ようこそ実力至上主義の奉仕部へ   作:モーブラゼロ

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今回から原作パートへと入ります。


こうして彼等は春風に吹かれその門へと導かれる

「さて、長い長い比企谷君のモノローグが終わった事だし、いい加減現実に戻ってきてもらいましょうか?」

 

「雪ノ下先輩、それメタいです。」

 

「そうだよ、ゆきのん!ヒッキー何言ってるかよく分からなかったけど、言っていい事と悪い事があるよ!」

 

「あの〜、それ俺が痛いって事ですかね…?皆さん。」

 

「そうよ(です)(だよ)。」

 

八幡泣いちゃうよ。シクシク。

 

…さて、現在俺は雪ノ下家の都築さんが運転するリムジンに乗っている。何故だろうか。これが分からない。今朝から振り返ってみよう。

 

「ちょ、ちょっとまたモノローグに浸からないで下さいよ〜先輩〜!」

 

…今日は高度育成高校の入学式。今朝俺は始発に乗るため朝早く起きて家を出る準備をしていた。両親は寝ていたが小町は夜通し起きていたのか、珍しく朝食を自分で作って食べていると眠い目を擦りながら部屋から出て来た。

 

「お兄ちゃん、おはよう〜。」

 

この声も三年間聞かなくなると思うと、今更何故あの時抵抗しなかったのかと後悔の念が押し寄せてくる。それに小町自身は気づいていないかもしれないが、新中ニにして相当のブラコンだ。共働きの両親の事を考えるとこれから一人で家にいる事も多くなるだろう。幼い頃、寂しいからと家出をした小町は耐えられるのだろうか。

 

軽く世間話をしながら小町も席に着き食べ始める。

こんな風に小町と朝食を食べたり、話したりするのも次は三年後なのか、などと考えつつも目玉焼きを口に運ぶ。

向かいに座る小町を見れば、ジャムを塗ったくったトーストを片手に熱心にファッション雑誌を読んでいた。

『三高はもう古い』だの『激モテコーデ』などという事柄の記事を見ては、うんうんと頷く小町。どこに共感してんのお前。心配して損したわ。

静かな朝食の時間はあっという間に過ぎ去り、そろそろ家を出なければ始発に間に合わない時間となってきた。

 

「……じゃ、俺行ってくるわ。」

 

「あ、待って待って!」

 

どうやら玄関で見送りしたいらしい。いそいそと残りのトーストを口に放り込み、軽く身嗜みを整える小町。

 

「おい、口にジャムついてっぞ。」

 

「え?ジャムってる?」

 

「お前の口は自動小銃なのかよ。じっとしてろ。」

 

近くにあったティッシュを取り、小町の口についているジャムをぬぐってやる。

……普段ならこんなことしないかもしれない。普段ならオートで発動するお兄ちゃんスキルもオートじゃなかった。本能的な部分で寂しいと感じているのだろうか、自然と体動いていた。

 

「…ありがと。じゃあ見送りするから。」

 

「おう。」

 

真新しい鞄を手に取り、玄関に向かう。その後ろから小町がぴったりと付いてくる。

玄関に着き靴を履いたとき、唐突に衝撃が走った。

 

「ちょ、ちょっと何してるの小町ちゃん?」

 

「…今だけはこうさせて。」

 

小町が背中からお腹に手を回してギュッと絡みついていた。一瞬微笑ましく感じたが、お腹に回された小町の手は震えていた。

 

「…色々お父さんには文句を言ったけど聞いてもらえなかった。小町の頼みを聞いてくれなかったの初めてかもしれない。」

 

小町が心境を語る。親父は昔から小町至上主義者ではあったが、一応自分の事もなんだかんだで考えてくれていた。ごく稀に風呂に一緒に入ると小町の可愛い所を言い合ったり、美人には気を付けろとかふざけてはいるが忠告をしてくれたり、普通の親子では無いが最低限の付き合いはあった。それがあの日から変わった。もしかしたら会社などで何かあったのかもしれない。色々考えたが、最後まで分からなかった。

 

「でも、小町頑張る。始めは寂しいかもしれないけど3年後にちゃんとお出迎えしなきゃね… あ、今の小町的にポイント高い!」

 

「最後のが無ければな。」

 

思いっきり力一杯抱き着くと小町は震える手を押さえながら俺から離れた。

 

「…じゃあ、行ってらっしゃいお兄ちゃん!」

 

扉を開けると中からぶんぶんと笑顔で手を振っている。ただその目は涙で溢れていた。

 

「おう、行ってくる。」

 

迷いはもう無かった。小町にここまで言わせて退学しておめおめ戻ってくる事はできない。家を飛び出した俺の足取りは軽く、背筋はピンと伸びていた。まだ日を出して間もない太陽がそれを見守っていた……

 

そして海浜幕張駅に着くといきなり黒服の四人組に捕まりリムジンに突っ込まれると雪ノ下、由比ヶ浜、一色が居たって訳だ。

 

 

 

「比企谷君、どうして私達との出会いは二行なのかしら。その理由を懇切丁寧に詳しく詳細に深く説明して欲しいわ。」

 

「だから雪ノ下先輩メタいですって!」

 

「ヒッキー千葉出るあたりまでめちゃくちゃオドオドしてたけど、あれの話は無いの?」

 

「その話はやめろ。いいな。いや、やめて下さいすみませんごめんなさい許して下さい!」

 

三人からハイライトの消えた目で見つめられ怖くなった俺ガイル。

 

千葉を出るあたりまでは正直気不味過ぎて何も声をかけられなかった。東京という文字が見えたあたりで嫌な予感がして都築さんに聞いた。そうすると…

 

「今、東京都高度育成高等学校に向かっています。」

 

ゑ?っとなって言葉を失う。そして予感は当たった。

 

「雪乃お嬢様とご友人の由比ヶ浜様は高度育成高校に進学なされます。比企谷様も同じ進学先であり、送迎を行った方が良いと陽乃お嬢様に命ぜられましたので。」

 

ちょっと雪ノ下さん!?何してるの?

 

「到着するまでゆっくりとご歓談下さい。ちなみに選ばれるのでしたら雪乃お嬢様を是非お願致します。」

 

とか言って、運転席からサムズアップしてくる。都築さん!?

 

「そういう訳だから比企谷君。三年間宜しくお願いするわ。」

 

「ヒッキー。あたしも三年間、いやもっと先まででもいいよ!」

 

「先輩、私も一年後絶対に入りますからそれまで誰とも付き合わないで下さいね!責任取ってもらいますから!」

 

そして、現在に至るとそういう事だ。うん。(現実逃避)

 

「それにしてもどうして高度育成高校に行くことがばれているんだ、小町には口止めしたし他の情報源が分からないぞ。」

 

「姉さんが調べてくれたのよ。雪ノ下家の力を使ってあなたの願書を探したそうよ。ちなみに受験日も校門に入っていく貴方を姉さんがチェックしていたわ。」

 

…雪ノ下さん。三年後覚えてろよ。てか何に使っちゃってるんだよ雪ノ下家の力。暇か、暇なのか?

 

「じゃあ次の質問だ。どうして俺に構うんだ。俺は卒業式の日にひどい言葉でお前らを振ったはずだ。」

 

「先輩を見ていればそんなの嘘だってわかります。言葉のキレがいつもより全然なかったですし、私たちの人格否定をしていたつもりかもしれませんが誉め言葉の方が多かったですよ?」

 

「それにヒッキー気づいてなかったかもしれないけど私たちだけじゃなくてヒッキーも泣いてたし。目がうるる?してたよ?」

 

…昔俺は理解されなくてもいい。でも分かっていたい、知っていたいと言った。でも心の奥底では誰かに理解されたかったのかもしれない。だってこんな単純なことで目頭が熱くなっているのだから。

 

「…そうか。」

 

そっけない返事しかできなかったが彼女らは笑顔で俺を見つめていた。

 

そして、

 

「私たちは貴方のことをずっと想い続けているわ。あの日投げかけられた言葉は確かに酷い悪口雑言に罵倒を繰り返していて、少なからず傷ついた。でも、その時には既に貴方が高度育成高校に行くことは知っていたし、私たちも受験して合格をもらっていたの。一色さんも来年合格できるように必死に勉強を頑張っていたわ。」

 

「…でも俺の前ではめちゃくちゃのんびりしてたじゃねえか。」

 

「ヒッキーの前では心配掛けないようにって敢えてそうしてたの。」

 

「結衣先輩は本来総武高校への進学も危うかったのに、雪ノ下先輩のスパルタでなんとか合格したんですよね〜?」

 

「い、いろはちゃん!その話は無しだから!」

 

「本当にあれは教えるのが苦痛で仕方なかったわ。辛い。辛過ぎた。辛過ぎて軽く死ねるまである。」

 

「なんか雪ノ下卑屈になってないか?」

 

「あら、貴方には誰も勝てないわよ捻デレ谷君?」

 

うん、満面の笑みで言うのやめてもらっていいかな?怖いけどめちゃくちゃ可愛い、いや可愛いならいいのか?

 

「皆様、そろそろ到着です。降りる用意をお願い致します。」 

 

…うーん、着くまでにこのカオス空間収まるの?

 

 

 

遂に高度育成高校の正門に到着した。既に多くの新入生達が続々と入っていくのが見える。

 

「では、私はここまでです。三年後お会い出来るのを楽しみにしております。」

 

「…私も残念ですがここでお別れです。雪ノ下先輩、結衣先輩、そして…先輩。一年後必ず会いに行きます。待ってて下さい!」

 

「一色さん、頑張ってね。」

 

「いろはちゃんちゃんと合格してね〜!」

 

「お前には言われたくないだろ。」

 

「ちょ、それどういう意味だし!」

 

「まぁ、一色。いや、その、い、いりょは?待ってるぞ。」

 

「……はっ!?最後の最後に名前呼びですか?ごめんなさい、正直あざと過ぎるし今すぐ襲いたくなりましたけどやっぱり告白されたい派なので一年後にちゃんと告白して下さい、ごめんなさい。」

 

「比企谷君?(ヒッキー)?」

 

うーん、カッコつけてキモい事言ったつもりが何故か振られたり、相変わらずハイライトの消えた目で見つめられているのだが。

 

「じゃ、先輩達またまた一年後で〜す!」

 

こうして一色の乗ったリムジンは消えて行った。

 

 

「では私達も入りましょうか。」

 

 

「ヒッキー早く行くよー!」

 

 

そこには中学の始めには無かった物があった。途中で傷付けあったり、壊れたりもしたが今のためにそれがあったとするならば、全てが懐かしく思えてくる。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

そして三人で門を潜ろうとしたその時、

後ろにあったバス停に一台のバスが到着していた。

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺たちの新しい学校生活が始まるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




本当はよう実キャラと絡ませるためにバスで向かう予定でしたが、バスであまり私語をし過ぎていると俺ガイル組の心証が悪くなってしまう事、また雪ノ下家リムジンの方が融通が効きやすいといった事から今回の絡みは無しです。最後のバスに乗っていた面子については察して下さい。
さて次回はほぼ説明パートになりそうですが、これから奉仕部の皆はどのように過ごしていくのか、お見逃しなく!(八幡ちーとは極力無い方向なので悪しからず
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