D.C. AnotherFinalChildren 作:蒼石 梢
今日からまたがんばります。
それでは13話スタートです。
「はい、到着」
「ご苦労様です、義之さん」
胡ノ宮神社の長い階段までやって来た。恥ずかしさもあってすぐに手を話す俺へ、露骨に残念そうな表情を見せる巡姉。そんな悲しそうな顔をしてもだめです。
「それじゃ俺、帰るから」
「一息ついてからでもいいのでは。きっと母さまも喜びますし」
スマホで時間を確かめる。9時にこそなっていないが、戻りを計算すれば結構な時間になる。母さんもさすがに心配するだろうし。……するよな?
「巡姉。悪いけど今日はもう遅いから、やっぱり帰るよ。環さんたちによろしく」
「そうですか。残念ですけど、遅くまで外を出歩いて、不良さんにあっても困りますもんね」
この島でそんな人見たことないんだけど。兄さんはすでに不良でしょ、という妹の幻聴が聞こえてきたが華麗にスルーする。
名残惜しそうな巡姉と別れて、俺は帰路につくのだった。
「ただいまー」
「よっしゆきくーん」
帰るなり、母さんの突撃される。わりと少なくない衝撃が腹部を襲う。
「お帰りなさい。寒かったでしょう。炬燵で暖まりなよ」
「わかったから離れてくれ」
「ちぇっ、義之くんのけちんぼ」
そう言いながら、母さんは離れるなり、居間へと向かう。早く早くと急かす母さんの後を俺も追った。
炬燵で丸まってるであろう猫姫様を探したが、ジャージがどこにも見当たらない。
居間のテレビでは、悪そうなお代官が越後屋から山吹色の茶菓子を貰って高笑いしているところだった。
「あれ? 夢恵はもう帰っちゃったのか?」
いつもは挨拶してから帰ることが多いのに珍しいなと思っていたが、母さんの次の言葉で納得した。
「それがさ、聞いてよ義之くん。僕が暴れん坊な将軍様を見ようって言ったらさ、用事があるのでって帰っちゃったんだよ」
それで1人で見ていたと。
夢恵のやつ、逃げたな。こんなに面白いのにと母さんはいうが、夢恵の気持ちもわからんではない。
母さんが1度見始めると、1クール丸々かけ続けるからだ。俺も夢恵も嫌いではないものの、6時間くらいずっと見続けるのは勘弁してほしい。
明日は土曜で休みだし、通しで付き合わされかねない。俺もあいつを見習って2階へ避難しようと試みるも、右袖をガチッと捕まれてーー
「義之くんは見てくれるよね」
と言い放たれた。まさか逃げたりはしないよね母さんの目がこちらを捉える。
そうすれば断れないと知っているからだ。
巡姉や夢恵もだが、俺の弱点は筒抜けらしい。
「わかった。わかりましたよ。けど、その前に、お茶いれてくるから待っててよ」
「さっすが、義之くん。早く準備しちゃってね」
わかってるよと返事をして、お湯を沸かせるために台所へ向かう。
ヤカンに火をかけ、待つ間にお茶請けを探すが、あいにく在庫切れだ。
腹が減るから、あんまりやりたくはないがしょうがないか。
俺はピンク色の丸いお餅をイメージしながら、手のひらにちからを込める。
あっという間に手のひらの上に桜餅が現れた。
この不思議な現象こそ、俺の能力だ。イメージした和菓子を出すことのできる魔法。
魔術というには仰々しいが、普通というわけでもない、魔法の産物。
代償として、自らのカロリーを消費するから、プラマイゼロなんだけど。まあ、こんなのでも他人は喜んでくれるからそれでいいんだ。
ちょうど、お湯も沸き上がり、ヤカンが悲鳴をあげている。
湯呑みに母さんと自分の分を入れ、皿にメルヘンの産物を並べるとお盆に載せて居間へと戻る。
「お待たせ。お茶請けもあるから」
「あ、桜餅だ。ちょうど甘いものが食べたいって思ってたんだ」
見るやいなや、早速とばかりに口に放り込む母さんにならって俺も食べる。手前味噌だが、中の餡もしっかりしてるな。
「うんうん、時代劇を見ながら熱いお茶と和菓子をいただく。まさにわびさびだね」
それから、暴れん坊な将軍様の上映会はてっぺんを回り、母さんがギブアップする頃には丑三つ時を迎えようとしていた。
……明日、起きられるかな、俺。
主人公の能力と言えば、やっぱりこれですよね。
さくらは当然この力知ってるんですが、義之が打ち明けないかぎりだんまりを決め込んでるのです。
これは原作と一緒ですね。
さくらさんに幸せになってほしいという思うから生まれたこの作品ですから、さくらと絡みは増えるのかも。
予定は未定ですが。
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まってまーーーす。