蛇睨み 【All For 『All For One』】 作:ゼノアplus+
8話
8話
今日のヒーロー基礎学は実技だ。この前のような戦闘訓練ではないと聞いているけど、詳細は知らない。
「今日のヒーロー基礎学だが俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることとなった」
ってことはもう1人いるんだ。マイク先生かな?
「災害水害何でもござれ、レスキュー訓練だ」
相澤先生が『rescue』と大文字で書かれたカードを見せてくる。うへぇ……1番嫌いなやつ。
その後の話によれば、コスチュームの着用は各自の判断に任せるとのこと。まあせっかくだしコスチュームは着ていくとして、バスを使うくらい離れた場所にあるって凄いね。流石雄英。無駄に設備が凄い。
麗日達と一緒に更衣室でちゃちゃっと着替えてバスに乗り込む。新しく委員長になった飯田がやけに張り切っていたけど、少しウザかったので票を入れたのは間違いだったかもと思い始めてきた。
バスの構造をあまり知らなかったけど、向かい合って座るタイプもあるんだね。今まで乗ったことが無かったから知らなかった。
「私、思ったことをなんでも言っちゃうの。緑谷ちゃん」
「は、はい 蛙吹さん 」
「梅雨ちゃんと呼んで。」
「う、うん・・・」
「あなたの個性、オールマイトに似ている」
「ッ!!」
緑谷と蛙吹、2人を囲んでいる切島達の話している声が聞こえる。
……確かに、緑谷は私からみても驚異的な増強系個性。オールマイトに似ていると言えば似ている……だけど、
「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねぇぞ。似て非なるアレだぜ」
そう。今までの緑谷のように腕が折れたり指をぶっ壊したりしない。でも、裏を返せば制御さえ出来てしまえばオールナイト並みのパワーが出せるということ。『死柄木』君がどんな個性を持ってるのか知らないけど、オールマイト級のパワーファイターが2人とか無理ゲーだよ。あ、別に今日来るわけじゃないからね?そろそろかな〜って勝手に思ってるだけだし。
「増強系っていやぁ、陽炎の個性も強えよな!!」
「……私?」
「おう!!素の身体能力もやべぇけどよ、相手の動きを止めるってのも強すぎるよな!!」
テンションの高い切島が絶賛してくる、そりゃそうだよ。なんたって『先生』がくれた個性だもん。使いこなせないと合わせる顔がないよ。『先生』は文字通り顔がないけど。
【上手いこと言ったつもりだと思ってんじゃねえよ】
……うるさい。
「まあ私強いし」
「事実だからなんもいえねぇ……」
「睨美ちゃんはコスチュームも可愛いから人気も出るだろうね!!」
「……人に見られるのは好きじゃない」
「だったら、相澤先生みたいなアングラ系でも良いかもね。暗闇で妖しく光る赤い瞳から逃げられるヴィランはいない!!みたいな」
「漆黒の妖妃……」
「暗いところじゃ私が見えないから意味ないよ」
「確かに!?」
一瞬常闇が反応した気がしたけど気のせいだと思う。ちょっと何言ってるか分からなかったし。
「それに比べて、爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなさそ」
「んだとコラ出すわ!!」
人気って出すものなの……?
「この付き合いの短さですでにクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」
「てめぇのボキャブラリーじゃなんだコラ殺すぞ!!」
「……ふふっ」
「あれ、睨美ちゃん今笑った?」
「ッ……笑ってない。どっちかっていうと嗤った」
「嗤ってんじゃねえぞ蛇女!!」
「爆豪君、君本当に口悪いな!?」
爆豪、反応が面白い。そこらへんの野良ヴィランでもそんなに口悪くないよ。
「もう着くぞ。良い加減にしとけよ……」
「「「「「「ハイッ!!」」」」」」
相澤先生の面倒臭そうな声がバス内に響いて、皆一瞬で静かになった。シンクロ率凄いね。
◆
「すっげーーーーー!!USJかよ!?」
「水難事故、土砂災害、火事、etc……あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も……」
『ウソの災害や事故ルーム』
((((((USJだった!!))))))
なんか最近、どのタイミングで『目を盗む』を使えばシンクロが聞こえるのか分かるようになってきた。これで良いのか『目を盗む』。そしてUSJって何?
「スペースヒーロー13号だ!!災害救助で目覚ましい活躍をしてる紳士的なヒーロー!!」
「私好きなの13号!!」
緑谷と麗日のテンションが上がっている。そんなに有名なヒーローなのね。大体のヒーローは調べたつもりだったけど、災害救助メインのヒーローはノーマークだった……
「えー、始める前にお小言を一つ二つ…三つ……四つ……」
((((((増える……))))))
増える……はッ、私も巻き込まれてた!?
【クラスに馴染んできたってことだろうよォ……】
な、なるほど……でも馴染みすぎは良くない。一身上の都合で私は実質敵対するしね。
「皆さんご存じとは思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなモノでも吸い込 んで塵にしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね 」
「ええ。しかし簡単に人を殺せる力です。皆さんの中にもそういう個性のがいるでしょう 」
私の『目を合わせる』も出力を最大にすれば対象を体の内側から石化させる。ギガントマキアや『先生』は何故かゴリ押しで打ち破ってくるけど、普通は死ぬ。何があっても良いように石化した奴は粉々に砕くようにしてる。
「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えば容易に人を殺せる行き過ぎた個性を個々が持っているということを忘れないでください。
相澤先生の体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘訓練でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。
この授業では心機一転人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう 君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない、助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな」
「素敵!!」
「ブラボー!!ブラボー!!」
【ほぅ……流石救助がメインのヒーロー。言うことが違うねェ……】
しかも本心で言っている。最近は富や名声が欲しいヒーローが多いのにね。あ、別にそいつらが悪いって訳じゃないけど。
「よーし、そんじゃまずは……ッ」
相澤先生が私達に指示を出そうと近づいた瞬間。天井に設置されてた照明が全て割れた。
おおー始めっからすごい演出。入試の時みたいにいきなりスタートって感じね。なんの説明もされてないのが変だけど。
【アホか。噴水の所を見ろ。来てんぞ】
え……?『目を凝らす』……あっ、黒霧さんじゃん。じゃあ今日だったんだ……うん。じゃあ死柄木君も来てそうだね。
「一塊になって動くな!!13号、生徒を守れ!!」
急に戦闘態勢を取る相澤先生。どうやら気づいたらしい。
生徒達がおろおろしていると、切島が気になったのか噴水を覗こうとする。
「動くな!!あれは……ヴィランだ」
「「「「「「ッ!?」」」」」」
ゴーグルをつけてそう一喝した。
さてと……『目をかける』『目を盗む』『目を凝らす』『目を欺く』発動。
『黒霧さん。私もやっちゃって良いの?ちなみに手短にお願い。生徒達の心の声も入ってくるから聞き取りずらいし』
(ッ……睨美でしたか。はい、あの方からも好きにやって良いと)
『了解。黒霧さんも万が一にも捕まらないように』
手短に黒霧さんと会話。『目を欺く』で個性を使ってたことはバレてないので問題はない。改めて黒霧さんを見れば、今まで見たこともないヴィラン……おそらくチンピラ達が黒霧さんのワープゲートを通って続々と現れた。
【マジかァ……脳無まで居るじゃねェかァ……】
え……あ、ホントだ。上半身の至る所に人の手を貼り付けた青年に続くように現れた、脳みそ剥き出しでそれに目がついた筋骨隆々の化け物『脳無』。『先生』の個性譲渡に耐えられるように改造されたその肉体にまともな精神は残っていない。上位者の命令を聞くだけの人形。だけど……複数の個性を持ってて割と強い。今回のは何用の脳無なんだろうね。
「13号、避難開始。学校に電話試せ。センサーの対策も頭にある敵だ。電波系のヤツ が妨害している可能性がある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」
「うっす」
電気を放出出来る個性の上鳴。耳の機械にはその電気を使った通信機器がある。まあ、警報を止めれる奴が居るしそこら辺の対策はバッチリっぽいし無理だろうね。
「先生は一人で戦うんですか。あの数じゃいくら個性を消すと言っても・・・。イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は・・・」
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。任せた、13号」
緑谷の問いに軽く答えた相澤先生が階段を飛び降りてヴィランとの戦闘に入った。
お〜カッコいいねぇ……さて、まあ一旦指示に従おうか。どうせ黒霧さんが上手いことやるでしょ。
「みんな、出口へ!!」
13号先生の掛け声で、出口へと走る私達。でも、やっぱりと言うべきか黒霧さんがワープで私達の前に現れた。
「はじめまして。我々はヴィラン連合。僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは平和の象徴、オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして。本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるはず。ですが何か変更があったのでしょうか。 まあ、それとは関係なく私の役目はこれ……ッ」
長々とした口上の黒霧さん。そんなに情報喋っちゃって大丈夫かな?オールマイトを殺す、私達のカリキュラムを把握していたこととか、あきらかに喋りすぎだと思う。
とか、私がぽけ〜っと考えてたら、黒霧さんが喋り切る前に爆豪と切島が黒霧さんに向かって飛び出した。爆豪は速攻で黒霧さんに向かって爆破。その爆風で何も見えない。
万が一があるかと思って『目を凝らす』で確認したけど全くの無傷。うん、良かった。黒霧さんは、実態のある部分に鎧を付けてさらにその上から彼の体を構成する黒い霧を全身に纏っている。余程の攻撃でないとダメージは通らない。
「ダメだ!!退きなさい2人とも!!」
個性を発動しようとしていた13号先生が叫ぶけどもう遅い。射線上に爆豪と切島がいるせいでブラックホールを使えない状態だ。
「私の役目は、貴方達を散らして嬲り殺す!!」
黒霧さんが叫ぶと、全身が私達の周りに広がっって包み込む。飯田を含めた何人かはすぐに脱出したみたいだけど、それ以外は全てワープによって館内のあちこちへ飛ばされた。私も抵抗するとこなくワープを待っていると、こっそりと黒霧さんが近づいてきて言った。
「あの方から伝言です。『週末は帰ってくるといい』……以上です」
「ん、じゃあまた後でね黒霧さん。頑張って」
「ええ……貴女の期待に応えて見せましょう」
黒霧さんにしては珍しいこと言うね。
そのまま私は、目を瞑ってワープを受け入れた。
睨美のヒーロー名(かっこ付きは花言葉)
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アザミ
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クロハ
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カゲロウデイズ
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メデューサ
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ゴルゴン
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スネーク・アイ
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カンナ(永遠)
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サルビア(家族愛)
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エーデルワイス(大切な思い出)
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モミジ(大切な思い出)
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カエデ(大切な思い出)