D.C. AnotherFinalChildren   作:蒼石 梢

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少し間が空いてすみません。
夢恵のターンばかり目立ちましたが、そろそろね。

12話スタートです。


たった1つの冴えた方法

わいわいがやがやと話していると、時間はあっという間に過ぎていく。

「もうこんな時間ですか」

壁掛け時計を見た巡姉がそう言った。つられて俺も見ると短針が8に重なろうとしていた。

巡姉の家には特に門限というのはないけれど、遅い時間まで女性が外出するのは好ましくないという母さんの方針で、平日は8時過ぎには帰ることになっている。

巡姉が帰る支度を始めたのを見て、俺もこたつから立ち上がる。

「巡姉、送っていくよ」

「いつもお手間かけます」

「いいのいいの、巡ちゃん。こんなか弱い女の子を1人で帰すなんて義理人情のないこと言えるわけないじゃない」

俺の代わりに母さんが答える。

母さんはクォーターで金髪だから見た目は日本人離れしてるけど、中身は時代劇好きだ。だからたまに時代がかった物言いをする。

義理人情はさておいて、俺も巡姉を1人で帰すなんてことはしないが。

コートを部屋に取りに行く間、待ってもらう。

「お待たせ、巡姉」

「いえいえ、じゃあ行きましょうか義之さん。それでは、さくらさん、夢恵さんおやすみなさい」

「うん、気をつけてね。あ、義之くん? 狼さんになったら駄目だからね」

「ならないから。息子をなんだと思ってるんだよ」

「義之さんが狼? どういうことでしょう」

にゃははと笑いながらとんでもないことをいう我が母。巡姉が意味がわかってないのか俺に聞いてきたが答えるわけにもいかない。

「兄さんにそんな甲斐性あるわけないでしょ」

「お前なあ」

「じゃあ、襲うんですか? このケダモノ」

屑を見るような目でこちらを見る夢恵。

しばらくぶつぶつと言っていた巡姉があっと声をこぼすとーー

「よ、義之さんはそんな外道じゃありませんから」

ようやく意味がわかったのだろう。巡姉が大きな声を出した。その顔はリンゴのように真っ赤に染まっている。エッチなことはいけないと言いつつ、意外にうぶなんだよなあ。

 

なだめるのに時間を要し、家を出たのはあれから十数分後。

俺たちは寒空の中、夜道を歩いていた。田舎の島とはいえそれなりに街灯はあるので、思ったよりは暗くはない。

澄みきった空には、様々な星が煌めいている。

「日が落ちると寒いね」

吐く度に、息が白くなる。手袋をしてくればよかったと思いながら、コートのポケットにかじかんだ手を入れて歩く。

「義之さん。寒いのはわかりますけど手を入れて歩いてはみっともないですよ」

めっと巡姉に怒られてしまった。

「でも、寒いものは寒いからなあ」

巡姉は困ったなあというように、左手を顎に当て考え込むと、暫くしてそうだというように相づちを打った。何かを閃いたらしい。

「巡姉、一体何がそうだ、なのさ」

「義之さんは寒い。けど、私は義之さんにポケットへ手を入れて欲しくない。なら、私が手をつないで暖めてあげればいいんです」

よくぞ聞いてくれましたというように、巡姉は自信満々だが、何言ってってるんだこの巫女さんは。

「巡姉? 俺も4月から本校生なんだけど」

「知っていますよ。さあ手を出してください」

「恥ずかしいんだけど」

「平気ですよ、仲のいい姉弟にしか見えませんよ。それとも巡お姉さんとは手をつなげませんか?」

いい姉弟に見えるというのはありえないと思うんだけど、巡姉に上目遣いでこちらを見られると逆らえない。捨てられた子犬みたいな見るのは反則だと思う。

俺は大きなため息をつくと、わかったよと言って手を差し出した。

すかさず握られた巡姉の手の温もりが、手袋越しに伝わってきた。

「ほら、暖かいでしょう」

そう言って笑う巡姉は、端から見てもご機嫌だ。鼻歌交じりで俺の隣を歩いている。

対して俺は黙り込んでしまう。照れもあるんだろうけど、誰かと手をつないで歩くなんていつぶりだろうと懐かしさを覚えていた。

「なんだか懐かしいですね」

「うん、そうだね」

「昔はいつもこうしてたのに、少し恥ずかしいくなってきました」

「でしょう? だから言ったのに」

そんなやり取りがおかしくて、どちらからとなく、笑ってしまった。

結局、俺たちは胡ノ宮神社につくまで手をつないで歩いた。

願わくば知り合いに見られていないことを祈りながら。

 




胡ノ宮神社から朝倉家って普通に15~20分くらいはかかるはずなんで、こういう形になりました。
ようやく、夜だよ。登場が終われば、時間は加速するはずですので、お付き合いください。

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