※注 人によっては不快になる話題、ネタがあるかもしれません。
※注 R15にもならない程度の性を連想させる会話が含まれます。
以上がお嫌いな方は劣等生の話しの流れに関係は無いので読み飛ばしも可(これまでの話も劣等生の主軸をずれた展開なので今更かもしれませんが、しばらくはこういうお話ですのでご了承ください)。
この物語のコンセプトは主軸に掠る転生者たちの話しです。
九校戦など、話が進めば少しずつ原作組との関係も複雑になる……予定、……です。今のところ。
「お兄ちゃんってなんだ」
伊月には義妹も実妹もいるので妹は間に合っている。ここで新しく妹が増える事も望んではいない。さらに言えば、こんばんはという挨拶も間違っていた。
「もう、ノリが悪いわ。それとも知らないのかしら」
「なんだその声と口調は……」
「義理の妹って言えばこうでしょ?」
「
「へぇ、妹がいるんだ。私という
なぜか妹キャラ押しでくる同級生に面倒臭くなりながら、大体の要件を察しながらあえて尋ねることにする伊月。
「はぁ……で、何か用か?」
「風紀委員に入ったみたいね」
「まぁな。所謂教員推薦枠というやつらしいぞ」
「森崎ェ……」
「ん? 森崎? 誰だそれは」
「……森崎ェ」
そう言いながら八千古島は空を見上げ、同じクラスの男子の顔を思い浮かべる。八千古島の目には青空に浮かぶ森崎の顔が確かに見えていた。
「……かたなしくんも二度は接触していた気がするんだけど」
「小鳥遊だ。そんな覚えは無いが……」
「食堂と魔法系統学の授業で深雪ちゃんに絡んできてたでしょ……」
「んー。そう言われれば、いたような気もするな」
伊月の答えを聞いて深くため息を漏らした八千古島は、気を取り直して本来の目的を告げる。
「『魔法科高校の劣等生』って知ってる?」
「知ってるぞ」
「そうだよね、そう簡単には……って普通に答えるんだ! ってサナエはサナエはテンプレ通りの反応をしてみたり!」
「……ラノベ系の元オタクか」
「アニメも漫画もイケルけどね!」
「
この世界には魔法があるせいか、独自の設定の魔法や魔術のライトノベルは少ない。未だに戦争が身近にあるためか、娯楽関係のオタク文化は前の世界程発展していなかった。
ただ、そういう文化が生まれて長いので、数はそれなりにうまれている。
「続編の新約が始まったばかりなのにね。残念だわぁ」
「俺がいた頃はまだ十九巻までだったが。劣等生の単行本も
「あ~、買った日にこっちに来たんだよね、私」
久しぶりに前の世界とこの世界の違いについて会話をする伊月。彩花とは小学生の頃に違いについての会話は済ませていた。
元々、工業系の学校出身だった伊月は、クラスメイトの影響を少なからず受けてオタク文化にも明るかった。とはいえ、この世界に来てからは魔法が趣味のようなもので、そういう文化については生前知っていた作品が過去に生み出されていたかを調べた程度だった。それに、八十年も昔のそういうものは特別な理由もない限り、増刷もされていない。
「それで、何か用か?」
「いや、もうほとんど用事は済んだんだよね。最初は彩花ちゃんかと思ったんだけど、風紀委員にかたなしくんが入ったから、確認しただけ」
「小鳥遊だけどな。彩花も同じだぞ」
「え、そうなんだ! 今のところ四人か……。まだいるのかな?」
「全員で四人だ」
「知ってるの?」
「ああ。あの爺さんから聞いたからな」
「へぇ、あと何人か来るって聞いたけど私が最初だったからなぁ。で、どこまで知ってるの?」
「一章の途中までだな」
「えぇ~! はじめの方だね! 彩花ちゃんは?」
「全く。聞いたこともないって」
「それじゃあ私の知識が一番多いのね……」
「早苗は原作介入ってやつをするのか?」
伊月の質問に八千古島は頭を振って答えた。
「ん~、特に予定はないけどね。平和が一番。ま、1-Aで仲良くなるっていったら司波さんたち女子しかいないんだけど」
「さっきの森崎とかいうのは」
「だめね! 森崎ェ、は。私はああいうのは無理」
「そうか。ところでその口調が素なのか?」
「そうよ。ま、あっちも素って言えば素だけど、こっちはどちらかといえば前の口調かな。一応百家の出身としては体裁を気にしないといけないのですわ、オホホホ」
「……もう行っていいか?」
キャラの定まらない八千古島に面倒臭くなってきた伊月は、この場を辞する意を表明する。
「待って待って、かたなしくんはどうするの? 介入するの?」
「予定はないな。詳しく知らないしな」
「これから先、何があるか知っておきたくない?」
「どんな危険があるかは知っておきたい気もするが、絶対ではないな。じゃ」
またな、と言って巡回に戻ろうとする伊月に、八千古島は後ろからすがりつく。
「知りたいでしょ? 知りたいわよね。知りたいはずだわ! というわけで週末は三人で集合よ! 私だけ秘密を抱えてるのは不公平よ! 話させなさい!」
押しつけというか、懇願するような表情で伊月を足止めする八千古島。おそらく初めて秘密を打ち明けられる人間ができたために、これまで溜まっていた思いが表に出てきたのだろう。
「わかった、わかった」
「よしきた!」
しばらく引きずって歩いていたが、やがて諦めて携帯端末を差し出す伊月に、八千古島も自分の端末を取り出して連絡先を交換する。
「かたなしくん、っと」
「小鳥遊だ。わざとか」
「まぁね。知らない?」
「ん~、知らん」
何かのネタのようだが、伊月に思い当たるネタは浮かばない。
「ま、いいわ。かたなしくん。もう行っていいです」
「はいはい」
「あ、私のことは早苗でいいですよ、八千古島って長いし」
ようやく早苗に開放され、伊月は部活勧誘の見回りに戻った。
◇◆◇◆◇◆◇
達也の方では何やら騒動があったようだが、巻き込まれ体質もない伊月には特にトラブルは降ってこなかった。初日から幸先のいいスタートを切った伊月は、巡回終了後、弓道部に見学に行っていた彩花と待ち合わせをして帰路についた。
伊月は結局風紀委員に入ったため、部活動は今のところ考えていない。彩花も弓道部に入部するかは決めていないらしく、当面は保留にするということだった。
翌日からも、騒動は主人公達也がほとんど請け負ってくれたらしく、伊月の方では数回の揉め事を処理したところで週末となった。
午前の授業をもって土曜日の日程は終了し、伊月は彩花と早苗を連れて自宅へと向かった。
「ただいま」
玄関を潜ると、リビングの方からバタバタと足音が近づいてきた。扉を開けて頭だけ出して玄関を伺うのは下の妹の紗月。
「おかえり~! ……だれ~?」
兄と一緒に見知らぬ少女がやって来たのを見た紗月は、挨拶のあとに疑問の声を上げた。傾いていた首がさらに傾き、扉からほとんど垂直に首が伸びているように見える。柔らかな黒髪は地面に向かって真っ直ぐ垂れていた。
「可愛い! かたなしくんの妹がちっちゃい!」
後ろでそんな感想を漏らす早苗を無視して、伊月は家に上がる。
「お兄ちゃんと彩花のお友達だ」
紗月に近づきながら先の疑問に回答する。その答えを聞いて扉から全身を出して伊月の隣に並び、早苗と向き合う紗月。
「はじめまして! 小鳥遊紗月です!」
紗月は子供らしく元気に声を上げて自己紹介をする。
「初めまして、八千古島早苗です。紗月ちゃんって呼んでいいかな?」
「はい! やちこじゅ、や、やちこじま、さん!」
「かはぁっ、これが本物のロリかっ。私なんて所詮紛い物なんだわっ」
「……?」
目の前で悶え始めた早苗に、紗月は首をかしげる。早苗の後ろでは、初めて見るそんな早苗の姿に彩花が戸惑った表情を浮かべていた。
「早苗お姉ちゃんって呼んでね!」
「さなえおねえちゃん」
「はぅぅ、お持ち帰りぃ――ぐぇ」
靴を脱いでの紗月に向かった突進は、到達の寸前に伊月の突き出した腕によって頭を抑えられて強制的に停止することになった。乙女らしからぬ声を上げたが、既に中身は乙女ではないようだったので問題は無さそうだ。
「ただいま、紗月ちゃん」
「おかえりなさい、彩花おねえちゃん!」
僅かなショックから回復した彩花が紗月と挨拶を交わす。その横で自分に対して簡単な治療魔法を施す早苗の姿があった。
「取り敢えず部屋にでも上がっていてくれ」
「うん、わかった」
彩花に早苗を案内させておいて、伊月は飲み物の仕度に取り掛かるためにキッチンへ向かう。既に柚姫も帰宅していたようで、リビングで寛いでいた。
「おかえりなさい、義兄さん」
「ただいま。彩花の他に来客があるから紗月を頼む」
「ん。……女の子?」
「ああ、彩花のクラスメイトだ」
「そうなんだ。わかった」
適当なジュースとお菓子を用意して二階の自室へと向かう。入れ替わりで紗月が階段を下りてきて、簡単に言葉を交わしてすれ違う。紗月はそのままリビングの柚姫のところへ向かった。
部屋の扉を開けると、早苗による家宅捜索が行われていた。
「こ、これは……」
早苗の手の中に握られていたのは四角い包装に包まれた薄くて丸い輪のような何か。となりで彩花がわたわたと頬を染めて珍しく慌てていた。
バッ、っと擬音が発生しそうな勢いで彩花の方へ振り向いた早苗は、出ない声を絞り出すように、小さな音をようやく発した。
「あ、彩花ちゃ、い、いえ、彩花さん、まさか……」
「……うん」
主語を抜かして行われる会話。何故か早苗が彩花のことをさん付けで言い直していた。
「リア充爆発!」
部屋の中央付近に置かれたテーブルに飲み物を置いた伊月に向かって勢いよく振り向いた早苗は、手に持ったままの物を振りかぶり、投げると同時にもう一度声を発した。
「バクハーツ!」
空気の抵抗でまっすぐ飛ばなかったそれは、伊月の手前のテーブルの上に落下した。
「落ち着け」
「……ふぅ。で、いつ?」
早苗の方に再び向き直り、小声で訪ねた。微妙に伊月にも聞こえるような声で。
「……卒業式の日。主観では三十超えてるし、大丈夫」
「……あと数年で四十になりそうな私はどうすれば」
呆然とした口調で小さく呟いて、自分の体と彩花の体を見比べた早苗は伊月の方へ顔を向けながら、自分の胸に両手を当てて真顔で発言する。
「……
◇◆◇◆◇◆◇
ありがとうございます。
ガールズトーク的な性的表現のある閑話を掲載予定ですが、本編に含めないで欲しいという意見があれば、R15別掲載か、R18別掲載とします。メッセージにて除外して欲しい等、意見をお願いします。
除外希望が無いようなら、1.8.5として掲載いたしますので、メッセージは不要です。もしどうしても本編に必要、や、分けないでほしい、等の意見があれば筆者の判断にて決定しますのでご了承ください。