蛇睨み 【All For 『All For One』】   作:ゼノアplus+

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「おかえり睨美。体育祭はどうだったんだい?」

「…………ただいま。2位、だった」


体育祭が終わった当日のこと。『目を隠す』を使ってコソコソ家に帰った私は、すでに部屋で待ってた黒霧さんのワープで父さんの住居までやってきた。


「そうか、頑張ったね睨美」

「……そんなことない」

「どうしてだい?」

「…………隠してた手札切って負けたから」


言いたくない。でも、これはちゃんと言わないといけないこと。


「へぇ、爆豪勝己君のことだね?」

「うん。舐めてたわけじゃない、でも……どう考えても詰みだったはずの状況を崩された」

「凄いじゃないか爆豪君!!睨美が選んだ弔の糧は正解だったようだね」

「……良く言えば、そうなるけど。それでも私が……『オール・フォー・ワン』の顔に泥を塗ったことは間違いない」

「そんなことないさ!!君は弔の糧を見出した。それに彼は表面上ヴィラン向きだと言われがちだからね。社会の印象操作にも使いやすい。弔の味方となっても、障害となってもそれは成長につながる。それにね睨美、手札を晒すのは悪いことばかりじゃないんだぜ?」


そうなの……かな、さっきからプラスのことしか言ってないし私を落ち込ませないようにしてくれている可能性もある。それはそれで嬉しいけど。


「……うん」

「僕のためにと思ってくれるのは嬉しいさ。でもね睨美、その気持ちが先走ってはいけないよ?君はまだ子供だからね。これから少しずつ学んでいこう」

「あっ……あったかい……」


やっぱり、父さんに頭を撫でられるのは気持ちいい。私の頭がすっぽり入るくらい大きいのに、ふわふわするような暖かさがある。


「……とう……さん」

「来てもいいんだよ」

「どう……ざん……!!」


泣いたのなんていつぶりだろう。父さんの腕に包まれていると安心するな……


「何か欲しいものはあるかい?できる限りなら協力するさ」

「…………うん。じゃあ、手回ししてほしいの」

「手回し?……なるほどね。もちろんいいとも!!他ならぬ我が娘の頼みだ!!」


22話

22話

 

 

今日は体育祭の2日後。当日の夜に思わず涙を流してしまった私の満足するまで父さんがそばにいてくれてとても満足。擬音化するならば、むふーって感じ?

 

まあそんなこんなで振替休日?っていうので昨日が休みだったので久しぶりに一日中父さんと一緒に過ごした。黒霧さんは弔君のお世話があるからずっと一緒ってわけじゃなかったけど、それでもちょこちょこ顔を出してくれたから皆で会話を楽しんだ。

 

 

ザワザワ……ザワザワ……

 

 

「…………『目を隠す』」

 

 

そして現在、学校へ行くため登校中な訳だけど……すこぶる面倒なことが起こってる。私の姿を見た一般人達が動物園のパンダでも見るようにざわつき始めた。『目を奪う』なんて使ってないのに、どうしてだろう?

 

【雄英体育祭はテレビで全国放映されてんだろォ?第2位だった奴が制服着て歩いてんなら注目の的になるのは当たり前だぜェ】

 

なるほどね。鬱陶しい視線だったからすぐ『目を隠す』個性使って良かったよ。

 

 

「……雨、うざい」

 

 

なんと今日、雨が降っている。元々進んで外に出るタイプじゃないし雨に降られるなんてことは少なかったけど、こうわざわざ傘を差すってなると面倒くさい。今度カッパ買おうかな。でもカッパは使った後が困るんだよねぇ……

 

1番やるせないのはこの雨音のおかげで『目を隠す』個性がバレにくいこと。今日だけは感謝しなくちゃいけない。

 

 

あーあ、帰りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私超声かけられたよ!!来る途中!!」

 

「俺も!!」

 

「俺なんかいきなり小学生にドンマイコールされたぜ」

 

「ドンマイ」

 

「陽炎は?」

 

「気配殺してたから誰にも気づかれなかった」

 

「「「「「「なにそれすげぇ!?」」」」」」

 

 

相変わらず息ぴったりでもはや安心してくる。なんだコイツら。

 

 

「おはよう」

 

 

スン……っと教室内が静まる。やっぱり凄いな相澤先生。あれ、ていうか包帯取れてる。

 

 

「相澤先生包帯取れたのね、良かったわ」

 

「婆さんの処置が大ゲサなんだよ」

 

 

あー確かに。体育祭の時も実質無傷だったのに上鳴の電撃食らったことで過剰な検査されたなぁ……リカバリーガール過保護。

 

 

「んなもんより今日の『ヒーロー情報学』ちょっと特別だぞ」

 

 

えぇ……休み明けに変なことしたくないんだけど……

 

 

「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ」

 

「「「「「胸膨らむやつきたぁぁぁぁ!!!」」」」

 

 

ひーろーめい?……ヒーローめい?ヒーロー名?………えぇ、やばっ。もしかしたら救助訓練の次に無理かもしれない。

 

 

「というのも先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる。氏名が本格化するのは経験を積み即戦力として判断される2、3年から。つまり今回来た『指名』は将来性に対する『興味』に近い」

 

 

ああ、エンデヴァーが言ってたのはこういう事ね。良かった、先に父さんに根回ししてもらっておいて。

 

 

「で、その使命の集計結果がこうだ」

 

 

そう言うと先生は黒板に結果を表示させた。

 

 

「例年はもっとバラけるんだが……3人に注目が集まった」

 

 

私、5211

轟、3743

爆豪、2987

 

他は3桁以下だから省略するね。どうやら私が一位らしい。

 

 

「陽炎すげぇ!!圧倒的じゃんかよ!!」

 

「一位と二位逆転してんじゃん。表彰台で拘束されたやつとかビビるもんな……」

 

「ビビってんじゃねーよプロがッ!」

 

 

いや、でもなんとなくわかる。麗日VS爆豪の時も思ったけど、一概にプロヒーローって言っても当たり外れが多く感じたし。てかヒーロー事務所の数多すぎない???上位3人だけで1万超えてるんだけど。

 

【ヒーロー飽和社会とは聞いてるがァ……もはや気持ち悪いなァ。ゴキブリ並みにいるんじゃねーのかァ?】

 

気持ちも分からなくはない。本当に多すぎると思う。

 

ここからの話はぶっちゃけ相棒に覚えてもらうから聞かないことにする。

 

【は?おい、俺のことなんだと思ってやがる】

 

 

そんなこんなで今からはヒーロー名を考える時間らしい。1時間目からこう言うの良くない。私は激しく抗議する。心の中で!!

 

【屈してるじゃねえかよォ】

 

 

「お前らは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りのある訓練をしようってこった」

 

「それでヒーロー名か!!」

 

「俄然楽しみになってきたぁ!!」

 

「まぁ仮ではあるが適当なもんは……」

 

「つけたら地獄を見ちゃうよ!!」

 

 

ガタッ、と教室の扉が開き、扇状的なコスチュームを来た痴女……じゃない、ミッドナイト先生が入ってきた。なんでわざわざ変なポーズとってるの???

 

 

「この時の名が世に認知されてそのままプロ名になってる人多いからね!!」

 

 

えぇ……『ピッコロ大魔王』とかつけたらやばいじゃん。

 

【なんでチョイスがそれなんだよお前……】

 

 

「将来自分がどうなるのか、名をつけることでイメージが固まりそこに近づいていく。それが『名は体を表す』ってことだ。オールマイトとかな」

 

 

そして相澤先生は寝た。もう一度言うね?相澤先生は寝た。ミッドナイト先生に任せきりである。せめて職員室戻ればいいのにわざわざ教卓のそばで寝てる。これも‥‥合理的……?

 

まあいいか……いつものことだし。さて、問題はヒーロー名。正直、父さんからの命令の最終目標は『ヒーローになり死柄木弔がオール・フォー・ワンの後継者として相応しくなるためにライバルとして成長を促す』こと。つまりヒーローになって弔君をしばき続ければいい。

 

……ヒーローになる、と言うことしか考えてなかったからこういうの微塵も頭になかった。

 

やばい、どうしよう。ボードとペンが配れたけど全く思いつかない。聞こえてくる音的には結構みんな筆が進んでるらしい。なんでそんなに早いの?え、逆に私がおかしいの?

 

【ここにいる連中は元々ヒーローに憧れてた奴らばっかだからなァ。ガキの頃からそういうの考えてたんだろうよォ】

 

あ、ふーん……なるほどね(焦)あれ、もしかして私ってヴィランネームも持ってなくない?え、もしかしてもしかして両方別にしなくちゃいけない感じ?

 

【当たり前だろォ。なんでヒーローネームとヴィランネームが同じなんだよ。アホ丸出しだぜェ?】

 

だよねぇ……ああやばい。本当に思いつかない……!!相棒、なんか良いのないかなぁ!?

 

【アザ…………いや、なんでもねェ。さァな。俺に名付けのセンスなんぞ求めんな】

 

……肝心な時に役に立たないね全く。

 

 

「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね」

 

 

気がついたら15分過ぎてた。まだ思いついてもないのに……それより発表形式なのは聞いてない!!いや、むしろここで一斉に回収されるよりマシ……?出席順でない事を切に願う!!

 

【……学生らしくなってんなァ。こう言う焦り具合見ると如月妹のこと思い出すぜェ】

 

 

「行くよ!!」

 

 

行くな青山。お前から行くと出席番号みたいになるじゃん。

 

 

「I can not stop twinkling (きらきらが止められないよ⭐︎)」

 

 

短文……短文?え、ミッドナイト先生、ありなの?ありなの?

 

 

「じゃあ次私ー。エイリアンクイーン!!」

 

 

2ってなに尾白?え、映画?ふーん……分かんないや。

なんかそこまで参考なりそうにないしとりあえず聞かなくていいか。今は自分のを考えることに集中しよう。うーん……オールフォーワンクイーン……ダメか。

 

その後ずっと考えてたけど、全然案が出ない。ていうか自分がヒーロー活動をやってる姿が思い浮かばないし余計にわからない。

 

 

「思ったよりスムーズ!!残ってるのは再考の爆豪君と、飯田君、陽炎さん、緑谷君ね」

 

「陽炎、悩んでんの?」

 

「…………思いつかない」

 

「個性『メデューサ』なんだし、とりあえずメデューサって付けても良いんじゃね!?ミッドナイト、後から変えれるんですよね!!」

 

「もちろんよ。職場体験という公の場で名前を呼ばれるから、そのままそのヒーロー名にするっていう人が多いってことよ」

 

 

なるほど……これ、って感じのヒーロー名が決まるまではとりあえず仮の名前でも良いんだ。うーん、じゃあ上鳴の言う通りメデューサでも良いんだけど……ちょっとネタに走ろう。もちろん真面目な理由もあるけど。

 

そう思ってると、飯田が下の名前である『天哉』にした。

 

 

「……じゃあ次、私。『メデューサ(仮)』」

 

「「「「「「(仮)!!!!」」」」」」

 

 

流石に予想外の文字列があったのか皆が目を丸くする。

 

 

「…………また、考えとく。いい?」

 

「うーん、まあ大丈夫じゃないかしら。サボってたわけじゃないみたいだしね」

 

 

私を見ながらウインクをしてきたミッドナイト先生。前から2番目の席だし、見やすいから私のこともちゃんと見ていたらしい。せ、先生……!!

 

 

「緑谷君、出来たかしら?」

 

「あ、はい!!」

 

 

そう言って教壇に登った緑谷のボードに書かれていたのは『デク』の2文字。デクって爆豪が緑谷を呼ぶ時の蔑称だったはず……?

 

 

「ある人に意味を変えられて、僕には結構衝撃で‥‥嬉しかったんだ。これが僕のヒーロー名です」

 

 

自信たっぷり、へぇ?良いじゃん。私も今度デクって言ってみよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「陽炎、なにやってんの……?」

 

「規模の大きさでヒーロー事務所を分けてる。10人以下、30人以下で選別して前者は切り捨て」

 

「え……5000件今捌いてんのか!?てかそれモニター何枚!?」

 

「6枚」

 

「6枚!!!!才能とかいうレベルじゃねー!?」

 

 

昼休憩、流石に5000件もあると処理も面倒だし今日中に終わらせておきたいから流し見でノートパソコンを開いてる。ちなみにモニター6枚っていうのはお爺ちゃんに頼んで作ってもらった空中投影型モニター。モニターとキーボードの比率は6:1。上鳴がバケモノでも見る目で私を見てきたのはこういう事だね。おかしいなぁ、家に帰ればモニターいつも9枚だし2、3枚くらいならみんな使えるものだと思ってた。なんか、さっきの授業終わりに相澤先生から『放課後コスチュームに着替えて体育館γに集合』とのことだった。多分体育祭前に交渉した捕縛布を教えてくれるのかな?

 

 

「ちなみに……今どれくらいいってんの?」

 

「あと300件くらいかな」

 

「なにこの子」

 

 

私の席の周りを囲っている尾白、芦戸、上鳴、耳郎が驚きながら見ている。あれだね。これらはもういつもの面子として覚えてほしい。私、自分から席動かないし。

 

 

「エンデヴァー事務所に、クレスト事務所……ホークスの所からも来てる!!TOP10揃い組じゃん!!」

 

「あ、エンデヴァー事務所は除外しとくんだった」

 

「何でだよ!?」

 

「嫌がらせ」

 

「????」

 

 

まあどうせ轟が行くでしょ。変なプライドにこだわるのはやめたみたいだし。

 

 

「…………あった」

 

「へ?この事務所……聞いたことなくね?」

 

「俺もないな」

 

「私も〜」

 

「あたしもないね……ここにするの陽炎?」

 

 

ようやく見つけた……っていうか何でこんな後ろの方にあるのかなぁ。探すの疲れた。

 

 

「うん。親のコネ使ったから」

 

「「「「え????」」」」

 

 

そう、一昨日私が父さんにお願いした根回し。ちょっとやりたいことがあったから父さんの()()()にお願いしたのだ。まあ具体的には()()()()()()くらいの仲らしいんだけどね。

 

 

「じゃあ、提出してくる」

 

 

さらさらっと第一希望に県と市と事務所名を書き込むと相澤先生の元に向かった。

 

 

 

 

 

普通に受理された。なんか、は?みたいな顔されたけど、ここで私が学ぶべきだと判断した事を説明したら『お前にもそんな向上心があって感心したよ』と失礼な事を言われながらも納得された。さて、あとは午後の授業を乗り切るだけ。

 

 

え?どこに行くのかって?仕方ないなぁ……当日にしか教えないつもりだったんだけどせっかくだし教えてあげよう。

 

 

『愛知県 泥花市 コックローチ事務所』

 

 

えへへ、楽しみだなぁ……異能解放軍♪




放課後


「えー、このように手首のスナップを含めた腕全体を使って相手を拘束、または対象物の確保などさまざまな使い方に期待できる。これが捕縛布の基本だ」

「…………はい」

「不満そうだな?どうした」

「ミノムシみたいにぐるぐる巻きにされて説明されても……困る」

「身に染みて理解出来るだろう?次は触ってみろ。すぐに出来るようにならなくて良い。まずは捕縛布の感触や長さを感じろ」

「スンスン……洗ってる?」

「……臭うか?」

「……鼻がよかったら。多分、ハウンドドッグ先生とかはわかると思う」

「…………悪い、まだ新品が届いt「相澤君すまない!!今朝、君宛の荷物が届いていたの忘れてたよ!!仮眠中だったから代わりに私が受け取っておいたんだけどね。えーと、ここに置いておくね。あ、陽炎少女との訓練中かい?HAHAHA!!邪魔したね!!さらばだッ!!」…………今、新品が届いた」

「相澤先生……たまには抹消使って抵抗出来ないオールマイトを簀巻きにしてあげた方がいい」

「…………やっぱりそう思うか?」

「今の、誰も幸せにならなかった」

「…………そうか……そうだな」




相澤先生の目が赤く光った気がした。

睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)

  • アザミ
  • クロハ
  • カゲロウデイズ
  • メデューサ
  • ゴルゴン
  • スネーク・アイ
  • カンナ(永遠)
  • サルビア(家族愛)
  • エーデルワイス(大切な思い出)
  • モミジ(大切な思い出)
  • カエデ(大切な思い出)
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