同盟上院議事録~あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争~ 作:兵部省の小役人
「アスターテにおける防衛戦力派遣、及びその事後処理における国防委員会及び最高評議会の指導」 に関する質問主意書 及び政府答弁書
質問第七号
「アスターテにおける艦隊戦闘、及びその事後処理における国防委員会及び最高評議会の指導」
に関する質問主意書
右の質問主意書を自由惑星同盟高等弁務官総会法第Ⅹ条によって提出する。
宇宙歴七九六年三月十五日
アスターテ共和国同盟弁務官 アレークシン・リヴォフ
同盟弁務官総会議長 ウィリアム・カーティス殿
同盟弁務官総会仮議長 ジョージ・ホインズ殿
政府は宇宙歴七九六年二月一日、「アスターテ共和国に対する主権侵害に対する防衛力派遣」の最高評議会決定(以下「評議会議決」という。)を行った。
自由惑星同盟を取り巻く情勢は一層厳しさを増し、あらゆる事態を想定して、国民の命と平和な暮らしを守るため、切れ目のない安全保障体制を整備する必要があると考えるも
のの、立憲民主主義的視点による手続も欠かせない。
このような観点から、以下質問する。
一 政府は本評議会議決に際して「国防委員会が指導力を発揮し、文民統制の下で敵軍の倍の兵力を派兵し、敵兵力の撃滅を図る」しているが、最高司令官は最高評議会議長であり国防委員会は軍事行政機関として最高評議会議長の管轄下にあると同盟憲章に定めれている。「国防委員会がリーダーシップを取り兵力の優位を得る」の定義を示されたい。
二 アスターテにおける防衛戦力派遣の結果について、「第四艦隊・第六艦隊は司令部全滅を含む兵力の半数の損害、第二艦隊を含め三個艦隊の解体及び第十三艦隊の編成を行う」との記述があるが、上述の方針は達成されたのか、特に「敵兵力を撃滅する」の定義について国防委員会が定義したものであるのか、本発表における最高評議会の認識を示されたい。
三 予算運用において立法府は精査を行う必要がある。「国防委員会予算予備費の執行は国防委員長専決事項」と最高評議会が判断したとしても、それが「正当な執行」であるか否かを確認するために国会があり、その確認は立憲主義の要請するところである。ヨブ・トリューニヒト委員長及びシドニー・シトレ本部長、ラザール・ロボス総司令官を招集し国防委員会、統合作戦本部、及び艦隊総司令部が適切なやり取りを行っていたのか公聴会を行う必要があると認めるが政府の見解を示されたい。
四 本来、三個艦隊壊滅という我が国を含めた国境地域の安全保障政策の重要な変更になる意思決定に先立ち、立憲主義的視点に基づき、まず国会でその是非に関わる議論が行われ、決議等で政府に法整備を要請するという手続が取られるべきである。たとえ最高評議会が「合理的な軍事運用の結果」と主張するとしても、来期予算編成にも重要な影響を及ぼす同盟艦隊の再編について、国権の最高機関である国会での議論が政府に優先されるべきであり、それが立憲主義の要請するところである。なぜ政府は国会での議論を先に求めなかったのか、最高評議会の見解を示されたい。
右質問する。
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最高評議会質問第七号
「アスターテ会戦、及びその事後処理における国防委員会及び最高評議会の指導」
に関する答弁書
アスターテ共和国同盟弁務官アレークシン・リヴォフ君提出の「アスターテ会戦及びその事後処理に関する質問」に対する答弁書を提出する。
宇宙歴七九六年四月二日
最高評議会議長 ロイヤル・サンフォード
同盟弁務官総会議長 ウィリアム・カーティス殿
同盟弁務官総会仮議長 ジョージ・ホインズ殿
一「国防委員会がリーダーシップを取り兵力の優位を得る」の定義については動員、及び戦力編成について統合作戦本部に諮りつつ予備費を機能的に運用し、敵の侵入兵力に対し、優位な戦力を整えることであり、動員兵力及びその運用については統合作戦本部及び艦隊総司令部と協議のうえで最高評議会議長が行ったものである。
二 お尋ねの意図が必ずしも明確ではないが、ここでいう「敵兵力撃滅」の定義については侵略軍による組織的な不法占拠、及び軍事的行動を企図しえぬ損害を与える事である、本防衛戦力の派遣については交戦の結果として敵兵力を撃退し意図をくじいた事で上記定義のとおり「敵兵力の撃滅」は達成できたものであると判断する。
三 公聴会については同盟弁務官総会(以下通例に従い上院と記述する)及び代議院(以下通例に従い下院と記述する)の権限により開催されるものであり最高評議会が関与するものではない。最高評議会としての見解は予算運用については国防委員会の専決事項である予備費の運用であり、なおかつ敵が継続的な軍事行動を行えぬ状況に陥ったことから、戦略的な目的は達成したと判断するものである。
四 お尋ねの趣旨が必ずしも明確ではないが年度内予算の範囲における軍事行政の執行については自由惑星同盟軍の最高司令官たる最高評議会議長に委託されるものである。これについては艦隊再編についても同様であり統合作戦本部及び艦隊総司令部との協議の上、粛々と現状に適した形で執行を行った者であり、来年度予算案の審議について重要な影響を引き起こすものではないと考える。
本件については上院決議668年第X号及び下院決議668年第X号の国家指揮権法において定められており、現行法における原則に則ったものであると判断する。