エロいことしようとしてたら最強の魔導師になっていた 作:100000
『同調率50%…まぁ今のところはこれが限界ですね』
魔力そのものが変わった気がする、身体の内側が変わった気がする、視界はおかしくなっている。総評、これ大丈夫?俺がユニゾン、スコルと合体した感想だ。
「なぁスコル、俺って今どうなってんの?」
『こちら、外から見た映像です』
「…うえええ!?」
目の前にホログラフィックな画面が浮かんだと思うとそこに映っている自分の顔、姿に驚く。
「これが俺?」
映像に映っていた俺の姿はまず、髪がきっちり左半分が白くなっていた。肌に色違いな部分は見受けられないが、とりわけ気を引いたのが、目だ。左目の
「おぉ、結構カッコイイかも」
服装がピエロみたいに見えなくもないが、コートなのでギリギリそれっぽく見える。
『さてマスター、ユニゾンした感覚はどうですか?』
「あぁ、最高だよ。これなら…勝てる」
改めてジュエルシードを見据え、刀を構え直す。不思議とどうすればいいのか、どんな魔法を使えばいいのかが頭に浮かんでくる。
『今現在、私とマスターはかなり深い部分でリンクしています。私で扱える魔法はマスターも自然と扱えるようになっているはずです。存分にご活用ください』
「あぁ!」
魔力を圧縮させ、カタナに纏わせる。魔力を纏った武器はその魔力量に応じて攻撃力が上がっていくことは
飛行魔法を発動させる。術式が頭の中を駆け巡る、しかしそれもほんの僅かな一瞬だけ。次の瞬間にはこれまでよりも圧倒的に速いスピードでジュエルシードに肉薄する。
「まずは1つ!」
カタナをありったけの力を込めて叩き込む。一瞬バリアがそれを遮るがあっという間に砕け散り、密集したジュエルシードのうち一つを刈り取った。
飛ばされたジュエルシードを掴み、封印を実行する。いまだに魔力渦巻くジュエルシードはその輝きを強め、抵抗してくるが無理やり捩じ伏せ抑え込む。
『…まさか50%でこれほどとは』
「どうだ?天才だろ?」
残ったジュエルシードが今ので危険を感じ取ったのか、光弾の量をさらに増やし、こちらに向けて射出する。
「遅いな」
ユニゾンした俺の目は光弾の一つ一つを正確に捉えるだけでなく、そこに含まれる魔力量、術式までも読み取ることができた。
全て切り伏せることはしない。魔力弾の軌道と軌道の隙間を縫うように飛行し、再びジュエルシードに近づく。
「…へぇ、考えるじゃん」
先程と同じようにカタナで切り飛ばそうとするところで急旋回、距離をとる。ジュエルシードはバリアを展開したまま動かない。否、
『触れると誘爆する爆発膜ですか。その後ろにバリアを張ることで安全にカウンターを与えられるというわけですね。ジュエルシードが複数あり、それぞれで魔法を起動できるからこその戦法ですね』
「だけど」
左手にライフルを転送し、右手にカタナを持ち直す。
「先に誘爆させれば問題ないな」
ライフルをクルっと回し、トリガーから一瞬手を離す。コッキングするレバーが上を向いたところで素早くレバーを引き、またトリガーが元の位置に帰ってきた時に指を戻す。
「どうよ、片手でコッキングしたぜ」
『わざわざコッキングしないといけない構造なのどうにかなりません?』
「ロマンだから無理」
引き金を引く。コッキングしたことにより威力が増幅した魔力弾が発射される。それはジュエルシードが張るバリアに直撃し、やけに大きく爆発する。
「爆破膜、便利だな」
『問題は向こうにそれだけの知能があることですが』
飛行魔法で三度接近、今度は小細工がされておらず、カタナでバリアを剥がし、二つ目のジュエルシードの回収、封印に成功する。
「残り4つ!」
2個目のジュエルシードを封印するのとほぼ同時に残りのジュエルシードが散り散りに飛んでいく。いや、これは囲まれたな。
『お喜びのところ申し訳ありませんが』
「分かってる!」
ジュエルシードが四方からそれぞれ魔法を放ってくる。魔力弾に加え今度は火、雷、風と
「所々に罠仕掛けてるのめんどくさいな!?」
おそらく拘束魔法の設置型と思われる術式が空中の至る所に浮遊している。普通なら探知しないと分からないが今俺の目には魔力も知覚できるため位置が筒抜けだ。
拘束魔法、そして降り注ぐ多くの攻撃をすり抜け、ライフルで3つ目のジュエルシードを撃ち抜き、封印する。
「でもこんなにあるなら一つくらい貰っても…」
願いが叶うなら…一個くらい…
『思考が小物のそれなのでやめてください。というか現在戦闘中では?』
そうは言うが、ユニゾンしてからマジで負けるビジョンが浮かばない。さっきまで強敵だったのに一瞬で雑魚になったジュエルシードくん可哀想。
『雑魚にしたのはマスターなんですけどね』
「いやいや、ユニゾン持ち出したのはスコルじゃん」
残り3つのジュエルシードが再集結したかと思うと、膨大な魔力を感知する。
「お?砲撃魔法か、いいねぇそうこなくちゃ!」
武器を放し、両手を前に突き出す。砲撃魔法の基本は魔力の集中、圧縮。そして今やデバイスと一心同体になった俺にデバイスの補助は無用!
「ぶちかますぜ!」
大気中、身体中にある魔力を一点に集中させる。
『そういえばジュエルシードはこんなにたくさんの魔力をどこから補給してるんでしょう?』
知らないね!それよりもこんだけの魔力を圧縮すれば、なのはちゃん以上の砲撃魔法になるんじゃない!?
『…これ結界ぶち抜かないですか?』
「大丈夫大丈夫コラテラルコラテラル!」
ジュエルシードが砲撃魔法を撃ち出す。その威力は見た感じ、なのはちゃんのそれすらも凌駕しているように見える。
「スナイプ!……ライフルは無いから…えっと」
「トゥーハンドバスター!」
『4点』
何の採点か、スコルに問い詰めることを決め、圧縮した魔力を解放する。砲撃魔法は元々込めた魔力の量が先程の比じゃないせいかしっかり極太なビームになった。
ジュエルシードの放つ砲撃魔法と俺が放った砲撃魔法は衝突し、一瞬拮抗するが俺の砲撃魔法が一気に押し込みそのままジュエルシードを呑み込んだ。
…ドヤっ
『反応消失。取り敢えず封印しましょうか』
「おっけー」
「あきと君!」
「ん?あ、なのはちゃん!」
後ろから聞きなれた声が聞こえる。後ろを振り向くとなのはちゃんがいた。とても心配そうにしているけど、温泉は?逆に心配になるんだが。
「あきと君、その姿は?」
「あ、これ?俺の新しい力さ」
なのはちゃんに見せびらかすようにその場でターンする。あと決めポーズ。どうだ、カッコイイだろ。
「す、すごい」
ふはははははどうだ凄いだろう!もう何度目か分からないけどまた惚れ直すんじゃないぞ?
『…マスター、どうやらまだ安心するのは早いかと』
「…え?」
後ろの方から魔力が爆発的に膨れ上がるのを感じる。振り向くと3つのジュエルシードが
「うおっ!?」
「きゃ!」
放出される魔力の圧が先程の比ではないことは感覚でもこの目でもしっかりと理解出来た。
「スコルどうなってるんだ!?俺はあれを倒したんじゃなかったのか!?」
『魔力の波形を見るに暴走している可能性が高いかと』
「暴走!?なんでいまになって!」
『…あくまで仮説ですが、あのジュエルシードはマスターの魔力で起動しました。そしてあのジュエルシードは…』
俺の砲撃魔法をくらったから…?
「ふざけんな!攻撃したら暴走するとか地雷すぎるだろ!」
『しかし暴走しているのは事実です。この反応、恐らくアレが起こそうとしているのは"次元震"と呼ばれる超級災害と思われます』
「なにそれ!?根拠は!?」
『考えてみてください。これまでのジュエルシードは生物に取り付いてたことからその生物の魔力を使用していると思っていました。しかし今回は被検体がなく魔力の供給源が分かっていません』
「ジュエルシード自体がリンカーコア的な働きするかもしれんだろ!それに大気中に魔力もある!」
『それも考えられますが、この可能性も考えられます。すなわち
「………っ!まさかアレが次元の狭間とかそんなところに接続していたとかそんな二次元みたいなこと言うんじゃないだろうな…」
『そのまさかです。今回のジュエルシードは次元の彼方に接続し、その空間に漂う魔力を供給していた可能性があります。ならば今から起こす災害が"次元震"である説明がつきます』
「…マジかよ、これ放置するとどうなるの?」
『……規模によってはこの星が消滅します』
「…マジかよ」
そんないきなりアニメのクライマックスみたいなこと、どうしろと言うんだよ。逃げたら消滅ってどの道逃げ場ないじゃん。
「……私が何とかしてみる」
「え?」
なのはちゃんの方を見ると、既にレイジングハートを構えて戦闘態勢に入っていた。
「なんとかするって?」
「封印…やってみる」
封印…できんの?
『不可能ではありません。しかしなのはさんでは可能かどうかと言われると……無理かと』
「なのはちゃん、多分なのはちゃんじゃ無理だよ」
「…!でもやらないと、私がやらないと!」
ここで自分でやろうとするのは本当に主人公らしいよな。…スコル、俺がユニゾン状態で封印を施したらいける?
『不可能ではありません。しかし可能とも言い切れません。かなり危険な賭けかと』
でもなのはちゃんよりは?
『なのはさんには悪いですが成功率はまだ高い方かと』
なら決まりだな!俺がやろう!
『…普段は呆れる物言いですが、そういうところは男らしいですね』
…なんか一言多いけど、これ褒めてるんだよね?
『はい、それでこそマスターです』
「なのはちゃん!」
先に封印した3つのジュエルシードをなのはちゃんに渡す。
「…ジュエルシード!なんでこんなに?」
「話は後、取り敢えずこれ持っててよ」
「……待ってよ、あきと君。まさか今から」
「うん、ちょっとアレ止めてくる」
「だめ…って言っても行っちゃうんだよね」
そう言うなのはちゃんの目は若干潤んでいるように見えた。きっと俺がこれからやることを心配してのことだろう。正直察しが良くて助かる。やっぱり持つべきものは友達だよね。
『違うそうじゃない』
「まあね、アレ軽く止めてくるから。なのはちゃんはそこで見てて」
「………うん」
え、なんでさらに落ち込むの。俺なんも悪いこと言ってないじゃん。
『まぁ彼女なりに責任を感じてるのでは?元々この件の発端は
確かになのはちゃんくらい真っ直ぐな人間ならそう思うかもしれないな。オレは
『……まぁ責任の追求はこの後でもいいでしょう』
「さて、封印したいけどあれどう封印しようか?」
『現在も魔力を膨張させていますのでまずはそれを抑え込みましょう』
「どうやって?」
『力技ですが、マスターの魔力を使って捩じ伏せます』
「……………他に方法は?」
『なくはないですが、時間も押してます。ここが正念場ですよ』
「……まぁやるだけやってみるか」
飛行魔法でいまだに凄まじい光と魔力を放つジュエルシード接近する。そして、封印するために手を伸ばすが。
「…!今バチッっていったぞ!?」
ジュエルシードに触れることすら出来ず、その手は放出される魔力に弾かれる。
『それでもやってください』
「……ちくしょう!」
楽に済むと思っていたが、どうやら全然そんなことはないらしい。次は吹っ飛ばされないように堪えるが、まるで体全体が振動しているかのように衝撃が伝わってくる。…だけど
「押さえ込んでやるよ!これくらい!」
術式ではなく自身の魔力を展開する。そして魔力を圧縮する要領で、大気中の魔力ごと圧縮する。
ジュエルシードは魔力が抑え込まれていくにつれ、その輝きをさらに強めていく。
『もっと出力を上げてください』
「上げてるよ!」
『もっとです』
「上げてるって!」
『まだ足りません』
「くそがあ!なら俺の魔力全部持っていけぇぇぇぇ!」
魔力を知覚できる目になったからか視界から流れてくる情報量が凄まじいことになり、目を閉じる。そしてがむしゃらに魔力を抑え込む。
『封印可能領域まであと少しです』
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
ジュエルシードの輝きが徐々に弱まっていき、最初の覚醒状態と同じくらいの輝きに戻る。
『今です!』
「封印!」
素早く3つ同時に封印する。目を閉じているためどうなっているか、よく分からないが魔力を感知するに
「……終わった?」
『………封印状態への移行を確認。マスター、お疲れ様でした』
「…………」
ドヤああああああああ!!!!
どうよ、この天才っぷりぃ!ジュエルシード6つ一気に封印とかもう国民栄誉賞並の快挙でしょ!いやー、やっぱりぃ?こうなることは最初から計算通りだったしぃ?暴走して封印するところまで筋書き通りだったしぃ?もう何から何まで計画通りだったなァ!
『…そうですか。でしたらこの次に起こることも予想していましたか?』
「……はい?」
ふと、気づく。視界が元通りになっている。ユニゾンしていたときに感じたあの力強さも感じない。これが指し示す答えは…………つまり
「魔力切れ?」
『正解です、マスター』
あああああああああああぁぁぁ落ちるぅううううううう!?!?!?!?
もはや飛行魔法すらも満足にできないほど魔力を消耗しきった俺はそのまま重力に従って海に向かって突っ込んでいく。
「あ、死んだ」
この高さから落ちたら海もコンクリートの床とそう変わらないだろうし、バリアジャケット着ててもさすがにこれは無理やろ。
半ば諦め気味に思考を放棄していると誰かに支えられるのを感じる。
「………あ、あざす」
自分の命を助けてくれた恩人が誰なのか、視線を移すとそれは
「あの、大丈夫?」
「フェイトちゃん……まじナイス………」
そこまで言って俺の意識は強い脱力感とともに底へ沈んでいった。
スコルの体ってなんにでも付け替えられるから色んなシチュができますよね。なんて万能なんだ!?
次回番外編登場キャラ
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いつもの3人
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大天使ヴィータちゃん
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戦闘狂シグナム
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スバルとかティアナとか(その他)
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(できる限り)突っ込めって言ってんだよ!