「ほれ、これでも飲んで落ち着け」
「あ、ありがとうございます…」
30分程フリーズしてようやく動き出した少女、吹雪とベンチに座る。
勿論渡したのはマッ缶だ。あれだけ大規模な戦争があってもコイツだけ残っていれば生きていける。
そしてちびちびと飲み始める吹雪。可愛い。
「あ、甘い…。けど美味しいな」
「おお!マッ缶の素晴らしさがわかるか!!」
「ひゃいっ!」
おっと少しテンションが上がってしまったようだ。
でも仕方ないよね、マッ缶の素晴らしさがわかるってんだから。流石に気分が高揚します。
さて仕切り直してっと
「んんっ、ところで吹雪はなぜあんなところに?」
「えっと…私自身も詳しく覚えてないんですが、艦娘として深海棲艦を封印するために力を全て使って……」
「ん?艦娘?」
「はい、特型駆逐艦吹雪型一番艦、吹雪と申します!」
艦娘かぁ…。姉ちゃんが言ってたのは本当だったんだな…。
「なぁ吹雪」
「は、はい!…ってなんで手をと「吹雪たちのお陰で俺らは今こうして過ごしていられる。本当にありがとう…!」
「ッ!///い、いえ、これは私たちの使命ですので!!気にしないでください!!」
おっとまた暴走しかけたようだ。
てかさっき離れられたのにすぐ吹雪の手触るとか何やってんの?これは自業自得すぎて雪ノ下と由比ヶ浜に罵倒されて何も言えずに不登校になるまである。
不登校しちゃダメじゃん。もう専業主夫になるしかないじゃんってそれは結構アリだな。
取り敢えず話を進める為に吹雪から手を離して「あ…」……なんか寂しそうにみえるんだけど、うん。勘違いしちゃうからやめようね?
「あー、吹雪。お前はこれからどうするつもりだ?」
「どうするって、まずは鎮守府に帰りますよ?」
「実は終戦してから鎮守府の枠組は解体されていてな」
「あっ。……確かに終戦したんでしたね。そっか…」
そう言って吹雪は俯く。
しまった。流石に迂闊だった。決して敗戦したわけではないし、彼女の味方が轟沈したわけでもない。でも彼女の「居場所」は無くなってしまったのだ。
俺のような孤高のボッチなら居場所がなくなっても元から無いようなものだからいいけど、吹雪はきっとそうではないだろう。
こうなったらなんか気を紛らすような話をするしかない。
俯いている吹雪に話しかける。
「これは友達の友達の話なんだが…」
「…?」
「そいつが中学生の時にどうやら好きな女の子がいたらしくてな。いざ告白してみたものの返事はNOだった。それだけなら問題ないんだがな。とあることが起きてしまった。吹雪、なんだと思う?」
「わ、私ですか?!え、えっと〜…」
突然話を振られた吹雪はあたふたしながら考えてる。可愛い。
お兄ちゃんスキル発動しちゃうぞ?ん??
あ、雪ノ下さん通報しないでくださいごめんなさい俺が悪かったです。
っと吹雪頑張ってるけど、答えは出なさそうだな。
「正解は学校中に広まるってわけだ。俺も告白前はそこそこの友達もいたしそれなりの居場所があったが、告白後は友達もいなくなったし居場所もなくなったなぁ…。クソ、思い出したらむしゃくしゃしてきた。あの頃の俺を殴ってやりたい」
あーあ、なんで黒歴史なんてあるんだろうか。自業自得なんですけども。
「…ふふっ」
「ん?どうした」
「いえ、友達じゃなくて八幡さんの話だったんですね」
「ち、ちげえし。友達から聞いた話だから俺は関係ない」
「途中から『俺』になってましたよ」
「…」
…やっちまった。確かに途中から俺って言ってた気がするってか俺を殴りたいとか言ってたわ。バカなの?
「ま、まあ要は一度居場所を無くしたとしても、また新たに探せばいいだけだ。あの頃も友達がいなくなると同時に居場所も失ったが、ぼっちになってできた居場所もある。…勿論一人だが」
「だからお前も新しい居場所を探せばいい。幸い仲間は死んではないんだろ?元の居場所に戻ることだってできるかもしれない」
…言いたいことは言えたしいいか。無理矢理だったけど。
「…八幡さんは手伝ってくれますか?」
「おう俺だったら全然いいぞ。勿論出来ないこともあるが、できることがあるなら手伝う」
それを聞いた吹雪は笑顔でこう言った。
――私を八幡さんの家族にしてください!
この作品の八幡は原作よりは女の子へのスキンシップが多めです。
理由は次話あたりでわかってくるかも?
決して八幡のキャラが難しくて妥協してるわけではないです。決して。