デスとハイエロファントの物語:REBOOT 最終章   作:桁石スミオ

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 「マジカルドロップⅢ」「マジカルドロップポケット」「マジカルドロップV」よりデスとハイエロファント主役。本編『しりぞけ、もの悲しき影』以降、及び最終章第二話の壱『怖ろしき終わり、汝らを引き攫う【前編】』以後の、全編の最終章第二話の「後編」として執筆。2020年11月脱稿。ゲーム中に登場しないマジックアイテムが登場し、主軸となっております。
 タイトルは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲、教会カンタータBWV90「怖ろしき終わり汝らを引きさらう Es reißet euch ein schrecklich Ende」より。
 登場人物:「マジカルドロップ」シリーズより、デスとハイエロファント、ヤング(リトル)・フォーチュンとタワー、ワールド、マジシャンとハイプリエステス、エンプレス、ジャスティス、ストレングス親子、ガオガオ、エンペラー。「ゴーストロップ」「マジカルドロップV」より、ブルース、マッコイ、マッシュマン。
 注:台本形式読み物です。流血の表現アリ。

 同一内容を、下記サイトにも掲載しております。
 pixiv:https://www.pixiv.net/novel/member.php?id=323663


【挿絵表示】



最終章第二話の弐:怖ろしき終わり、汝らを引き攫う【後編】-1

デスとハイエロファントの物語:REBOOT

【 最終章第二話の弐:怖ろしき終わり、汝らを引き攫う(後編) 】

 

 

★ マジカルランド中央・フォーチュンの居城・客間(10分後)

 

 客間奥の扉が、ガチャ、と開き、フォーチュンが戻ってくる。

 一仕事終えたような安堵の微笑みを浮かべ、12名が集う卓に歩み寄る。

 室内の視線が、次々と彼女に結ばれ出す。

 

フォーチュン「(マジシャンの背中を見て)どうじゃ父上? 結界施術は済んでおるか?」

マジシャン「(フォーチュンを振り向き)大体は済んだであーる。しかし・・・(デスとハイエロファントに目線を移動させ)デスとエロファントが、施術を断ってな・・・」

フォーチュン「(驚き、やや苛立ったように)何故じゃ!? 何故結界を張らぬ?」

 

 少し肩をいからせ、叱咤する如き目線を、デスとハイエロファントに投げるフォーチュン。

 

デス「(さも当然の口調で)ゴーストと闘った時、あたしが死神であることを連中は悟った。そして酷く怯えていた。あたしがどういう存在か理解出来るらしい。であれば、あたしに『憑依』されることはない」

ハイエロファント「僕の力に、ゴーストたちは近付いてこないんだ。だから、僕にも『憑依』されることはないと思うよ」

ジャスティス「(ふたりに視線を繋ぎ)でもやっぱり、使っておいた方がいいんじゃないかなぁ・・・」

ストレングス「(ふたりに視線を繋ぎ)万が一、ってコトもあるしね」

デス「逆、も考えられる。実際に闘った現状で、ハイエロファントとあたしはゴーストを拒絶出来ていることが判明したが、『ペンタクル』の結界を張ることで、反って出来なくなる可能性だってある」

ハイエロファント「(小さく頷いて)だから、デスと僕に使おうとしてたカードは、念の為に保管しておいてほしいんだ」

フォーチュン「父上、残りの『ペンタクル』は?」

マジシャン「エースとキング、の2枚であーる」

フォーチュン「(ふう、と息をつき、デスとハイエロファントを再度見て)・・・解ったぞよ。じゃが、くれぐれも無茶するでない。危険と思うたら、躊躇なく使え」

 

 同時に、こくり、と頷くデスとハイエロファント。

 マジシャン、残りの『小アルカナ』のカードをすべてケースに収納し、蓋を閉じる。

 それを右手で、スッ、と示し、自分が座っていた元の椅子に歩を進める。

 フォーチュン、カードの木箱に右掌を乗せて立ち、長テーブルの奥のエンペラーに視線を繋ぐ。

 

フォーチュン「待たせたのう、エンペラー。『小アルカナ』を渡す。武器系のカードはまだ未使用じゃ。残りの『カップ』『ペンタクル』と共に、そなたが持っておれ」

 

 台詞が終わった直後、シュイッ!とケースを滑らせて投げるフォーチュン。

 それは一直線にテーブル上を、斜め向かいに一気に、エンペラーの眼前に滑走していく。

 パシイッ!と、押え付けるような動作で、右手で受け取るエンペラー。

 一瞬、安心したような表情になり、顔を上げてフォーチュンと目線を合わせる。

 

フォーチュン「(真っ直ぐな目線で)活躍を、期待しておるぞ」

エンペラー「(ニイ、と口角を上げ)期待されちゃあ、仕方ないわねん」

 

 フォーチュン、一度大きく首を上下に振り、今度はブルースとマッコイを見る。

 

フォーチュン「客人、度々ですまぬが・・・いつもの攻撃に霊力を乗せられるかどうか、幾人かで実践してみたいのじゃ。武器攻撃と魔術攻撃、どちらも試演してみて、確認してもらいたい。出来るかのう?」

マッコイ「(短く頷いて)そーだな、俺たちも見て判断した方が間違いないな」

ブルース「判りました。それでは、霊力を込めた攻撃、実際にやって頂きましょう。(一呼吸置いて、全員を見渡し)ジャスティスさん、お嬢さんのストレングスさん、こちらに出て来て下さいますか?」

 

 ガタ、ガタ、と椅子を鳴らして引き、起立するジャスティスとストレングス。

 ジャスティスは大剣の鞘を背負う。ストレングスはテーブルを回り込み、ジャスティスの横に来る。

 ブルースとマッコイ、続いて椅子から立ち、ふたりに対面して並ぶ。

 

ブルース「いつもの戦闘の構えをして下さい」

ジャスティス「(大剣を、スラッ、と抜き、正眼に構え)これで、いいかな?」

ストレングス「アタイは構えとか特にないケド、(左足を半歩下げ、右拳を顔の前、左拳を腰辺りで握り)こんなカンジかな」

マッコイ「(腕組みをして)オッケーだぜ。そんで、頭ん中で武器や拳に光を出すようなイメージ・・・まあ、色はどっちでもいい」

 

 ジャスティス、両目を閉じる。ストレングス、じっ、と右拳を見詰める。

 ポウ・・・と薄青色に淡く発光し始めるジャスティスの大剣。

 間髪入れず、ポウ・・・と橙色の光を放ち始めるストレングスの拳。

 

ジャスティス「(瞼を開き、感嘆して)ソードが光ってる!」

ストレングス「(目を輝かせて)アタイの拳も! すっごーい!」

ブルース「次に、今光っている色とは別の、オレンジはブルーに、ブルーはオレンジに変えてみましょう。これも頭の中で、その色を出す感じで大丈夫です」

 

 自分の眼前の光に視線を繋ぐ、ジャスティスとストレングス。

 同時に、一瞬だけ眉を寄せる。

 ブイーン・・・と音を立て、薄皮を捲るように変化するふたりの発光。

 ジャスティスの剣には橙色の光が、ストレングスの拳には薄青色の光が宿る。

 

ストレングス「(更に目を輝かせ)ホントだ! 色が変わってる!」

マッコイ「上手いぜ、ふたりとも。後は、実際にゴーストに打撃を当てりゃオッケー!」

 

 ストレングス、拳を構えたまま、タンッ、と背中側に大きく跳ねる。

 ジャスティス、くるり、と踵を返し、距離を置いてストレングスと向き合う。

 正眼の大剣を、一度、八双に構え直すジャスティス。

 僅かの、間隙。

 ふたりの顔に、ニッ、と笑みが浮かぶ。

 ジャスティスの大剣が、ブンッ!と横薙ぎに払われる。

 ストレングスの右拳が、バババッ!と三度の突きを放つ。

 続けて、目にも留まらぬ速度で、互いに攻撃を出し合うふたり。

 まるで、武闘の組手を実演しているかの如く。

 当たることはない距離で、交互に、呼応するように技を繰り出す。

 その度に霊力が放つ光が、宙に綺麗な残像を描く。

 舞い踊るような、ジャスティスとストレングスの動き。

 他の同席者は、感心したような視線をふたりに結んでいる。

 何十回の演武の、後。

 大きく一歩前に踏み出し、タン!と同時に鳴らされるジャスティスとストレングスの右足。

 互いに技を決めたような動作で、一瞬停止するふたり。

 そして、スッ、と身体を起こし、構えを元に戻す。

 少しの、間の後。

 

ブルース「(パン、パン、と拍手)お見事! 霊力の乗せ方も申し分ありません」

ジャスティス・ストレングス「「(同時にデスに身体を向け、身を乗り出すように)どう!? デスっ!」」

 

 ふたりの燃えるような眼差しが、瞬時にデスに繋がれる。

 

デス「(ゆっくりと頷き、微笑んで)いい動きだ」

 

 クルッ、と向かい合い、見る見る満面の笑みを浮かべるジャスティスとストレングス。

 

ジャスティス・ストレングス「「(グッ、と溜めて)やっっっ・・・(同時に跳ね上がり、パーン!とハイタッチ)たあっ!!!」」

エンプレス「(悪戯っぽく笑って)気が早いんじゃないかい? まだ闘ってもいないのにさ」

ハイプリエステス「でも、一安心ざますね。ゴーストに対抗出来そうで」

 

 ジャスティスとストレングスの霊力の光が、フシュッ、と音を放って消える。

 未だに笑顔のままのふたり、一度顔を合わせて頷き、自分が座っていた席へと戻る。

 

ブルース「ではもうひとり、フォーチュンさん、お願いします」

フォーチュン「(こくん、と頷き)うむ。今度は魔法じゃな」

 

 ガタン、と椅子から立ち上がり、後ろに下がってブルースとマッコイを向くフォーチュン。

 今度は、一同の目線が彼女に繋がれる。

 

ブルース「魔術の場合は、魔力を元に“無”から“有”を生み出すのですから、イメージに依存する割合が高いのです。霊力も同じ出し方で結構ですが、質の違う力を同時に出すので、多少難しいかも知れません。順番としましては、まず、霊力を手元に出現させるのが先ですが・・・」

 

 言葉が終わる寸前、右掌を上にして胸の前に掲げるフォーチュン。

 途端。

 ポウ・・・と、薄青色の光が掌底から湧き上がる。

 

フォーチュン「(しれっ、として)こんな感じかのう?」

マッコイ「(驚いて)スッゲーな。一発かよ」

ブルース「(感心して)霊力出現は完璧です。続いて魔力を出し、いつもと同じように魔法を放つのですが、そうですね・・・霊力に魔力を乗せるような感覚で、術を使ってみて下さい」

 

 フォーチュン、くるっ、と軽やかに踵を返し、身体を後方、客間奥の閉じられた扉に向ける。

 光を放つ掌を翳し、右腕を伸ばし、据えた視線を放る。

 

フォーチュン「(張りのある声で)ダークホイール!」

 

 直後。

 ブオオオオッ!!!と、直径30センチほどの風の渦が、フォーチュンの掌を中心に縦回転を起こして発生。

 渦は、薄青色の光が激しく回り、空気の層と光の層が二重になっている。

 それが出現した、刹那の後。

 ビュオオオッ!!!と、竜巻状となって扉との距離を一気に詰める。

 そのまま戸に激突し、バッシューンッ!と四散して消える、突風と光の渦。

 風圧で客間全体の空気が大きく何度も波打ち、同席者の髪を揺らす。

 そして、静寂。

 くるうり、と身体を返しながら、右腕を下ろして体側に付けるフォーチュン。

 何事もなかったかのような表情で、ブルースとマッコイを見る。

 

ブルース「(パン、パン、と拍手)素晴しい! 霊力と魔力が綺麗に融合していました!」

マッコイ「(腕組みをして、感嘆したように)説明を聞いて一回で出来ちまうなんて、ホントにスッゲー!」

フォーチュン「こんなもんで良いのか? 意外と何とかなってしまうものじゃのう」

マジシャン「(フッ、と笑い)習うより慣れよ、であーるな」

ハイプリエステス「(にこ、と笑い)蒔かぬ種は生えぬ、とも言うざますよ」

 

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