蛇睨み 【All For 『All For One』】 作:ゼノアplus+
7話
昨日の戦闘訓練はなかなかに楽しかった。HR後には切島から反省会に誘われて少し帰るのが遅くなったけど、代わりにやっと全員の名前を把握できた。まあ爆豪は参加しなかった上に緑谷はボロボロの状態で爆豪を追いかけて行ったから2人は欠けてたよ。いや、たしか轟も居なかった。まったく……協調性がないね。
【いや、お前も教室を出る2秒前くらいに引き留められただろ。自分を棚に上げんなァ?】
相棒、黙ってたらバレなかったのになんで言うのさ。参加した私はあの2人とは違うからいいの。……………でさ、
「オールマイトに教えてもらえてることについて一言もらえる!?」
「…………通行の邪魔」
翌日、つまり今日。学校前まで登校してみれば、機材をたくさん持った記者?がアホみたいな数居た。急に詰め寄られるし偶に背中から機材が当たる。360度にいるから『目を奪う』を使っても一度に纏めて『目を合わせる』で動きを止めれない。ていうか個性を使ったらいけないから八方塞がりだ。普段からある程度施してある『目を醒ます』の力で何とかなるから、それで無理くり押し通って校内に入った。
ウザい。
【ああいうのマスゴミって言うんだぜェ?態度の悪いゴミみてェなマスコミ】
マスゴミ……マスゴミ……良いね。
「あ、おはよう睨美ちゃん。大丈夫だった?」
「……おはよ。押し通った」
「そういえば力強かったもんね〜」
教室に入れば、麗日がゲンナリした感じで話しかけてきた。恐らく同じ目にあったんだろう。
ちなみに、昨日の放課後の流れで女子達には名前で呼ばれることになった。全身ピンクで『酸』が個性の芦戸って子にグイグイ詰め寄られて仕方なく許可した。私からは全員名字呼びだけど。
「まあ、ちょっとだけ嫌がらせしたけどね」
「へ……嫌がらせ……?」
「何でもないよ」
校内の木の陰で『目を覚ます』個性を発動。近くにある電子機器……マスゴミ共の機材に入り込み内側から、誤作動が起きるような細工をしてきた。あの調子でいっても昼頃には機材トラブルに気付いて帰るでしょ。
「睨美ちゃん……ヒーロー志望とは思えないような顔してるわよ」
「だいじょーぶ、あs…………梅雨ちゃん……」
「ケロ、そうね」
圧が怖かった。今日は私の負けらしい……チクショウ……何なのあの圧……無視できない。蛙吹だけはどうしても名字で呼ばせてくれない。本当は気に入った相手だけ呼ばせるらしいけど、私の場合早く普通に仲良くなりたいだからだそうだ。
【気にすんなァ。ああいう奴は偶にいる】
偶にいるんだ……その方が驚きだよ。
キーンコーンカーンコーン……
予鈴が鳴ったので大人しく席に座る。大人しくしておかないと相澤先生の圧が面倒だからだ。どいつもこいつも圧が怖いね。
「おはよう」
ちなみに相澤先生は今日も寝袋からの参戦だ。
【ケンジロウでさえアレはしてなかったのによォ……これが効率厨……恐ろしいなァ】
と相棒の意見。相棒がこんなこと言うのは他に『先生』くらいなのに珍しいね。
相澤先生は、昨日の午後の授業の報告書?を見ながら緑谷と爆豪に注意をしている。まあ爆豪に至っては言動が完全にチンピラヴィランのそれだから仕方ない。ヴィラン予備軍の私でも流石にしないのに。
「まあそれはいい……今日はやる事がある」
((((((また抜き打ちテスト……?))))))
『目を盗む』を使ってクラスメイト達の心を盗み聞く。しかしこれだけだと目が赤くなってバレるので平行して『目を欺く』も発動する。これはまだ説明してなかったっけ?他人に自分の望んだ姿を見せる事ができる個性だよ。相棒曰く、『騙し絵』みたいな物らしい。ちなみに私は騙し絵が何か分からない。まあ幻覚を見せてるって思ってよ。これを使って自分の目が赤くなってないように周りに見せながら『目を盗む』を使っているので誰にもバレない。
【……まァ、蜃気楼みたいなもんだよ。しらねェけど】
何で相棒が知らないんだよ。ていうか、20人分一気に聞こえてるから頭がムズムズする。生物なら見境なく全ての心の声が聞こえてしまうため大勢がいる場で使うと頭が割れるように痛くなる。この人数くらいなら違和感だけで済むけどね。
なんで全員心の声が一致してんの?仲良しなの?
「学級委員長を決めてもらう」
「「「「「「クソ学校っぽいのきたぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」
((((((クソ学校っぽいのきたぁぁぁぁぁ!!!!))))))
うるさっ!?遂に声と心の声まで一致した。コイツらほんとに何なの?
「先生、俺やりたいです!!」
「私も!!」
「僕のためにあr「私もやりたい!!」……」
「俺にやらせろ!!」
次々にクラスの人たちが手をあげる。ヘイ相棒、学級委員長って何?
【クラス内でのリーダーの事だァ。クラスで何かを決める時とかは委員長が前に立って進行をする。他には雑用とかもだなァ】
面倒な奴じゃん。却下却下、なんでみんなやりたがるの?
【恐らくだがヒーロー(仮)のリーダーをするということは皆を纏めなくてはならない。つまりヒーローの素養を試される、ってことなんだろうなァ】
ああなるほど、それでこぞってみんな手をあげてるのか。でも私はやらない、結局雑用をすることには変わりないんだしただ面倒なだけ。
「落ち着くんだみんな!!」
その一言で静まり返った教室。誰もが声の発信源を向いてる。真っ直ぐ、美しいともいえる挙手をしているけど。
「学級委員長は聖職!!皆の信用を得る者でなくてはならない!!故に、投票で決めるべき議案!!」
((((((そびえたってるじゃねえか!?))))))
あ、またシンクロした。飯田……アンタも手あげてるじゃん。見たところ私以外の全員が手を上げてるし全員自分に入れるでしょ。私以外。
「まだ数日しか経ってないのに信頼もクソも無いわよ飯田ちゃん」
「そうだぜ、どうせみんな自分に入れるに決まってる」
「時間内に決まりゃ何でもいいよ」
【それでいいのか相澤、お前教師だろ】
……相棒がツッコミを入れた。珍しい。
「1人手を上げてない奴がいるだろ。だったら決まる。1人だけはな」
今発言したのは髪の毛の右が白で左が赤の轟。おい、それ私じゃん。そして全員でそれが誰か探した結果……私に視線が集中した。視線に対する私の答えは……
「…………私じゃなければ誰でもいい」
((((((クラスに必ず1人はいるタイプだ……!!))))))
そうなの?まあどうでもいいんだけど。
【まァ……確かに……自主性の低い奴は居るよなァ……】
へぇ、っていうか私、誰に入れるか決めてるし。
飯田がテキパキと、しかし何故かカクカクした動きで投票させて黒板に結果を書いていった。
結果。
緑谷3票
八百万2票
その他(私、轟、麗日、以外)1票ずつ
「僕3票!?」
「なんでデクが!!誰が……!!」
緑谷が……?意外と人徳あるんだね。
「1票……?一体誰が……」
あ、それ私だよ飯田。言わないけど感謝してよね。
「じゃあ委員長 緑谷、副委員長 八百万だ」
「うーんくやしい……」
「マママママママジでか……」
焦りすぎだよ緑谷。まあ、いいんじゃないの?昨日の授業でも他の人に火を付けてたし。
「んじゃー……じゃあな」
あ、相澤先生もう行くの?早いね。次の授業は……英語……プレゼントマイク先生うるさいから好きじゃない。
【まあ、お前は『目に焼き付ける』蛇がいるから余裕だろうなァ……(なんでいるのかは今も知らねェけどよォ)】
「グッモーニングエブリバディ!!今日も始めて行くぜェ!!」
…………うるさっ。
◆
昼休み。今日も今日とて食堂に来た私は、ランチラッシュさんとグッジョブを交わし合いながらシチュー(鶏肉入り)を食べていた。
ただ、何か視線を感じるのでその方向を向いてみれば……
「っ!!」
……誰だっけ?茶髪の三つ編みのメガネの女子生徒と目が合った。
【アレだろ?入試の時の『目利き』の個性持ち。確か……お前が助けたんじゃ無かったかァ?】
あー……そういえば居たね。
何か言いたげだったので手招きすると、ピクッとしながらも寄ってきた。
「……久しぶり」
「お、お久しぶりです!!あの時は助けてくれてありがとうございました!!」
何故か敬語だ。同い年なのに……畏まられることなんて今まで無かったから変な感じ。
「……座ったら?お昼ご飯冷めちゃうよ」
「あ、はい。じゃあ失礼します……」
「雄英、受かったんだね。ヒーロー科?」
「いえ、結局あの1ポイントしか貰えなかったのでヒーロー科は落ちちゃいました。でも、サポート科には合格できたので晴れて雄英生です!!」
「おー良かったじゃん……サポート科?」
ヘイ相棒、サポート科って何?
【確か……ヒーロー用のサポートアイテムの開発を主にする科、だったはずだァ……お前には縁の無い話だがコスチュームに搭載する機能もだった……お前、最近オレのことを『聞けば何でも答えてくれる機械』だと思ってるだろォ……?】
いやいやまさか、いつも助かってるよ相棒。私の正面に座って昼食を食べ始めた彼女。そういえば名前聞いてなかったね。
「陽炎睨美、睨美でいいよ。よろしく」
「え……あ、信濃 定目(しなの さだめ)です!!よろしくお願いします!!」
「うん、あと敬語禁止。同級生でしょ」
「分かりました!!……あ、えっと。うん、分かった!!」
なんていうんだろう……にへら?って感じで笑った信濃。ああ、純粋な子なんだね。
それにしてもサポート科か……今の私のコスチュームは丈夫なのと動きやすい以外は特に機能も無いし、何かあったらお願いしてみよう。
「私、A組」
「私はH組。ちょっと遠いね」
「……ちょっとではないかな」
ABCDEFGH……結構クラスあるんだね。
【ヒーロー科、普通科、サポート科、経営科があるから恐らくもっとクラスはあるぞ。それが3学年分だ】
うへぇ……流石は日本最高峰……人が多いところ好きじゃないんだけど。
【ここも十分人間多いだろォ……】
いやまあそうだけどさ。ご飯美味しくて周りを気にして無かったよ。
「私のコスチュームでなn『ウウ〜〜!!!!』……なに?」
「け、警報!?」
突然、校内に爆音で警報が響き渡った。
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください。繰り返します……』
「セキュリティ3……?」
「あわわわわ……早く避難しないと……」
えー……めんどくさ。シチューギリギリ食べ終われてよかったけど。ていうか、みんな移動早いな。入り口がギュウギュウだ。
「……最後尾で行こう」
「えぇ!!でも、なんかヤバそうだよ!?」
「今あの中に入る方が怖いし、大丈夫」
「な、なんで……?」
不安げな信濃。彼女の方が少し身長が高いので私も少し見上げている。
「私、強いから」
「……(すごい自信だ!?)な、なるほど?」
正直、大抵のことはなんとかなると自負している。相手が変な個性持ちじゃ無かったらね?
【おい相棒。外見ろ】
……ん?って、はぁ?
「あー……いや、大丈夫かも」
「なんで……?」
「ほら、記者達が入り込んでるだけみたい。特にヴィランとかじゃないよ」
まあ、敷地内への不法侵入をヴィランとして扱うのかは教師陣の判断によるけど。
「あ、ほんとだぁ!!良かった……」
「さて……問題は……」
そんなことは知らない、いや見えていないのか入り口でずっと詰まってる生徒諸君。中には切島や上鳴、緑谷、麗日、飯田の姿も見える。はぁ……出れないじゃん。
「仕方ない……ちょっと待ってて」
「え、何するの?」
「黙らせてくる」
「だまっ!?」
ガヤガヤうるさいし、道通れないから教室に戻れないし、面倒くさい。『目を奪う』+『目をかける』のコンボで視線を集めて、全員の心に直接語りかければ嫌でも止まるだろう。本当にダメそうだったら『目を合わせる』で強制的に黙らせればいい。
そう考えて集団に近づきかけた私だけど……私にしては珍しく目を見開いてしまった。
「だいじょーーーぶッ!!ただのマスコミです!!何もパニックになることはありません!!ここは雄英!!最高峰の人間にふさわしい行動を取りましょう!!」
恐らく、麗日の個性で体を浮かせた飯田が、入り口のドアの上に立って生徒達へ叫んだ。おおー……やるじゃん。私の個性なしで人の目線を奪うなんてね……
それからまもなく、警察が来て事態は収集した。うーん、不完全燃焼。
「ふわぁ……怖かったぁ〜……」
信濃の声、なんか気が抜けるなぁ……
ていうか、機材一式不調にしてやったのにまだ気付いてなかったのか……
◆
まあ、いろいろあったけど今日も何事もなく終わった。私にとってはね?あったといえば……委員長が緑谷から飯田に変わったくらいかな。なんか非常口って呼ばれてたけど、たしかにあの時の彼、ピクトグラムっぽい体勢で喋ってたね飯田。まあクラスのみんなも乗り気だし問題はないだろう。そもそもの話、私は最初っから飯田に投票したし。
「…………『先生』の言ってた死柄木君。そろそろ来るかもね」
【はァ……別に良いけどよォ……死ぬなよアホ】
「あー、アホ言ったね相棒。大丈夫、『先生』とギガントマキア以外には負けるつもりはないよ」
雄英高校の入り口に設置されてる防壁が
あーあ、楽しみだな〜……
睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)
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アザミ
-
クロハ
-
カゲロウデイズ
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メデューサ
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ゴルゴン
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スネーク・アイ
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カンナ(永遠)
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サルビア(家族愛)
-
エーデルワイス(大切な思い出)
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モミジ(大切な思い出)
-
カエデ(大切な思い出)