ようこそ実力至上主義の奉仕部へ   作:モーブラゼロ

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入学式後の初日の様子です。


やはり奉仕部一同は共同体である

入学式が終了した後Dクラスでは、自己紹介の最後にトラブルがあったのにも関わらず、支給された10万ポイントをどう使うかで多くの生徒が盛り上がっていた。まぁ、戸惑っている生徒の方が多数派で早速遊びに行くといった人達は三割程度か。例えば平田達はショッピングに勤しむのか、賑やかに笑いながら教室を出て行った。由比ヶ浜は誘われたようだがきっぱりと断ったみたいだな。金髪ギャルが断られるのが早過ぎて少し膨れっ面になっていた。

雪ノ下も鼻を伸ばした男達に声を掛けられてはいるが、道端の雑草を見る冷酷な目で彼らを見ていた。…そろそろ止めに行くか。

 

「雪ノ下、そろそろ集まって行くんじゃなかったのか?」

 

「そうね、だから貴方達とは行かないの。ごめんなさい。」

 

「ちぇっ、なんでこんな奴が……あ、結衣ちゃん結衣ちゃん!もしかして俺達と来てくれたりしない?」

 

「ごめんね山内君。あたしはゆきのんとヒッキーの”三人”で行きたいから。」

 

「だから言ったろー、山内。ほら行くぞ。」

 

「おい、待てよ池ー!」

 

山内が中学でインターハイとか言ってた奴か。あれ、中学にインターハイなんてあったか…?

池が彼女募集中の奴だったか。タイプは違うが戸部みたいな奴だな。

 

「……ライトノベルに出てくる典型的なナンパ男みたいね、彼らは。」

 

「確かにそうだな。テンプレみたいな会話だった。」

 

「あたし下の名前で呼ばれたとき、ちゃんと断りたかったなぁ。なんかヒッキーよりもキモかったし。」

 

「俺もキモいのかよ。…そういえば昔と違って金髪ギャルの誘いハッキリ断れていたな。」

 

「昔三浦さんに圧を掛けられて思うように話せていなかったのが嘘みたいね。」

 

「あーその話は無し!あの子は軽井沢さんだよ、自己紹介聞いてなかったの?」

 

正直名前にあまり関心が無かった八幡である。

 

「まぁ、その時は聞いてなかったな。三浦みたいに女子のトップカーストになるかもしれないなそいつは。」

 

「そうね。…由比ヶ浜さんは断っても良かったのかしら?あの手の人種はかなり長い間拗ねるわよ、ソースは私。」

 

「大丈夫。今日は最初から奉仕部のみんなでって決めてたから!それに仲良くなるにしても平田君の居る場所ですれば大丈夫だと思う。」

 

「……それ、雪ノ下の小学校時代みたいにならないか心配なんだが。」

 

「問題無いと思うわ。私と違って由比ヶ浜さんは人当たりが良いし、由比ヶ浜さんも私も好きなのは…比企谷君、…貴方だけなのだから。」

 

ゆきのんさん?不意打ちやめてくれませんかね?その真っ赤に頬を染めているの正直グッと来ました。

 

「…おう。」

 

「ではそろそろ行きましょうか。生活用品は今日のうちに買っておきたいものね。」

 

「えーゆきのんショッピングはー?」

 

「それは最初の休日にしましょう。ポイントの使い方も色々奉仕部として考えければいけないのだから。」

 

「ちょっと雪ノ下さん?ポイントを奉仕部としてって何?」

 

「あら、奉仕部は共同体なのだから極力共用で使うわよ。」

 

「そうだよヒッキー。それとも私達と同じ物使うのって、嫌かな…?」

 

…由比ヶ浜、希望の大桃を揺らしながら目をウルウルさせないで。断れないから。

 

「…ひ・き・が・や・く・ん?貴方は小さい方が好きよね?」

 

「小さい方…?あ、ヒッキーは大きい方でしょ!好きなのは!」

 

「教室でそんな事話さないでくれ…。」

 

二人が言い争うのを眺めながら黄昏ていると、こんな日常がずっと続けばいいのにっと傲慢ながらに思えてくる。自分が罵声をあげて振った相手なのにだ。そんな醜い自己中心的な自分が、嫌いだ。

 

「…ヒッキーもしかしてさっきの赤髪の人の言ってた事気にしてる…?」

 

「え、いや、別に…。」

 

「比企谷君。」

 

雪ノ下が凛とした声を上げる。それに釣られて下がり掛けていた顔を上げると、微笑を浮かべた雪ノ下と由比ヶ浜が居た。

 

「貴方は色々気にしているみたいだけれど、あの時全員振ったのはたとえ選んでも三年間離れ離れになる、また程度は違えど三人の皆を好きであったからこそ関係を壊したく無い、という事だったのは分かっているのよ。それに貴方がちゃんと私達の事を見てくれているというのは皆とても嬉しいのよ。……いつか貴方が言ったように互いが相手をしっかり見て全て理解したいと思い、理解し合えればそれは『本物』だと思うわ。間違っても、”仲良しゴッコ"では無いわ。」

 

嬉しかった。先程赤髪の野郎の言った言葉がすっと頭から消えていき、あの空き教室の情景が浮かんでくる。そこには一人の少年が席を立って慟哭し、二人の少女が座りながらそれを見上げ、教室の扉には一人の後輩の少女の姿が、夕陽に照らされて影となっている。あの日の全てが頭で響き渡って心地が段々と良くなっていく。走馬灯の様に決別や再集結の日の情景もまた光に包まれて流れていくのだ。

 

「…もう、大丈夫よね。比企谷君。行きましょう。」

 

「ヒッキーのそんな笑顔初めて見た。もっと眺めていたいけど…行かなくちゃ!」

 

こうして俺達は真の意味でまた繋がり合い、共同体として再出発するのだ……。

 

 

 

 

 

「…あの比企谷って奴、公認二股なのか?」

 

「いやなんか振ったって言ってたけど、あいつにどんな魅力があるの?」

 

「俺だったら絶対どっちか選ぶのになぁー!あー羨ましいリア充め!」

 

 

 

 

 

……気にしないぞ。俺は。うん。

 

 

 

 

 

最低限の生活用品を買うためにコンビニへとやって来た。

コンビニは学校内にいくつもあり、かなり大型の店となっている。売っている商品の種類も多く、洗剤などの必需品からなんと避妊具に至るまでありとあらゆる物が揃っていた。値段は決して割高という訳ではなく、外とほぼ同じ様だ。……というかなんで近藤さんが置いてあるのかね。雪ノ下も由比ヶ浜も顔真っ赤にしてたし。パンフレットには節度を持った付き合いとだけ書かれているから案外緩いのかもしれない。

 

日用品などを共用出来るものと出来ないもので話し合いながらカゴに入れていると、ある不思議なコーナーが目に付いた。

 

「無料コーナー…歯ブラシ一ヶ月に一人二個まで…?」

 

「こっちのシャンプーのコーナーにもあるわよ、一人三つまでって…。」

 

「そういえば飲み物コーナーにもあるよー、水は無料だって!」

 

……恐らくポイントが全て無くなった生徒用、あるいは節約志向の生徒用のコーナーなんだろうが、その割には結構無くなってるな。10万ポイントもあればよっぽど使い過ぎない限り、無料商品に頼る必要はない筈だが……。若干不審ではあるが、やはり大金を渡されると人はあるだけ贅沢してしまうという事なんだろうか。

 

その後、コンビニを出た後ドラッグストアやスーパーを回っているうちに空が赤く染まり始めていた。

 

「これから、部屋に集まって私達奉仕部の方針を決めたいと思うのだけれど、どうかしら?」

 

「おう、いいぞ。(うん、いいよ!)」

 

「では比企谷君の部屋に行くわよ。」

 

「ちょっと雪ノ下?」

 

「どうしてヒッキーの部屋なの?」

 

「男子の女子寮への立ち入りは午後8時までで禁じられているからよ。」

 

エーナンテコトダ。てか、何時まで居座る気なんだ一体。

 

 

 

という訳で寮に三人で到着。部屋番号は402。家で詰め込んで送ったスーツケースがベッドの横に置かれていた。先に夜ご飯を済ませる事になり、雪ノ下と由比ヶ浜は買った物をどっさりと机に置くと、雪ノ下は料理の準備を始め、由比ヶ浜はベッドに深く座り込んだ。

 

「これから夜ご飯は原則ここで食べようと思うのだけれど。」

 

「さんせー!」

 

「おいおいちょっと待て。毎回俺の部屋に上がり込んでくる気か?正直理性が耐えられる気がしないし、プライバシーも無いぞ。」

 

「あら、別に襲ってくれてもいいのよ。私達はむしろそっちの方が理性の化け物を早く堕とす事が出来るわ。」

 

やめてそんな事言われたら八幡の八幡がむくむく育っちゃうから!

というか由比ヶ浜も身体をベッドに擦り付けるな!今日寝る時絶対寝られなくなるだろ!

 

……そんなこんなで雪ノ下が夜ご飯の支度を済ませた。初日だからか中学の時に食べた物ほど凝ってはいないが、ご飯味噌汁焼き魚野菜炒めとやはり店で出てきてもおかしないクオリティーだ。

いただきますをして食べ始める。うん、美味い。

 

「ヒッキー次は私が頑張って作るからね!」

 

「それはやめてくれ。(やめてちょうだい。)」

 

「由比ヶ浜さん。本当にお願いだから一緒に丁寧に作りましょうね。」

 

なんとかダークマターの精製を阻止する事は出来た様だ。

 

 

 

「それで?これから俺達はどうしていくんだ?」

 

「私としては奉仕部をもう一度作りたいと考えているわ。ただかつての理念を曲げなければいけないかもしれないけれど…。」

 

「あたしも…もう一回やりたいな。来年のいろはちゃんの居場所も作ってあげたいし…。ヒッキーは…?」

 

「……俺もそう思う。だが、この学校は全体的に胡散臭いし部活の作り方も聞かなくちゃいけない。」

 

「部活の作り方は明日、茶柱先生に質問に行こうと思っているわ。どうかしら。」

 

「それでいいと思うぞ。」

「うん、いいと思う!」

 

「後は予備で何ポイント残すかについてだね。あたしは一人3万ポイント残しておけば良いと思うんだけどどうかな?」

 

由比ヶ浜は文化祭やクリスマスイベント、卒業会を行う中で会計だけはかなり優れているのが分かっている。妥当な所だろうが、一つ口出しするか。

 

「確かにそれくらいで良いとは思うが、もし月末に何ポイント残っているか、みたいな会話になった時にきっちり3万だと怪しまれるから、ポイント送信機能で半端な数にしておいた方がいいな。」

 

「そうね……!?……比企谷君、由比ヶ浜さん、今更ながら連絡先を交換してもらえないかしら。」

 

「「あ、忘れてた。」」

 

その後、特に問題なく連絡先を交換し、時間も午後7時と遅くなって来たので二人を玄関まで見送る。

 

「では、おやすみなさい。比企谷君。」

 

「おやすみー!ヒッキー。」

 

「おう、おやすみ。」

 

 

二人が玄関から出て行き扉が閉まると、少しばかりの寂しさを感じるが部屋中から雪ノ下や由比ヶ浜の匂いが漂ってきてしまい、慌ててベッドへ入るがそこも由比ヶ浜の匂いで埋め尽くされていて静かに、しかし一時間も身悶えた。

 

 

 

 

 

こうして、1日目の学校生活は幕を閉じた。

 

 

 

 

 




はい、1日目終了です。2日目の授業初日。総武中学でも見なかった授業風景を見て彼等は何を思うのか?
次回投稿は今週中の予定です。
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