ようこそ実力至上主義の奉仕部へ   作:モーブラゼロ

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はい、勉強会回です。堀北が覚醒している為、堀北の名声が高まるのが早まります。……おやおや、何処かの仮面少女が屋上に向かうようですよ?
それでは本編です。


こうして彼等は初めての依頼を開始する

「これが、私の今までの全てよ……。」

 

堀北の過去の話が終わった。彼女は落ち着かない様子で俺達の事をじっと見ている。雪ノ下は瞑目しており、由比ヶ浜は胸に手を当てて考え込んでいる。最初に口を開いたのは由比ヶ浜だ。

 

「…やっぱり堀北さん、ううん。すずねんはゆきのんに一見似てるようで似てなくて、やっぱり微妙に似てると思う。あたし自身でも何を言っているのか全然分からないけど、ゆきのんは陽乃さんが一番の理由だと思ってるかもだけどさ。雪ノ下家っていう家が原因で陽乃さんもその影響を受けてたからこそ、ゆきのんっていう一人を誰にも見られなかったんだと思うの。だけど、すずねんはそこまで家の方針とか関係無くてただお兄さんに認められたくてそこまで頑張ったんでしょ?多分周りから評価もされてたと思うし、むしろ流石お兄さんの妹って言われたとき嬉しかったんじゃないかな?」

 

「そう、ね。私は、嬉しかったと思う。…だから、分からなかったの。どうして兄さんだけが認めてくれないのかって。」

 

「それは貴女が盲目的にお兄さんを追っていたからだと思うわ。」

 

今度は雪ノ下が口を開く。堀北はしっかりと噛み締めるようにして二人の話を聞いている。

 

「貴女自身が選んだ姿見じゃない、スポーツじゃない、学校じゃない。もし、貴女が自分の意志でこういう事をやりたいだとか、この学校に入りたい、と言っていればそのような事は起こらなかった筈だわ。暴力に頼るのは良い事ではないと思うけれど、お兄さんは貴女に貴女自身の手で選んで欲しかった。そして、同じ場所に並んだだけで満足して欲しくなかった、という事ね。」

 

「雪ノ下や、俺の妹の小町を見ていると分かるが、やはり兄弟のうち下の方は上の子を見て成長するから、基本的に似た事をする場合がほとんどだ。だが、大抵は小町の様に何かの要因で別の方向へと進む。その中で、雪ノ下は家の名前と優秀な姉によって自分を見て貰えず自分が無かった。堀北は兄への憧れが強すぎた事から兄と並ぶ事をゴールにしてしまい、こちらも自分が無かった、という事なんだろうな。由比ヶ浜の言う『似てるようで似てなくてやっぱり微妙に似ている』というのはあながち間違いじゃないと思うぞ。」

 

堀北は俺達の見解を真剣に聞き終わると、

 

 

「…由比ヶ浜さん、雪ノ下さん、そして比企谷君。ありがとう。…一つお願いがあるの。今から一つ誓いを立てようと思うのだけど、証人になってくれないかしら。」

 

 

俺達は黙って首肯した。

 

堀北は深呼吸をした後、言葉を発する。

 

 

 

「わ、私、堀北鈴音は兄さんをただ追いかける事を止め、自分の意志で行動し、DクラスをAクラスに昇格させ、兄さんに"打ち勝つ"事を誓います。」

 

 

 

少し恥ずかしかったのか一部声が震えてはいたが、その思いは充分伝わった。

 

「……私、来週までに髪を切るわ。今までの髪型は昔兄さんが好みだと聞いたから伸ばしたの。でも、私は私。今までとは違うわ。」

 

堀北自身が数年後に聞いたら、間違いなく黒歴史になるであろう発言を録音しながら俺は考える。もし父にここへの進学を強制されなければ、この少女と出会う事は永遠になかっただろうし、この少女が呪縛から救われる事は無かっただろうと。また救われたとしてもそれは随分先の事の様な予感がした。我ながら恐ろしく傲慢な考えだとは思ったが、誓いの後に雪ノ下や由比ヶ浜と歓談する堀北を眺めていると、そんな考えも吹き飛んで行った。

 

 

 

その後。夕食を温め直し堀北を含めた四人で食事をした後、綾小路についての意見を交換し合った。今日の放課後の話は雪ノ下や由比ヶ浜にはやはり相当衝撃的だったようで、俺同じく自信を喪失し敗北感を味わっていた。堀北は先程までご高説を垂れてきていた三人が落ち込んでいるのに酷く狼狽し、不器用ながら必死に慰めるという奇妙な光景がそこにはあった。

 

 

 

 

 

「今日は本当に…ありがとう。」

 

帰り際、堀北が礼を言うのは極めて珍しかったので見つめていると、顔を赤くして睨まれる。何故!?

あと、ゆきのんさんとガハマさんはハイライト消さないで。

 

「…一つ依頼がしたいの。」

 

堀北が姿勢を正して言う。

 

 

「平田君は恐らく中間テストに向けて勉強会を開くと思うわ。でも一部赤点候補の生徒、池君や山内君、須藤君は平田君の誘いには乗らないと思うの。今までの私ならそんな人は見捨てる、そう言っていたと思う。でも私は試してみたい、私が主導して勉強会を開きたい。だから…その、お手伝いを依頼したいの。よろしく…お願いします。」

 

 

俺達は綾小路の事を知るまで、内心では赤点候補を堂々と見捨てるつもりだったので冷や汗をかくが、なんとか依頼を受ける事を約束した。

 

 

 

 

 

「…ゆきのん。もしかしたらあたし達、綾小路君の事を聞くまでクラスの事、見下していたのかもしれないね。」

 

「…そうね。よくよく考えればポイントの事は部活を作ろうとした事から気づいた事であるし、Sシステムについては正しいところもあったけれど予想できていないところが多かったわ。」

 

「俺に綾小路の話を聞かせたのは、茶柱先生なりの警告だったのかもしれないな。…とりあえず傲慢になっていたところは反省だ。そして、依頼の達成について考えよう。」

 

「分かったー。(分かったわ。)」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、朝の地獄のホームルームからの

長い一日がようやく終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

堀北が奉仕部に依頼をした次の日から、堀北は雪ノ下や由比ヶ浜、そして一応俺と交流を始めた。初めは共に昼食を取る事から始まり、しまいには一緒にカフェに行くなど普通の女子高生ライフを楽しんでいた。周りはその突然の変化に驚き、平田が放課後の集まりに誘ったくらいだ。あ、平田は最近軽井沢と付き合い始めたらしい。俺が言うのもなんだが、リア充爆発しろ。

まぁ、人間というのはそう早くは変わらず平田の誘いは一刀両断。定期的に来る櫛田も話しかける前から断られていた、まるで一色みたいだ。櫛田もその対応には唖然としていた。

 

そして、数日経ったある日の四時間目の終わり。

 

「朝のSHRでプリントを配ったが、今日からテスト週間となる。範囲は朝配った通りだ。各々おのおのしっかりと、試験勉強をするように。」

「せんせー、何でそれを今言うんですかー?」

 

「良い質問だ。今日の放課後のSHR、私は私用で居ないからな、お前たちに会うのはこの時間で最後なんだ。」

 

これは茶柱先生なりの激励なのだろうか。だとしたらとても不器用だと思うと同時に、綾小路の際の警告をも思い出し、少しばかり好感を持った。

 

茶柱先生が去り皆が昼食を取ろうとした時、間髪入れずに平田が席を立って周りを見渡し、発言する。

「皆、茶柱先生の言葉を覚えているよね。今日からテスト週間に入る。この中間テストでポイントが振り込まれる可能性が高いことは、皆納得してくれていると思う。けどその前に、まずは赤点を出さないことが先決だ。赤点者は即退学、そんなことは許してはならないと思う。」

 

みんなのリーダーが動く。目標はあくまでも退学者を出さないことのようだ。彼の行動は堀北の予想とも合致する。

 

「この前の小テストの点数が高かった上位数人で勉強会を開くことにしたんだ。もちろん、強制はしない。けれど不安のある人は是非参加して欲しい。」

 

平田はそこで、優しげな瞳を向ける。かなりの女子が見惚れている、が彼は須藤の方を向いていた。なるほど、今のセリフは須藤へ向けたのか。平田の狙いは主に三つ。一つ目は赤点の生徒を出さないこと。二つ目は一方的に対立されている生徒との関係を深めること。三つ目はクラス全体として勉強会を開き、Dクラスの団結力を上げること。こんなものか。

 

平田と須藤の視線が交錯する。

 

「……ちっ。」

 

先に須藤が目を逸らした。たまに会話していて思うが、須藤は堀北並みにプライドが高い。殊更バスケに関しては。今更平田と手を取り合う事は嫌がるだろう。

 

「今日の五時から二時間、テスト当日まで毎日開く予定だ。途中参加も大歓迎だよ。逆に大丈夫だと判断したら抜けても構わない。僕からは以上だ。ごめんね、昼休みの時間を削っちゃって。」

 

本当に大した奴だ。纏める力ではあの葉山を凌ぐ。だから何故平田がDクラス配属なのかはいくら考えても答えは出なかった。

 

彼の演説が終わるや否や、まず赤点候補組の女子が飛び付き、男子もやがて飛びついた。また、他の生徒もぞろぞろと集まりつつあった。

 

だが、三バカトリオと呼ばれる池、山内、そして須藤の三人は行くのを躊躇ったあげく、教室を後にした。池や山内は少し迷ってはいたが、平田とは距離があるからだと思われる。

 

雪ノ下、由比ヶ浜そして堀北の三人は、三バカが教室を後にするのを確認した後誘い方について色々と考え始める。平田は俺達が教室に残っているのを見て誘いには来たが、雪ノ下堀北ペアに睨まれスゴスゴと退散していった。

 

「まずは比企谷君にお願いしたいのだけど。」

 

「え?俺?雪ノ下…?」

 

「ヒッキーは男子だから声掛けやすいじゃん?最近は昔のボッチも治ってきてるし。」

 

「ええ。本当に悪いのだけれど…お願いできるかしら?」

 

一体この数日間で何があったんだ。堀北。態度がめちゃくちゃ軟化してるぞ。てか、俺は未だに綾小路と須藤以外の男子とのまともな付き合いが無いのですが。…そうだ、そこで無関係そうにして焼きそばパンを頬張っている綾小路を巻き込もう。

 

「分かった。なら、綾小路と一緒に声をかけに行く事にするわ。」

 

「え?オレ?」

 

「そうだよお前だよ。綾小路、堀北に協力するんだよなぁ?」

 

「…分かった。やるぞ。」

 

綾小路、俺を平然と見捨てようとした事を後悔するがいい。ごめんなさいその無機質な目で睨まないで下さいお願いします。

 

 

 

 

 

放課後。雪ノ下一向は既に教室から消えていた。恐らく勉強会に向けて三人で仲良く準備でもするんだろう。俺はぐるりと教室内を見渡した。平田や成績上位者数名は教室での勉強会の準備をしている。面倒だとは思うが、約束は約束だ。綾小路が膨れっ面をしているが気にしない!よし、何事にも挑戦だ!挑戦しかない!

 

そう思い立って俺達は三バカトリオに声を掛けた。だが、

 

 

「無理。」

「やだ。」

「悪いな、綾小路にヒキタニ。バスケで忙しいんだ。」

 

 

呆気なく失敗した。ふざけるんじゃねぇぇぇー!あと、俺はヒキタニじねぇぇぇー!…はい。須藤はまだバスケがあるからともかく池と山内は即答だった。そもそも勉強とは無縁であろう彼らが餌も無しに勉強するわけがないか。退学に対する危機感がないし、今まで人を遠ざけてきた堀北が勉強会を開くことに猜疑心も生まれている。須藤はそれが顕著だ。どうやら俺の知らないところで何かあったらしい。堀北。タイムスリップして態度直してこい。……仕方ない。"エサ"を使うしかないか。綾小路も同じ結論に至ったようだ。そう、二人の目線の先にはーーー

 

 

 

 

 

「櫛田。」

 

「綾小路くん?と、比企谷くん?」

 

良かった、開始早々目を怖がって逃げられることはなさそうだ。櫛田桔梗だったら、エサに成りうる。男女問わずの人気者で、美少女。彼女のコミュニケーション能力はずば抜けているし、小テストでは成績上位者に入っていた。まさしく完璧少女だ。……仮面を被っている事以外は。

 

まず、惚れている池と脳内猿の山内は確実に釣れるだろう。そして須藤も綾小路と俺の誘いなら来るはずだ。

 

「比企谷くん達が私に声を掛けてくれるなんて初めてだよね。何か用かな?」

 

「ああ。ちょっと教室の外で話がしたい。」

 

綾小路に目配せをすると、不満そうにしながらも彼が言葉を繋ぐ。

 

「うーん、この後友達とカフェに行くんだけど……大事な話なんだよね?」

 

「とても大切な話だ。」

 

櫛田は瞬きした。ちょっとそれ誤解生むからね?気を付けてね綾小路君。

 

「綾小路くん、人を煽てるの上手だねっ。良いよっ!」

 

可愛い女の子から褒められて……なーんて綾小路は思っているんだろうな。櫛田、僅かに苛立ってるぞ。目が少しだけヒクヒクとしている。綾小路は廊下へ櫛田を誘導して話し始めた。

 

「話の前に聞きたいことがある。堀北とはここ最近どうだ?」

 

「うーん、さり気なく声を掛けたりしているんだけど……中々上手くいってないかな。最近雪ノ下さんや由比ヶ浜さん達とよく一緒に居るから周りに心を開いたのかなって思ったんだけどなぁ…。でも、どうして?」

 

ここからは綾小路の知らない内容なので奉仕部関連についてはボカしつつ説明する。そして、三バカの参加に手を貸してほしい事について伝えると、

 

「うんっ、もちろんだよっ!」

 

養殖スマイルを浮かべた櫛田は、廊下の床を軽く蹴り先程とは一転した暗い表情を浮かべる。

 

「でも酷いよね、赤点を取ったら直ぐに退学だなんて。」

 

「同感だ。仮に赤点を取っても、追試や補習でカバー出来るのが普通だと思うんだが……この学校だと当てはまらないんだろうな。」

 

「……それを言われちゃうとそうかもね。でもそれでも悲しいよ。平田くんや堀北さんが勉強会を開くって聞いた時、とても感心したんだ。私は自分のことばかり考えていたから……本当に、凄いよねっ!」

 

櫛田、とっても良い子だ。だが、気分が悪いので早く帰りたい。

 

「それでね、綾小路くん。比企谷くん。一つだけ頼みがあるんだ。」

 

「櫛田も勉強会に参加したいのか?」

 

「…どうして分かったの?」

 

「…櫛田は前々から堀北や池達の事を心配していたし、不安では無いのかと思ってな。」

 

「なるほどねぇー。そうだよっ。」

 

危ねぇぇぇ!つい、口を突っ込んでしまった。本性に気づいた事を知られれば、次の日にはナルタニだのなんだのクラスに広まって居場所を失うに違いない。ソースは中学の時の俺。

 

「それで勉強会はいつからなの?」

 

「明日からの予定らしい。」

 

櫛田は綾小路の言葉に違和感を覚えたのか、小さく小首を傾げた。

 

「その言い方だと綾小路くんは参加しないの?」

 

「俺はあくまでも誘うのを頼まれただけだからな。比企谷に。」

 

ちょっと?フレンドリーファイアはお兄ちゃん許していませんよ?え?キモい?……ごめんなさい。

 

「でも綾小路くんは50点だったし、万が一ってこともあるんじゃないかな?」

 

解答用紙は公開されていないのでその異質さに気づく奴は中々居ないだろう。

 

「もし行き詰まったら平田主催の方に参加する。堀北が開く理由は赤点者をなくすためだからな、オレは流石に大丈夫だろうし参加する必要はない。というかオレは巻き込まれただけだ。」

 

「……そっか、そうだよね。そうなるとやっぱり私も参加しない方が良かったりするかな? 堀北さんの邪魔をしたり……。」

 

「大丈夫だと思うぞ。堀北も雪ノ下も一人ずつが教えるのには限度だろうし、由比ヶ浜は教わる側だ。あいつらを支えてやってくれ。」

 

一応フォローはしておく。櫛田と敵対するつもりはない。ただ、こちら側に入った堀北や、雪ノ下と由比ヶ浜に何か手を出せば徹底的にやる。それだけだ。

 

「うんっ! 後で連絡するね!」

 

櫛田はガッツポーズをして去って行った。

いや、ちょっと待て。後で連絡……?

 

「…なぁ、綾小路。お前櫛田の連絡先あるか?」.

 

「いや?オレは無いぞ。誰かに阻まれたのでな。」

 

綾小路?あたりが凄い強いけど何か恨みでもあるの?…心当たりめちゃくちゃあるわ。

 

「すまん、俺のせいだな。…マジか、俺が櫛田と連絡するのかよ。」

 

「櫛田みたいな美少女とならご褒美ではないのか?」

 

綾小路、知らない方が幸せな事もあるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

こうして、櫛田パワーによって三人とも揃い、

堀北勉強会が始まりを告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、今回分量が多くなりすぎまして、日付飛び越えました。櫛田に関しては原作を読んでも口調が難しいため、いろいろ参考にさせてもらってます。

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はい、堀北が覚醒。原作ブレイクコースです。これ以降、雪ノ下と堀北のセリフが非常に面倒くさくなります。ご了承下さい。

さて、原作では堀北の孤独な考えによって潰れた勉強会ですが、今回は覚醒堀北。そして櫛田はどうなるのか?
次回もお楽しみに。
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