蛇睨み 【All For 『All For One』】   作:ゼノアplus+

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4話

4話

 

 

「制服……好き。服、選ばなくていいから」

 

【色気もクソもねえなお前。いや、お前らしいけど】

 

 

時が過ぎるのも意外と早い。ギガントマキアとのクソ野郎との訓練に明け暮れていればそりゃ早い。だって気絶してる時間多いし。あんにゃろう……絶対……完全に動けなくしてやる!!

 

 

【そうだなァ、なんで『女王』の『目を合わせる蛇』を力技で破れるんだろうな。アイツマジ死ねよ】

 

 

この通り、ギガントマキアとの訓練の後は相棒が擦れてる。なんでも私の個性が通用してないのが気に入らないらしい。『先生』にも何度か相談したけど、自分で考えてみなさい、の一点張り。きっと私にもまだ成長の余地があると踏んだ『先生』なりに指導してくれてるんだと思う!!

 

 

【お前のお気楽さが偶に羨ましくなるぜェ。まァ、そろそろ目の前見ろ。着いたぞ】

 

「うん?……あ、ホントだ」

 

 

相棒の声で意識をしっかり持って前を見れば、すでに校門に着いていた。事前に配布されたプリント通りに1年A組の教室へと向かう。シューズって慣れないね。なんか……変な感じする。

 

 

「…………なんかうるさい」

 

 

教室の中から聞こえてくる声、何か言い争ってるように聞こえる。

 

 

「どうでもいい」

 

 

いつもの一言を呟きながら私は中に入る。へぇ……面白い。頭がカラスみたいな人、全身ピンクの人、腕が6本ある人、尻尾が生えてる人、頭がぶどうみたいな人、耳からイヤホンジャックが垂れてる人、服しか見えない人。ここら辺が見た目で変な人達。1発で変だってわかる。まあ、私も蛇の目だから変だって言われたら変だけどね。

 

 

「…………」

 

 

多数の視線が私に突き刺さるけどどうでもいい。自分の名前が書いてある席があったので座って静かに待つ。わちゃわちゃとうるさいヒーローの卵だね。

 

 

【学生ってのはこんなもんだァ。しかも入学直後とあれば余計にな】

 

(へぇ……)

 

 

元教師(笑)っていろいろ知ってるね〜

 

 

【笑言うなアホ。事実だっての……まともなクラスの担任したことねェけどォ……】

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

「ん?」

 

 

相棒と話してたら急に教壇の方から声が聞こえて来た。こんな声の人いないんだけど……

 

【下、見てみろ】

 

「下?」

 

 

いつのまにか私の髪の毛を使って蛇として出て来てた。相棒の言う通りに目線を下にしてみると……

 

 

「ここはヒーロー科だぞ?」

 

 

ジュっと音を立てて何かを飲んでいる、ミノムシみたいなおじさん。

 

 

(これが担任……?)

 

【……教師としてはアイツより身嗜みがやべェなァ】

 

「はい、静かになるまで8秒かかりました。君達は合理性に欠くね」

 

(うざい……)

 

【古典的な煽り方だなァ。コレ、生徒の反抗心を煽るだけで特に意味ねェのに。そういや、この学校の教師ってプロヒーローだったよなァ?コイツもそうなんじゃね?】

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 

ねぇねぇ相棒。この人がさっき飲んでたアレ、なに?ジュってなってたやつ。

 

 

【簡単に最低限の栄養が取れるやつだなァ。食った気もしなけりゃ腹にも溜まらねェ。おすすめはしないぞ】

 

 

へ〜今度買ってみよ。お金は貰ってるし。

 

 

「早速だが、コレきてグラウンドに出ろ」

 

 

そう言って相澤先生は体操服?って言うのを取り出した。

 

 

(……案内には入学式っていうのとガイダンスっていうのが予定されてるんだけど)

 

【良いんじゃねェか?自由が売りの学校みたいだしよォ】

 

(教師側もなのね)

 

 

女子は更衣室で着替えた。なんかみんな胸そこそこあるね。イヤホンジャックの人が私の方を見てグッってしてくるのが妙にウザい。

 

 

【同類だと思われてんなァ。お前、なんつーか……虚無だもんな】

 

(どうでもいいと思ってたけど、比較対象がいるとちょっと悲しいね)

 

【お前にもそういう感性があってちょっとホッとしたぜ。オレらしく無いけどよォ】

 

 

ホントに相棒どうしたの?今の発言やばいよ。そんな相棒聞いたことないよ?

 

コントみたいな会話をしながらグラウンドへ出ると、すでに男子は揃っていた。

 

 

「今から行うのは個性把握テストだ」

 

「「「「「「個性把握テストォ!?」」」」」」

 

(うるさっ……なんでシンクロ出来るの?)

 

「陽炎」

 

「……私?」

 

「ああ、中学の時ソフトボール投げの記録は?」

 

 

コイツは私の履歴書を読んでいないのだろうか。

 

 

「知らない。学校行ったことないし」

 

((((((急に話が重い!?))))))

 

 

え、逆にみんな学校行ってんの?

 

【義務教育っつってなァ。まあ絶対に学校に行けよっていうのがあんだよ】

 

「んじゃ、爆豪は?」

 

「67m」

 

 

爆豪……爆豪……どっかで聞いたこと……ある?

 

 

【アレだろ。お前が結構前に見たヘドロ野郎の人質】

 

(……ああ、道理で見覚えが)

 

「死ねぇ!!」

 

 

今し方、ボールを爆破しながら吹っ飛ばした金髪トゲトゲを見てやっと思い出せた。あの時の男の子か。生きてたんだ、運がいいね。

 

…………死ね?

 

 

「まずは自分の最大限を知ることだ」

 

『705.2m』

 

 

これ、測って何の意味があるの?

 

 

【なんかあるんだろ。知らんけど】

 

「なんだコレ!!すげー面白そう!!」

 

 

面白そう……ね。ここが私有地じゃなかったら1発でヴィラン認定のくせに。

 

 

「面白そう……か」

 

 

ん、雰囲気が変わった。

 

 

「ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し『除籍処分』としよう」

 

「「「「「「はぁぁぁぁあああ!?!?」」」」」」

 

 

(大胆。でも面白い)

 

【クックック、悪くねェ教師だァ。これが、最高峰かァ】

 

 

「生徒の如何は教師の自由……ようこそ、これが……雄英高校ヒーロー科だ」

 

 

うん、飽きなさそうだね。ガクショクっていうのに鶏肉料理が有れば良いんだけど……

 

 

【お前……ほんっとにブレねェなァ……】

 

 

 

 

『第一種目:50m走』

 

 

「『目を醒ます』」

 

『2秒31』

 

「「「「「「はやすぎ!?」」」」」」

 

 

体作り替えてるから体力テストとか意味無いんだけど……

 

 

『第二種目:握力』

 

 

バキィィィィ!!!!

 

「あ……」

 

「…………(一応、オールマイトにも耐えれる計算なんだが)」

 

『測定不能』

 

「「「「「「やべぇ!?」」」」」」

 

【……まァそうなるよなァ】

 

 

 

『第三種目:立ち幅跳び』

 

 

「意外と……難しい」

 

『14m』

 

【いや、十分だろ】

 

 

 

 

『第四種目:反復横跳び』

 

 

『0』

 

「あれ……?」

 

「ルール知らなかったのか……?」

 

【学校行ってねェのに知るわけねェよなァ……ちゃんと白線越えろバカ。てか真ん中あんのになんで0取れるんだよ】

 

 

 

 

『第五種目:ボール投げ』

 

 

「ふっ……!!」

 

『701m』

 

【ぼちぼちだなァ】

 

「無限は……ずるい……」

 

 

さて……まあ無限の子はどうでもいい。個性100%だし。それよりも……

 

 

【あァ……アイツだなァ】

 

(今、あきらかに挙動がおかしかった)

 

 

ボサボサの緑髪の男子。個性を使う予兆みたいなのがあったけど、何故か記録はボロボロの46m……話を聞く限り相澤先生が消した?らしい。

 

 

【アイツ、厄介だなァ。目を見ないといけねぇお前には】

 

(直接見ずに『目を凝らす』個性を使えば多分大丈夫)

 

 

相澤先生の個性を分析してる間にボサボサ君が投げた。

 

 

『705.3m』

 

「ッ……抜かれた」

 

【やるじゃねェかあのガキ。だが、指を見ろ】

 

(指……腫れてる……反動?)

 

【恐らくなァ】

 

 

じゃあダメだ。いくら力が強くても代償が大きい。私みたいに根本から作り替えないとね。どうやら杞憂だったみたい。ボサボサ君はここで退場。あの程度で怪我するんじゃあこれから先の見せ場はないね。

 

この後はほとんどいいでしょ。チョウザタイゼンクツっていうの以外1位だし。こうして考えたら、『目を醒ます』って強いんだね。

 

 

「君、凄いね!!」

 

「……誰?」

 

「あ、私は麗日お茶子。貴女は?」

 

「陽炎睨美。さっき無限の人だね。よろしく」

 

「うん、よろしくね!!」

 

 

急に話しかけてきたお顔まんまるの子。何気にクラスメイトとはじめて喋った。まあ別に自分から何か喋ることもないしどうでもいいけどね。

 

 

「ちなみに除籍は嘘な。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

「「「「「「はーーーー!?!?」」」」」」

 

「あんなのウソに決まってるじゃない。ちょっと考えれば分かりますわ……」

 

(ウソ……嘘?あの目が、それこそ嘘でしょ……ねえ相棒?)

 

【あァ、あの教師。本気の目だったなァ……恐らく、結果論だろ】

 

 

やっぱりね。合理的虚偽……『合理性』を求めるんだったら、合理性に欠ける生徒は、合理的に要らないんじゃないの?結果として、アイツのお眼鏡にギリギリでも全員叶ったから虚偽って言っただけだろうね。

 

まあ何はともあれ、今日の学校はこれで終わり。とりあえず面白い人間が揃ってるね。制服に着替えてHRも終えた私はさっさと帰ろうと席を立つ……前に、1人の生徒に声を掛けた。

 

 

「ねえ貴女」

 

「ケロ……?ケロッ!?」

 

「あは、やっぱり……私、貴女のこと気に入っちゃった」

 

「ケ、ケロ……個性の相性ね……」

 

「かもね……陽炎睨美、よろしくね」

 

「蛙吹梅雨よ……うぅ、慣れるように頑張るわ……」

 

 

向かい合った瞬間お互い動くことなく会話をする。うーん……まだ動く時じゃない。勝機は1秒以下に……って、ん?なんで私戦闘の分析してんの?

 

 

【最新の研究資料でも見ろ。ちなみにオレは生物が専門だから知ってる。てか自分で調べた】

 

 

マジか。相棒……優秀じゃん。

 

あ、ちなみになにしてんのかって言うとね、この子、多分個性が『蛙』だから『メデューサ』……まあ蛇の私との相性がお互いに良くないんだ。まあ私からだと捕食対象だからあっちがびびっちゃうのは仕方ないけどね。

 

 

「まあ、食べる気はないから安心して。私が好きなのは鶏肉だし」

 

「蛙も鶏肉の味がするのよね……ケロ、言わない方が良かったかも」

 

 

いや、蛙も食べないよ。蛇じゃなくてメデューサだし。

 

ちょっと微妙な気持ちになりながらも、私は初日を終えた。『先生』が制服似合ってるって褒めてくれた。嬉しい。

睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)

  • アザミ
  • クロハ
  • カゲロウデイズ
  • メデューサ
  • ゴルゴン
  • スネーク・アイ
  • カンナ(永遠)
  • サルビア(家族愛)
  • エーデルワイス(大切な思い出)
  • モミジ(大切な思い出)
  • カエデ(大切な思い出)
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