蛇睨み 【All For 『All For One』】 作:ゼノアplus+
10話
何かに触られた感触があったから思わず弾いて離脱した。そのせいで死柄木君から距離を離すこととなってしまった。
「What!?陽炎少女、どうして避けるんだい!!」
「……何に触られたか分からなかったから、つい」
「つい!?ま、まあいいか。陽炎少女、私に任せて下がっていなさい」
「嫌」
「うむ、すなおでよr……いや!?」
ここで退いて堪るものか。ちょうどいいから脳無はオールマイトに任せる。その隙に私は死柄木君をころ……せない。流石にこの人数に見られてるんじゃ無理だ。せいぜい抵抗する気もなくなるくらいボコボコに……
『ここは引きなさい睨美!!』
「ッ……『黒霧さん、なんで?』」
『死柄木弔には伝えていませんが、今回でオールマイトが殺せるなどと思ってはいません!!今日はあくまで
「『…………分かった。でも、後でちゃんと話を聞かせてもらう。そこの不良品についても』」
黒霧さんと少し話した私は、縮地の要領で素早くオールマイトの後ろに移動。彼に運ばれた緑谷達を守ることができる位置に着く。
「…………と思ったけど、まあ美味しいところはあげる。その代わり、No1ヒーローの実力……見て盗む」
「HAHAHA!!いついかなる時でも向上心があっていいね陽炎少女!!これは……下手な闘いできないな!?」
オールマイトはそういうとすぐに脳無に向かって駆け出し、腕をクロスさせながら攻撃を仕掛けた。
「CAROLINA SMASHッッッッッッッッ!!!!」
空気が震える。恐らくだけどあれはオールマイトの100%じゃない。それなのにこの威力……今の私の体の100%に近いっていうのに……
でも……見た感じ少しだけ脳無がのけ反っている。もしかして『物理無効』とかじゃなくて『ショック吸収』?
今はオールマイトが脳無にバックドロップを決めたけど黒霧さんのワープで上半身の脳無が逆にオールマイトの横腹に指を刺している。
「ッ……オールマイトッ!!」
「動かないで緑谷……何するつもり?」
私の後ろで戦闘を見守っていた緑谷が右足を一本前へと進めようとしたのを止める。あのままだと飛び出しかねない勢いだったから。
「何って、オールマイトを助けなきゃ!?」
「緑谷が……?訓練でも体を壊すような人に何が出来るの?」
「ッ……でも、さっきは制御できたんだ!!」
「さっき出来て、次できる保証がどこにあるの?私からしたら貴方の評価はそんなんだよ。緑谷が行くより私が行く方がよっぽどマシだね」
プルプルと緑谷が震えている。多分図星なんだろう……っていうか私っていつからこんなにおしゃべりだったっけ。
【話す相手がいなかっただけで、元々
ああ、なるほどね。
私達が喋っている間に刻一刻とオールマイトは傷つく。黒霧さんが個性で挟んだオールマイトを脳無ごとゲートを閉じて引きちぎろうとしているらしい。
「陽炎さん、相澤先生担ぐの変わって」
「…………話聞いてた?死にたいの?」
「聞いたよ、人から見たら僕は何も為せないような人に見えるっていうのも……事実だから身に染みた」
「だったら…「それでも!!」……?」
地面に視線を落としながら緑谷は私の言葉を遮る。蛙吹や峰田も心配そうな目で緑谷を見るけどなにも言わない。
「ピンチの人を放っておくなんて……そんなの、僕がなりたいヒーローじゃないッ!!」
「ッ……!!」
ガバッと顔を上げ、私の目を見て緑谷はそう言った。私はその言葉に思わず目を見開いて緑谷と目を合わせる。そのまま時間が経つこと数秒……体感だと数分にも感じた。
「………ほら」
「え?」
「相澤先生貸して。見といてあげる」
「ッ……ありがとう陽炎さん!!」
緑谷は私に相澤先生をゆっくり渡すと、恐怖に耐えるように目に涙をにじませながら、オールマイトの方へ走っていった。
「オールマイトォォォォォォォ!!!!!」
【珍しいじゃねェかァ、お前が『アイツ』以外の言うことで行動を変えるなんてよォ。なんだ、惚れたのかァ?】
違う……なんとなく、なんとなくだけど……緑谷はきっと私や死柄木君……もしかしたら『先生』の前にまで立ち塞がるようなヒーローになるんじゃないかなって思ってさ。
【へェ?だったら尚のこととっとと排除しねェと不味いんじゃねェの?】
うん、だからここで突っ込ませた方が良いんだよ。きっと彼は生き残るんだろうけど……
「ッ……みど…りや……」
「……相澤先生?無理しないで、死ぬよ」
話を聞いていたのか、ギリギリ意識のあった相澤先生が緑谷の名前を呼ぶ。目が開いていないので、本当にただ聞こえていただけなんだろう。
そして、思い切り叫びながら走っていった緑谷は黒霧さんのワープゲートから覗く死柄木君の手につかまれそうになり……爆ぜた。
「どっけぇ邪魔だッ!!」
横から飛び込んできたのは爆破でお馴染みの爆豪。ワープゲートのモヤを爆破で吹き飛ばすとそのまま黒霧さんに組みつき押さえ込んだ。
「平和の象徴はてめぇら如きに殺れねぇよ」
さらに脳無の体が凍っていく。爆豪の奥を見れば半身から冷気を吹き出す轟……その横には切島もいる。なるほど、雑魚ヴィラン達を抜けてきたんだ。やるじゃん。
「かっちゃん……皆!!」
あーあ、私も混ざればよかったかな。
【やめとけ、これ以上はバレるだろうしなァ】
分かってるよ相棒、だからこうやって大人しく見てる。
轟が脳無を凍らせて拘束が緩んだのか、オールマイトが飛び起き距離を取った。ふと思い出して『目を凝らす』で遠くを見れば、さっきまで私と尾白がいた場所から尾白がいなくなっている。多分他の人を助けにいったと思う。彼の身のこなしならよっぽど変な個性持ちじゃなければ堅実に倒せるはず。
「攻略された上にほぼ全員無傷……最近の子供はすごいなぁ……恥ずかしくなってくるぜヴィラン連合……!!」
手型のマスク越しでも分かるくらいには笑っている死柄木君。1番大事な黒霧さんがやられていると言うのになにを呑気に突っ立っているのだろう。黒霧さんに何かあったら殺すぞ。
【……さっきと言ってること真逆なんだよなァ。情緒不安定かよお前】
仕方ないじゃん、さっきから黒霧さんの事を出入口だとかさぁ!!黒霧さんがいなきゃなにも出来ないようなカスの癖に……!!
「脳無、爆発小僧をやっつけろ。出入口の奪還だ」
死柄木君の命令を受けた脳無がワープゲートの中から這い出る。その右半身は凍ったままだけどお構いなし。ボロボロと崩れたそばから『超再生』で腕や足が生えていくからね。
そして脳無が動く。爆豪に向けて全力で腕を振ると衝撃波が生まれ爆豪目掛けて飛んでいく。またもや私の目じゃ追えなかったけど、オールマイトが爆速で助けたらしい。さっきまで爆豪がいた位置にオールマイトが居たからだ。
……まぁ、もう一段階『目を醒ます』で作り直せば『超再生』ごと殺れるかな。多分個性に体のエネルギー持っていかれていずれ死ぬだろうし。緑谷にああ言った手前なんだけど、今のうちに死柄木君と遊んじゃダメかな。脳無との戦闘に夢中だし……
「げほっげほっ……加減を知らんのか……」
おお、すごい。私じゃあの威力だと少し吹っ飛ばされるなぁ……やっぱ突き詰めた増強系は違う。
「仲間を助ける為さ、仕方ないだろ?さっきだって、ホラあそこの……地味な奴。アイツが俺に思いっきり殴りかかろうとしたぜ?他が為に振るう暴力は美談になるんだ。そうだろヒーロー?」
うっわ、嫌だけど同意見だね。結局ヒーローもヴィランも己が力を奮って何かを為す。法に準拠したかしてないかの違いしかないんだ。
【法治国家の日本じゃそれが最重要だけどな】
そこだよねぇ……まあ、面白い話してるしもうちょっと聞いてあげようかな。
「俺はなオールマイト!!怒ってるんだ、同じ暴力がヒーローとヴィランでカテゴライズされ善し悪しが決まるこの世の中に!!何が平和の象徴!!所詮抑圧の為の暴力装置だお前は!!暴力は暴力しか生まないのだとお前を殺すことで世の中に知らしめるのさ!!」
【……ガキのヤンチャだな。
「そうは見えないけどねー……」
「何か言った、陽炎ちゃん?」
「いやなんでもないあす…………つゆちゃん」
「緑谷ちゃんもだけど、貴女も頑張ってくれてるのね」
お前の前だけなんだけど、とか言わない。空気が読める様になったから。
【成長……なのか?】
知らない。少なくともこんなので成長とか言われたくないよね。
睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)
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アザミ
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クロハ
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カゲロウデイズ
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メデューサ
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ゴルゴン
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スネーク・アイ
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カンナ(永遠)
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サルビア(家族愛)
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エーデルワイス(大切な思い出)
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モミジ(大切な思い出)
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カエデ(大切な思い出)