エロいことしようとしてたら最強の魔導師になっていた   作:100000

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作中屈指のくいこみを見せるあの子の登場です。
書きたいこと書いてたら文字数が偉いことに……


魔法少女二人目来たけど普通にかわいい

「これで三つ目!」

 

さっきまで巨大化したカラスだったのが倒され、なのはちゃんがジュエルシードを封印する。

 

なぁスコル。

 

『なんでしょうかマスター』

 

俺らいる?

 

『まぁ今までの活躍を見るとぶっちゃけいらないですね。なまじなのはさんの邪魔してるまでありますよ』

 

ジュエルシード集めでさぁかっこいいところを見せようかという時に一つ問題が発生してしまった。なのはちゃんマジ強い問題である。

 

相手の攻撃はその強固なバリアに阻まれ、そして次の瞬間にはピンク色のキャノン砲がぶち込まれるという恐ろしい仕様。

 

俺は何をしてたのかというと飛んでくる硬質化した羽を手持ちの刀で弾いたくらいである。

 

『冷静に考えるとなのはさんとマスターは前衛と後衛って感じで相性よさげに見えますが、実際はなのはさんが一人で完結しちゃってるのでマスターが介入すると余計なお世話をしているようにしか思えません』

 

むっ…と思ってしまうが実際その通りなのだ。敵の目を逸らして今のうちに!という感じでやろうとしたがそもそも敵の攻撃が飛んできてもなのはちゃんのバリアが強固で魔力をチャージする時間が充分に稼げてるのでそもそも俺が囮になる必要も無いという有様である。

 

時間を止めて、ヒャッハーしても良かったが今この段階で手の内を見せるのはマズい。なにせここで時間停止の能力を見せれば、俺がエッッッッなことをしてしまった時に疑われてしまうきっかけを作ってしまう。

 

「あきと君!やったよ!」

 

手を振りながら笑顔で叫ぶなのはちゃんを見て、俺何もやってないんやでと思いながら手を振り返す。

 

『いたいけな少女一人に背負わせて自分は見学ですか?』

 

俺だってやる時はやるから!今はまだその時じゃないだけだから!

 

とはいえ手伝うと言った手前、なのはちゃん一人に任せるのは流石に気が引ける。一個ぐらいは俺だけでやっても問題ないだろう。

 

『たしか明日なのはさんは御学友と共に塾に行かれるはずです』

 

なら明日は俺だけで完璧にこなしてなのはちゃんの目をハートにしてやるから。

 

『…まぁ前回や今回程度ならマスターでもどうにかなりますから大丈夫でしょう』

 

しかしこの封時結界っていうの便利だよな。魔法で壊れた家とか元通りな上に魔法を知らない人は自動的に弾かれるんでしょ?どうなってんのこれ?

 

『そこを解説するなら魔法的次元の弾性と結界内における魔力の定義、性質の説明から入りますが?』

 

あ、ご都合主義ってことでおkです。

 

───────────────────

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、また明日」

 

次の日の放課後、なのはちゃん、すずかちゃん、メスガキを見送ったら早速行動を開始する。

 

『ところでマスター、アテはあるんですか?』

 

え、ないの?

 

『…前回、前々回のジュエルシードの反応を記録しています。活性化前と後のエネルギーの反応を元に周辺から探知していきましょうか』

 

さっすが有能!

 

『受け答えだけして後は他力本願なんですね』

 

違うね、適材適所さ!

 

 

 

スコルが周りを探知しながら俺は街中を走っていく。傍から見ればランドセルを背負った小学生が元気に帰ってるようにしか見えないだろうな。普通と違うのはその少年が明らかに目を引くレベルで顔立ちが整ってるくらいか(自惚れ)

 

…まあまあ走ったけど、反応は?

 

『今のところは…非活性化状態のジュエルシードは反応はかなり微弱、ほぼ無しといっていいです。やはりどこかで活性化してもらった方が手っ取り早いですね』

 

そうは言っても活性化してないならどうにもならないよな。そういえば深夜によく活性化してるけどなんか傾向があるんじゃない?

 

『いえ、正確には深夜までに活性化してるのを私たちが発見したことになります。それまでにある程度人の目にはついてますが…いままで話題になってないのは奇跡としか言いようがないです』

 

まぁともかくどっかに運良く落ちてるか、いきなり活性化するかの二択ということか……うん?

 

『そうですね。まぁそんな都合よく道端に落ちてるとかあるわけないですが』

 

…………………あったわ。

 

『………………………ありましたね』

 

なんか見つかりました、ジュエルシード。

 

 

────────────────────

 

 

 

「これどうすんの?」

 

聞こえる、誰かの声が………

 

『まぁ活性化してないならさっさと封印しましょう』

 

封印…………?誰を?

 

俺を?

 

冗談じゃない………

 

俺はまだ…………最強ではない

 

まだ…まだ……

 

強くなれるはずなんだ…!

 

「封印どうやってすんの?」

 

こんなところで……終われない…!

 

『レイジングハートさんから封印術式を預かっています』

 

強くなるんだ、最強になるんだ………

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()!!!

 

 

────────────────────

 

 

『飛行魔法発動!』

 

いきなりグワンと視界がぶれて、その目線はあっという間に空高くなっていく。

 

「ちょっ!スコルどうした急に!」

 

『結界展開完了。マスター、セットアップを』

 

「え?え?え?」

 

『…考えうる限りで最悪なことが起こってしまいました』

 

「…あれか」

 

先程自分たち居た場所には黒い煙が立ち込めている。その煙は徐々に集まっていき、やがて人型を形成し、真っ赤な、そして鋭い一つ目を輝かせた。

 

「…セットアップ!」

 

謎の人型実体が放つ圧力に急かされるようにバリアジャケットを身に纏う。

 

スコル、あれもしかしてヤバい?

 

『めちゃくちゃヤバいです。正直いままで出てきた大型エネミーとは比較するのも烏滸がましい程です』

 

「そ、そんなにか」

 

『…正体不明人型実体、内部にリンカーコアの形成を確認。同様にジュエルシードの完全覚醒を確認。マスターどうやらアレは()()()のようです』

 

え、マジか。あんな煙みたいな奴でも魔導師になれるのか。

 

『違います。ジュエルシードが何かしらの願いに反応して魔導師をかたどったのです』

 

「願い?」

 

願いってなんの願いだ?アレに触れていたのは俺だが、俺は特になんの願いも……もしかして……

 

「スコル」

 

『はい』

 

「あれはもしかすると度し難い変態かもしれない」

 

『そんなわけないだろ』

 

え!?でもこれ多分俺の願いが反映された可能性が高いよね?だとしたらこれ放置したらとんでもない被害が(主に女性に)出るぞ!?

 

『ここまで禍々しい魔力が邪な願いで形成されるわけないでしょ。そんなしょうもない願いで』

 

しょうもないって言うな!俺は憧れてるんだよ!

 

『集中してください。敵魔導師、推定ランクはSです』

 

Sってどれくらい?

 

『なのはさんは今の時点でAぐらいです』

 

え!?主人公より強いの!?そんなの俺が勝てるわけないじゃん!

 

『マスターもSです…あくまで推定ですが』

 

え、俺も結構強いんだ…ほほーん……

 

『あくまで性能の話です。実際の実力を測ってるわけではないので勘違いしないように』

 

「了解!」

 

カタナを構える。さて、まずは相手の出方を伺うか…

 

突如として出現したあの煙人間はまるでライトのように光るその真っ赤な目をこちらに向けたまま動かない。

 

『逃げると思いましたがそうではないのですね』

 

いやいや仮にこの化け物を外に逃がしたらどうなるとお思いで?

 

『そうですね、一時間と経たないうちにこの街は火の海と化すでしょう』

 

もう答え出てるじゃん!やるしかないじゃん!

 

『ですがマスターの今の攻撃手段はそのカタナのみです。接近戦に持ち込むとしてもどうやって懐に飛び込むお積もりで?』

 

「え、そんなの決まってんじゃん」

 

煙人間に向かって急降下する。カタナを構える。

 

「近づく!」

 

『強化魔法発動』

 

敵に近づくスピードがさらに上がる。力がよりみなぎり、柄を強く握りしめる

 

「はぁ!」

 

渾身の一撃だと思った。しかしそれは突如として現れた長剣に阻まれてしまった。

 

相手の武器も剣か!

 

『まさかデバイスまで生み出すとは…執念深いことこの上ないですね』

 

そしてさらに驚くことが続く。相手の剣が突然燃え始めたのだ。

スコル!これは!?

 

『レアスキル・魔力変換資質“炎熱”です!』

 

「あっつ!」

 

たまらず後ろに引く。しかしそれを見逃してくれるほど敵は優しくなかった。

 

すぐさま攻勢に移り、その長剣でこちらを素早く、豪快に、そして巧みに斬りつけてくる。

 

はやっ!?受けるだけで全力なんだが!?

 

「強化魔法!」

 

『これ以上の強化魔法は体への負担が大きいですよ?』

 

「大丈夫!俺は天才だ!」

 

『了解です、マスター』

 

さらにスピードとパワーを増した返し刃を放つ。それを敵はしっかり受けきるが、威力は殺せなかったらしくそのまま後ろに飛ばされる。

 

ふぅ…スコル、今の攻防を見ての俺の勝率は?

 

『多く見積っても6%です』

 

やべぇな…よし、奥の手だ。

 

スコル、アイツに催眠って効くかな?

 

『分かりません、人型実体をとっていますがだからといって精神となるものがあるようには見えません』

 

物は試しだ!

 

「『お前は俺に攻撃できない』」

 

どうだ!?

 

しかし敵はその言葉をまるで意に介さず、地を蹴りこちらへ斬りかかってきた

 

くそっ!ワンチャンあると思ったが流石に厳しいか!

 

敵の斬撃に対して当たらないようにカタナを滑り込ませていく。さっきよりも俺の動きが良くなってきている。少しずつ、少しずつだが俺がこの敵に追いつきつつある。神様から授かった才能が、転生者としての才能がこの敵に順応し始めている。

 

『勝率15%に上昇』

 

これでも15%か!?

 

なら──

 

時間停止!!

 

敵の動きが止まる。止まったのは結界内だけでなく結界外までも俺以外の全ての運動が停止する。

 

「くらえ!」

 

最初からこうすれば良かったと思った。いきなりの戦闘だから咄嗟に思いつかなかったが、時間停止できるならやりたい放題ではないか。元々そういう能力だし。

 

煙の袈裟と逆袈裟を斬り、そのまま回り込むように飛んでうなじを狩る。

 

普通ならこれで決まる。だが……

 

「硬い!?」

 

カタナから伝わる感触は金属のそれ。バリアをしているのではなくその身をまとう煙そのものが硬質化しているようだ。一応削れてはいるようだが、それでも煙の層は厚く、ダメージがあるようには見えない。

 

『厄介ですね、こちらの攻撃が通らなければ封印ができないというのに』

 

ちっ、一旦身を隠すぞ!

 

『了解です、隠蔽魔法発動』

 

煙から距離を取り、物陰に隠れる。

 

時間停止、解除

 

「はぁ…はぁ…」

 

……やっぱり時間停止が一番魔力消費するようだな。

 

『そうですね。時間停止した状態を維持したらマスターは体感時間2分で魔力切れです』

 

ウルトラ〇ンより短いな…

 

くっそ、おまけに過度な強化魔法のぶり返しもきてる。

 

「スコル、敵は?」

 

『現在、周囲の隠れられそうな場所をしらみ潰しに燃やしています。ここに到達するまで推定1〜2分です』

 

物陰から敵を見ると、なんか炎の弾丸やでっかい球体でそこかしこを爆撃している。やばいな。

 

『すぐさまクロスレンジまで飛び込んだのは正解でしたね』

 

そういえばさっきレアスキルとか言ってたけど敵の能力ってどんな感じなんだ?

 

『魔力変換資質“炎熱”は自身の魔力をそのまま炎に変換できる体質です。本来、魔力を炎に変換するには術式を通す必要があるのですが、このレアスキルを持っている人はその工程を飛ばすことが出来ます』

 

なるほど、つまりさっきからあの化け物が炎攻撃しかしないのは……

 

『魔力を生成してぶつけてるだけですね、実際は』

 

結構便利そうだな。……俺にはないの?

 

『マスターはその催眠スキルと認識改変スキル、何気に私は初めてだった時間停止スキルのみです』

 

攻撃系ないやん。

 

『いや攻撃運用すればどれも破格の性能ですから』

 

認識改変って使えそう?

 

『どう使えるか次第ですが、自分の認識をそこら辺の瓦礫に被せれば回避に使えそうですね』

 

うーん、俺を敵として認識できないようにするとかある?

 

『アレに敵味方の認識があるならいいんですが…見た感じ理性失ってそうです』

 

いやいや何事もやってみないと───

 

『マスター!』

 

「うおっ!?」

 

瞬時に空へ飛び上がる。さっきまで俺がいたところを爆炎が包み込む。

 

飛び上がった先でも炎の玉がマシンガンのように飛んでくる。

 

「くっ!」

 

飛行魔法の速度を上げ、当たらないように旋回する。

「ぐっ…!」

 

突然、体の動きが止まる。見れば俺の周りに魔法の式のような物が描かれた帯が囲むように出現していた。

 

──うがああああああ!!!───

 

それをまるで見越してたように化け物は巨大な火球を飛ばしてくる。

 

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!

 

『設置型バインドです!解除しますので時間停止を!』

 

時間停止!!!

 

時間を止める、その間にスコルがバインドを解除する。

 

「今いきなり出てきたけどあれが普通なのか!?」

 

『バインド魔法は今みたいな設置型と直接魔法を飛ばす射撃型があります。設置型は隠すようにするのが基本です。近接系かと思ったらしっかり遠距離で戦うロジックもある、敵は中々の強敵ですよ。……解除出来ました!』

 

自由になった瞬間、化け物を挟んで向こう側に移動する。それと同時に時間停止を解除する。火球は俺がいたであろう位置で大爆発を起こす。

 

「……あれモロにくらってたら?」

 

『モロなら即死です』

 

ひえ〜ヤバすぎ

 

『結構軽いですね、死ぬかもしれないのに』

 

うーん、一回死んでるせいかこの世界そのものが夢のように感じるというかもう一回死ぬことにもそこまで恐怖がないというか……

 

『まぁ戦闘に支障がないようでしたら構いません』

 

それよりもどうすんのあれ?明らかに向こうが強いのにどうやって勝つ?

 

『正直、取れる手段がリスキー過ぎてオススメ出来ません』

 

その手段とは?

 

『マスターが時間停止している間にあの煙をカタナでどうにか剥がし、私が中心にあるジュエルシードを封印します』

 

倒さなくてもいけるのか?

 

『かなり無理をしますが無理やり非活性化状態まで戻して封印を施します』

 

うーん、現状それしかないような気がする。

 

『それかなのはさんの増援を待ちます』

 

なのはちゃんの勝率は?

 

『昨日の実力ならほぼゼロです』

 

ダメじゃん。

 

──ああああああああぁぁぁ!!──

 

こちらに気づいた化け物が刀身に炎を宿してこちらに接近してくる。

 

「ふぅ…」

 

カタナを軽く握って深呼吸をする。俺がやることはもう決まってる。このカタナでひたすら斬る、それだけだ。

 

『強化魔法発動』

 

時間停止………

 

「行くぞ!」

 

止まった化け物に斬りかかる。とにかく早く、強く斬る!

 

「はあああああああ!!!」

 

『…マスターの残り魔力量、5割を下回りました』

 

「まだまだあああ!!!」

 

最初は黒く、光も通さないような煙が徐々に内側から青い光を漏らしていく。

 

『あと少しです!』

 

「さっさと露出しろおおおお!!!」

 

渾身の一撃を叩き込む。

 

すると、煙が晴れ、中から神々しい光を放つ球体が顔を出す!

 

「これか!?」

 

『それです!封印開始!』

 

その光は急速に輝きを失っていくが、時々大きく点滅する。

 

『くっ!強情な…!』

 

「間に合いそうか!?」

 

『間に合わせます!』

 

ジュエルシードの輝きが徐々に弱くなっていくのに対して、スコルの輝きが大きくなっていく。

 

お、いけるいける!

 

『………封印完了。マスターの魔力残量一割、時間停止を解除していただいて大丈夫です』

 

指示通り時間停止を解除する。

 

黒い煙が形を保つことなく辺りに広がるが、つい先程までこちらを覆っていた圧力感はもう感じない。

 

「結局これってなんの願いだったんだ?」

 

『分かりません。あくまで仮説ですが、このジュエルシードにどこかの魔導師が願いを込めていてそれが原因で取り込まれた…あるいは願いそのものになってしまったと思われます』

 

え、こわっ。普通に人を取り込むとかヤバすぎ。

 

「……で、もうこれ大丈夫なんだよね?」

 

『…………マスター、お疲れのところ申し訳ありませんが戦闘準備を』

 

「え?」

 

スコルがその言葉とともにバリアを展開したのと

 

俺に閃光が直撃したのはほぼ同じタイミングだった。

 

─────────────────────

 

 

 

お母さんに言われて、この管理外世界“地球”に降り立った。この世界は見ての通り、魔法技術が発達してなかった。

 

その中でロストロギアであるジュエルシードを捜索、回収するのだ。きっとすぐに帰れると、簡単だと思っていた。

 

でもこの地球に降り立ったその日に、私はロストロギアの、ジュエルシードの脅威を目の当たりにする。

 

「バルディッシュ、これは?」

 

It’s very powerful magical power.(非常に強力な魔力です)

 

The signal seems to be from Jewel Seed(反応はジュエルシードのものと思われます)

 

「これが…ジュエルシード……」

 

私の目には、ジュエルシード…が変化したと思われる物体とそれと激しい戦闘を繰り広げる少年が映っていた。

 

突然瞬間移動したり、いくつもの斬撃を発生させたりと奇妙な魔法を使っていたが戦いは少年の勝利に終わった。

 

今の私ではあの子に勝てない…でもあの戦闘で消耗はしている……これなら!

 

「フォトンランサー!」

 

射撃魔法を発動する。向こうは戦闘が終了して完全に気を抜いている……

 

ごめんね………

 

心の中で少年に謝罪する。それでも私はやらないわけにはいかないのとどこかで言い訳をしながら。

 

だが、完全に死角を突いたはずの攻撃は瞬時に展開されたバリアによって防がれたのだった。

 

──────────────────

 

 

衝撃をもらった方へすぐに振り向く。

 

その視線の先に立っていたのは、金色のツインテールをなびかせながらかなり…主に太もも部分が際どい服装をした少女を発見する。

 

あれは…!?

 

フェイトちゃん!フェイトちゃんや!

 

エッロ!小学生の未発達な体でその服装は色々マズイですよ!?

 

『マズイのはマスターの頭の中とこの状況です。勝てなくはないですが、消耗したこの状態で戦うのはオススメできません』

 

は!?いやいや、相手はなのはちゃんと並ぶ主人公レベルの重要キャラやぞ!そんな危ないことできないって!

 

『今あなたが置かれている状況もまあまあ危ないですけどね』

 

そんなことをボヤいているとフェイトちゃんが俺の周囲を高速で飛び回り始めた。

 

「速いな…」

 

『飛行技術は向こうが上ですかね?スピードもかなりのものですね』

 

でも…目で追える。さっきの化け物の剣の方がもっと速かったし。

 

フェイトちゃんが急旋回してこっちに向かってきたのですぐさま振り向き刀を構える。

 

普通に対応していることに対して驚きの顔を見せるフェイトちゃん。かわいい。

 

振り下ろされた鎌の軌道をカタナで逸らす。

 

「やあ!」

 

振り回される鎌を避けたり、逸らしたりしながら相手の出方を伺う。

 

やべぇどうしよう、なんか戦っちゃってるけど正直キツいぞ。こっちは戦う気ないのにどうしたものか…

 

『一回気絶させます?非殺傷設定で』

 

うーん、それも一考の余地があるけど正直こんなかわいい女の子にカタナ振るのは気が引ける。

 

「なら!」

 

近接攻撃に埒があかなくなったのかフェイトちゃんは距離を空ける。

 

「チェーンバインド!」

 

今度は魔法でできた鎖を飛ばしてきた。拘束系かな?

 

あれ斬れる?

 

『斬れます』

 

よし!

 

飛んできた鎖を全て叩き斬る。

 

「フォトンランサー!」

 

こっちの迎撃の合間をぬって先程と同じ魔法を繰り出してきた。

 

今度はカタナで迎撃せずに、一瞬だけ時間を止めて回避する。

 

「…テレポート!」

 

…あぁ向こうは俺が瞬間移動したように見えたのね。

 

『いいじゃないですか勘違いしてくれて。それよりもどうするかいい加減決めてください』

 

……デバイスって操縦主の手元を離れたらどうなんの?

 

『ただの喋る機械になります』

 

じゃあ時間少しだけ止めて、敵のデバイスを奪い取るのは?

 

『…まぁ相手が何も対策してないなら決定打ですね』

 

よし!それでいこう!時間停止!

 

時間をほんの少しだけ止めて、フェイトちゃんの鎌を奪い取り、近くの茂みへ放り投げる。

 

「…え?きゃっ!」

 

時間を戻すとフェイトちゃんが落下し始める…なんで!?

 

『そりゃあ基本術の制御はデバイスに任せますからね。そのデバイスが無くなったなら飛行魔法もままならなくなって当然ですよ』

 

「それを先に言えぇぇえええ!!!」

 

落下するフェイトちゃんを地面に激突する寸前で受け止める。あぶねぇ!もう少しで魔法少女なのに笑えないレベルの惨状になるところだった!

 

ズザアアアとスライディングキャッチをし、何とか無傷でおさめる。

 

おい!この子原作キャラなんだぞ!もっと丁重に扱え!

 

『知りません。敵ですし、私はマスターの意見を尊重しただけです』

 

俺この子大切にしようみたいな感じ醸し出してたやん!そこ汲み取れや!

 

『え、やだ』

 

うっきぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 

「あ、あの」

 

「うん?」

 

スライディングしながらキャッチしたのでお姫様抱っこみたいな状態になっているフェイトちゃんは少し顔を赤らめながら俺の手の中で縮こまりながら声をかけてきた。

 

はああああかわいい!何この小動物!?守りたい!腕細い!かわいいいいいいい!!!

 

『はい、犯罪者予備軍はさっさと手を離しましょうね〜』

 

まぁ待ちたまえよ、スコル殿。俺はこの子を助けたんだよ。ならこの状況は不可抗力であり、俺がこうして二の腕や太ももの感触を確かめてるのもなんらおかしいことでは───

 

「フェイトを離せぇぇええええ!!!」

 

「ぶべらァ!」

 

いきなり横から顔面を殴りつけられる。

 

土の上をゴロゴロと転がってるのか上と下の感覚が混乱する。

 

「ス、スコル。お前反応してただろ…」

 

『すいません。マスターがキモくて』

 

「お前後で覚えてろよ」

 

俺を殴ってきた奴を見ると、猫耳を付けたお姉さんだった。あれもなに?デバイス?

 

『いえ、あれはあの子の使い魔…ペットですね』

 

「ペットが人型なのか…魔法の世界」

 

「ペットじゃない!」

 

「ア、アルフ…」

 

アルフと呼ばれた…獣?女性?は歯を剥き出しにしながらこちらを威嚇している。

 

『2対1ですか…状況がさらに厳しくなりましたね』

 

やばいですね☆

 

『本当にヤバいです』

 

非殺傷設定……気絶させる?

 

『構いませんが、マスターの残り魔力的に時間を止められるのはあと10秒程度です』

 

え、そんなにないの?

 

『そもそも戦闘が終わった時点で残存魔力は残り一割でした』

 

そういえばそうだった……

 

「はあああああああ!!!」

 

アルフが飛び込んでくる。うーん、これなら時間止めなくてもやれそうだな。

 

非殺傷設定、よろしく。

 

『了解しました』

 

アルフの拳をスレスレで避けながら、すり抜けざまに胴を切り裂く。

 

「がっは……」

 

「アルフ!!!」

 

ドサッとそのまま倒れ込むアルフ。…これ死んでないよね?ピクリとも動かないんだけど。

 

カタナでツンツンとつつくが猫?型獣人は身じろぎ一つしない。

 

「待って!」

 

「え?」

 

フェイトちゃんの悲鳴のような声に思わず振り返る。その姿は泣きながら、そして震えながらこちらを見つめていた。

 

「お願いします。アルフを許してください…私はどうなっても構わないから……お願いします…私の…家族を助けてください…お願いします…お願いします!!」

 

泣きながら土下座するフェイトちゃん

 

なんだろう、俺って襲われてるからこれも正当防衛なんだろうけど……これなんか俺が悪者みたいじゃね?

 

『そうですね、虫が良すぎると思いますが私も自分が悪いことをしているように感じますね』

 

小学生に泣きながら土下座させてる…ヤバいな罪悪感が。魔法少女リリカルなのはってこんなに重たいストーリーなの?

 

『知りません。まぁともかくなんでこんなことしたのか事情を聞くぐらいはした方がいいんじゃないんですか?コイツとこの子をどうするかはそれで決めても』

 

たしかに。

 

「なんでこんなことを?」

 

「……その石です」

 

「うん?」

 

石ってジュエルシードの事か。

 

「…これを集めてるのか?」

 

「……はい」

 

「なんで?」

 

「…分かりません」

 

うーん、これはどう判断すればいいんだ?

 

『隠してるようには見えません。何も教えられずに集めてこいと言われたとかその辺でしょうか?』

 

…この猫?犬?人?渡してお引き取りしてもらう?

 

『まぁそれでいいんじゃないですか?ここで二人を始末するメリットも戦うメリットもマスター的には無いようですし』

 

「ほらこの人は解放するよ。君のデバイスはそこの茂みに隠してある。それを取ったら帰ってくれ」

 

「…ありがとうございます」

 

フェイトちゃんはいそいそとアルフとデバイスを抱え、こっちに一礼してどこかへ飛んで行った。

 

はえ〜いいくい込みだな…エッロ。

 

『…とりあえず今日は帰りましょう。体を休めないとこの消耗の仕方は明日に響きます』

 

「…だな」

 

スコルが結界を解除する。すると魔法によって傷つけられた地形や建物が何事もなかったかのように修復されていた。

 

それにしても…

 

フェイトちゃんをお姫様抱っこした時のことを思い出す。太ももや腕の感触に気を取られて深く考えてなかったが、彼女の体には明らかに俺がつけていない傷がいくつも見られた。

 

虐待か……

 

まだ推測の域をでないがもし虐待されてるなら俺になにかできることはないだろうか……と考える。例え敵でも自分が知ったキャラには幸せに生きて欲しい…そう思うのは間違ってるだろうか。

 

「あーー疲れたーーー」




主人公、戦いの中で一気に強くなるドラゴ〇ボール超仕様。

書いてて思いましたが、スコルってめっちゃ便利っすね。

次回番外編登場キャラ

  • いつもの3人
  • 大天使ヴィータちゃん
  • 戦闘狂シグナム
  • スバルとかティアナとか(その他)
  • (できる限り)突っ込めって言ってんだよ!

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