「あれからもう3年、か…」
俺の名前は比企谷八幡。
ここは町から少し離れた場所にある神社。
俺はここに参拝に来る、かなりの頻度で。
というのも理由があるんだ。
――今から10年前、突如現れ人類を脅かした謎の生命体『深海棲艦』。
彼らは人類に襲い掛かり、瞬く間に世界を恐怖に陥れた。
当然化け物に為す術がない人類は大混乱。当時のことをはっきり覚えているわけじゃないが、もうパニックよパニック。
その後『艦娘』と呼ばれる人類の味方が現れ、艦娘(+人類)と深海棲艦の7年の総力戦が始まった。
戦争とはいえ、艦娘という存在が現れたのは深海棲艦に人類がかなり侵攻されてからというのもあり、少なくとも半分以上は防衛戦だった。
当然人類が受けたダメージは計り知れないものだった。
世界中のあちこちが壊滅状態。経済は戦争によって破綻寸前。人口の大幅減少。
特に日本はこの戦争の最前線となっていた。勿論千葉も例外ではない。俺としては両親を失ったことが一番のショックといえるだろう。
こればかりは運が悪かったとしかいえない。あちらさんが攻めた先が親の職場だっただけだ。当時は気が気ではなかったが。
最終的には艦娘+人類側が勢いを巻き返し敵を一掃、艦娘数名が犠牲となって深海棲艦を封印し、今に至るというわけだ。
そんなこんなで今は総部高校の二年生として平和に生活している。
1年目は問題なくボッチとしての誇りを胸に過ごせたんだが、二年生になって早速訳わからん部活に入れられて八幡大ピンチ!!
ま、それだけ平和ってこったな〜。太平洋側はやられてるところも多いとはいえ、最前線で戦力もあったから特別内陸に被害をうけたわけでもなかった。
っと、話が逸れたがこの神社には一つの艦模型が飾られている。
(義)姉によると、なんでも戦争を終わらせるにあたって自ら犠牲になった艦娘の一人が眠っているというのだ。
あんな地獄から人類を救ってくれたんだ。そうと言われればお参りしなくちゃいけないよな。実際に合格祈願して総武高校に入学できたし、ちゃんとした神社なんじゃねぇのってそこあんまり艦娘関係ないとか思わない。
まあそんな感じで参拝に来てるってワケだ。鳥居の柱近くを通り賽銭箱の前まで行く。
ちなみに真ん中は通っちゃダメらしいぞ、神様が通る道らしいからな。
「さあて、今日もお参りやっていきますか」
そういって拍手をしようとした瞬間――
バァン!
「な、なんだ!?うおっ!!」
突如雷が落ちて地面が揺れ始めた。
腕で頭を覆いヘルメットがわりにして、地面に伏せる。
これだけ揺れてちゃ動けないし、こうするしかできない。
少しそのまま待っていたが、幸い揺れはすぐに収まり、雷もどうやらあの一発だけのようだ。
「なんだよ急に雷なんか降りやがっ―――
塞いでいた腕を外し、神社の方を見て言葉を失う。
―――女の子が一人、倒れていた。
☆☆☆☆
「見た感じ怪我なさそうだし、これなら救急車を呼ぶ必要もなさそうだな」
目の前で倒れていた女の子は俺の膝の上ですやすやと寝息を立てている。
膝なのは地面に寝かせるのもどうかと思ったからだ。決して変態とかそういうのではない。神に誓って!
「にしてもセーラー服か…。歳は同じか少し下、くらいか?一体どこから来たんだろうか」
きになることが出てくる出てくる。
だって雷と地震から出てきてんだぜ?カッコよすぎてこんなのに憧れてた中学の頃を思い出しちまったよ!
…ぐすん。
ま、まあ俺の黒歴史は置いておこう。そろそろお目覚めのようだ。
「……こ、ここは……」
「よう、大丈夫きゃ」
「……あなたは?」
「……比企谷八幡、だ。ここによく来るんだが、急に雷が降ったと思ったらお前が倒れていてな。こうして隣にいたってわけだ」
「こうして……?って、ええええええええ?!////」
起きたと思ったら急に距離を取られた。どうやらカッコつけて噛んだのは気づかれてないようで黒歴史を共有、なんてことにならなくて済んだ。
離れるってことはやっぱり目つき悪い??(多分)年下に不審者とか思われてたら八幡死んじゃうよ??
「って、大丈夫か?おーい、おーい!」
「////」
「…こりゃだめだ」
少女の前で手を振ったり、肩を叩いてみたが反応がない。
この子が再起動するまで、待つしかないか…。
あいつら、晩御飯遅れると怒るからなぁ……
少女(吹雪という名前らしい)が再起動するまでに30分もかかったとさ。