デスとハイエロファントの物語:REBOOT 最終章   作:桁石スミオ

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「マジカルドロップⅢ」「マジカルドロップポケット」「マジカルドロップV」よりデスとハイエロファント主役。本編『しりぞけ、もの悲しき影』以降、及び外伝『正義の恋』以後の、全編の最終章として執筆。2020年10月脱稿。外伝『正義の恋』ラストシーンの数時間後よりの続き。
 タイトルは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲、教会カンタータBWV19「かくて戦おこれり Es erhub sich ein Streit」より。
 登場人物:「マジカルドロップ」シリーズより、デスとハイエロファント、ワールド、ヤング(リトル)・フォーチュンとタワー、ハイプリエステス、エンプレス、ジャスティス、ストレングス親子、ガオガオ、エンペラー。「ゴーストロップ」「マジカルドロップV」より、ブルース、マッコイ。
 注:台本形式読み物です。


【挿絵表示】




最終章第一話:かくて戦、起これり【1】

デスとハイエロファントの物語:REBOOT

【 最終章第一話:かくて戦、起これり 】

 

 

★ マジカルランド・荒野上空

 

 太陽が山々の端に差し掛かり、一際大きな、赤色の円形を成す。

 雲ひとつない空。天空の半分は朱と灰色の混じった色。逢魔が時。

 空の高い場所に浮かび、目を細めて夕陽を見ているワールド。

 そよぐ風が、彼女が巻き付けている布を揺らす。

 

ワールド《今日も日が暮れますワ・・・良い一日でした》

 

 ワールド、穏やかな微笑みを浮かべる。

 すうっ、と身体を横に半回転させ、反対側の地平線に向く。

 日没の太陽と同じくらい巨大な姿をした、満月。

 白色と昼光色の中間ほどの、柔らかい光を放っている。

 そのまま、月を眺め始めるワールド。

 暫く、そのまま。

 ワールドが、去ろうとして身体を僅かに返す。

 突然。

 満月の真下の地平線から、丸く巨大な影がせり上がってくる。

 ズオオオオオ・・・と、低く不気味な地鳴り。

 ハッ、と思わず月の方向を凝視するワールド。

 

ワールド《(訝し気に)何ですの?・・・》

 

 ワールドの見ている中、漆黒の円形の影が更に上昇して、月を隠し始める。

 

ワールド《おかしいですワ・・・今日は月蝕など起こる筈が・・・(目を見開き)え?・・・そんな! 余りにも速過ぎな・・・》

 

 天体の動きにしては明らかに速い動きの、丸い闇。

 見る見るうちに満月の大部分を蝕み、覆い隠そうとしている。

 ワールド、眉を寄せ、両瞼を閉じて『第三の目』を、カッ!と見開く。

 直後。

 巨大な丸い陰の中心付近が、一瞬、チカッ、と光る。

 刹那の、後。

 紫色の、極めて細い光線が、月の方向から天空を裂く。

 チュイイイ―――ンッッッ!!!と、耳障りな高周波音。

 光線が、ワールドの『第三の目』の瞳の中心を、正確に射抜く。

 バシュウウウッッ!!!という凄まじい音と同時に、ワールドの頭が後方に振られる。

 ワールドの後頭部にまで、余韻のような紫の光が漂う。

 撃ち抜かれた瞬間、3つの眼をすべて正円に見開いたワールド。

 まるでスローモーションのように、桃色の長い髪がゆっくり広がり、身体はそのまま後方に倒れていく。

 ワールド、3つの眼をすべて閉じる。表情は眠りにつくように、静かに緩んでいく。

 全身の活力が失せ、弛緩し、重力に従い落下していくワールド。

 頭を真下にし、纏った布をはためかせ、速度を上げて森へと落ち始める。

 遠く、地平線近くの満月が、完全に漆黒の円形の陰に隠される。

 月の輪郭付近が、薄ぼんやりとした蒼白い光の輪を残している。

 黒い影の方向から、オオオオオォォォンンン・・・と寒気のする唸り声。

 

 

★ 森を見下ろせる高台・崖上

 

 尚も加速していく、ワールドの身体。

 森の樹木まで、見る見る距離を詰めている。

 直後。

 森林の奥の方から、崖上に上る獣道を、猛烈な勢いで駆け登る姿。

 ダダダダダダダッッッ・・・と草を蹴り、土を舞い上げ、一直線に走るデス。

 瞬間、切り立った断崖に飛び出し、まったく疾駆を緩めることなく、ダンッ!と宙へ跳ぶ。

 弾丸のような射出、鋭利な射角。

 デス、落ちてくるワールドの体側目掛けて正確に空を裂き、ガバッ!と抱き留める。

 勢いでワールドの身体が、グンッ、と大きく揺れる。

 垂直落下の延長線から外れ、緩やかな放物線へと軌道が変わる。

 しかし、眼下の樹木があっと言う間に、デスの視界に近付いてくる。

 デス、左腕で逆さまのワールドをしっかり抱え、右手に握った大鎌を、左方向背後に振り被る。

 間髪を入れず、大鎌を薙ぐ。

 ザシュウッ!と、高い広葉樹の幹が両断される。

 放物落下軌道の勢いそのまま、ワールドを胸元に引き寄せ、浮いた枝葉に突っ込むデス。

 続け様に手首を返し、振り抜いた大鎌を、今度は右方向背後から斬り掛かる。

 ゾン!と、下方の広葉樹の太い枝が切り離される。

 デス、マントを勢いよく、グルッ、と身体に巻き付け、頭部も覆う。

 そして、ワールドを抱く左腕に、グッ、と力を込める。

 先に切断した枝葉と共に、後から切断した枝葉に突入する。

 ゾザザザザ―――ッッ!!!と、けたたましく樹々が暴れ、枝が散り、葉を乱舞させる。

 落下の勢いを殺し、段々と地面に近付いていくデスの身体。

 着地の気配を察し、くる、と腰を軸に、脚を後方から前方、更に下方に回転させるデス。

 やがて、切断した2本の樹木と枝葉と一緒に、ドサ・・・と草叢に着く。

 途端。

 バッ!と、マントを跳ね除けるデス。

 左脚の膝を立て、腰を下ろした状態で、ワールドの頭部を載せている。

 多くの枝葉がクッションとなり、ふたりとも打撲は負っていない模様。

 ただ、デスの手足に幾分かの浅い擦傷がある。

 

デス「ワールド!」

 

 返事がない。

 ワールドの3つの眼は、固く閉じられたまま。

 右手の大鎌を一旦横に置き、右掌を彼女の額に翳す。

 暫く、そのまま。

 驚いた表情に転化する、デスの顔。

 

デス《生命力が!・・・まさか!》

 

 デス、翳したままの右掌を、ワールドの頭部から胸元まで移動させる。

 心臓の上部付近で、ピタ、と停める。

 位置を固定した状態で、両目を閉じるデス。

 ワールドの全身にはまったく力が入っておらず、四肢を弛緩させてぐったりしている。

 右手を下ろし、ワールドの顔を、じっ、と見詰めるデス。

 そして、きり、と目線を上げて、茜掛かった日没の空の方向に顔を向ける。

 

デス《・・・ここからだと、フォーチュンの城が近いか》

 

 

★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城・フォーチュンの自室

 

 壁のランプが、煌々と部屋全体を照らし出している。

 天蓋付きのベッドに横たわっている、ワールドの身体。

 傍らにはデスが、立ったまま左手を付き、先程森の中で行ったように右掌を翳している。

 ガチャ、と部屋の扉が開き、入室してくるヤング(リトル)・フォーチュン。

 眉を寄せ、重苦しい表情。扉を閉める。

 

フォーチュン「エンプレスへの使いには、タワーに行ってもろうた」

デス「(振り返って)そうか」

フォーチュン「(ベッドまで歩み寄りながら)どうじゃ? さっきと変わらんか?」

 

 ワールドに再度目線を戻すデス。

 翳していた右手を戻し、ふう、と嘆息をつく。

 

デス「(首を左右に振り)やはり、生命力がまったく感じられない。何度診ても同じだ」

フォーチュン「・・・魂は、離れとらんのじゃろ?」

デス「(頷いて)ああ、離れていない。しかし、ワールドの身体の中、臓腑の深い場所まで冷え切っている状態だ。あたしもあまり見た例がないが、これは『仮死』の状態だ」

フォーチュン「(ビク、と反応して)『仮死』・・・そうか、これが・・・(デスを見詰め)のう、デス、ワールドは・・・もう送らねばならんのか?・・・」

 

 思わずフォーチュンを凝視するデス。

 フォーチュンの表情は、刹那さで染め上がっている。

 真剣な色彩を浮かべ、再度首を左右に振るデス。

 

デス「いや、まだだな。あたしの裡ではそう感じ取ってる。それに、(大鎌を掲げ)こいつも“まだ”だと言っている。あたしの鎌は、嘘はつかない」

 

 短く息を継ぎ、視線をワールドに送るフォーチュン。

 

デス「とにかく、ハイエロファントを呼んでくる。『聖なる力』なら回復出来る可能性がある」

フォーチュン「(小さく頷き)判ったぞよ。それまで、ワールドは見ておく・・・」

 

 デス、踵を返し、扉に向かって歩き出す。

 取っ手を、カチャ、と下ろし、向こう側に押して扉を開く。

 部屋から足を踏み出しながら、身体を返してフォーチュンに目線を送る。

 両腕を体側に伸ばし、ギュウッ、と両の拳を握り、項垂れて、微かに震えているフォーチュン。

 その背中を扉越しに見ながら、静かに扉を閉めるデス。

 

 

★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城・廊下

 

 ランプが等間隔で高めに配置され、仄かに明るい居城の廊下。

 デス、玄関ホールに向かって歩を進める。

 突然、進行方向右側にある大きめの扉が、ガチャリ、と開く。

 穏やかな動作で廊下に歩み出てくるハイプリエステス。

 左腕に数冊の本を抱えている。

 奥から来たデスに気付き、ニコ、と笑顔になる。

 

ハイプリエステス「デスさん、こんばんはざます」

デス「何だ、来ていたのか」

ハイプリエステス「ええ。マジシャンさんと一緒に、午後のお茶の時間からいるざます。先程まであたくしは図書室で借りたい本を選んでて、マジシャンさんは今も宝物庫で物色中ざます」

 

 ハイプリエステス、後ろ手に扉を閉じる。

 向かい合って立つふたり。

 

ハイプリエステス「(心配げに)ワールド様・・・どうしちゃったんざましょ?」

デス「あたしにも、正直判らない。取り敢えず、今からハイエロファントを呼んでくる」

 

 一旦、今来た廊下の後方に目をやり、ハイプリエステスの右の耳元に顔を近付けるデス。

 呼応して身体をやや前に屈ませるハイプリエステス。

 

デス「(小声で、耳打ち)フォーチュンに、付いててやれ・・・」

ハイプリエステス「(小声で)・・・解ってるざます」

 

 身体を離し、視線を繋げて頷き合うふたり。

 

 

★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城・城門近くの前庭

 

 玄関ホールの巨大な観音開きの片側を、外側に押すデス。

 ギイイイイッッ・・・と錆びた蝶番が軋む音。

 外を見ると、タワーが前庭に片膝を着いて腰を下ろしている。

 そしてゆっくりとした動作で、右掌を石畳に下げており、掌の上にはエンプレスが立っている。

 地上に着くより早く、タンッ、と飛び降りるエンプレス。

 デスが玄関ホールから出てくるのを視界に映し、駆け寄ってくる。

 切羽詰まったような、焦燥感溢れる表情。

 

エンプレス「(張りのある声で)デスっ! ワールドは何処だい!?」

デス「(間髪入れず)フォーチュンの寝室だ」

エンプレス「判った! 入らせてもらうよ!」

 

 ダッ、と石畳を蹴り、その勢いで一気に玄関に飛び込むエンプレス。

 走駆を落とさず、ダダダダッ・・・と廊下の奥へ遠ざかっていく足音。

 それが聞こえなくなるまで顔を向けているデスとタワー。 

 暫しの、間。

 

デス「(ふう、と息を継ぎ)忙しいな。無理もないが」

タワー「シカタナイ・・・ワタシ、アシ、オソイ・・・」

デス「(タワーを見上げ)その分、お前は強いだろう。張れるのはストレングス親子くらいだ」

タワー「・・・ワールド、ヨウス、ドウダ?」

デス「変わりなし、だ。これから神殿に戻って、ハイエロファントを呼んでもう一度来る。(真剣な眼差しで)言うまでもないが、この城を、そしてフォーチュンを護れ」

タワー「(大きく頷いて)ター、ワー」

 

 デス、くる、と身体を返す。

 その視界に、森を眼下に見た遥か彼方上空、地の端から昇り始めた月の姿が映る。

 思わず停止し、眉を顰めて凝視するデス。

 薄くぼやけた光輪を構築している、皆既月蝕。

 じっ、と数秒間見詰めているデス。

 タワーもそれに気付き、顔を向けて皆既月蝕に目線を投げる。

 

デス「月蝕・・・しかも皆既月蝕・・・珍しいな」

タワー「ワタシ、ゲッコウ、スキ・・・ゲッショク、ヒカリ、カクス、キライ・・・」

デス「そうか。しかし好き嫌いを抜きにしても、今夜の月蝕は・・・(月に、睨むような目線を向け)禍々しさを感じる」

 

 ゴウン・・・と共感したように頷くタワー。

 

 

★ 森の道

 

 薄暮時。太陽は完全に沈み、夜空が天空の多くを支配している。

 皆既月蝕の近くに、一番星が輝き出す。

 照度はかなり低くなっているが、闇というほどでもない。

 デス、森の道を真っ直ぐに、神殿へ歩いている。

 ふと、足を停める。

 左肩に掛けた大鎌を下ろし、左右に視線を素早く動かすデス。

 両肩の力を抜き、腕を垂らし、瞼を閉じる。

 そのまま、身動ぎせず。

 

デス《前方斜め上・・・左背後後方・・・右のずっと向こう・・・近付いている・・・さほど速くない・・・》

 

 尚も、間。

 デスの認知した三方向より、球形の、ぼんやりとした光。

 樹々の間を縫い、フヨォ・・・と怪し気にぶれながら飛来してくる。

 ほぼ同時に、デスの見える範囲に姿を現す3つの浮遊体。

 スイッ、と顔を上げて素早く目配せし、視界に補足するデス。

 いずれも直径50センチほどの全景。怪し気な光を纏って、輪郭がぼやけている。

 1体は、橙色の球形。黒い目玉に、両端まで裂けて笑った口。

 1体は、薄い青色の球形。垂れた黒い目玉に、両方が極端に下がった口。

 1体は、灰色の球形。骸骨の面体。

 3体とも、顔だけが空中に浮かんだような形状をしている。

 それらが、フヨ、フヨ、と樹の幹と枝葉の間隙を、デスを取り巻く動きで周回する。

 

デス《砲弾? 違う! この軽く怪しい動き!》

 

 デス、右手に下げた大鎌を、スチャッ、と正面に構える。

 眼は忙しく、浮遊体の動きを捉え続けている。

 未だ一定の距離を置き、接近して来ない。

 3体とも、寒気のする気配を発し続けている。

 

デス《化け物か・・・今までマジカルランドにはいなかった・・・攻撃の意志がある・・・迎撃出来るか?》

 

 スイーッ・・・と急上昇した橙色の球体、デスの真上に移動する。

 顔らしき面を真下に向け、裂けた口を、クワァッ、と開く。

 すっ、と顔を上げて、それを目にするデス。

 

デス《あの“紫の影”と同質・・・(ふっ、と笑い)なら、斬れる!》

 

 ギュンッ!と急降下してくる橙色の球体。

 デスの大鎌が、音もなく弧を描く。

 瞬時。

 橙色の球体、ザシュウッ!と、一刀両断される。

 ヒィアァァァ・・・と悲鳴のような残響を立て、霧のように掻き消される球体。

 それを目の当たりにして、ビクウッ!と宙に停止する他の2体。

 ゆら、と身体を返して、薄い青色の球体の方向を向くデス。

 直後。

 デス、残像を置き、フッ・・・と瞬間移動したように、薄い青色の球体の後方に出現する。

 振り返って面をデスに向けようとする、球体。

 だが完全に顔を向ける前に、デスの大鎌が空を薙ぐ。

 ゾン! ヒャアッ・・・と、裂空音と鳴き声が続けて起きる。

 残る1体、灰色の骸骨面の球体、急加速してデスに接近する。

 骸骨の口の部分を、グワバッ、と大きく開けて襲い掛かる。

 途端。

 デス、左手を、バッ!と球体に真っ直ぐ伸ばし、指を大きく広げて掌を翳す。

 ピタッ、と突然宙に停まる灰色の球体。デスの1メートルほど手前。

 骸骨の面の口が、閉じられる。

 目の前に伸ばされたデスの左手五指の間隙越しに見える、紅玉のような眼。

 その中心の瞳孔が、猫の眼のように縦に細くなる。

 灰色の球体、怯えたようにガタガタと震え出す。

 

デス「(冷酷な声で)ほお・・・あたしがどういう存在か、解るようだな」

 

 グルン、と反対に回転し、ギュインッ!と急に動き出す灰色の球体。

 明らかにデスから離れ、逃走しようとしている。

 刹那の、後。

 シュッ・・・と加速方向の正面に姿を現すデス。

 恐怖に歪み始める、骸骨の顔。

 次の瞬間、右手に下げたデスの大鎌、下方から宙を劈く。

 ゾイン! ギャアアッ・・・と続け様に起こる、斬撃音と悲鳴。

 雲散霧消する、灰色の球体。

 沈黙。

 そして、静寂。

 静寂。

 大鎌を振り切った身体を元に戻し、最後の球体が消えた空間を睨むデス。

 そして、すいっ、と左手親指で首を刈る動作をする。

 

デス「(凛とした声で)・・・舐めるなよ」

 

 デス、大鎌を左手に持ち替えて、左肩に掛けて、森の道を神殿へと移動を再開する。

 

 

★ 神殿

 

 神殿に到着したデス、裏庭に面している通用口から建屋内に入る。

 そのまま廊下を進み、ハイエロファントの居室横の小部屋まで来る。

 扉の取っ手を掴もうとした直後、デスの耳に話し声が聞こえる。手を止める。

 そのまま、じっ、と扉を見たまま、眉を顰める。

 

デス《来客中?・・・ふたり、居る。聞いたことのない声だ。それに、マジカルランドではこの気配は感じたことがない・・・(一度両目を閉じ、暫くして開き)魂も、質が違う。誰だ?》

 

 やや躊躇いながらも、息を殺すような仕草で右手を上げるデス。

 一瞬、左肩の大鎌に目をやる。

 そして、コン、コン、と間を空けて扉をノックする。

 

ハイエロファント(扉の向こうから)[どうぞ、入ってきて]

 

 一度頷き、カチャリ、と扉を押して、足を踏み出すデス。

 

 

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