デスとハイエロファントの物語:REBOOT 最終章   作:桁石スミオ

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最終章第二話の壱:怖ろしき終わり、汝らを引き攫う【前編】-3

 ずっ、と椅子を後方に引き、腰を上げるハイエロファント。

 静かな歩調で回り込み、ブルースとフォーチュンの座る座席の間、テーブル角付近に立つ。

 

フォーチュン「念の為、一番容量があるカードが良いであろうな。『カップ』のエースがいいじゃろ」

ハイエロファント「(一枚のカードを右手に持ち)これ、でいいのかな?」

フォーチュン「そうじゃ。頼むぞ」

 

 ハイエロファント、図柄の下方に『ACE of CUPS.』と記載された札を差し上げる。

 自分の正面に、右腕を真っ直ぐに伸ばして掲げる。

 

ハイエロファント「(すう、と息を吸い)『カップ』のエース!」

 

 途端。

 カードが一瞬力強く白い光を放ち、その光は、クワッ!と球状に膨れ上がる。

 そして、パシャーン!と、四方に弾けるように拡散する。

 ハイエロファントの手の先、卓上の空間に、巨大なカップが出現。

 直径30センチほど、高さ50センチほど、盃の部分でも25センチ以上の厚み。

 虹色の色彩を放つ金色で、トロフィーと見紛うばかりの持ち手と装飾、紫と青色の宝石が幾つか埋まっている。

 それは出現後、全員が凝視する中でゆっくりと卓上に着地していく。

 

マッコイ「(サングラスの奥の眼を輝かせ)おおーッ! スッゲー! でっかいカップが出た!」

ブルース「(サングラスの奥の眼を輝かせ)・・・しかも神々しい作りです。何とも素晴しい!」

フォーチュン「(不思議そうに)・・・妙じゃのう。カードの図柄と若干違いよる。色は金色で一緒じゃが、もっと単純な作りじゃった筈・・・持ち手などなかったし、宝石など埋まっておらんかった。装飾もここまで立派では・・・(一枚のカードを取り)『カップ』のクイーンほどではないが、まるで別物じゃ」

デス「(少し考えて)もしかしたら、ハイエロファントの力が影響したんじゃないか?」

ハイエロファント「うーん・・・(眉を僅かに寄せ)変質してなければいいんだけど・・・」

ブルース「とにかく、霊力を抽出してみましょう。(自分のバックパックを卓上に乗せ)お願いします」

ハイエロファント「(フォーチュンを見て)いつもは、どうやって力を取り出してるの?」

フォーチュン「対象物から、こう、(右手をUの字に、上→下→上に返し)水を掬って、汲み出す感じで動かしてみよ」

 

 頷いて、大きなカップを両手で持ち上げるハイエロファント。

 ズシ、と想像以上の重量に、一度奥歯を噛む。

 ハイエロファント、すう、と息を吸って、カップの盃側を卓上のバックパックに翳す。

 そして、右側上方からバックパック近くを掠めるように、水を汲む動作を行う。

 そのまま左側に振り抜きながら、スイッ、と盃側を上に向ける。

 直後。

 チャプン・・・と、液体が波打つ音が、全員の耳に届く。

 思わず保持したカップを覗き込むハイエロファント。

 息を飲む。

 

ハイエロファント「(驚いて)水みたいな液体が入ってます!」

フォーチュン「(感心して)ほお、これは・・・透明じゃな。魔力を『カップ』で汲み出した時は、何かしらの色が着いている液じゃったぞ。火の魔力は薄い橙であったし、闇属性は燃えるような朱色じゃった。このような無色透明は、初めて見るぞよ」

ブルース「これは・・・(ゴク、と唾を飲み)霊力です。それも非常に純度の高い」

マッコイ「(パン!と両掌を叩き合わせ)よっしゃ! 第一段階成功だぜ!」

 

 ふーっ、と同席者一同ほとんどが同時に長い息を吐く。

 デス、柔らかい微笑でハイエロファントに眼差しを結んだまま。

 

ブルース「引き続き、第二段階へ移行しましょう。残りのカードを、元のケースに収納します」

 

 ブルース、一度広げた55枚を手早く纏め、コンコン、と叩いて揃え、ケースに収納して蓋を閉じる。

 

フォーチュン「それで良い。(ハイエロファントに視線を向け)ではエロファント、水を注ぐようにじゃ、そいつを上から掛けよ」

 

 こくり、と頷き、両手で持ったカップを、カードの木箱目掛けて静かに傾けるハイエロファント。

 音もなく、満たされていた液体が、帯を成して流れ落ちる。

 透明な液が、ケースに当たる。しかし、周りのテーブルを濡らすことなく、カードケースに浸み込んでいく。

 ハイエロファント、それを確認し、カップの傾斜を大きくする。

 加速していく流液。

 

マジシャン「(やや驚いた目線で)すべて、吸い込まれていく・・・魔力を移す時と同様であーるな」

エンペラー「(ゴクン、と唾を飲み)ホント、前に使った時とおんなじ・・・これでカードで霊力を使えるよーになる、ってコトね・・・」

 

 底が可視出来るほどに、カップの盃の角度を据えるハイエロファント。

 最後の一滴が、スウッ、と内面を這い、木箱に落下する。

 

ハイエロファント「(ふう、と息を吐き)終わったよ。(カップが、シュイン!と消え)あっ!」

 

 一瞬で消失する巨大なカップ。

 ハイエロファントの手元に、僅かに霞のようなものが漂って、それも即座に消滅する。 

 

デス「そうか、『小アルカナ』は役目を果たすと一度消失するのだったな」

ハイエロファント「(デスを見詰め)そうだったね。久し振りに見たんで、ちょっとびっくりしたよ」

フォーチュン「(ブルースを視界に映し)カードをもう一度広げて、確認してはくれまいか?」

ブルース「(首を上下に振り)判りました。では・・・」

 

 カパ、とケースの蓋を外すブルース。

 ブルース、木箱を傾け中身のカードをすべて出し、図柄を上にして鮮やかな動作で扇状に広げる。

 そして、じっ、と集中した目線を走らせる。

 

ブルース「(ニッ、と笑い)完璧です。どのカードにも霊力が備わっています」

ハイエロファント「(安堵の顔で)よかった。第二段階も成功したみたいだね」

マッコイ「そんじゃ、第三段階いってみっか。ええっと・・・(全員を見回して)霊力を移す必要があるのは、俺とブルース、エロファントさんとデスさんを除いた・・・(右手人差し指で、数えて)9人だな」

ストレングス「ガオガオも入ってる?」

マッコイ「(ニヤ、と笑って)もちろん、入れたぜ」

ガオガオ「(やる気満々で)ガアウッ!」

フォーチュン「タワーも数に入れてくれまいか?」

ブルース「失礼、そうでしたね。ではタワーさんを含めた10名、使用カードは10枚、残り13枚ですから3枚は予備に出来そうです。皆さんに装備品を出してもらって、順に霊力を移動していきましょうか」

フォーチュン「つかぬことを聞くが、霊力が備わっておる物は、誰が使っても霊力を使えるのか?」

ブルース「(頷いて)ええ、基本的に誰でも。そのアイテムを使い慣れている方なら、更に確実です」

フォーチュン「(ハイエロファントに目線を向け)エロファント、後はわらわがやってみる。ご苦労じゃった」

ハイエロファント「(柔らかく微笑んで)お役に立てれば、何よりだよ」

 

 起立していた場所から、先程まで座っていた椅子に歩みを進めるハイエロファント。

 ずっと繋がれているデスの眼差しに出迎えられ、彼女と笑顔を交わしながら座る。

 テーブル長手方向に真っ直ぐ顔を向け、右手を掲げるフォーチュン。

 

フォーチュン「(意気高く)皆! 霊力を込める装備品を卓上に置け! 時短じゃ、一辺に片付けるぞよ!」

エンペラー「(驚いて)そんなコト出来るのん?」

フォーチュン「(にっ、と尊大そうに笑い)わらわを誰と思うとる? まあ見ておれ」

マジシャン「(ブルースに視線を向け)魔術使いだが、何を出せば良いかな?」

ブルース「(マジシャンを見て)そうですね・・・その額のヘアバンドがよろしいかと」

ハイプリエステス「あたくしは何がいいざましょ?」

マッコイ「(ハイプリエステスを見て)そうだなぁ・・・ネックレスがいいかも知れないな」

ストレングス(父)「オレとムスメは、この腕輪だヌァ!」

ストレングス「(嬉々として)そうだねっ!」

ガオガオ「(不安げに)ウガ・・・ガウゥ・・・」

ストレングス「(ガオガオに視線を繫げ)あっ! そっか! ガオガオは何も着けてないんだった! (ストレングス〈父〉を見て、心配そうに)とーちゃん! 何かないかな?」

ストレングス(父)「(キョロキョロ、と室内を見回し)ヌオォ・・・困ったズォ・・・」

 

 途端、すいっ、と柔らかな物腰で椅子から立つハイプリエステス。

 両手を首の後ろに回し、ネックレスを外して、ガオガオの前の卓上に置く。

 

ハイプリエステス「ガオガオさんには、このネックレスをお渡しするざます。闘いが終わったら戻して下さいね」

ガオガオ「(嬉しそうに)ガウォッ! ガウ!」

マジシャン「しかしそれでは、プリエステスの霊力アイテムは何か別のを装備しないと・・・」

ハイプリエステス「フォーチュン、まだ『カップ』のカードは余裕あるざますね?」

フォーチュン「それは大丈夫じゃが・・・母上、何に霊力を込めるつもりじゃ?」

ハイプリエステス「あたくしには・・・(バッ、と辞典を取り出し)これがあるざますっ!」

 

 直後。

 フォーチュンとマジシャン、白色化。背景が黒に暗転。

 【効果音】チーン・・・という、仏壇の鐘の音。

 目が点になったまま、表情が無となるフォーチュンとマジシャン。

 

フォーチュン「(呆然として)・・・ちなみに・・・どう攻撃するつもりじゃ?」

ハイプリエステス「(ふん、と鼻息をついて)もっちろん! (辞典を振り上げて)辞典クラッシュざますっ! (ブオン!と辞典を振り下ろし)おおりゃーっ! ざますっ!」

 

 フォーチュンとマジシャンだけ、沈黙。

 沈黙。

 気合を入れて何度も辞典を素振りしているハイプリエステス。

 ただただその姿を、点となった眼で見詰め続けるフォーチュンとマジシャン。

 

フォーチュン「(虚ろな声で)・・・母上は本気じゃろうか・・・」

マジシャン「(虚ろな声で)・・・本気も本気、やる気満々であーる・・・」

フォーチュン「(抑揚のない声で)父上・・・母上を頼むぞよ・・・」

マジシャン「(抑揚のない声で)任せておけ、であーる・・・」

 

 エンプレス、鞭を取り出してテーブルの上に置く。

 ジャスティス、椅子の後方に寝せてある鞘から、大剣を抜いて卓上に横置きする。

 

エンプレス「(ジャスティスに目線を投げ)アタシら武器持ちは、こういう時に苦労しないねぇ、ジャス子」

ジャスティス「(エンプレスに視界を向け)そうだね。闘う為、だからね」

エンペラー「(右手を挙手して)アタシ武器持ってないケド、何出せばいいの?」

フォーチュン「そうじゃな・・・(暫く思考して)王冠、と言いたいとこじゃが、そなた、ストレングス親子のように素手で闘う武闘派ではないからのう・・・(左掌を右拳で、ポン、と打って)そうじゃ! エンペラー、そなたは『小アルカナ』をそのまま使うがよい。『ソード』『ワンド』ならゴーストに太刀打ち出来るであろう。一通り段取りが終わったら渡してやるぞよ」

エンペラー「(思わず息を飲んで)ウエッ! 『小アルカナ』!?」

フォーチュン「不服ではあるまい? そなたは以前、使いこなしておったからのう。経験があるから託すのじゃ」

エンペラー「(オドオドした様子で)いや、そうなんだケド、ちょっと、その・・・」

 

 エンペラー、怯えたような目線をデスとハイエロファントに向ける。

 暫くして、まずハイエロファントがエンペラーを視界に入れ、それからデスに視線を移す。

 デス、眼前のテーブルに視線を投げたまま、動かず。

 暫くの、間。

 尚も、間。

 他の同席者が、卓上に漂う妙な緊迫感を感じ始める。

 やがて、ふうう、と長めの吐息を継ぎ、顔を上げるデス。

 

デス「(エンペラーに目線を返し)闘う意志があるなら使えばいい。気遣いなど無用だ」

エンペラー「(ムッ、として)誰が気ィ遣ってんのよッ! (素早く腕組みをして、胸を張って)判ったわ、やってやるわよッ! 『小アルカナ』貸してもらうわッ!」

フォーチュン「(にっ、と笑い)その意気や良し!」

 

 フォーチュン、両方の髪、ツインテールの部分に浮いている黄色いリングを、すいっ、すいっ、と外す。

 

フォーチュン「わらわは両髪のリング、でよいな。上位カードはとっておくか。エンペラーの分は『小アルカナ』を直接使うから不要、タワーの分は別にして、取り敢えず2から10の9枚で・・・キングは容積が大きいからタワーに使えるじゃろう」

 

 カタン、と2本のリングを卓上に置くフォーチュン。

 それから、すっく、と立ち上がり、椅子を後方に引いて立つ場所を拡げる。

 

フォーチュン「(一同を見渡し)皆、装備品は置いたようじゃな。では、まずカードの実体化じゃ」

 

 フォーチュン、既に扇形に広げられたカードの中から、素早く目を走らせ、9枚を右手に取る。

 それを一旦、チャッ、と扇子のように広げて持つ。

 

フォーチュン「(凛とした声で)『カップ』の2から10! ストレート!」

 

 発声と同時に、右手を左から右へと、宙を水平に振り抜くフォーチュン。

 9枚のカードは、フォーチュンを中心とした等間隔の扇状に、空中に留まって展開される。

 次の、瞬間。

 シュバシュバシュバッッ!!!と、連鎖を起こして黄白色に光り、破裂したように実体化するカードの図柄。

 あっという間に、空中に並んで浮遊する54個の聖杯。

 大小様々で、個々は素朴な作りだが、すべて金色で、深い力を秘めているような輝き。

 フォーチュン以外の全員が、驚嘆したような色彩を帯びる。

 

マッコイ「(感動して)うおー! スゴ過ぎるぜー!」

ブルース「(暫く絶句して)・・・見事過ぎて言葉が出ません」

エンペラー「(ハァァ・・・と溜め息を吐いて)知らなかったわ。こんな使い方があったなんて・・・」

フォーチュン「勉強になったであろう? よく覚えておくとよい。しかし・・・(浮いたカップのひとつを見詰め)やはり図柄と同じじゃ。エロファントが実体化した時だけじゃのう、あの豪勢な『カップ』は」

デス「段取りは順調にいってるんだろ? 先に進めた方がいい。事象の検討など、後からでも出来る」

フォーチュン「それもそうじゃな。では、進めるとする」

 

 ハイエロファント、少し上半身を傾けて、デスに寄る。

 デス、反応したように、上半身を傾けて、ハイエロファントに寄る。

 

ハイエロファント「(小声で)やっぱり『聖なる力』が、具現化への反作用を起こしているかも知れないね・・・」

デス「(小声で)悪影響を及ぼしている訳ではないだろ。問題ない。それに関して、あくまであたしの予感なんだが・・・(更に声を潜め)後から理由が解るような気がしてならないんだ」

ハイエロファント「(更に声を潜め)僕の力との関連性?」

デス「(忍び声のまま)ああ。とにかく今は、先に進めてもらおう」

 

 マッコイに目線を投げるフォーチュン。

 

フォーチュン「すまぬが、そなたの背嚢も貸してくれまいか?」

マッコイ「オッケー、これだけ『カップ』が揃うと回転が間に合わないからな。(椅子の横のバックパックを、ドサ、と卓上に乗せ)好きに使ってくれ」

フォーチュン「助かる。では・・・(すう、と短く息を吸い)参るぞよ!」

 

 両掌を掲げ、一度瞼を閉じ、口元を結ぶフォーチュン。

 直後。

 カッ!と見開かれた瞳に続いて、フォーチュンの両腕が返る。

 同時に、急激な速度で順番に動き出す、宙に浮かんだカップ。

 そのひとつひとつが、すべてバックパックを掠めて、水を汲み取るような動作。

 そしてカップが、なみなみと透明な液体となった『霊力』を満たし、テーブルの上を滑らかに飛ぶ。

 フォーチュンの両腕が忙しく、まるで楽団の指揮者のように前後左右を激しく薙ぐ。

 飛来していくカップは、『霊力』をアイテムに注ぎ込むと、次々に消滅する。

 連続して飛び交う、54個の聖杯。

 フォーチュン以外の全員が、感動と驚嘆の目を向けている。

 そして。

 最後のひとつが、フォーチュンのリングに仕事をし、霞のように散って消える。

 暫しの、間。

 フォーチュン、ゆっくりと両腕を体側に下ろし、ふう、と短い息を継ぐ。

 

マジシャン「(感嘆したように)ここまで魔術具を使いこなすとは・・・流石は我々の娘」

ハイプリエステス「(感嘆して)鮮やかざます・・・凄いざます・・・流石、あたくしたちの娘ざます」

ブルース「霊力は確実に移動されています。漏れはありません。第三段階、終了です!」

ジャスティス「(嬉々として)それじゃあ! ボクたちもゴーストと闘えるようになったんだね!?」

マッコイ「(ニッ、と笑い)そーだぜ! 霊力移動ミッションコンプリート! ってなワケだ!」

 

 途端。

 わっ、と期せずして歓声。そして拍手が湧き起こり、室内に鳴り響く。

 満足気な笑みで、大きく首を縦に振るフォーチュン。

 デスとハイエロファント、互いに眼差しを絡め合い、同時に頷く。

 少しの間、安堵の空気に包まれる客間。

 こほん、と軽く咳払いをするフォーチュン。

 再び注視の目線が、彼女に集中する。

 

フォーチュン「では、仕上げと参ろうか。わらわはタワーに『カップ』で霊力を授けるのと、『ペンタクル』の結界を一緒に施術してくる。タワーの身体の大きさを考えると・・・(2枚のカードを取り出し)『カップ』のキングと『ペンタクル』の10が良いかな。(更にもう1枚引き)わらわの結界も同時に張ってくるか。『ペンタクル』の2でよかろう。(顔を上げて、全員を見渡し)タワーの元に行くので一度座を外すが、その間にやってほしいことを、(マジシャンに視線を結び)父上に頼みたいのじゃが」

マジシャン「何かな?」

フォーチュン「残る12枚の『ペンタクル』で、ここの者全員に結界を施術してもらいたい。カードを対象者に持ってもらい、カード名称を当人に唱えてもらう・・・それで術は発動する筈じゃ」

マジシャン「対ゴースト用の防御結界、であーるな? (大きく頷いて)判った。この天才魔術師に任せておけ」

エンプレス「(フッ、と苦笑いし)自称、じゃないかい?」

ハイプリエステス「(屈託のない笑顔で)自称でも詐称でも、マジシャンさんはやる時はやるざますよ」

ジャスティス「(ジト汗で)うわぁ、援護になってない」

マッコイ「(ニッ、と口角を上げ)フォローし切れてない、ってトコかな?」

ブルース「ところでその防御結界ですが、私とマッコイも含めて、ということですか?」

フォーチュン「(頷き)そうじゃ。枚数はあるので、施術しておくに越したことはないぞよ」

ブルース「(笑顔で)これはありがたい。霊力をベースにした結界であれば、ゴーストの『憑依』を防ぐことが出来るでしょう。いつもの我々は、常に『憑依』の危険性と隣り合わせです。結界を身に付けられるのでしたら、こんなに頼もしいことはありません。安心して闘えます」

エンペラー「(ふと、何かに気付き)そう言や、タワーも武器持ってなかったわよね? 装備してる物もないし」

フォーチュン「何を言うておる。タワーは身体全体が無機物で構成されておるのじゃぞ。(誇らしげな笑みで)全身これ武器、じゃ」

エンペラー「(腕組みをして)なーるほど、逆転の発想、ってなワケね」

フォーチュン「(一同を、ぐるり、と見回し)一時、中座する! 後は頼むぞよ!」

 

 くるっ、と鮮やかに踵を返すフォーチュン。寝室の方の扉に歩を進める。

 その後ろ姿を見送ってから、再び視線を繫げ合うデスとハイエロファント。

 言葉は交わさず。

 ただ、何かを決意したかのような意思を、瞳の中で共鳴している様子。

 

 

【 To be continued...『最終章第二話の弐:怖ろしき終わり、汝らを引き攫う(後編)』】

 

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