蛇睨み 【All For 『All For One』】   作:ゼノアplus+

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43話

「これくらい?」

 

「あちらの人数を考えると……もう少し用意してもいいかもしれませんわ」

 

「わかった」

 

「相変わらずあめぇ嬢ちゃんだなぁ」

 

「あ、義蘭……久しぶり」

 

 

またも休日。

最近必殺技作りの授業ばっかりで喋ることないんだよね。

 

今は寮じゃなくて家。もちろん雄英に外出許可なんて取ってないので、クラスメイトには一日中ゲームするから絶対に邪魔をするなと伝えてある。

 

だからふといい事を思いついたので、ヴィラン連合にあげる物資を御影と一緒に選んでた。

そこにやってきたのが、ヴィラン向けのアイテムやコスチュームを売ってる義蘭って奴。駆け引きとか義蘭に全部習ったまである。もちろん高い授業料は払わされたけどね、父さんが。

 

 

「景気は?」

 

「お陰様で絶好調さ。アンタらやヴィラン連合が盛り上げてくれたからな。んで、何用で俺を呼びつけたんだ?」

 

「ヴィラン連合に支援する物資……義蘭から直接買いたくてね」

 

「嬉しいこと言ってくれるねぇ……嬢ちゃんが雄英に入ると聞いた時にゃ俺たちも終わったと思ったもんだが、お得意様なのは相変わらずらしい」

 

「別に、ヒーロー側についたつもりはないよ」

 

「おお、おっかねぇ」

 

 

義蘭からはトガちゃんやスピナー用のサポートアイテムの補充、寝具とかの生活用品を買わせてもらう。公でこんなに大量に買い込むと足がつくかもしれないからね。今は情勢が揺れててどこから怪しまれるか分からないから。

 

 

「でもどうしたってヴィラン連合に肩入れしてる?嬢ちゃんほどの奴が絆されたか?」

 

「うん」

 

「……へぇ?」

 

「義蘭もでしょ」

 

「くっ……ああ、そうだ。俺の気持ちも分かるだろ?俺の授業を受けてんだからなぁ」

 

『金回りが良くて、面白い奴は大事にしろ。客を選べ、客に選ばれろ』

 

「ちゃんと覚えているようで安心するぜ」

 

「……ん、まあね」

 

 

……あれ、値段が合わない?おかしいな、ちゃんと計算したんだけど。

 

 

「義蘭……金額間違ってる。安すぎ」

 

「まけといた。今後もご贔屓に……ってな」

 

 

ものぐさ親父みたいな顔してるくせに、商人としてキメた時はめちゃくちゃかっこいいんだから詐欺だよ詐欺。

 

 

「ありがとう……義蘭、気をつけてね」

 

「あ?なにがだ?」

 

「義蘭も分かってるでしょ。今、ヴィラン界隈での最重要人物が誰なのか」

 

「……まあ、自分で言うのもなんだが俺だろうな」

 

「そう、義蘭を手に入れれば実質裏の支配者。最近計画性のあるヴィランが増えて来たのは知ってるはず、だから……気をつけてね」

 

「あー……わあってるつもりだったが、人から言われると気が引き締まるな。嬢ちゃんからの忠告だ、しっかりしとくよ」

 

「ヤバそうなら連絡して……恩を返すチャンス」

 

「おお!!そいつぁありがてぇ。でも、ちゃんと護衛は雇うさ。んじゃ、毎度あり〜」

 

 

ひらひらと手を振って義蘭は去っていった。去り際まで堂に入ってる。やっぱイケおじって良いね。

 

 

「ではお嬢様、準備も整いましたし座標の特定をお願いいたしますわ」

 

「ん……『目を凝らす』…………わかった。ぱっと見薄暗い所だから大丈夫のはず、ダメなら言って」

 

 

御影に座標を伝えて、影ワープ出来るかチェックしてもらう。

 

 

「問題ありませんわ。ではお手を」

 

「よろしく」

 

 

黒霧さんと違って御影に触れてないと一緒に影には入れないのが面倒だけど、そこは御影が女性タイプの脳無で良かった。気兼ねなく触れられる。

 

さて、弔君元気かな。

 

ズブズブと陰に沈む自分の姿はまだちょっと違和感があるけど慣れて来た。

 

 

 

「邪魔するよ」

 

「あ?…………睨美じゃねえか。なんでここにいやがる?てか元気そうだな?どうやってここを見つけた」

 

 

ワープした先は不衛生な廃工場。なるほど、隠れるにはぴったりだ。今はオフなのかいつもの手をつけてないらしい。

 

最初は警戒してたけど私だって分かると、どかっと壊れかけの椅子に座り込んだ。

 

そして質問攻め。

 

 

「私ののうりょ……個性で。御影に頼んでワープして来たから尾けられてもない」

 

「御影?誰だそいつ」

 

「……知らなかったっけ……御影、挨拶」

 

「お初にお目にかかります、死柄木弔様。黒霧と同じく特殊型脳無、お嬢様に頂いた名は御影と申します」

 

 

御影は完璧なカーテシーで弔君に挨拶した。弔君は何が何だかわからないようで少し困惑していた。

 

 

「は……黒霧と同じタイプの脳無だと?そのまるで人間そのものみたいな奴がか?おいおいマジかよ、先生の娘ってのは嘘じゃねえみたいだな」

 

「……信じてなかったの?」

 

「より確信を得ただけだ。ったく、心配して損したぜ。で、何のようだ。こう見えて俺たち結構忙しいんだけど」

 

「ふぅん……そういうこと言っていいんだ。困ってるだろうと思って物資買って来たのに」

 

「物資だと?」

 

「これ」

 

 

私は袋とかリュックに詰めて来た大量の荷物を開封する。

 

 

「食料に生活用品……服にトガ達のアイテムまで……いいのか?」

 

「こないだ爆豪で遊ばせてもらったお礼」

 

「へぇ。お前、律儀だなぁ。ガキは嫌いだが礼儀を弁えた奴は嫌いじゃない。ありがたく貰っておくよ」

 

「他の人達は?挨拶くらいしたい」

 

「大体出払っちまってるよ。今は人材をかき集めてる。お前も手伝ってくれてると助かるんだけど」

 

「……勘弁して。今はダメ」

 

 

贈り物を物色しながら、弔君は私にそう言って来た。無理だってわかってるくせに言って来てるよね。

 

 

「じゃあ、いつならいいんだ?」

 

「…………まあ、ヴィラン同士のいざこざでピンチの時なら」

 

「ちっ、仕方ねぇ。とりあえず今はそれでいい。正直助かった、今は資金繰りにも苦労してたとこだ。これでしばらく飢えずに済む」

 

「お節介かも……でも、言わせてもらう。貴方が支配者であり続けるなら、ふさわしい格は身につけて」

 

「ふさわしい格……どういうことだ」

 

「まずは服装。第一印象、上着、ベルト、時計、靴……他人が見てまず目に入るところから」

 

「なるほどな。確かにこんなヨレヨレのシャツ1枚じゃ格好もつかねぇ」

 

 

弔君は自分のシャツを摘んで面白くなさそうに笑う。普通に今のその格好ダサいもんね。

 

 

「次に思想。確たる思想には自ずと人がついてくる……まあ、弔君なら大丈夫。人数はともかく、少数でも精鋭と言っていいメンツがいる」

 

「アイツら喜びそうだな。トガとかスピナーとかマグ姉とか」

 

「だね……あとはまあ……ヴィランなら力じゃない?」

 

「急に雑いな。だけど間違ってない」

 

 

私の話に弔君は頷きながら答えてくれる。なんか授業してるみたいだな。

 

 

「平安時代とか、ぽっちゃり体型の女性がモテてたらしいけど理由は分かる?」

 

 

適当にクイズを出すことにした。弔君って学歴の無いカスだけど父さんの所で勉強して来てるからそれなりに学があるし頭もいい。きっとすぐに正解を導き出してくれるでしょ。

 

 

「急になんの話だよ……あー…………ああ、そういうことか。食糧生産が安定しない時代、その中で栄養価の高い、金のかかる飯を食ってるってことはそれだけ金を持ってるように見える。つまり家の家格っつう後ろ盾や女の質がわかりやすいってことだな。今の話を繋げると、健康的なヴィランはそれだけ成功してるように見えるってことだ」

 

「正解、それはそのままふさわしい格に当てはまる」

 

「分かりやすい例えだ。わかったよ、健康的で文化的な最低限度の生活しろってことだろ。オカンかよ。こちとらヴィランだぞ?」

 

「でも貴方達は人間でしょ?」

 

「……はぁ、俺の負けだ。そのセリフずるいだろ。お前にそれ言われたらなにも言えねぇよ」

 

「……なんの話?」

 

「これだよ」

 

 

私の期待通りに弔君は正解したけど、突然意味のわからないことを言い出した。そして懐から一冊の本を取り出した。

 

……ん?待って、待って待って……なんでその本が!?

 

 

「『アザミの日記』……!!なんで、弔君が……」

 

「ドクターがくれた。やっぱお前、今この本のアザミって奴の個性……いや、個性じゃねえのか。能力って奴持ってるんだろ。常識が全部ひっくり返された気分だぜ?」

 

 

なんでおじいちゃんはアザミの日記持ってるの!?黒歴史だよそれ……まさか人に見られるなんて……

 

【ハッ……まさかこの時代まで無事に残ってるとは思ってなかったなァ……いやほんとにスゲェな】

 

 

「この本の通りなら、お前がこのアザミって奴の全てを受け継いでるって話なら、お前は生物学上人間ではなく別の種ってことになる。そしてさっきの発言、自分がまるで人間じゃ無いと言ってるようなもんだ」

 

「うぐ……私の……負け」

 

「んじゃドローだ。別に争ってたわけじゃねえけどな。まさかこの世に個性の異形種以外に人外がいるとは思わなかったぜ」

 

「……それ、返して欲しい」

 

「いいぜ、ほらよ」

 

 

弔君は本を崩壊させないように2本の指で本を摘んで渡して来た。よし、これは燃やそう。こんな黒歴史、アザミの尊厳のために燃やし尽くしてしまうべきだ。

 

【待て待て早まるなよ相棒。ソイツは重要な情報だァ、ちゃんと保管しとけ】

 

……なんで?

 

【もしいつか、誰かに相棒の事を話すとして……どうやって信じてもらうんだァ?】

 

『目をかける』能力で今までの記憶を全部伝えれば……

 

【『目を覚ます』能力で精神力がカンストしてるお前ならともかく、一般人が全部浴びせられたら発狂して廃人になってもおかしくねェ】

 

……マジか。はぁ……じゃあやめよう。

 

 

「アイツらには秘密にしておく。言ってもどうせ信じちゃくれねぇだろ」

 

「助かる」

 

「お前の能力、石化、影を薄くする、読心、遠見、増強、一方的なテレパシー、相手に見せたい姿を見せる、精神が常に最良を保ち続ける、であってるか?」

 

「大まかには……そう」

 

「前々からチートだと思ってたが、ガチのチートじゃねぇか。そら先生も重宝する」

 

 

弔君は納得したようにニヤリと笑った。

 

 

「そんなことより、ドローは悔しい……じゃあ、これで勝負」

 

「……ゲームか、いいぜ。やってやろうじゃねえか」

 

 

私が取り出したのは、最新型ゲーム機。行うのは大人気大乱闘ゲーム。弔君もやる気のようでコントローラーを催促して来た。

 

 

「ちなみにだけど、負けてもキレて崩壊させないでよ?」

 

「言ってろ。泣かしてやるぜクソガキ」

 

 

それからちょっと盛り上がりすぎて、他の皆が帰ってくるまでゲームしてたよね。弔君実力がいい感じに同じくらいだからやってて楽しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……荼毘、フラワー当てるのうますぎる」

 

「お前が避けるの下手くそなんだよ……おいスピナー、なにぶつかって来てんだ焼くぞ」

 

「ゲームの話だよな!?リアルでやんなよ絶対に!!」

 

「黙れスピナー、今赤コウラぶち当ててやる」

 

「おお〜、おじさんもう付いていけないよ」

 

「分かる、分かるぞコンプレス」『知らねぇよ!!』

 

「マグ姉はやらないのです?」

 

「あたし、ゲームやったことないのよねぇ」

 

 

皆が帰って来て一通り御影と挨拶を済ませた後、物資について礼を言われたりトガちゃんにちうちうされたりと色々あったけど、結局ゲームをすることになった。

 

私、弔君、荼毘、スピナーの4人で某レースゲームをしてて、残りの4人は見学だ。コントローラーの数がね……足りないの。それにしても荼毘が参加してくれるのって意外。なんか1人でしかしなさそうなのに。

 

 

「ん……私の勝ち」

 

「マジかぁ。結構いいとこまで行ったと思ったんだけどよ〜」

 

「チッ……」

 

「睨美お前……カジュアルでNISC決めてくんのはやりすぎだろ」

 

 

ついついちょっとガチったのは女の子のお茶目で許してくれないかな。……ダメかぁ。

 

 

「ゲームって、人とやるとこんなに楽しいんだな。俺は、こんな見た目だからよ。今まで友達なんて出来たことなかったんだ」

 

「私も……小さい頃は村の連中に迫害されてた。蛇目しか特徴なかったのに」

 

「お前もなのか!?そうか……お前も苦労してんだな」

 

「ん、でも村の連中は親含めて全員石にしてやったからなんの遺恨もない」

 

「はい?」

 

 

スピナーが急に身の上話をし始めた。やっぱ、障子といい異形型で田舎出身は良い思いしないよね。

 

「少人数でど田舎だったから足もつかなかった。完全犯罪で復讐成功、完璧……」

 

「なあボス、やっぱコイツヴィランの方が向いてるだろ」

 

「俺もそう思う」

 

「見た目で気味悪がられる気持ち、あたしよく分かるわ」

 

 

荼毘と弔君がなんか言ってる横でマグ姉も同意してくれた。そっか、オネェとして生きるのもやっぱり難しいのかな。

 

 

「それにしたって嬢ちゃん、仕込み杖なんてどこで手に入れたんだ?おじさんエンターテイナーに磨きがかかっちゃうよ」

 

「義蘭から」

 

「なにぃ!?お前義蘭とも知り合いなのかよ、アイツは良い奴だ!!」『ゴミだよ!!』

 

「くはっ、睨美の人脈も気になる所だけど、とりあえず飯にすんぞ」

 

「遠慮せず食べて……端金だから」

 

「それ絶対先生の金だろ」

 

 

ヴィラン連合の食事を眺めながら、私は御影に頼んだ紅茶を飲む。やっぱ御影が入れたお茶が1番美味しいね。

 

 

「久しぶりの温かい食事です!!美味しいです!!」

 

「レトルトあっためただけなのに……異常に美味く感じるぜ」

 

 

神野の時は突然の襲撃だったから皆お金とか物資を持ち出せてない。今日私が来るまでそこそこひもじい思いしたんだろうなって感じがするね。

 

 

「荼毘は食べないの?」

 

「……蕎麦、ねぇのか」

 

「蕎麦……あー、作ってこようか?」

 

「悪いが頼む」

 

「蕎麦好きなの?」

 

「ああ」

 

「ふぅん……御影よろしく」

 

「かしこまりました」

 

「いやお前が作るんじゃないんかい!?」

 

 

蕎麦が好きなんだ、轟と同じだねぇ……ふふふ、そりゃそうか。兄弟だもんね、轟燈矢君?エンデヴァーが憎くて憎くて仕方がないと言ったその感情、『目を盗む』能力でよぉーく伝わってくるよ。

 

 

「にしても荼毘よぉ、なんか睨美に対して素直じゃね?」

 

「黙れ焼くぞ……実際コイツのおかげで俺たちは助かってんだろ。いくら頭がおかしいクソ裏切り女とは言え無下に扱って良いことはない」

 

「今すぐ石像にして神野に飾ってやろうか……?」

 

「火に油注いでる!?って荼毘は火出す側だろ」

 

「「「「「「面白くない(です)」」」」」」

 

「いい歳こいたおじさんでも泣く時は泣くんだからな!?」

 

 

ふふ……面白いなぁこの人達。どうしようもないゴミ共の集まりなのに、修羅場超えたらちゃんと仲間だもんね。

 

 

「そういえば睨美ちゃん、聞きたいことがあったのです」

 

「ん?」

 

「この前、致死量くらい血ィ出てたのになんで生きてるんですか?」

 

「あー確かに、オールフォーワン?に触られた瞬間にエグい量出血してたよな」

 

「……身の丈に合わない個性をもらって、体が耐えきれなかった。体は作り直したからもう大丈夫」

 

「ええ!?それ本当に大丈夫なのかよ」

 

「個性貰うのってそんなリスクがあったのか。そりゃ脳無に個性植え付ける方が効率がいいわけだ」

 

 

いやーあの時は流石にやばかったよね。自分の血溜まりに沈むなんて経験、まさかするハメになるとは思ってなかったよ。

 

 

「で、なんの個性貰ったんだよ。先生の娘ならそれ相応の個性だろ」

 

「は?おい待てよ死柄木。今なんつった……?」

 

「あー……言ってなかったっけ?コイツはオールフォーワンの義理の娘だぜ。俺も最近知ったばっかだけどよ」

 

「……おじいちゃんか、そりゃ言うよね。隠してるわけでもないし」

 

 

弔君の発言に言葉を失った全員を代表して荼毘が聞いたけど、なんてことなさそうに言う弔君をありえないものを見るような目で見てる。その後視線がこっちに向いた。

 

 

「個性は……秘密。でもその気になればここにいる全員、10秒あれば無力化できる」

 

「チートがチート増やしてんじゃねぇ……お前だけインフレしすぎだろ」

 

「睨美ちゃん、お願いだからヴィラン連合入りなさいよ!!そんなアナタと戦いたくないわアタシ」

 

「心配しなくても、ボコボコにして豚箱送りとか……しない。立場的に戦うかもしれないけど隙見て逃がしてあげる」

 

「ステインの思想に殉ずれば今すぐこの女を殺すべきだが……そもそも無理だろ。無理すぎだろぉ」

 

 

やっぱりスピナーってステイン教なんだ。服とかまさにそれだもんね。

 

 

「……今は人並みに安寧を享受してればいい。私は私でやることあるし」

 

「なにするんだ?」

 

「ヒーロー仮免許取得試験。どこでどうやるのとかは知らない」

 

「へぇ……面白そうだな。トガ、変身して行ってみろよ。愛しの緑谷に会えるかもだぜ?」

 

「イズク君に会えるなら行きたいです!!睨美ちゃん、会場がわかったら教えてくださいね!!」

 

「……いいけど、バレないでね?」

 

「やったぁ!!」

 

「「「「「「いいのかよ」」」」」」

 

 

いや別に、私関係ないし。てかトガちゃん緑谷に惚れたの……?あのクソ雑魚ナメクジに……?

 

 

「好きにすればいい。好き勝手やった責任は自分で負う……ただそれだけだよ」

 

「ヒーローっぽい事言うねぇ」

 

「好きに生きて、好きに死ぬ。ヴィラン生としてこれ以上に幸福な事……ある?」

 

「ちげぇねぇ!!嬢ちゃんはよく分かってる!!でもまぁ、嬢ちゃんが好き勝手やり始めたらって考えると末恐ろしいよ。日本滅ぶんじゃないの?」

 

「あー……多分コイツなら出来るだろ。やんのか?」

 

「やらないよ……ゲーム出来なくなるし、今の生活水準……結構満足してる」

 

「ゲームかよ!!」

 

 

コンプレスの鋭いツッコミでまた笑いが起きた。エンターテイナーってお笑い芸人もできるの?すごいね。

 

 

「……ん、じゃあ帰る」

 

「んだよ、もう帰んのか?もうちょっとゆっくりしてけばいいのに」

 

「この仮アジト捨てた後、ヒーローと警察が調べたらどうするの?ご飯食べてるんだし……唾とか、そういうのでも情報にはなるよ」

 

 

実際、そのうちここもバレるでしょ。私もここで食事したし、トガちゃんが溢した私の血って事でどれだけ誤魔化してくれるか分かんないし。警戒して損はないよ、そう言うことも覚えていかないとね。

 

 

「……マジ?」

 

「大マジ……弔君が崩壊させるか、荼毘が焼いてね」

 

「メンドくせ……あんがとよ」

 

「ん。じゃあ頑張ってね」

 

 

何か言いたげな弔君だったけど、言わせる気は無いのでさっさと御影に家まで送ってもらった。少しだけ御影と会話した後、寮の部屋にワープさせてもらって、今日の仕事は完了。

 

んー……話してるとやっぱ良い人ばっかりなんだよね。やってることはともかく。





「おい、ちょっと集まれ。睨美のことで話がある」

「死柄木?……もうちょっと飯楽しもうぜ」

「後でも食えるだろ。お前ら、今日だけでアイツの戦力がよく分かっただろ」

「……ああ。黒霧みてぇなワープ持ちのお供に、本人の異常な戦闘能力。その気になりゃ個人で国すら取れるってんのに、なんで俺らが動かなきゃいけないのか疑問すら覚える」

「その通りだ荼毘。で、アイツはなんて言ってた?生活水準に満足してるからやらないだけだってよ。俺らが壊したら……ワンチャン攻めてくるだろ」

「「「「「「……!!!!」」」」

「だからこれは俺たちだけの最優先達成目標だ。睨美に、今の環境じゃなくても楽しいと思わせることだ。アイツが敵にならない、それだけだが……それが今の世界で一番の重要事項だ」
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