……?」

 

斜め後ろの堀北が初めて言葉を発した。それは間違っていないだろう。

そこにはAクラスからDクラスの名前、そして各クラスの持っているポイントらしき物が書かれていた。

 

Aクラス  940

Bクラス  650

Cクラス  490 

Dクラス   0

 

Dクラスが0。Cクラスが490。Bクラスが650。そしてAクラスが940、か。…俺達の予想通りだ。雪ノ下や由比ヶ浜がどこか誇らしげな顔をしているのが見える。

 

「…綾小路君。おかしいと思わない?」

 

「同意だな。綺麗にも程がある。」

 

後ろで綾小路と堀北が気づいた点を話し合っている。

 

「これはクラスポイントだ。1クラスポイントにつき100を掛ければ、そのクラスの支給ポイントとなる。」

 

「Aクラスはほぼ10万かよ。」

「どうして私達だけ0なのよ!」

「くそ!どうしてこんな連中の巻き添えに!」

 

「学校側はお前たちの行動に一切文句は言わない。事実、ポイントの使用方法について制限は掛けなかったし、自由に使えとも言っただろ。」

 

「こんなのってあんまりっすよ! これじゃ生活出来ませんって!」

 

池が叫んだ。ポイントを全て消費した生徒に至っては阿鼻叫喚と化していた。本堂、強く生きろ。山内、ざまあ。

 

「良く見ろバカ共。それはお前たちだけだ。現に、他のクラスは問題なくポイントが残っている。Dクラスの次に下なのはCクラスだが、それでも一ヶ月過ごすには十分すぎる大金だ。」

 

「先生、ちょっとおかしいですよ! なんでオレ達だけ……。」

 

「……中々の着眼点だな池。そう、お前の言う通りDクラスだけがゼロポイントだ。」

 

「どうして僕たちだけ、こんなにも歴然とした差になっているんですか?」

 

平田の問いかけに、茶柱先生は満足そうに頷く。

 

「入学式の時にも伝えた通り、当校では実力が優秀な生徒から順にAクラスに配属している。逆に不出来な生徒はDクラスだ。ちなみにこの制度は近年様々な高校でも実施されている所もあるし、大手塾でも採用している所のある珍しくない制度だ。つまりこのクラスは、落ちこぼれの最悪の生徒達が集まる最後の砦という訳だ。そしてお前たちはこの一ヶ月でそれを証明した。つまりお前達は史上最悪の『不良品』だという事だ。」

 

堀北が大きく顔を強張らせている。かつての雪ノ下のように自らが優秀だと自負しているのだろう。しかし、それはあっさりと壊された。

 

ちなみに雪ノ下は深く頷きこちらへ微笑んでいる。…既に欠点を把握しているのか?

一方、由比ヶ浜はなにやら深刻そうな顔をして、雪ノ下にボソボソと話かけている。

 

「しかし同時に感心もした。当校が創立されてから、たったの一ヶ月で10万ポイントを根こそぎなくしたのはお前たちが初めてだぞ。おめでとう、お前たちは図らずも偉業を達成したわけだ。」

 

わざとらしく手を叩く茶柱先生。それを見た堀北が恐ろしい顔で茶柱先生を睨む。これもいつかの雪ノ下みたいだ。

 

「安心しろ。流石に生徒を死なせるわけにもいかないからな。寮はタダで使えるし、コンビニや自販機、食堂には無料商品がある。それを使えば良い。それかもしくはポイントを他の生徒から貰う方法もあるぞ?」

 

確かに人として最低限の生活は出来るだろうが……贅沢を知ってしまった高校生がそんな暮らしに満足出来るはずがない。それにこの状況でポイントを譲渡する馬鹿は居ないだろう。少なくとも俺達は絶対に拒否する。

 

「……良く理解したぜ。これから俺たちは他のクラスの奴らからバカにされるってことか。」

 

「なんだ須藤。お前も体裁は気にするんだな。だったら上のクラスに昇進出来るよう頑張ってくれ。」

 

「あ?」

 

おいおい茶柱さん?須藤を刺激しないでくださいお願いします。

 

「クラスのポイントはそのままクラスのランクに反映される。例えば、お前たちDクラスがCクラスの490ポイント以上を残していれば、CはDに降格、DはCに昇格する。どうだ、やる気が出るだろう。」

 

ん?ちょっと待ってくれ。その言い方だとまるでクラスポイントの増やし方がある様に聞こえるぞ。

 

「だが、残念な知らせがある。これを見ろ。」

 

茶柱先生はそう言いながら、新たな紙をホワイトボードに貼り付ける。クラス全員の名前と、その横には数字が表示されていた。

 

「これは以前行われた小テストの結果だ。見ろ、この酷い結果を。お前たちは一体中学で何を学んできたんだ?」

 

確かに笑われても文句が言えない成績の数字ばかり。一部の上位層を除き、大半の生徒は60点あたりの点数しか取れていない。一番最下層に位置するのは、須藤の14点。なんだよ、そこは山内じゃないのかよ。次点で山内の24点。平均点は……65点前後といったところか。

 

「良かったな。これが成績には反映されない小テストで。もし本番だったら7人は退学だったぞ。」

 

「ちょっ、待って下さい! 退学って一体どういうことですか!?」

 

「……これから定期テストで一科目でも赤点を取ったら退学して貰うことになる。」

 

「「「はああああああああーー!?」」」

 

赤点候補の生徒らが驚愕の悲鳴を上げた。31点の宮内という生徒の上で、茶柱先生は赤線を引く。由比ヶ浜が35点でまさかの回避だと!?なんか茶柱先生も一瞬、ぎょっとして上の由比ヶ浜の名前を見ているし。

 

「ふっざけんなよ佐枝ちゃんセンセー! 退学なんて冗談じゃ!」

 

「私に言われても困る。それに安心しろ池。今回はその通達も込めて成績には反映されてないだろ。ここから勉強すれば良いだけのことだ。」

 

「っ!……」

 

「ティーチャーの言う通り、このクラスには愚か者が多いようだねえ。」

 

絶句している池に、高円寺が煽った。姿勢は変わらず足を机に乗せたままだ。

 

「なんだと高円寺! お前だってどうせ赤点組だろが!」

 

「フッ。君の目は節穴かな池ボーイ。よく上から見るが良い。」

 

「はあ? ……えっ、マジかよ!」

 

高円寺六助の名前は、堂々の同率首位に名を載せていた。「バカキャラだと思っていたのに……!」と悔しがる赤点候補たちだが、彼は授業だけは真面目に、そして真剣に受けていた。高円寺はにっこりと微笑む。

 

「それからもう一つ付け加えよう。お前たちがこの学校を志望したのには高い進学率や就職率を目当ての生徒も多いだろう。だが、世の中そんなに上手くいくはずがない。"Aクラス"だけが、その恩恵を得られる。それ以外の生徒の将来は確約出来ないとだけ言っておこう。もちろん、必要最低限のことはする。ただ、それだけだ。あとは自分でやってくれ。」

 

「先生! そんな話は聞いていません!」

 

幸村が茶柱先生に苦情を訴える。彼は高円寺と同じ点数の優秀な生徒だ。

 

「みっともないねぇ。幸村ボーイ、これは私のありがたいアドバイスだが、男が慌てふためくモノほど惨めなものは無い。」

 

「……!? お前はDクラスに割り当てられて悔しくないのかよ!」

 

「何を悔しがる必要があるんだい? 私は私。このDクラスは学力だけで生徒は配属されていない。私は……………」

 

 

 

 

 

とりあえず高円寺の話は良いだろう。今までの話で得た情報を整理してみることにする。

 

まず、クラスポイント、そして支給ポイントはクラスの評価によって決められる。ただ茶柱先生の言い回しだと変動する、若しくは増やすことが可能であるという事になる。流石に毎月賭けをやらせるつもりは無いと言う事か。

 

次にクラス分け。優秀な生徒がAクラスから順に配属されると言っていたが、それなら雪ノ下や、堀北、幸村に、平田のように優れている人間がDクラスにいる筈は無いと思われる。学力では無く総合力で見たとしても、やはり平田の配属先はおかしいだろう。まだ不明な点が多い。

 

そして、小テスト。受けた事すら忘れるくらい印象には無かったが、もしかすると今後のテストのヒントになり得るかもしれない。ちなみに俺達三人の点数はこうなっている。

 

雪ノ下雪乃 85点

比企谷八幡 75点

由比ヶ浜結衣 35点

 

……ガハマさん、これでも頑張ったんだよな。でも、赤点は一発アウトだからもっと頑張らなきゃね?…由比ヶ浜が感じ取ったのか、ギョッとした目でこっちを見てくる。まぁ、後ろにゆきのんさんも笑顔で見つめているし由比ヶ浜が逃げる事は無いな。

 

大体はこんな感じだな。後は進学や就職についての話があったが、それについては雪ノ下家からオファーが何故か来ていたので、無理する必要は無いだろう。

 

「浮かれた気分は払拭されたようでなによりだ。中間テストまで残り三週間。勉強するもしないも自由だ。たださっきも言ったが、赤点を取ったら問答無用で退学処分になる。赤点を回避したければ、必死に勉強するんだな。ただ私はお前たち全員が赤点を回避する方法はあると確信している。それではSHRは終わりだ。好きに過ごすが良い。」

 

 茶柱先生はそう言って、教室を出て行った。誰も言葉を発さない。

 

全員が過酷な状況と向かい合う中、俺と雪ノ下と由比ヶ浜はどこか微笑を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「皆、一旦落ち着こう。いつまでも混乱していてはいけない、力を合わせて団結するんだ!」

 

平田洋介。昔の葉山に似た「みんな仲良く」を標榜するDクラスのリーダー格。皆その姿に期待の眼差しを向けるが、そうではない者もいる。

 

「これがどうしたら落ち着いていられるんだ!『不良品』、『不良品』と言われたんだぞ!悔しいと思わないのか!」

 

「もちろん悔しい。けど今はそう言われてもクラス一丸となって上のクラスに上がれば、そんな誹謗中傷は消えると思うんだ。」

 

「はぁ? 平田、お前本気で言ってるのか? 大体比企谷が言っていた通り、当たり前の事が出来ない奴、それこそ『不良品』がこのクラスには多過ぎるんだ!それに、俺はこのクラス分けに納得していないんだ!」

 

「……僕にはこのクラスの生徒が『不良品』だとは到底思えないんだ。それに幸村君。愚痴を吐いていたって仕方がないだろう?」

 

「なんだと!」

 

 駄目だな、あれは。どっちも感情的になり過ぎている。正常な判断は出来ないだろうな。…というか幸村、俺の名前挙げないでくれる?

 

 

「落ち着いてよ、幸村君。平田くんを庇うわけじゃないんだけど、今は争っている場合じゃないと思うな。」

 

 

仮面少女、櫛田が仲裁に入ったか。

 

 

「…まるで姉さんの劣化版ね。もし姉さんなら、いつの間にか平田君からリーダーの地位を奪うまでやりそうだわ。」

 

いつの間にか雪ノ下が近くまで来ていた。確かにあの仮面は陽乃さんよりは薄いな。その分、立ち回りがしやすいというのはありそうだが。

 

「…なんだか、姉さんのように家や組織の為ではなくて、主観的に動いている気がするわ。彼女は。」

 

陽乃さんとは違って、自ら望んで被った、という事かもしれないな。

 

「姉さんはかつて母さんの教育で雁字搦めになっていき、自分という物を無くした。でも最近では貴方のおかげか、昔の姉さんをよく見ることが出来るわ……。彼女は姉さんと似て非なる存在。もしかしたら、過去にトラウマがあるのかもしれないし、あの生き方ではもしかしたらストレスを溜めているのかもしれない。あまり関わりたくは無いけれど、もし何かあったら助けてしまいたくなる人かもしれないわね…。」

 

そう言って雪ノ下は幸村や櫛田たちをぼんやりと見つめる。

 

櫛田を姉とは似て非なる存在としながらも、その似た生き方を姉に重ねている。もし助けを求めていれば彼女は救いたくなるのかもしれない。かつて、千葉村で鶴見留美を助けたように。

 

 

 

 

 

 

 

その後、櫛田の仲裁によって幸村は謝罪し

平田はそれを笑顔で受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 




多分一番ここら辺が難産だと思うし、オリジナリティを出すのが大変でした。また今回は櫛田と陽乃さんの姿にを重ねる描写を入れ、今後への大きな伏線を入れました。次回、もう少しだけ平田ワールドが続いた後、オリジナルの話に入り、改変されていく予定です。
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