蛇睨み 【All For 『All For One』】   作:ゼノアplus+

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17話

17話

 

 

私が猫と戯れてる間に、レクリエーションは終わったらしい。相澤先生の予想通り八百万が作ったであろうチア服を着ているA組女子達に詰め寄られたりしたけど、

 

 

「相澤先生に確認取った時にはもう時間なかった」

 

 

という私の一言に見事撃沈。耳郎は羞恥で崩れ落ちてたけど葉隠はむしろ楽しかったらしい。顔公開すればモテてたのにね。勿体無いね。

 

そして同時に、レクリエーションサボってた間に決勝戦の種目と組み合わせも決まったらしく飯田がサボりの説教をしながらも教えてくれた。委員長って面倒な役職だよ。

 

 

1回戦

 

緑谷VS心操

 

轟VS瀬呂

 

陽炎VS上鳴

 

飯田VS発目

 

芦戸VS庄田

 

常闇VS八百万

 

尾白VS切島

 

麗日VS爆豪

 

 

らしい。自分の出番は3番目、前の2つを見るにとっとと終わりそうだね。それにしても緑谷、運が悪い。最強の搦手相手だとどうするんだろうね。轟はどうせ氷ブッパで勝つでしょ。瀬呂可哀想に。

 

 

「上鳴」

 

「ん、おお陽炎。お互い頑張ろうな!!」

 

「私たちの試合始まったら、最大出力で放電して」

 

「えぇ!?いいのかよ……大分キツいぞ?」

 

 

観客席にはA組で集まっているため上鳴にすぐ話しかけた。

 

 

「開始直後に身体能力で近づいて顔面掴んで顔固定した後に石化させられたいなら放電しなくていいよ。何も出来ずに終わるだけだから」

 

「……えげつねぇ」

 

「……相澤先生も言ってた。アピールの場だって」

 

「なんか情けねぇけど、オッケー陽炎。気絶したらごめんな」

 

「舐めてもらっちゃ困る」

 

 

お互いにニヤリと笑う。

 

 

「早速バチバチやってるねー!!電気だけに!!」

 

「芦戸……せっかくいい雰囲気だったのに」

 

「……上手い」

 

「陽炎!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

始まる1回戦緑谷VS心操。

 

 

「そういや陽炎。あの心操ってヤツと騎馬組んでたよな。なんでアイツにしたんだ?」

 

 

上鳴が当然のように聞いてくる。他のA組メンバーも聞いていたのか顔をこちらに向ける者、耳だけこっちに向ける者がいる。まあほとんどだけど。

 

 

「……正直、対人最強の個性だと感じた」

 

「おーう……陽炎がそこまで言うとか。どんな個性?」

 

「洗脳、声をかけて返答した相手を任意で行動不能にする。支配下に置くと言った方がいいかもしれない。騎馬戦の時『ハチマキを渡せ』という命令に素直に渡してたから」

 

「「「「「「」」」」」」

 

 

絶句。特に峰田や麗日は空いた口が塞がっていない様子。

 

 

「緑谷はそんな相手にどうやって勝つんだよ!?」

 

「何にも知らないだろうから無理じゃない?一応、ある程度の衝撃を受ければ解除される」

 

「一対一のフィールドでそんなのほぼ起こんねぇよ!!」

 

 

芦戸、八百万、障子もその通りと言うように頷いている。……見えないけど多分葉隠も。

 

わっちゃわっちゃ言ってるうちに試合が始まった。恐らく心操がA組の誰かの悪口でも言ったんだろう、明らかに怒った様子の緑谷が心操に向かって駆け出そうとして動きが止まった。

 

 

「ああー!!緑谷止まっちまった!?どうすんだこれ!!」

 

 

上鳴うるさいな……マイク先生と一緒に実況すればいいのに。

 

緑谷はそのまま反転、なんの抵抗もなく場外へ歩いていく。後一歩で場外判定……その時、風が吹いた。

 

 

「……あはっ、面白い」

 

 

指一本、犠牲にして個性を発動。あのバカたれ、100%で使ったらしい。あれだけ制御をと言うものを体で教えてやったのに。それでも、指一本動かせなくなる心操の個性に対して()()()()()というのは素晴らしい。何したんだろう、個性かな。ワン・フォー・オールとか言ってたし何かパワー以外にあるのかな。

 

 

「訂正、緑谷の勝ち」

 

「え、ああ洗脳解けちまってるもんな」

 

「それもある。でも、ヒーロー科で体作りしてる緑谷と、個性頼りで体鍛えてない心操じゃ地力が違う」

 

 

そのまま心操に組みついた緑谷が心操を思いっきり投げた。私が散々喰らわせてやった見よう見まねの投げで。……学習能力は高いんだよねぇ。

 

 

「うおおお!!緑谷勝った!!」

 

「ギリギリでしたわね……」

 

「いや、心操ってヤツの洗脳が凄すぎるって」

 

 

上鳴は喜び、八百万や切島が講評……感想だね、それを言い合っている。

 

 

「……じゃ、控室行ってくる」

 

「あ、じゃあ俺も。行ってくる!!」

 

「2人ともファイト!!」

 

 

耳郎が私達に激励、見送られながらそれぞれの控室へと向かった。

 

 

「……お前か」

 

「あ、心操」

 

 

通路を歩いていると今し方試合が終わった心操と出会った。

 

 

「お前がくれたチャンス、活かせなくて悪いな」

 

「別に、いい試合だった。それに心操、にやけてるよ」

 

「なに……?」

 

 

心操が自分の頬に触る。気づいたのか頭を掻いて目を逸らした。

 

 

「まあ……頑張れよ、アンタなら優勝も狙えるだろ」

 

「……ありがと」

 

 

そのまま心操の隣を通り過ぎる。そして控室に入った瞬間、会場入りのアナウンスが流れた。

 

 

「もう終わったの?相手は……轟と瀬呂か。瀬呂には悪いけど……まあ妥当なタイムか」

 

【お前の予想通り氷ブッパだろうなァ】

 

 

瀬呂、アーメン。

 

 

そのまま会場入りすると大歓声で迎えられた。

 

 

『予選2位、騎馬戦2位!!惜しい順位が続いているが驚異的な身体能力でここまで勝ち上がってきた!!しかぁしその個性は未だ使っていない!!そろそろ個性使ってくれよぉ!?陽炎睨美ぃ!!』

 

 

使うよ。言われなくても、ここでは使っていいって相澤先生との契約にあるもの。

 

 

「陽炎、俺に触れたら痺れるぜ?」

 

「痺れるだけで済めばいいけどね」

 

 

そしてミッドナイトより第3試合が開始された。

 

 

「陽炎、いっくぜぇ!!」

 

 

上鳴が私に向かって走りながら全力放電。

 

 

「無差別放電130万ボルトォ!!」

 

「ッッッッッッッッッ!!!!!!」

 

 

腕を前に構え防御姿勢、もちろん意味は無い。そのまま私の体は感電し痺れる。痛い、痛いとかじゃないヤバいって感じる。『目が醒める』個性なかったら死んでたと感じるくらいキツい。

 

それでも、私だってただくらってるだけじゃない。

 

 

「これで……ッ!!」

 

 

両手を開き地面のコンクリに砕きながら突っ込む。両手両足、4点から電流を逃しダメージを軽減する。ここから先は耐久勝負。上鳴がウェイするか私が倒れるか。

 

A組の生徒はそう思うだろうけど、私だけは違う。私だけが、私の体を真に理解しているからだ。

 

 

「おい、陽炎!!そろそろ降参しとけよ、体がもたねぇぞ!!」

 

 

上鳴がなんか言ってるけど、問題ない。なんとなくだけど上鳴の上限は把握してる。そろそろ弱まるはず……『目を盗む』

 

 

「これ以上はヤベェよ陽炎!?(特に、俺が……ヤッベ出力が……)」

 

「……今ッ」

 

 

一瞬弱まった。駆け抜ける。

 

 

「ウェイッ!?」

 

「『目を合わせる』」

 

 

ほぼゼロ距離まで移動し右手で頭を掴む。ウェイな上鳴は脳がショートしているとか誰かに聞いた。要はアホになっている。判断力が鈍っている上鳴は私と目を合わせないようにすることまで脳が考えつかないだろう。そのまま頭を固定して無理矢理目を合わせた。

 

 

「…………審判、2分間完全に動けなくした。押し出す必要はある?」

 

「一応しておいてちょうだい。第一試合の例があるから」

 

 

ああ、洗脳をギリギリで緑谷が解いたんだっけ。じゃあ押し出しとくか。

 

 

そのままピクリとも動かない上鳴を樽のように片腕で抱えて歩いて場外へポイ。

 

 

「勝者、陽炎睨美ッ!!」

 

 

服も焦げたし、まだシューって体から出てる。なんだか最初の戦闘訓練の緑谷と爆豪みたいだね。

 

 

「……担架はいらない。自分で行く」

 

 

ロボ2体が近寄ってきたけど手で止めて歩く。予備のジャージ有ればいいんだけど……

 

 

そのまま歩いて保健室へ。まあもう治ったし特にしてもらうこともないんだけど……

 

 

「あれだけの電撃くらっといて無事はないでしょ!!」

 

「え、いや……あの、ほんとにだい「お黙り!!」あ、ハイ」

 

 

リカバリーガール恐ろし。結構しっかり目に検査された。備え付けのテレビ見る限り今は切島と尾白が近接格闘してる。

 

 

「驚いた……ほんとになんともないとはね」

 

「メデューサだもの」

 

「さすが神話級……あたしらには理解できない世界か」

 

「神話級……?」

 

 

初めて聞いた。発動型、とかの分類じゃないの?

 

 

「ああ、知らなかったさね。最近アンタみたいな()()()()()()()()()()()()()()()みたいな個性持ちは、近しい登場人物の名前を個性として名付けられるのさ。個人情報だから詳しくは言わないけど、例では『ヘラクレス』とか」

 

「ギリシア神話の英雄。なるほど」

 

 

まあ私には関係のない話だ。だって神話のメデューサじゃないもの。()()()()()形容できない個性だったからメデューサと名付けられただけだ。

 

【間違っては、ねェんだけどなァ……】

 

 

「まあ、何ともないならいいさ。ほれ、早く戻りな」

 

「分かった」

 

 

しっし、というリカバリガールの動作で私は退室。観客席へと戻った。

 

 

「あっ、お帰りー睨美ちゃん。すごい試合だったねー!!」

 

「まさか上鳴さんも電撃を受け切って勝つなんて思いもしませんでしたわ」

 

「……あれくらいなら問題ない」

 

「ウェイ!?」

 

 

あれくらい、って言われたウェイな上鳴が悲鳴?をあげている。めっちゃ辛かったけどね?

 

 

「で、今どうなってんの」

 

「飯田さん対発目さんの試合はご覧になられました?」

 

「いや、検査中で見てない」

 

「えっとねー、サポート科の発目って人が色々引っ掻き回してから負けたよ」

 

「???」

 

「要は飯田が2回戦進出ということだ。それだけでいい」

 

 

葉隠と常闇が教えてくれるけどちょっと何言ってるか分からない。とりあえずまあ飯田が勝ったって事は次の私の相手は飯田ということ。

 

 

「……楽しめそうだね、飯田」

 

「ッ、ああ。負けるつもりは無いぞ陽炎君……!!」

 

 

席に座ってブツブツ緑谷みたいになんか言ってた飯田が反応した。

 

 

「それで今は切島VS尾白。お互い小細工無しの真向勝負!!漢だね!!」

 

「ふーん……」

 

 

フィールド目を向けると、尻尾と拳、足を使った武術の攻めに切島は体を硬化させて受け切っている。

 

 

「尾白不利だね」

 

「え……切島じゃねえの?」

 

「尾白の尻尾は筋肉質、というだけ。硬い切島の体に打ちつけ続けているということはグーで壁殴り続けてるのと同じようなもの」

 

「うわ想像するだけでいってぇ!!」

 

「ここ遠いからちょっと見えにくいけど、目に見えて尾白のパフォーマンスが落ちてる。多分攻撃を続けて押し出しを狙ってたはずだけど、一歩も動かせていないあたりヤバい」

 

「「「「「「へぇ〜」」」」」」

 

 

でもそれは不自然。日本武術を習得しているはずの尾白が投げ技を選択しないのは何故?一般的な柔道、もしくは柔術と言われるものならば普通の人間サイズ相手ならなんちゃら固めやらもできるはず。

 

 

「最近気づいたんだけどよー、陽炎お前……」

 

 

峰田がなんか言ってる。でもこのパターン最近何回か聞いたからなんとなく言いたいこともわかる。

 

 

「意外とおしゃべりだよな!!」

 

「…………よく言われる」

 

 

まあ、多少は”学校“ってヤツ……楽しめるようになってきたって事かな。

睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)

  • アザミ
  • クロハ
  • カゲロウデイズ
  • メデューサ
  • ゴルゴン
  • スネーク・アイ
  • カンナ(永遠)
  • サルビア(家族愛)
  • エーデルワイス(大切な思い出)
  • モミジ(大切な思い出)
  • カエデ(大切な思い出)
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