蛇睨み 【All For 『All For One』】 作:ゼノアplus+
6話
まあ語ることはあんまり無いんだけどさ。さっきやった4人以外で時に目立って強そうな個性持ちをピックアップしていくよ。
まずは言うまでもなく轟。氷と炎の二つの個性を使うことができる。うん、もう強い。しかもシンプルで高火力。
次、八百万。カロリーを使って肌からなんでも創造できる。普通にやばいよね?作りたい物を分子構造から理解しておかないといけないから努力型。使いこなせる八百万がすごい。
次、口田。声で生き物を使役できる……相棒大丈夫?
【舐めてんのかァ?生き物じゃねェよ】
まあ生き物を使役できるってことは私と相性が良い。生き物を含めた相手の心の声を聞くことができる『目を盗む』個性。私が声を聞いて、口田に伝えて使役……うん、完璧。まあ未だに口田の声を聞いたことないけど。
次、常闇。ダークシャドウ?っていう変な生き物を使役できる。しかもなんかダークシャドウ君結構強い。常闇本人が格闘戦で強くなったら化ける。
次、切島。体を硬くすることができる。まあ普通に考えてしぶとい。私の破壊力なら突破は容易だけど、本人の気合い次第ではちょっと面倒。物理だけなら最強かもしれない。
……こんなもんかな。他の人も悪くは無いけど私の目に止まるものはない。酸とか体験したことないから怖いけどね。
さて、こんな雑に説明した理由……言わないとね。
次私の番なんだよ。
【……雑だな】
わかりやすいから良いんだよ。
『さて、残り1組……準備はいいかい陽炎少女?』
「余裕」
耳につけたインカムからオールマイトの声が聞こえる。今、私はヴィラン側として核目の前に立っている。ここは3階、ビルの中間だ。ちなみに相手の2人は私に発表されていない。立候補したのかもしれないし、オールマイトに指名されたのかもしれない。まあどうでもいい。
「ヴィランらしく……蹂躙するだけ」
『自信すごいね!?でも、期待しているよ。入試首席の実力を見せてくれ!!それでは最終戦、スタートォ!!』
「『目を凝らす』『目を盗む』」
誰が相手でも恐らく、1人の私を封じ込めてさっさと決めきると思う。昨日のテストで私の『目を醒ます』個性の威力は見ているはず。だから……まあ落ち着いて索敵しよう。まずはそれから。
「一階に1人、屋上に1人……まあそうだよね」
二手に分かれてる。屋上は蛙吹、一階は……轟?なんで一気に凍らせなかった?普通それだけで終わらせるはず……わざわざ制圧じゃなくて戦闘に切り替えた理由は?
それもすぐにわかる。
(すぐには仕掛けてこない……1人というディスアドバンテージを考えたら当然だ。誰が相手なのか分からないうちに近づいて一瞬で凍らせる)
(あの力……緑谷君と違って完全に制御してるっぽいし、気をつけて行かなきゃね。それにしても轟君が凍らせると寒くて嫌だわ)
「なるほど。そういえば私が索敵できること知られてないんだ。強大な力を過信せずに己のアドバンテージを最大限に活かす戦術……惚れ惚れするよ」
2人は私の個性を単純な増強型だと勘違いしているらしい。だったら虚を突く戦法でいいかな。
【じゃあ降伏でもしてやるかァ?】
「冗談。ナビゲートよろしく相棒」
【おう】
「2分で終わらせる」
轟の位置は大体真下。2階分の床なら……
「このくらいでしょ」
ぶち抜く。
◆
〜sideモニタールーム〜
「陽炎さんから仕掛けた!?一体どうして!!」
「怪力が個性じゃねえのかよ!!」
「明らかに敵が見えてる動き……奴の個性は一体……」
「ううむ……(個性届けには『メデューサ』と書かれていた。つまり、神話などに聞くメデューサが出来ることは大抵出来ると考えていい……だが、メデューサに索敵ができるのか?)」
モニタールームは阿鼻叫喚。不利なはずの睨美が攻勢に出たことに驚き分析する者もいる。
「あの位置なら核に被害を及ぼすことなく最短距離で移動できますわ!!」
「全部計算してるっていうのか……」
「あれ、陽炎さんの目の色って『赤』だったっけ……?」
「はぁ?蛇みたいな目だっただろ……ってホントだ。赤くなってるぜ」
「でも……轟君を相手にしてたら、蛙吹さんが先に核を……」
「「「「「「ッッッッッッッッッ!?!?」」」」」」
色々と考えていた彼等だが、その全てが無に帰すように目を見開いた。なぜなら……
『制圧……完了』
「これほどとは……!!」
1ミリたりとも体を動かせないまま確保テープで体を縛られてリタイアとなった轟と、
◆
「なっ……」
「悪いね轟……実力差がありすぎた、だっけ?」
「ッ……」
弱くはない。でも、私には届かないよ。
私は床をぶち抜いてすぐに、轟を視界に捉えた。そこですかさず『目を合わせる』個性を発動。石化はさせず動きを止めた。これでもう彼は動けないから、さっさと確保テープで両手首を縛った。
「1分くらいで動けると思うから」
「…………」
満足に口も開かないであろう彼を横目に私は跳躍。核のある三階へと戻ってきた。本格的な戦闘もしたことが無い彼等に対して、初見殺しはすごく効くね。咄嗟の対応力が磨かれちゃいないから上手くいったけど、異変を感じた瞬間周りを氷でコーティングされたりしたら上手くいかなかった。
【もう一度『目を凝らす』蛇を使っとけ】
「あ、そうだった」
相棒に言われてすぐに『目を凝らす』個性を発動。蛙吹の居場所を確認する。場所は……真後ろ?
「ケロ、油断大敵」
「うん。貴女も」
「ケロッ!?」
一瞬びっくりしたけど、蛙っぽいことが出来る個性なら機動力もなかなかだとは思っていた。まさかもうこの階まできてたとはね。
死角から私の真横を通り過ぎ、核を回収しようとする彼女の足を掴んで放り投げる。空中で上手くバランスをとって着地した彼女だけど、警戒したのかもう近づいてこない。
「……轟ちゃんがやられたのは意外だったわ」
「油断してたから」
「そこの穴を見るに、油断してなくてもどうにかなって無さそうだけど……」
それはそう。逆に戦闘訓練をかけらもしてない君達が対応できたらおかしい。あ、そういう意味では爆豪が1番おかしい。才能の権化だ。
「私の個性は『メデューサ』。対象の目を見たら石化させることが出来る」
「なるほど、でもその怪力はなんなのかしら?」
「異形型とのハイブリッド。怪力は元々の身体能力。今の私は肉体から『メデューサ』。厳密にはメデューサが出来そうなことは大体できる」
っていうのが、表向きの説明。ちっちゃい頃は髪を蛇にできることと相手を石化させることくらいだったんだよね。先生に個性を貰ってからは色々増えたけど。
ちなみに個性を説明しても勝てると踏んでるから言っている。まあ、自分の力をひけらかすヴィランも多いし、役回りとしては妥当だよね。それに元々の身体能力っていうのも嘘じゃない。『目を醒ます』個性で肉体を作り替えてるからその通り。強化での後付けじゃなくて根本から作ってる。一度作ればそれが私の体になるから個性発動中ではないので目も赤くならない。
「どうして轟ちゃんの居場所が分かったのかしら……誰が相手か分かってないのに」
「対策を考える時間稼ぎ?まあいいや、見たからね、この目で」
「個性の複数持ち……?」
「貴女が『蛙』に出来ることは大抵出来るんだったら、私も同じ」
相棒曰く、私は神話とかでよく聞くメデューサの定義から外れるらしいけど、よく分かんなかったので割愛。まあ便利な個性だし、先生からもらった個性で不甲斐ない真似はできない。
「………(勝つのは無理そう……でも、一矢報いるわ)」
「ごめんね、させないよ。『目を合わせる』」
こっそり発動していた『目を盗む』個性を使ってみれば、また良くないことを考えていたのでさっさと拘束した。ギガントマキアクラスのキチガイじゃなければこの石化は破れない。
「確保。1分はそのままだから、ちょっと我慢してね」
「…………」
『ヴィランチームWIN!!』
オールマイトから戦闘終了の合図が出た。そのまま少しだけ待って蛙吹の石化が解けるのを待つ。
「ケ、ケロ……動ける……」
「戻ろう」
「え、ええ……」
動けるようになった蛙吹と一緒にモニタールームに戻ると、すでに轟は戻っていた。
「帰ってきたね。お疲れ様3人とも!!特に轟少年と蛙吹少女は2回目で疲れただろう?」
「いえ……別に……」
「何もできなかったしそんなに疲れてないわオールマイト先生」
他のみんなは少し困惑気味の表情だけど何人かがキラキラした目で私を見ている。轟は不満げだけど。
「さて、講評をしようか。と言っても、みんなも分かっている通り今回のMVPは陽炎少女だ!!じゃあ、何故かは分かるかな?」
「え、瞬殺だったからじゃないんですか?」
「それもある。だが、もっと大事なことがあるよ!!」
「はい。ヒーローチームに何もさせなかった事だと思います」
八百万が挙手しながら言った。うん、よく分かってるじゃん。
「陽炎さんはヒーローチームのメンバーがわからなかったにも関わらず自ら攻撃を仕掛けたのは、誰が相手なのか把握していたからなのでしょう」
「誰なのかと居場所は把握してた」
「だとしたら、すでに個性を見ている陽炎さんからすれば轟さんの氷で凍らされる前に突然の襲撃で対応させずに速攻を決めたことがポイントだと思います」
「その通りさ!!八百万少女、解説ありがとう!!(また全部言われた!!)」
オールマイト可哀想だな。ていうかこの人優秀すぎじゃない?
「攻撃は最大の防御、とはよく言ったものだけどね。読んで字の如く時には必要になる。今回はヴィラン側に地理的アドバンテージがあったし、ヴィランに
「早く終わって、尚且つ有効打。脱出、逃走、核の起動、どの状況でも対応が早くなる」
「冷静!!いいと思う!!」
サムズアップしてHAHAHA!!と笑っている。
「ヒーローが自分の個性を隠すのは正直無理だ。それに対して、ケースによっては全く個性が分からないヴィランを相手にすることになる。今回はまさしくその類だった。『初見殺し』が出来るなら、その相手は真正面から戦っても強いと考えておきなさい」
「「「「「「はい!!」」」」」」
「む?そろそろ授業が終わるね。私は緑谷少年に講評を聞かせねばならない。制服に着替えて、教室に戻りなさ〜い!!」
「「「「「「はやっ」」」」」」
何を急いでいるのか、オールマイトはさっさと走って行ってしまった。チャイムも鳴ったし、とっとと戻ろう。準備運動にもならないし不完全燃焼。
爆豪がものすごい形相で私を睨んでる。視線で人が殺せたら多分100人単位でやってるよ。あ、私は出来る。石化させれるし。なんで睨んでるのか知らないけど……
「邪魔」
「ッ……クソがッ!!」
目も合わせずにガン無視で通る。相手するのも面倒。釈に触ったっぽいけど、元々そういう性格だろうし。
「……私と轟を見て怖くなっちゃった?」
「ッ!!……んだとっ……殺すぞクソおんn!?」
「やってみたら?」
私の眼前で爆豪の右腕が止まる。個性は使ってない。爆豪が自分から腕を留めた。プルップルしてるしよほど我慢してるんだろうね。
「…………」
爆豪が鬼のような形相で私を見るけど何も言ってこない。もう用は無さそうなので私は女子更衣室に歩いて行った。
◆
今日の授業はこれで終わりだ。特に汗をかいてるわけじゃないけど備え付けられてたシャワーで体を流す。先生に『身嗜みは社会での基本』って教えられたからね。普通の人間の倍以上ヴィランとして生きてるのに、先生がなんで表社会のこと熟知してるんだろう。
「ふぅ……」
【おい、誰か来てんぞ】
相棒の呼びかけで、扉の方を見る。
「『目を盗む』」
(デク君大丈夫かな?)
(楽しかった〜)
(これが雄英……素晴らしい授業ですね)
(みんな胸でかい……)
(汗かいても見た目じゃバレないから楽!!あっ、でも匂いだけしちゃうのかな???)
(ケロ……早くあの子に慣れたいわ)
ああ、女子か。更衣室だしそりゃ来るよね。えっと……麗日、ピンクの人、八百万、イヤホンジャックの人、透明の人、蛙吹だ。
11匹ほど、髪の毛を蛇に変えてドライヤーで乾かす。心なしか蛇達も気持ち良さそうだし、このやり方だと私の長い髪も割と早く乾くから便利。
【ついでにオレも気持ちいいぜェ……】
その音でとろけた声が若干キモいのがアレだけどね。
「うわッ!?誰!?」
「私」
「あれ、陽炎じゃん。その頭どうしたの?」
扉を開けて入ってきた女子6人。麗日がびっくりしてる。イヤホンジャックの人が興味深そうに蛇達を見ている。
「私、個性が『メデューサ』だから髪の毛を蛇に出来る。この方が乾きやすい」
「なるほど……それで睨まれた轟さんと蛙吹さんの動きが止まっていたのですね」
蛇を見ながらさっきのこと思い出してるであろう八百万。真面目だね。
「本当は石化も出来るけど、殺しちゃうから調整してる」
「ケロ!?言わないで欲しかったわ……」
ヴィランだったら容赦なくやってるんだけどね。
「蛇さん可愛いね!!」
「……ありがとう」
麗日、相棒が若干照れてる。気持ち悪いよ相棒。
【うるせェ……】
「黒い蛇って初めてみた〜」
「髪の毛だし……」
ネットで探したら黒い蛇くらいいるんじゃない?
「その蛇って私のこと見えてるのかな……?こっちみてるんだけど……」
「蛇って赤外線が分かるから、温度の差でなんとなく輪郭が分かるんじゃない?個性を使ったら貴女のこと見えるし」
「「「「「「ええ!?」」」」」」
びっくりした。近距離で叫ばないで欲しい。心臓に悪い……
髪が乾いたので髪の毛に戻す。戻す直前、相棒じゃない一匹がもっとして欲しそうに私を見てきたけど知ったことじゃない。ペットじゃないんだよ。
「葉隠さんってどんな顔してるの!?」
「陽炎、教えて!!」
「い、言わなくていいからね陽炎さん!!」
「……近い」
あんまり同年代の女子を見たことがないから基準が分からないけど、普通に可愛い顔してると思う。だから恥ずかしがることないと思うけど……
「あの、陽炎さんも困ってますしそろそろ私達も着替えましょう?」
「え……ああ、うん。ごめんね陽炎さん」
「……気にしてないからいい。それじゃ」
下着姿からさっさと制服を着て、コスチュームをアタッシュケースに収めて更衣室を出る。なんか精神的に疲れた……こういう時は家でゲームに限るね。とっとと帰ろ。
教室に戻るとまだ誰も帰ってきてなかった。さて、荷物も纏めて……
【まだHRあるだろ。帰るな】
なん……だと……!?
睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)
-
アザミ
-
クロハ
-
カゲロウデイズ
-
メデューサ
-
ゴルゴン
-
スネーク・アイ
-
カンナ(永遠)
-
サルビア(家族愛)
-
エーデルワイス(大切な思い出)
-
モミジ(大切な思い出)
-
カエデ(大切な思い出)