ようこそ実力至上主義の奉仕部へ   作:モーブラゼロ

6 / 27
今回は雪ノ下覚醒回です。また、初の別視点があります。
誤字報告前回助かりました。出来ればして頂けると助かります。


そして彼等の行動は不可思議に映る

学校生活2日目。昨日身悶えたまま睡眠に入ってしまった俺はなんと午前4時に起きてしまい、昨日結局出来なかった私物の整理を始めた。電子機器の持ち込みが禁止されていたため、残念ながらゲームは無いが代わりにMAXコーヒーを大量に運び入れる事が出来た。一週間の間に是非とも全ての自販機を回らなければいけないな。

雪ノ下と由比ヶ浜からは一緒に登校しないかとお誘いがあったが、ただでさえ昨日教室で注目を浴びたのに一緒に登校して目立ちたくないんだよ!ステルスヒッキー発動!

……なんだかんだで6時までには私物の整理が終わってしまい、他にする事も特に無かったので、学校散策も兼ねつつ寮を出る事にした。

流石に6時は早かったのか、運動部とみられる上級生がジャージ姿でジョギングしているの以外では誰も居なかった。

 

学校に着き、Dクラスへと向かう。小六の時、机に嫌がらせをしてきた奴らはどのくらいの時間に来ていたんだろうと思いながら教室の扉を開けた。まだあたりはそこまで明るくなく、教室の電灯も付いていなかった。電灯を付けるためにスイッチのある場所まで移動していると、何かが赤く光っているのに気がついた。

 

 

教室の四角全てに監視カメラが取り付けられている。

 

 

四角は少しだけ周りの天井に比べて深くなっており、嵌め込まれる様にして設置されていた。一体何の為に監視カメラを取り付けているのか。普通は防犯の為だろうが、それにしては一つの教室に四つのカメラは付けすぎだ。廊下を見やると非常灯だと思っていた赤い光が監視カメラである事が分かった。

恐らく生徒を監視下に置く為に設置しているのだろう、またもし授業態度等が悪い生徒が居れば別途で呼び出して注意や減点をするのではないか、俺はそう結論付けた。

一通り満足した俺は机に突っ伏し、夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

「おい、起きろ比企谷。朝礼始まるぞ。」

 

「んんー……おはよう。あやのん。」

 

「あ、あやのん…?」

 

どうやらいつの間にか眠ってしまい綾小路に起こされたようだ。

顔を上げると右から雪ノ下達が何処か申し訳なさそうな顔で、こっちを見ていた。恐らく起こせなかったのだろう、軽く手を振って大丈夫である事を伝えるとホッとした表情になっていた。

そして綾小路はどうしてさっきから困惑した顔で見ているんだ?

後、堀北が何故か吹き出し掛けていた。

 

 

 

 

授業風景は『酷い』という言葉でしか言い表せなかった。携帯弄りや、私語飲食は当たり前。居眠りする人も多過ぎて、数学で寝ようと思っても寝られない程だった。由比ヶ浜も総武中よりも授業態度が悪い有様に驚いているし、雪ノ下も国際教養科で真面目な生徒にずっと囲まれていたせいか、固まっている……癒しが欲しい。戸塚ぁ……

 

 

 

 

 

そんな教室を教師達は

誰一人として注意しなかった。

 

 

 

 

 

昼になるといかにも勉強で疲れましたと言わんばかりに多くの生徒が椅子に身を投げ出す。俺もストレスが溜まった分休みたいと思い、机に突っ伏そうとすると、

 

「比企谷君。今日茶柱先生に聞きに行くのでしょう?それに貴方の分の弁当を作ってあるわ。」

 

「ヒッキー!早く…行こ…?」

 

また、注目を浴びてしまう俺であった。

 

 

 

「失礼します。茶柱先生に用事があって来ました。」

 

職員室に入ると、一斉に視線がこちらに集中した。品定めをする様な教師達の視線に臆せず、雪ノ下が声を張り上げて用件を言う。

 

「え? サエちゃん? んー、さっきまでは居たんだけど……。」

 

セミロングで軽くウェーブの掛かった美人な先生が反応してこちらへと近づいてくる。ん?なんで雪ノ下も由比ヶ浜も威嚇しているの?

 

「ちょっと席を外してるみたい。応接間で待ってる? お茶くらいは出すわよ?」

 

「いえ。私達は廊下で待っています。」

 

さり気なくお茶を出すと言えるあたり、コミュニケーション能力の高さを感じる、まるで陽乃さんみたいな人だ。

 

「私は1年B組の担任、星乃宮知恵っていうの。佐枝とは高校からの親友でね。サエちゃん、チエちゃんって呼び合う仲なんだ〜。凄いでしょ〜。」

 

聞いてもいないのに興味深い事を教えてくれた。

でもそうか、あの堅物そうで平塚先生に似た茶柱先生が星乃宮先生を『チエちゃん』って呼ぶのか。全然想像出来ない。

 

「ねぇねぇ、サエちゃんにどんな用事があるの? 彼女、面倒事はかなり嫌いだから、あんまり変な事で呼んだら怒っちゃうよ。ねぇねぇどうして?」

 

「それは担任ではない星乃宮先生には言えません。」

 

雪ノ下がそれを拒否する。

一瞬、星乃宮先生の目が細まった気がした。

 

「えー、どうしてもー?あ、私のことはリエちゃんで良いわよ〜?」

 

「星乃宮先生、やめてください。」

 

非常に対応に困る。雪ノ下は陽乃さんや一色を相手する時のように疲れ果てているし、由比ヶ浜もどうすればいいか分からずおどおどしている。

 

「ふーん。あっ、そうだ。君達の名前は?」

 

「雪ノ下雪乃です。」

「…比企谷八幡です。」

「由比ヶ浜結衣です!」

 

「うんうん、教えてくれてありがとう。君は比企谷くん、かぁ〜。何て言うかぁ〜、かなり格好良いじゃない〜。モテるでしょ〜。」

 

似て非なるまさしく陽乃さんみたいな人だな。さっきから違和感を感じるし、この人も分厚い仮面を被っているに違いない。

 

「いえ、そんな事は無いで「そうですね。彼はそれなりにモテますよ。」雪ノ下!?」

 

「確かにヒッキーモテるよね。沙希とか姫菜も惹かれていたみたいだしねー………ムーッ。」

 

雪ノ下?由比ヶ浜?この人にそんな事言うと絶対からかって来るぞ。

 

………1分後。色々俺の顔に批評をしながら星乃宮先生が人差し指で「つんつんっ」と頰を突いてくる。そして一突きされるたびに周りの温度が下がっていき、ツンドラのようになっていく。横目で雪ノ下達の顔が般若のようになっていくのを見ると冷や汗が止まらない。しかし、教師だからか中々止められないようだ。

 

「何やってるんだ、星乃宮。」

 

茶柱先生が突然現れたかと思うと、クリップボードの角で星乃宮先生の頭をしばいた。小気味の良い音が鳴る。助かった。しかし、独身はやはり暴力的なのだろうか?…ゴメンナサイユルシテ。

 

「いったぁ! 何するのサエちゃん!」

 

「お前がうちの生徒に絡んでいるからだろ。悪いな比企谷、こいつはこういう奴なんだ、諦めてくれ。」

 

「なによ。サエちゃんが不在の間、応対していただけじゃない。」

 

「放っておけば良いだろ。別にわざわざ対応する必要はない。」

 

「それには同意ですね、茶柱先生ありがとうございます。早速ですが用件を質問させて頂いても大丈夫でしょうか?」

 

「いや、ここではなんだから生徒指導室にまで来て貰おうか。」

 

茶柱先生が鍵を持ちながら先導してくれる。何故か星乃宮先生がピッタリと後ろについて来た。

 

「いつまで付いてくるつもりだ。」

 

「え? 一緒に生徒指導室までだけど? 真面目な話をするとね、サエちゃんにそういった相談は無理だと思うんだ〜。」

 

茶柱先生が黙り込む。そこは否定して欲しい。勝利を確信した星乃宮先生がなおも付いて来ようとすると、

 

「星乃宮先生!白波さんが階段で足を挫いてしまっていて、治療をお願いしたいのですが今よろしいでしょうか?」

 

薄いピンク色の髪の美少女がショートカットヘアの美少女を庇いながら職員室へと入ってくる。

 

「ほら、客だぞ? 保健室担当教員としてちゃんと診てあげないとな。良かったな、その能力を思う存分に発揮出来るぞ?」

 

「ちぇっ。分かったよぉ……それじゃあね比企谷くん達っ。お待たせ、一之瀬さんと白波さん。保健室に行きましょうか。」

 

星乃宮先生は一之瀬と白波という美少女と一緒に保健室へと向かって行った。……睨まないでくれ雪ノ下、由比ヶ浜。

 

 

生徒指導室に入るとソファに掛ける事を勧められ、三人で腰掛ける。ガハマさん胸を当てるな胸を。雪ノ下がヤバイ目をしている。

 

「それで、用件を聞こうか。雪ノ下。」

 

「はい。単刀直入にお尋ねしたい事と頼みたい事があります。」

 

雪ノ下が早速本題へと入った。何が出るかは正直運だろう。

 

「私達は新しく部活を作りたいと思っています。名前は『奉仕部』。基本理念は『魚をただ与えるのではなく、魚の取り方を教える事。』です。ただ、これはこの学校に合わせて変化させた方が良いと思っています。活動内容は学校内ネットワーク内でホームページを作成し、依頼を受けます。あくまで全てを私達がするのでは無く、出来るだけ方法を共に考え、実行してもらうというものです。依頼終了後、チップのような形でプライベートポイントを任意で支払ってもらいたいと考えています。まず、お尋ねしたい事はこのような部活が認められるのかどうか、そして新しく部活を作るには何をすれば良いかです。」

 

……正直驚いた。昨日の時点ではそんな細かい事は決めていないはずだ。だが、現にかなり詳しく具体的な活動がまとめられていて、内容も俺や由比ヶ浜が充分納得出来るものになっている。

茶柱先生は言われた事が急過ぎて少しずつ飲み込んでいるようだ。普段こうしてあたふたしている茶柱先生は見た事がないから正直貴重だ。

 

「…一つこちらからも聞いてもいいか。どうしてプライベートポイントを要求するんだ。一月10万ポイントあれば困らない筈だ。」

 

「確かに日常生活には充分過ぎるくらいでしょう。しかし、何かの学校行事の際にまとまったポイントが必要になるかもしれませんし、なにか不測な事態で一律ポイントを何十万取り上げる、みたいな事があったときに貯金していなければ困る事になると考えているからです。」

 

正論のような正論ではない答えだ。実際の動機は半分不純なのだから。

茶柱先生は失望したような困惑するようなよく分からない顔をした後、

 

「分かった。まず初めの質問だが、そのような部活を作る事は可能だ。少なくとも一人の教師がその趣旨を認めれば、部活を作る事は可能になる。次に二つ目の質問だが、部員を最低三人以上集める事、そして合計50万プライベートポイントを納める事によって設立が出来る。以上だ。」

 

……50万ポイントか。だいぶ吹っかけてくるな。普通に頑張って貯めても二、三ヶ月といったところだろうか。正直きつい。

だが、一つ不可解な点がある。50万ポイントという数字は入学したばかりの生徒には出せない数字だ。それなのに茶柱先生は何処か挑戦的な目を送ってきている。……もしかすると公言されていないポイントの稼ぎ方、バイトなどがあるのかもしれない。ここは一度引いた方が良さそうだな。雪ノ下に軽く合図をすると雪ノ下は軽くうなずく。

 

「……分かりました。今日は申請用紙だけ頂いて戻ります。」

 

「そうか、分かった。また他に分からない事などあれば気軽に来てくれ。」

 

三人で礼を言って退出する。由比ヶ浜は喋っていなかったが、全ての発言をメモに記していたようだ……ひらがな混じりで。

いや、漢字もっと頑張れ。

 

 

 

それにしても雪ノ下達とまた相談しあってポイントの稼ぎ方について考えなくてはな。出来るだけ早く部活を始めたい。

 

 

 

===side《chabashira》===

 

………私には彼女らの目的が分からない。中学の資料から推測するに継続して同じような活動をしたいのかもしれないが、この学校は実力が全てであり、結果が全てだ。過程は関係ない。彼女らがその奉仕部とやらの活動の中で仮にどれだけ素晴らしい方法を提案しようと、成功しなければ意味はないのだ。

更に彼女らはまだ知らないかもしれないが、時期にクラス間の闘争が始まる。彼女らの部活が色々な依頼を受けるのはリスクを伴う。正直許可を出したくない。

ただ、中学時代の"手書き"の資料を見ると比企谷も雪ノ下も由比ヶ浜も、初めは大きな欠陥を抱えていたようだ。だが活動を通じて欠陥を解消していき、一見落第生としか言いようがない由比ヶ浜も優秀な生徒になっていたようだ。

由比ヶ浜の学力の関係でDクラスになっている三人だが、本来はAやBクラスに相応しい生徒だ。なら、敢えて許可を出して利用してみよう。

出来るだけ融通しつつ、Dクラスに貢献するような活動もしてもらう。これが最善の策だろう。

 

 

 

 

 

 

全ては下克上の為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初別視点は茶柱先生でした。
そういえば今作品の八幡はかなり常識人としてまともな思考をしている筈なのに、綾小路やHACHIMANを見慣れたせいか随分と劣って見えてしまう件。
次回、束の間の日常回です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。