蛇睨み 【All For 『All For One』】 作:ゼノアplus+
16話
昼休憩、サポート科が集まっていると思わしき場所へ辿り着いた私は目的の人間を見つけた。
「信濃、おひさ」
「わぁ!!睨美さんいつのまに……久しぶりだね」
さっき何となく頭に思い浮かんだから昼ごはんの前に来てみた。
「お昼誘うつもりだったけど……無理そうだね」
「あー、うん。ごめんね?」
「気にしなくて良い」
どうやらサポート科のクラスメイトと一緒にご飯らしい。なるほど、悪い事をした。
「あ、でもせっかく来てくれたんだし……連絡先交換しようよ!!ほら、毎回来てもらうのも悪いから!!」
「……分かった」
最近の端末は便利だね。スマホ振るだけで良いんだから。
【いやマジでそれだなァ。俺のいたとこじゃ考えられねェ……】
「それじゃあ、また」
「うん!!またね!!」
めちゃめちゃ手を振ってくる。それに伴って三つ編みもめちゃめちゃ揺れてる。アグレッシブだね、インドア層だけど。
それからお昼ご飯を食べるために屋台に移動した私。買うのはもちろんこういう時しか食べることができないマイフレンド達。
「焼き鳥5本、唐揚げ2パック」
「あいよ!!嬢ちゃん鳥好きなのかい!?」
「愛してると言っても良い」
「ガッハハッ!!よっぽど好きなんだな!!300円まけてやるよ!!……へいお待ち、決勝戦頑張れよぉ!!」
「ありがとう……!!」
良いおっちゃんだった。すこぶる良い人だった。いや、もう、マジで、神。
ほくほく顔で戦利品を食べ歩いていると何やら笑みを浮かべている上鳴と峰田の姿があった。なんかキモい笑顔してる。
『目を盗む』
「うぁ……」
そういえば今日は体育祭なだけあってとても人が多い。いろんな心の声が全て頭に直接来て頭痛がひどい……ねぇ相棒、これ調整できるようにならないの?
【出来たヤツは見たことねェなァ……頑張れば何とかなるんじゃねぇかァ?】
他人事か!!……他人事か……
「おーい陽炎!!午後は女子は応援合戦やらなきゃいけねぇんだって!!」
「……聞いてないけど」
「信じねぇのも勝手だけどよ……相澤先生からの言伝だぜ!!」
「ほーん……」
上鳴はまだ罪悪感感じてる。峰田は心の声を聞くんじゃなかったと思うレベルで碌でもないことしか考えてない。なるほどね。
「他の女子は?」
「ああ、さっき同じこと伝えたら急いで準備しに行ったぞ」
「へぇ……なるほどね」
「と、ところでさ陽炎……今もしかして……個性使ってる?目、赤いぞ」
あれ、『目を欺く』使ってなかったか。これは失敬。
「そんなことはどうでも良いんだけどさ2人とも、私……人の心読めるって言ったらどうする?」
あ、肩がびくってなった。
「……ここに私達以外いなくて良かったね?」
「すいませっっしたぁぁぁぁぁ!!!!」
「上鳴!?お前裏切りやがったな!!」
よし、上鳴は一抜け。あとはお前だエロ小僧。
「まあ心が読めるとか言っても信じられないだろうね。まあ良いよ。
「チクりだけは何卒ご勘弁をォォォォォォ!!!!」
「じゃあ……はい」
「「へ???」」
土下座する2人のためにしゃがみ込み、左手を差し出す。
「ノドガカワイタナー」
「「仰せのままに!!」」
「何がご所望ですか姫!?」
「レモンティー」
「ただいま持ってまいります!!」
そういうと2人は脱兎の如く駆け出していった。1分もたたないうちに2人は戻ってきた。
「……じゃあ、許したげる。バイバイ」
「「ありがとうございます!!」」
そう言って私は2人の元を離れると新たな目的地へと向かった。
コンコン
「1のA陽炎……入室許可を」
「入れ」
「失礼します」
「oh!!陽炎どうしたんだゼイ!?」
「……上鳴と峰田がかくかくしかじか」
慈悲はない。
「はぁ……あのバカ共……で、その飲み物はなんだ」
「……喉が渇いたって言ったら奢ってくれた」
「女子コワ!?おもしれぇな陽炎!!」
マイク先生がうるさい。相澤先生はすぐに目を閉じて前を向いた。
「要件はそれだけ。失礼しました」
「どうせ八百万が真に受けて個性でチアの服作るだろ。今からじゃどうしようもねぇ。ほっとけ」
「了解」
それだけいうと退室。ちなみに焼き鳥やら唐揚げはもう食べ切った。ああいうお祭りで売られてるのもたまには良いね。大味なところとか。
そんなこんなで、私はこの近くで最も森が近いベンチまで行って腰掛ける。そのまま奢ってもらったレモンティーを飲んでいると、近くから動物の鳴き声が聞こえてきた。
「にゃーん」
「『目を盗む』」
「(人間、でもなんかふしぎなかんじがする)」
「おいで。怖くないよ」
どうやら猫がいたらしい。『目を盗む』個性はさっきも使った通り人の心の声が聞こえる。でもそれだけじゃない。正確には生き物の心の声が聞こえる。多少の意思疎通も出来るらしく、私が声をかけると特に抵抗もなく膝の上に乗っかった。
「良い毛並み。何かしてるの?」
「(人間のオスがけづくろいしてくれるの。おはなしもできるんだよー)」
「ああ、口田ね」
アニマルボイス?が個性の口田。動物に声をかけると従ってくれるらしい。
「……かわいい」
「(ここおちつくー……)」
寝た。え、ちょっと待って。早くない???これじゃ動けないんだけど……まあいいか、可愛いし。
「はぁ……一緒に寝たい」
【諦めろ。『目を覚ます』能力がある限り睡眠は必要ない】
「分かってるよ。この10年間、1秒たりとも寝てないんだから」
そう、睡眠を必要としないこの体はがむしゃらに自分を鍛え続ける私の願いを叶えてくれた。お爺ちゃんが寝て、黒霧さんが休息して、『先生』が寝てても私は起きて相棒から教えを受け続けた。体の動かし方なんて知らなかった頃はひたすら筋トレをした。相棒から『目を醒ます』個性の使い方を教わるまでは、成長も変化もしないこの体に無駄な事を押し付けた。
究極的な事を言えば、食事だっていらない。私の好みで食べているだけ。だったら私が寝たいと思えば寝れるはず……そんなのとっくの昔に試した。ダメだった。
「……まあいいか、どうせレクリエーションには不参加だし」
たまにはこういう時もあっていいじゃない。どうせこの後は全部『目を合わせる』個性だけで優勝して終わりなんだし。
【アイツらが対策してないように思うのかよ】
「してどうにかなる個性じゃないのは相棒が1番よく分かってるはずだよ」
【ハッ、そうだなァ】
緑谷、麗日、よくわからない女子、瀬呂、芦戸、切島、庄田、心操、尾白、飯田、上鳴は余裕。常闇はダークシャドウだっけ?あれの使い方による。八百万は何作るか分からないのが面倒だけど作る瞬間はどうしても隙が出来る。轟は氷で視界の妨害をしてくるのが面倒、あれくらいの氷だったら完璧に氷漬けにされても無理矢理なんとかなる。
問題は爆豪。爆破での目眩しが厄介すぎる。それに応用で飛べるしこっちの常套手段が一瞬で消される。何よりウザいのがその戦闘に関するセンスだ。ぶっちゃけ私よりセンスで見れば光っている。ああいうのは本当に面倒。力押しや『目を合わせる』でゴリ押し出来ないのに、遠距離からちまちま爆破されたら流石に負けるかもしれない。
【でも、お前余裕そうだよなァ】
そりゃあね。完璧主義者の爆豪がただの勝ちに価値を見出すはずがない。あの性質じゃ完膚なきまでに全てを蹂躙して勝たないと気が済まないよ。つまり土俵だけ言えば同じところまで来るはず。そしたら顔面掴んで無理やり目を合わす。【目を奪う】してもいいけどつまらない。
ヒーローへの道のり、思ったより簡単かも。
【救助訓練でヘマこきかけたヤツのセリフじゃないがなァ】
やめてよ。人助けなんて私には向いてない。それに、そういうのは救助専門の奴らに任せときゃいいの。最低限は覚えるけども。私の力は『先生』のためにあって、誰とも知らぬ大衆のためじゃない。
prrrrrr
「……もしもし」
『やぁ、僕だよ』
「ッ!!……父さん」
流石にここで下手に『先生』とは呼べない。一応索敵してるとは言え個性社会に絶対なんてない。
『見てた……というと語弊があるね。テレビの前で聞いていたよ、君の活躍。予選、第二種目と2位だけど頑張っているじゃないか』
「学校側とのアレコレで個性使ってない。それよりどう?良さげなのあった?」
『まあぼちぼちだね。さすが雄英、使いこなしてこその個性が多いよ』
だね。私も障害物競走の時後ろから見てたけどみんな個性に慣れてる。
『体育祭が終わったら一度帰ってきなさい。黒霧には話を通しておくよ』
「……うん!!楽しみ!!」
『決勝戦、ほどほどにしてあげるんだよ?未来ある生徒の心、折らないように』
「了解」
通話終了。なるほどね……爆豪か轟か……可哀想に。弔君の成長の糧にされるんだ。さてと……
「おーい、おきてー」
「……にゃーん」
あくびしてる。かわいい。
「ごめんね、私もう行くから」
「(またあそぼー)」
「うん、ばいばい〜」
私と遊んでる夢でも見たのかな?
そのまま猫は膝からぴょんと飛び降り、森の方へと帰って行った。寝ぼけてるのかふらふらしてる。かわいい。
…………かわいい。
睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)
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アザミ
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クロハ
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カゲロウデイズ
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メデューサ
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ゴルゴン
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スネーク・アイ
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カンナ(永遠)
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サルビア(家族愛)
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エーデルワイス(大切な思い出)
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モミジ(大切な思い出)
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カエデ(大切な思い出)