ようこそ実力至上主義の奉仕部へ   作:モーブラゼロ

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白波回です!今回は短いので番外編にしました!どうぞ!


【番外編】斯くして百合少女は目を閉じた

 

===side《hachiman》===

 

一之瀬が出て行ってすぐ、折本が面と向かって話しかけてきた。真剣な表情である事から、白波や一之瀬関連である事が分かる。

 

「…比企谷。私は、私達も白波ちゃんの告白を見届けた方がいいって思うんだ。」

 

「確かに双方に関わってしまったから、見届ける必要はあると思うが…男は居ない方がいいだろ。行くなら折本達だけで行ってくれ。」

 

「いえ、比企谷君。貴方は貴方にしか無いものがある。…残念ながらもうここに居る皆は彼女の結末が分かっている筈よ。だから、少しでもケアをしてあげるために比企谷君が必要なの。」

 

ここで雪ノ下が割り込んできた。

 

「…どういう意味だ?」

 

「あたし達はヒッキーのお兄ちゃんスキルで慰めてあげるべきだと思うの!ヒッキーは不思議な事にお兄ちゃんしてる時は、すんごく優しいからね!…小町ちゃん慣れしてるからだけかもしれないけどさ。」

 

ゑ?君達は一体何を言っているの?あれは頻繁に何故かねだってくる貴女たちがおかしいだけで、普通親しくない男子にやられたら即変態扱いの筈だぞ。ましてや男子に嫌悪感を持っていた白波が、それで慰められる訳がない。…そうだよね?……あっ櫛田……。

 

「いえ、彼女は貴方に一番心を開いているわ。恐らく私達よりも。折本さん曰く、彼女は今までのどのクラスメイトの男子相手よりも、自然に会話をしているそうよ。貴方ほどの適任は他に居ないじゃない。…それに奉仕部としての活動として、フォローは必須でしょう?」

 

…なるほど。流石にそこまで雪ノ下に言われてしまっては断る事も出来ない、か。

 

「…分かった。やれるだけフォローはする。」

 

「そろそろ行かないとウチら間に合わなくなるよ!急いで急いで!」

 

 

 

 

 

……腹を括ってやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===side《chihiro》===

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、白波千尋の初恋は破れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、奉仕部に相談してから三日間。告白に最適なスポットを探す為、学校中を彼女達と一緒に歩き回りました。学校の屋上や、放課後の教室、体育館裏など、様々な場所を巡りましたが、最も印象に残り、私が選んだのは、比企谷君が紹介してくれた海の見える小さな広場です。どうやら比企谷君にはここで何かがあったのか、少し違和感を覚えましたが、そこで見る夕陽がこの学校のどこで見るよりもきれいでした。

 

更に私はラブレターや告白する際の言葉を考える際にも、沢山のアドバイスを貰いました。ありきたりな言葉でもいい、ただ自分の『本物』の想いを込めなければいけない。そんなメッセージを受け取った私は、『魚を与えるのではなく、魚の取り方を教える』という奉仕部の皆さんの意志に添いつつ、アドバイスを受け続けました。……告白の実体験について雪ノ下さん達が話している時、何故か比企谷君が苦しそうにしていました。一体、何故だったでしょうか…?

 

そんなこんなであっという間に三日間は過ぎ去り、遂に告白の日がやって来ました。昨日、雪ノ下さん、由比ヶ浜さん、折本さん、相模さん、そして比企谷君から送られたエールの数々。そんな事を思いながら、私はラブレターを一之瀬さんの下駄箱に入れました。

 

 

 

 

 

『告白ってもんはいわば相手に自分の想いを押し付ける事だ。例えば俺は、一度そこにいる折本にそれをして、振られた。後日談はさて置き、振られて傷付く覚悟は、絶対にしておかなければいけない。もしお前にその覚悟が無く、それが出来ないのなら、告白なんて辞めちまえ。』

 

 

 

 

 

何故か比企谷君の一見罵倒するようで、忠告と応援を私にしてくれていた様子が目に浮かびます。私が「これがツンデレですか?」と問うと、周りの彼女達が皆口を揃えて「いや、捻デレです。」と返してくれたのを今でも覚えています。…その後、「また自分にばかりヘイトを」などと周りから問い詰められて、おどおどしている比企谷君は傑作でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はこの時、彼を

『本物』の括りに入れていた事に

気付いていませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夕方。一之瀬さんは2分ほど遅刻して来ましたが、ちゃんと来てくれました。一之瀬さんの目をしっかりと見て、私は彼女に自らの想いを伝えます。入学前の事から、入学式での印象、階段で転んだ時に恋に落ちた話、そして今に至るまでの話。一之瀬さんはその一つ一つを噛みしめるようにして相槌を打ちます。全ての話が終わった時、私は姿勢を整えて、

 

 

 

 

 

「私は、一之瀬さんの事が恋愛対象として好きです。…私と、付き合って下さい!」

 

 

 

 

 

私の初めての告白。

 

 

 

 

 

「…ごめんなさい。千尋ちゃん。私は、千尋ちゃんには恋愛感情を持てない。…だから、だから千尋ちゃんとは付き合えない。」

 

 

 

 

 

こうして、私の初恋は砕け散りました。一之瀬さんの私に対する想いを聞きながら、私は立っているので精一杯です。でも、

 

 

 

 

 

『振られて傷付く覚悟は、絶対にしておかなければいけない。もしお前にその覚悟が無く、それが出来ないのなら、告白なんて辞めちまえ。』

 

 

 

 

 

この言葉が私の支えになってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのくらいの時間が経ったのか、ふと目を開くと一之瀬さんはそこにはおらず、日が沈んで赤さが消えてゆく海だけがありました。慌てて後ろを振り返ると、そこには一人の男子生徒。初めて会ってからたった三日しか経っていないのにも関わらず、一之瀬さんと同じように心の何処かに残り続ける、比企谷君の姿がありました。

 

「…なんだ、その…よく頑張ったな。」

 

彼はそう言い、私に近づいて来ました。今まで男子に対して好感情を持たず、嫌悪感しか持っていなかった私にとってそれは不愉快な筈。

 

 

 

しかし、私は頭に乗せられた手をいとも簡単に受け入れました。その時、私は何か温かい物に包まれていくような心地がしました。途轍もなく優しく、それでいて何処か壊れてしまいそうなもの。……私はちょろいのかもしれない。振られた直後に彼に下心は無いとはいえ、頭を撫でて慰めてくれる人にこんな感情を抱いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白波千尋、二回目の恋かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思い、私は再び目を閉じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当は白波告白回を暴力事件回とくっつけるつもりでしたが、いまいち上手い繋げ方が出来なかったのでやめました。また、全般やや雑なので時期に添削すると思います。
さて、次回からは新キャラが登場してくる予定です。お楽しみに〜!
ではまた。
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