「卯月と愉快な睦月型姉妹」の後編です。
これで完結です。

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卯月と愉快な睦月型姉妹(後半)

『毎月うーちゃん』

 

11月

23日は勤労感謝の日である。日々の感謝を込め、秘書艦を多く担当してもらった卯月に菓子折りを持っていく。

持っていく途中、アホ毛三日月に会った。

 

三日月が、

「普段からお菓子は何かにつけて貰ってるような気がするんですが…」

と言ったのを聞こえなかったふりをして、スルーする。

ただ、お菓子を食べる卯月がかわいくて、それが見たいだけ、とは口が裂けても言えないし、アホ毛で口が裂かれても言えない。

 

三日月のアホ毛は、出刃包丁と同じ鋭さを持っていると言われている。

 

 

12月

それは、駆逐艦が最も扱いやすい時期である。この時期は、卯月はイタズラをしなくなり、望月が遠征に行くようになる。そのため、艦隊指揮がスムーズに行える。

『良い子にしていないと、サンタさんは来ない。』

これを最初に言い始めた人は素晴らしいと思う。

 

しかし、そんな聖夜の魔法も25日を迎えれば効果を失う。こたつから一切動こうとしない望月と卯月を、なんとかこたつから引っ張り出し、遠征に行かせる。

 

こたつの魔の手にかかった艦娘は数知れず。

この時期のこたつは一度入ると、自力で外へ出るのは不可能と言われている。(ヴェールヌイ、タシュケント等を除く。)

特に、潜水艦ズは潜るとなかなか出てこない。今度、腹巻きでも支給してみようか。

 

 

 

こちら鎮守府執務室。年末進行大忙し。

てんやわんやのこの場所に、届いた追加の書類達。

がっくり肩を落としたら、卯月と望月やってきて。

二人が指差すその先に、あるのは暖炉、ただ一つ。

弱くなってる暖炉の火。手には書類と大量に。

それが示すはただ一つ。

 

 

書類を暖炉に投げ捨てた。

暖炉の炎が燃えだした。

 

 

大本営からは怒られた。

 

 

1月

正月。お雑煮のお餅と一緒にこたつで睦月も伸びる。

休みだからといってぐでーっとし過ぎである。

長女よ、それで大丈夫なのか。

 

お茶が無くなったから如月ちゃん、淹れてきてほしいにゃしぃ…

 

……寒さはお肌の天敵、代わりに弥生ちゃん、淹れてきてくれる〜?

 

…………卯月、よろしく……

 

結局毎回うーちゃんになるぴょんね…

 

 

姉の力は偉大である。

 

2月

 

昨日から何故か卯月がよそよそしい。昨日はまる一日何処かに買い物に行っていたし、今日も朝から如月と一緒になにか話し込んでいる。

新しいドッキリの準備だろうか。

 

 

 

 

 

 

ほ〜ら、勇気出して早く渡す!

 

恋する妹の恋路を応援するのも、姉の役目である。

 

 

はじめ、「し、司令官に渡すチョコを選ぶのを手伝ってほしいぴょん!!!」と言われたときは驚いたが、恋愛上手の姉として頼られていると思うと、悪い気はしない。

唯一問題があるとすれば、自分も異性にチョコは渡したことがないという点であるが、まあ、なんとかなるはず。

 

そして今は、執務室にいる提督にチョコを渡そうとする卯月に活を入れているところである。

 

わ、分かったぴょん。いざ尋常に…失礼するぴょん!!

 

ドアを開け、部屋に入っていく妹の背中を見送る。

これで、妹も少しでも大人の階段を駆け上ることにな…

た、大変だぴょん!司令官が鼻血を出して真っ逆さまに倒れちゃったぴょん!!!

 

チャンスよ卯月、人工呼吸!!!

 

 

 

3月

バレンタインデーのお返しを考える。

バレンタインデーは、卯月が照れながらチョコを渡してきたときから記憶が無く、目を覚ますと側に卯月のチョコが置いてあり、口の中がほんのりレモンの味がした。

レモン味のチョコだっただろうか。

 

卯月の好みを聞くために弥生に来てもらった。

 

司令官…意外と奥手…

 

聞かなかったことにする。

 

臆病…

 

聞かなかったことに…

 

意気地なし…

 

結構グイグイ言ってくるな。

なんで?怒ってる?

 

…鈍感…

 

 

 

 

 

悩みに悩んだ結果、最近大本営から届いたアレを渡す事にした。

そのために卯月には少し演習などを頑張ってもらおう。

 

 

 

 

4月

大本営から届いたアレ。そう、ケッコンカッコカリの指輪だ。ちなみに、渡す日は4月1日にする。仮に断られた場合、エイプリルフールのドッキリだと嘘をつく為である。エイプリルフールに嘘をつく、という嘘をつく。

この計画を他の睦月型姉妹に話すと、冷たい目で見られた。あの文月にも。

 

そして今日、その日がやってきた。

執務室には卯月と自分の二人きり。絶好のタイミング。ただ、いざ指輪を出そうとすると失敗したときの不安が頭によぎる。

また明日に日を改め…

 

意気地なし…

 

弥生の言葉が頭に浮かぶ。 

 

そうだ。

 

ここでやらなきゃ男が廃る。どうせ散るなら当たって砕けろだ。いざ、尋常に参る!

 

「卯月、ちょっとこっちへ来てくれ。」

 

ん〜?司令官?何かご用ぴょん〜?

 

「ケッコンしてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沈黙が流れる。

 

 

 

 

えっと…その………ごめんなさいぴょん…

 

 

 

 

視界が歪む。

 

 

 

 

「な、な〜んてう」

 

な〜んて、ウッソぴょ〜ん!!

 

 

 

 

 

 

外では、祝うかのように少し時期の早い満開の桜が咲いていた。




卯月の進水日に間に合いませんでした。
遅れてしまいすみません。

You Tubeの動画版は、編集に時間がかかるのでまた来週ぐらいになるかもしれません。

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