「八幡さん!八幡さん!!大丈夫ですか?!」
「ふ、吹雪…。俺のことは構うな…」
「ふふふふ…!」
「吹雪!!ここは俺が抑える!お前だけでも生き延びてくれ!!」
「くっ!…わかりました!八幡さんのことは忘れません!!」
☆☆☆☆
1時間前
「吹雪はこの辺りに来たことはあるか?」
「いえ、沿岸部にはよく深海棲艦の関係で訪れましたが、少し内陸の方はさっぱりです」
「そうか…まあこれからゆっくり覚えて行けばいいんじゃねぇの?」
お、お前も今日から家族なんだかりゃ、と照れながら言う男の人。
私の家族になった八幡さんです。初めての家族、そして新たな居場所。
勿論吹雪型というだけあって妹は沢山いるのですが、それとはまた別のつながり、暖かさを感じますね。
八幡さんは今顔を真っ赤にしてますね。
…大事なセリフで噛んだのは気づかなかったことにしておこうっと。
「そういえばあそこを出てから結構時間が経ちますね〜」
「俺の家はあっち方面ではないからな」
「家といえば、八幡さんの独断で私を受け入れて貰えるようになってますけど、ご両親はよろしいのでしょうか…」
そう言うと八幡さんは微妙な表情をする。
「…俺の親はもういないんだ」
「あ、す、すみません!」
「いや、どうせこの後すぐにわかることだったからさ。気にすんな」
「いえ、勿論迂闊に聞いてしまったのもありますが!私たち艦娘の使命は皆さんを守ることだったのに…」
そう、私たちは戦争に勝利したとはいえ決して無傷なんかではない。
家だったり、財産だったり、命だったり。
負けのような勝利。人間を守る為の艦娘なのに…。
無力さを痛感する。
その時頭に暖かい感触が。
…これは八幡さんの手?
見上げると八幡さんは撫でながら笑っていた。
「戦争なんてそんなもんだろ。親父とお袋は運が悪かっただけだ。そこまで気負わないでいいんだぞ」
「でも…」
「それこそ艦娘のおかげで小町は今生きている。吹雪が戦ってくれなきゃ今の生活はない」
「…そうですね。そういうことにしときます」
「おう、そうしろそうしろ」
そう言った八幡さんは撫でていた手を離して、先に進む。
…大事なセリフ噛む癖にこういうところはちゃんとしてる、ってずるいです。
そんな八幡さんだから受け入れて欲しかったんですけどね!
少し走って前に行ってしまった八幡さんに追う。
☆☆☆☆
「ここが八幡さんの…」
なんだかんだ歩いていたら八幡さんのお家に着きました。
パッと見、豪邸ではないですがかなり敷地がありますね。お家も大きいし。
「ま、色々とあってな。ここを貸してもらっているんだ」
「そうなんですね!」
家の前に立ち少しじっくり見てみる。
神社から帰るとき周りの住宅街を見ましたが、住宅街にあった家は縦に長い造りをしているのに対して、この家は横に長い造りだ。
その造りのとおり、和風なお家。
正直長い時間和風な鎮守府で過ごしている私にとってはとても助かります。
「じゃあ俺は先に入ってるから。呼ぶまで待ってて貰ってもいいか?」
「あ、はい!」
ドアを開けてただいま〜と家の中に入っていく八幡さん。
神社からの帰り道で八幡さんは『小町』といっていましたが、どうやら八幡さんの妹だったようです。他にもお姉さんが2人いて今は4人で暮らしているんだとか。
とっても気になりましたが、八幡さんに「会った方がわかるだろ」と言われてまだお姉さんがいらっしゃる事しか知りません。
でも初対面なのに会った方がわかるというのもおかしいよね。
と、その時!
『は〜ちま〜ん!!!!!』
『ぎゃあああああああ!!!!』
家の中から八幡さんの悲鳴が!!家族として助けに行かないと!!
ドアを開けて右にある部屋に滑り込む。
中には倒れた八幡さんが!周りに誰もいないことを確認して近寄る。
「八幡さん!八幡さん!!大丈夫ですか?!」
「ふ、吹雪…。俺のことは構うな…」
倒れている八幡さんを見る。どうやら目立った傷はないみたい。よかった〜。
と安心するのも束の間。八幡さんの奥からフラフラと女性が現れる。
マズい。このままではやられちゃう!!
「八幡さん、逃げましょう!!」
「吹雪…。俺はもうダメだ…。お前だけでも逃げてくれ…」
「八幡さん!八幡さん!!大丈夫ですか?!」
「ふ、吹雪…。俺のことは構うな…」
「ふふふふ…!」
女性がこっちに来るっ!
「吹雪!!ここは俺が抑える!お前だけでも生き延びてくれ!!」
八幡さんは立ち上がり女性と向き合う。
私に選択肢など残されていない!
「くっ!…わかりました!」
まだ私が艦娘として深海棲艦と戦っていた時、提督はよく「少しでも被弾したらすぐに帰還すること」と言っていましたが、今こそその時です!!
全力で玄関に向かって走り、靴を履く。
よし!あとはドアを開けて走ればいいだけだ!!
八幡さんの思いを胸に!!なんとか私だけでも!
ドアを開ける!
「……」
「ッ!」
ドアを開けるまではよかった。しかし走ろうとしたら、目の前には別の女性が。こちらを見て笑いながら手をワキワキさせている。
もう、逃げることなどできない。
「あ、あぁ…」
「ひひひっ!撃てーーーーっ!!!」
「キャアァァァァァッ!!」
胸を揉まれました。
文字数稼ごうとすればするだけ駄文ができます。
ただでさえ駄文しかないのに…。