デスとハイエロファントの物語:REBOOT 最終章   作:桁石スミオ

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最終章第四話の弐:光は、義しき人の為に射し出で【後編】-2

★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城・タワーの内部⇔中庭

 

 タワーの内側小部屋、床は白金の光を放ち続けている。

 足元に描かれた赤褐色の魔法陣が、ブゥン・・・と鮮やかな朱色の魔法光を発現。

 陣の中心で、ふわ・・・と、10センチほどの高さに浮上するフォーチュン。

 両腕を斜め前方の下に向けて、左右の五指をすべて広げている。

 両瞼は閉じられ、陶酔しているような、艶っぽい表情。

 

フォーチュン「(快感を覚えている声色で)タワー・・・わらわのすべてを、そなたの中に・・・注ぎ込む・・・受け止めよ・・・」

タワー(頭上から)[ター・・・ワー・・・]

 

 中庭、タワーの外装。

 煉瓦と煉瓦の隙間に、薄青色と橙色の霊力光が、列の交互に湧き上がる。

 それが、キュルルルルルル・・・と高周波音を立てながら、タワーの頭頂部に遡る。

 2色の霊力光に混じって、赤黒い魔術の光が次々と滲み出て、それも他の光と共に昇っていく。

 突然、ガコン!と頭部バルコニー床が凹み、門戸を開ける如く動作する。

 上空から見ると、タワーの頭頂部が巨大な筒状、砲門の様相。

 煉瓦の最頂に辿り着いた光の筋は、バルコニーの縁を乗り越え、内側へと潜る。

 タワーの体表面を上昇していく3種の光は、頭上の中に反転して、スルッ、と入っていく。

 彼の身体全体に、脚の方向から頭へと繋がる、光の線の格子模様が描かれている。

 その様は、煉瓦の間を利用した阿弥陀籤のよう。

 タワー内のフォーチュン、目を閉じたまま顔を上げ、恍惚とした微笑み。

 

フォーチュン「(融けそうな表情)良いぞ・・・その調子じゃ・・・」

 

 中庭、タワーの頭部。

 体表を連続して昇る光、上部に口を開ける砲身に飛び込んでいく。

 幅広い筒の口径から奥、底の部分に一気に蓄積されていく3種類の光。

 薄青、橙、赤黒が渦を巻き、混ざり合わずに幾層もの色彩を構成。

 すべての光が、圧力さえ感じさせる。

 

タワー「・・・ジュウテンリツ・・・50・・・・」

 

 キュンキュンキュン・・・と音を高め、更なる加圧をされていく光塊。

 タワー、ズウッ・・・両足を大きく左右に広げ、ズン・・・と腰を落とす。

 さながら、力士が摺り足の稽古をするような、構え。

 両腕は肘を腰の辺りに付け、90度ほどで曲げ、拳を固く握る。

 その間も、霊力光と魔術光の遡りと流入はずっと続く。

 一層膨れ上がる、光の充填。

 その音が、キュンキュン・・・ギュンギュンギュン・・・と、重厚感を伴ってくる。

 タワー内部、床の白金色の発光が一際大きくなる。

 部屋自体はタワーの態勢で傾いているが、浮かんでいるフォーチュンには影響なし。

 すーっ・・・と、彼女を両腕が正面まで上がる。眼を瞑り、五指は広げたまま。

 

タワー(頭上から)[・・・ジュウテンリツ・・・80!]

フォーチュン「対衝撃魔法陣! 対閃光防御魔法陣! 展開!」

 

 中庭、タワーの周囲。

 庭全体に、ブオーンッ・・・と半径30メートルほどの、緑色に輝く魔法陣が出現。

 続いて陣の縁から、シュオーン・・・と、光の壁がそそり立つ。

 更に、タワーの頭上10メートルほどの中空に、薄褐色の魔法陣が現れる。

 こちらは、ブンブンブンブン・・・と徐々に範囲を拡大し、これも半径30メートルほどの円。

 薄褐色の陣を通して、皆既月蝕が一層ぼんやりと見える。

 最終的に、頭上と足下の魔法陣を繋ぐ光壁とで、タワーを中心として巨大な円筒形を成型する。

 タワー砲身への光の蓄積は、激しくなっていく。

 流れ上がる3種の光は加速し、量も凄まじくなり、砲門の縁まで達する。

 ギュンギュン・・・ギュギュギュギュギュ!と、破裂しそうに圧を高める光の渦。

 タワー内部の小部屋。

 眉を、きゅっ、と寄せるフォーチュン。

 

タワー(頭上から)[・・・ジュウテンリツ! 100!]

フォーチュン「照準望遠! 開け!」

 

 カッ!と見開かれる、フォーチュンの両眼。

 すると、彼女の顔の斜め上1メートルほどに、ブオン・・・と黒い円盤が発生。

 直径50センチほどの、黄色い十字の線が描かれた、小さな魔法陣。

 フォーチュン、両掌を重ねて真っ直ぐに腕を伸ばし、陣の中心、線が交わる点に向ける。

 黒い円の内側には、夜空が投影されている。

 腕をゆっくりと上げていくフォーチュン。すると、小魔法陣も、内側の映像も合わせて動く。

 中庭、タワーの身体。

 ゴゥン・・・と彼の上半身が稼働し、頭頂の向きを変える。

 大きな砲身の芯の付近が、仰角85度ほどの皆既月蝕に軸線を重ねていく。

 そして、砲塔内の光の充填、今にも零れそうなほど。

 ギュギュギュギュギギギギギ!と、蓄積圧力限界近くの勢い。

 タワー内、フォーチュンの表情、真剣。

 ほぼ真上に振り上げた腕と掌の先、照準魔法陣の中心に拡大されている、皆既月蝕の像。

 黄色い十字線の交点が、月の中心点に重なる。

 部屋の中まで響いてくる、ギギギギガガガガガ!という、最早爆発寸前の臨界に達する音。

 フォーチュンのこめかみに、つう、と汗が流れる。

 皆既月蝕に向けた視線を、きっ、と一際引き締める。

 

タワー(頭上から)[(気迫の声)ジュウテンリツッ! 120ッ!]

フォーチュン「(大発声)放てえぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

 

 中庭、タワーの頭上の砲口から、クワアアアアアアアアアッッッ!!!と光球が膨れ上がる。

 直後。

 目も眩む、閃光。

 フォーチュン城空域を、瞬時に白金色に満たす、

 ドッッゴオオオオオオオオオオオッッッンンン!!!と、大爆裂音。

 タワーの頭部を砲身とした、光の柱が射出される。

 それは砲門から湧き出て拡大し、直径5メートルほどの太さを形成し、天空に昇る。

 薄青色、橙色、赤黒色が螺旋状に絡み合い、空気を叩き壊す勢い。

 白金の光輪を幾重にも纏い、周囲に広げながら、垂直に近い角度で上昇。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ・・・・と轟音を奏で、天頂へ、ひたすら天頂へと駆け上がっていく。

 光柱が伸びていく元で、タワーの周辺には魔術の白煙と光の粒が空間を埋めていく。

 それはまるで、ロケット発射の如き光景。

 

★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城

 

 尚も上がる、光の砲撃。

 更に、上昇。

 それは明光の範囲を拡大させ、フォーチュン城を夜の闇に浮かび上がらせる。

 

 

★ 森の道

 

 突然の夜明けの如く、パアアアッ・・・と視界を開けさせる森の道。

 

 

★ 森林地帯

 

 マッシュマンの火炎魔法で焼失した樹木が、上空に現れた光源により、照らされる。

 その風景が、明るくなった周囲とのコントラストでくっきりと映像化される。

 焼け残った樹々の梢と葉が、ざわっ・・・と何かの圧で揺れる。

 

 

★ 荒野

 

 魔法攻撃をしようと、右腕を振り翳したマッシュマン。

 突然。

 空気を震わす振動と、得体の知れない力を感じ、ハッ!と振り返る。

 背後の遥か彼方、山ひとつ越えた向こうに、急上昇していく光の柱を確認。

 

マッシュマン「(驚愕)何だあれはッ!?」

 

 天の頂きに座る皆既月蝕に、真っ直ぐに向かっていく、白く猛々しい光線。

 高度を上げていくに従って、地上と空を輝きで溢れさせていく。

 可視範囲の峰々、森林、大地が昼間のように明るくなり始める。

 まるで、太陽が垂直に昇るが如き。

 余りの眩しさに、顔を背けて両手で顔を覆うマッシュマン。

 対峙しているデスとハイエロファント、天空に延々と伸びていく白色光を、目を細めて眺める。

 

ハイエロファント「(感嘆しつつ)凄い・・・僕の力とは別の、光・・・」

デス「(息を飲みつつ)あれは・・・フォーチュンとタワーだ・・・」

ハイエロファント「(デスを見詰め)そうなの?」

デス「(ハイエロファントを見詰め)ああ・・・ふたりでしか成し得ない、大技だ・・・」

 

 遂に、荒野全域が、晴天の正午と同じほどの光量で満たされる。

 未だに延伸する、長く巨大な光の柱。

 天頂に近い皆既月蝕と大地とを、一本の連結した線で結合させる。

 

 

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