デスとハイエロファントの物語:REBOOT 最終章 作:桁石スミオ
タイトルは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲、教会カンタータBWV195「光は義しき人のために射し出で Dem Gerechten muß das Licht」より。
登場人物:「マジカルドロップ」シリーズより、デスとハイエロファント、ヤング(リトル)・フォーチュンとタワー、ワールド、マジシャンとハイプリエステス、エンプレス、ジャスティス、ストレングス親子、ガオガオ、エンペラー。「ゴーストロップ」「マジカルドロップV」より、ブルース、マッコイ、マッシュマン。
注:台本形式読み物です。残酷な表現アリ。
同一内容を、下記サイトにも掲載しております。
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【挿絵表示】
デスとハイエロファントの物語:REBOOT
【 最終章第四話の弐:光は、義しき人の為に射し出で(後編) 】
★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城・中庭・タワーの内部
中庭で戦闘態勢を取っていたタワーの、腹部バルコニーから扉を挟んだ内側。
煉瓦が剥き出しのままの造りとなっている、小部屋。
部屋全体が仄かな灯りを発している。
その中央に立ち、両脚を肩幅に広げ、真上を向いているフォーチュン。
フォーチュン「聞くのじゃ、タワー。今から最終兵器を使う。この一撃に全霊力を投入せよ。わらわも全霊力と全魔力を出す。今まで以上に負荷がかかるやも知れんが、何とか耐えてくれまいか?」
タワー(頭上から)[シンパイ、ナイ・・・フォーチュンサマ、ゼンリョク、ワタシ、モ、ゼンリョク・・・ウケトメル・・・」
フォーチュン「(微笑んで)頼りにするぞよ・・・これからも、な」
フォーチュン、顔を戻し、きりっ!とした凛々しい顔。
そして、眉を綺麗な流線形に成し、真剣な眼差し。
フォーチュン「(腹の底からの声で)『タワーブラスター』! 起動じゃ!」
ブゥン・・・と、フォーチュンの足元が、白金色に発光する。
更に、小部屋の床の煉瓦上に、赤褐色の魔法陣が自動的に描かれる。
魔法風が湧き上がり、フォーチュンのツインテールの髪を、ふわっ・・・と持ち上げる。
★ 荒野
天空の皆既月蝕、もう半時を待たずに天頂に辿り着く位置。
広大な、焦げ茶色の剥き出しの土が延々と続く、荒野。
今も、デスとハイエロファント、マッシュマンとの戦闘を続行中。
マッシュマンは、地上から5メートル付近を、ほぼ固定の空域で魔法を発動している。
デスは、マッシュマンを中心とした直径200メートルの円周軌道を全力疾走。
彼女は時に、疾駆の勢いそのままに急接近し、地を蹴り、何度も跳んで攻撃。
ハイエロファントは、デスの頃合いを見計らって技を仕掛ける。
彼は同時に、マッシュマンからの魔術をすべて防御している。
二十数回目かのデスの斬撃を喰らい、失った右腕を、ズボシャッ!と復活させるマッシュマン。
着地して、こちらの様子を窺うデスを、憎悪に満ちた目で睨む。
マッシュマン「無駄ゾ無駄ゾッ! いい加減諦めたらどうだ!? 皆既月蝕に気付いたことがあろうと、今更何が出来るというのだゾ!? 足掻くな! 抵抗などせず屈服しろ! 貴様らがこの“恐怖の大王”を倒すことなど叶わぬことゾ!」
身体を返し、大鎌を正面に構えてマッシュマンを見上げるデス。
デス「・・・まだ、届いてない」
マッシュマン「(怪訝そうに)何ィ?」
デス「未だにあたしの大鎌は、お前の首に届いてないんだ。腕にも胴体にも届いた。そして再生されている・・・だが首を刎ねられたらどうだ? それでも尚、お前は存在し続けられるのか?」
マッシュマン「(苦虫を噛み潰したような顔で)・・・意味の解らんことをッ!」
デス「そうか・・・なら・・・(深い声で)覚えておけ」
デス、大鎌を垂直に持ち直し、その柄の向こうからマッシュマンに鋭利な目線を送る。
紅の両眼が、すっ、と左右に切れるように細くなる。
デス「(凛とした発声)あたしの名は、デス。首刈りの運命を負った、マジカルランドの死神だ」
マッシュマン「だから何ゾォッ!」
マッシュマン、右腕を振り上げ、ボウ、と火球を発生させる。
間髪入れずそれを、ブンッ!と叩き付けるように投げ落とす。
直後。
バッシュウッ!と、純白の光槍が飛んでくる。
マッシュマンの右掌から放たれた火の玉が、ボフゥン!と瞬時に撃墜される。
空間を焦がし、爆煙と火の粉が舞い踊る。
無傷のデス、即座にハイエロファントに視線を繋ぐ。
右手に握ったバクルスの先端を、マッシュマンに向けて半身で立っているハイエロファント。
眉を寄せ、真剣そのものの表情。
凄まじく苛ついた顔で、ハイエロファントを睨み付けるマッシュマン。
マッシュマン「(怒り心頭で)貴様も大概小賢しい! 何度もしつこいゾ!」
ハイエロファント「君もそろそろ理解してほしい。僕の力は、君の魔術すべての効果を防ぐ。そして魔術も霊力も、僕には通用しないよ」
マッシュマン「(更に憤怒)生意気を抜かすな! 貴様の術など! ワームホールに吸い込ませればいいだけゾ! いつまで経っても我輩には届かぬゾッ! 倒すことは出来んゾッ!」
ハイエロファント「勘違いしてほしくないんだけど・・・僕の力は、倒す為の力じゃない。“護る”為の力だよ」
ハイエロファント、きっ、と勇ましい眼差し。
そして、彼にしては珍しく、静かながらの重圧感を全身に纏う。
ハイエロファント「(重みのある声で)デスには・・・掠り傷ひとつ付けさせない!」
その横顔をひたすらに見詰め、薄く頬を染めるデス。
嬉しそうな、蕩けそうな微笑みを浮かべる。
ハイエロファント、一瞬デスと視線を絡め、笑みを返す。
それからすぐに、威厳ある雰囲気で、マッシュマンに視界を戻す。
ハイエロファント「名乗りが遅れたね。覚えておいて。(凛とした発声)僕の名は、ハイエロファント。神事を司る、マジカルランドの法王だよ」
マッシュマン、最早感情が安定した様子ではない。
猛烈な立腹をまったく抑えることなく、顔面を崩壊させて感情を爆発させる。
マッシュマン「(激怒)揃いも揃って! 我輩をどこまで愚弄すれば気が済むのだゾォッッッ!!!」
ブワッ、と両腕を真上に振り翳し、五指を全開にするマッシュマン。
右掌から電撃の球、左掌から火炎球を生み出す。
ハイエロファント、バクルスを軽く上下に振る。
自分とデスを含めた空間に、ブゥン・・・と半透明の光の壁を起立させる。
それにも関わらず発動する、マッシュマンの魔術攻撃。