インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了)   作:灰崎 快人

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セシリアと一夏の試合を一話でまとめようとしたらとんでもない時間が掛かってしまいました。
文章が長いので誤字、脱字が酷いと思うので適時報告などをしてくれますとありがたいです。


蒼雫と白式

「これが織斑くんの専用IS『白式』です!」

 

そこには灰色のISが存在していた、これが束が手をかけたIS……一体どんな性能を秘めているのだろうか?

 

「すぐに装着しろ、時間が無いからフォーマットとフィッティングは実践でやれ」

 

そう言われすぐさまISに触れて装着しようとする。少し不思議そうな顔を浮かべながらも織斑は白式へと体を預けると、『アクセス』という機械音と共にシステムの最適化が始まる。ISのデータや操縦者の状態を複数のパネルに表示する、その中にはセシリアのISに関する情報が送られていた。相手のISのデータが事前に送られるということはその分戦力を理解できるということだ。ちなみに千春のIDにはこの機能が存在しないため、戦いながら相手のIS特性を理解しなければならないという欠点を持っている。

 

「白式、これが俺の専用IS……」

 

初めての専用機に少しの不安をいだきながらも情報を確認していく織斑、なにか引っかかることでもあるのだろうか?

 

「織斑、気分は悪くないか?」

 

「あぁ、行けるさ」

 

ISにも適正があるらしく適正が高いと本来の性能よりも高い性能を引き出すことができ、逆に低ければ性能を半分程度しか出せないらしい。一夏の適正がどんなものかはわからないが気分が悪くないと言っているあたり問題はなさそうだ。

 

「一夏、勝ってこい!」

 

「あぁ!行ってくる!」

 

箒による激励を受け一夏はカタパルトへと脚を進め出撃準備を行う。

 

「織斑一夏、白式。行きます!」

 

そう言って勢い良くカタパルトから射出された。一夏も本格的にISを操縦することは今回が初めてのため姿勢制御があまり安定せず、空中でフラフラとしている状態だ。

 


 

「白式か……なんか俺のIDとは正反対の名前だな、束が回収して手を加えていたのなら俺のよりも強力なISになっているだろう」

 

まるで狙っていたかのような機体名である、両方とも束によって作られているため似ている箇所は多いと思っていたが。黒式は白式の兄弟機扱いなのか、それとも正反対の機体ということで白と黒で分けたのかのどちらかだろう。

 

「それはどうだろうな?」

 

「と言うと?」

 

「あのISにはブレードしか搭載されていない」

 

「はぁ?中距離の武装は積んでないのか?」

 

「あぁ、積んでいない」

 

近距離武装以外を装備していないということは、相手の遠距離攻撃に対して避けるか防ぐかの二択しか無いということだ。避ければ隙きを作り、防げばじわじわとSEが削られていく。難しい機体だ……

 

「一次移行(ファーストシフト)すれば武装が増えるかもしれないが……」

 

「どうだろうな?」

 

「セシリアは確かに近接戦闘が苦手な様だが、対策は必ずしてくるよ。あの子は頭が良い―――とおもうから」

 

ブルー・ティアーズに搭載されていた唯一の近接武装である『インターセプター』、これをうまく活用できれば急な近接戦闘でも瞬時に対応ができるだろう。あとはセシリア自身がそれをできるかどうかに限られている。織斑は先の戦いをスクリーン越しに見ているのだ、対策くらいは練れただろう。練っていなければもう終わりだ。

 


 

「先ほどの戦いでは慢心していましたが……相手が誰であろうと油断はいたしませんわ!」

 

「あぁ!そうこなくちゃ本気で戦えないからな!」

 

セシリアの中には慢心などという言葉は既になく、どのようにして相手を追い詰め勝利するかという戦術を考えていた。織斑と同じようにセシリアにも白式の基本的なスペックが渡っている。

 

「それでは第二試合、セシリア・オルコット対織斑一夏を開始します」

 

『試合開始まで10秒前―――――5、4、3、2、1』

 

先の試合と同様十秒前からのカウントダウンとなる、このカウントが終わった瞬間即座に行動できるかどうかで試合の流れなどが変わってくる場合がある。

 

『試合開始!』

 

「お別れですわ!」

 

そう呟きライフルの照準を織斑にあわせ、迷わずに引き金を引いた。鮮やかな青いレーザーがあいつへと向かっていく。

 

「ぐあっ!」

 

瞬時に対応が出来るわけがない織斑はレーザーに直撃し、機体バランスを崩して墜ちていく。しかしすぐさま体勢を整えるもつかの間、開幕からビットを使っているセシリアの攻撃に対して常に回避行動をとらなくてはいけない。瞬時の反応が鈍いな……昔より機敏に動くことができていないようだ。

 

「クソッ、俺が白式の反応速度についていけていないのか!」

 

初期設定のISでは性能が低い為攻撃が満足に避けられない。しかしISを全く起動したことのない織斑にとってはこれでも性能が高い部類に入る為、操縦者本人がISに振り回されている形となっていた。

 

「やべぇ……シールドが削られていく、装備は何かないのか?」

 

設定の終わっていない機体のデータを探りながらも織斑は使えるものを探していった、すると目の前に一つのパネルが展開される。そこにはISに搭載されている名目のない近接ブレードが表示されていた。

 

「近接ブレード、これだけか!素手でやるよりかはマシか」

 

そう言ってブレードを展開し右手に収めるものの、遠距離で攻撃してきているセシリアに対して不利な状況には変わりなかった。

 

「千春さんと同じく近接武装で挑んできますのね、しかし対策は既に練ってありますわ」

 

そう言ってセシリアが左腕を天に掲げると、ビットが答えるように動き始める。ビットは一夏の周囲に弾幕をはり一夏が近づけぬようにしていた。

 

「駄目だ、弾幕を張られて近づけない……」

 

避けようとしても、動きが予測されていたかのようにレーザーが放たれるためむやみに動くことが出来ない

 

(千春がやっていたように近づければ……)

 

「一か八かだ!」

 

そう言うとレーザーを受けながらもセシリアに対して真正面から突っ込んでいく織斑、一体どういう理由があってこの行動をしているのかは全く理解できない。

 

「弾幕を受けながら突っ込んでくるなんてむちゃくちゃしますわね!けれど、無駄な足掻きですわ!」

 

無茶な接近をしてきた織斑に対して呆れた口調で叫ぶ。次は狙い撃つと決めたセシリアがスコープを覗くとそこには、近接ブレードで一機のビットを一刀両断するあいつの姿が映っていた。

 

「やっぱりさっきの戦いを見ておいてよかったぜ、このビットはあいつが命令を送っている間はあいつ自身が動けないんだったな!」

 

そう言ってセシリアに刃を向ける、その表情には余裕の笑みがあった。

 


 

「あの馬鹿者浮かれているな」

 

「どうしてです?」

 

「さっきから左手を開いたり閉じたりしているだろう、あの仕草をしているときは大体浮かれている。大方千春と同じように戦えるとでも思っているのだろう」

 

俺と同じように?馬鹿なのか?そんなこと出来るわけないだろ、完全に同じ動きをしたところで先の戦いで学んでいるセシリアに勝てる見込みは無い。

 

「流石姉弟なだけあるな、他にも何かあるのか?」

 

「まぁそれなりにな……」

 

他にもいくつかあるのだろうが特に話そうともせず再びモニターへと視線を移した。

 

「それにしても俺と同じ様にか、どうなんだろうな?俺の戦い方が良い戦術かどうかなんて誰にも分からないんだがな」

 

「気にするな、戦い方は各自で作るものだ。誰も文句は言わん」

 

それもそうかと思いながらも水分補給をしていく、この試合が終わったら最後には織斑対俺の試合が残っている為少しでも疲れを取っておく必要があるからだ。

 

「そうか、そう言えばあいつの乗っている機体って一次移行(ファーストシフト)してないよな?どのくらい時間が掛かるものなんだ?」

 

「少なくともあと二分くらいだ、問題はないだろう」

 

「いやそうじゃなくて……この試合一次移行もせずに終わりそうなんだが?本当に問題ないのか?」

 

「あぁ、この試合で一次移行しようがしまいが既に結果は決まっている」

 

決定的確信を持っているのか、千冬は微笑みながらもそう答えた。姉弟だからこその確信があるのだろう。

 


 

ISの操作に手間取りつつもセシリアによるビット攻撃を回避していく織斑。しかしセシリアの射撃は的確にあいつを狙っている為、ガンガンとSEが削られていくのは時間の問題であった。

 

「クソッ、やっぱり無理なのか!?」

 

「当たり前ですわ、千春さんは複数の武装を活用して私を追い詰めましたのよ。その様な近接武装一つでは手も足も出せませんわ」

 

確かに千春のIDには中距離武装である『カノン』、ワイヤーを伸ばせば近距離から中距離まで使用することの出来る『ワイヤーブレード』。この二つの武装により引き分けとまで試合を進めれたことは非常に大きかった。しかし一番の理由はセシリア自身が慢心をしていたことである。ISのことをほとんど理解していないであろう男性操縦者の相手など簡単だという気持ちが、あの結果を生んでしまったのだ。

 

「ドドメですわ」

 

『ブルー・ティアーズ』三機による連携射撃が一夏のSEを刈り取っていく、防ぐことしか出来ない一夏に対し追い討ちで残りのビットからミサイルを放つ。

 

「しまった!」

 

防ぐことに集中していた一夏は向かってきていた二機のミサイルに気がつかづ直撃してしまう。空中では灰色の爆煙が上がっていた。

 

「終わったか?」

 

あっさりと終わったと思いモニター前に移動する、未だに織斑の居た場所からは煙が上がっていた。少しすると煙が晴れていき、あいつの姿が現れてきた。

 

「いや、どうやら一次移行が終わったらしい」

 

そこには純白の機体に身を包んでいる織斑一夏の姿があった。

 

「機体に救われたってやつか」

 

「織斑くんの専用機の形が変わってる!」

 

誰もが一夏の敗北を確信していた瞬間の出来事であった為、観客席からは驚き、疑問などの声が上がっていた。

 

「まさか貴方初期設定だけの機体で戦っていたっていうの?」

 

呆れたようにそう呟くセシリア、それもそうだろう。本来ならば一次移行は終わらせてから戦う予定であったが、時間も間に合わず初期設定のみで戦っていた

 

「よくわからないが、これでこの機体は俺専用の機体になったらしいな」

 

初期化(フィッティング)と最適化処理()が一通り終わった白式のさまざまなデータがモニターに映し出される、その中には形状変化した近接ブレードのデータが表示されていた。

 

「雪片弐型(ゆきひらにがた)?雪片って確か千冬姉ぇが使っていたISについていたものか?」

 

雪片弐型。白式に初期から搭載されている近接ブレードの真名である。暮桜、黒式に搭載されていたものと形状が異なり、単一仕様能力である『零落白夜』を使用可能になるが詳しいことは使ってみてからがいいだろう。

 

「俺は最高の姉を持ったよ、でもそろそろ守られるだけの関係は終わらせなくちゃな。これからは俺も俺の家族を守る」

 

すぐさま零落白夜を起動させる。剣先が変化し青い粒子によって刃が生成される、武器の特性を理解しないで使用しているが大丈夫なのだろうか?一応武器の特性を理解している千春と千冬は呆れたような表情を浮かべているが瞬時にはっとした表情に変わった。

 

「貴方、何を言っていますの?」

 

「とりあえずは千冬姉ぇの名前を守るさ、弟が不出来じゃ格好がつかないからな」

 

ドヤ顔で言っているが白式が一次移行しただけであり、不利の状態なのは変わりない。

 

「あぁもう!面倒ですわね、とっととケリを付けさせて頂きますわ!」

 

左腕を横になぎ払うとビットが応じるように一夏の周囲に移動し、死角からの射撃を行い始めた。ここから第二ラウンドが始まりだした。

 


 

「なぁ千冬、あの雪片ってさ……」

 

「あぁ、私も同じことを思っている……千春」

 

どうやら千冬も同じことを考えていたようだ……視線を合わせて息を吸い吐き出したかった言葉を同時に吐き出す。

 

「「あいつとんでもない事しやがった!」」

 

息の合った叫び声に山田先生はびくびくしながら振り彼っていた、そこには頭を抱えている俺と千冬の姿があった。

 

「なんで雪片積んでるんだ!?もしかして俺のIDに改良型を入れたのはあのISを造るためなのか!?」

 

「いや、そうだとしたらあの機体のどこが改良されているのか理解できん。装備は雪片のみなどと……私は使いこなしたが、一夏には困難だろう。それに武装を多く積んでいるIDのほうが優れていると言っても過言ではない」

 

確かに雪片一本で挑むよりも、複数の武装を利用していった方が作戦の幅が広がる。

 

「天災の考えていることは理解できないな……」

 

本当に理解できない、特性の違う雪片を装備させてどうするつもりなのだろうか?ISとIDどちらが優れているかを調べる為なのか?それだとしたら純粋なスペックで競えば良いだけだ。それとも単純に力をぶつけ合えという考えなのだろうか?一夏が千冬の弟であることが関係しているのか?それとも……あのISのコアを利用しているのだろうか?

 

「見える!」

 

機体を安定させながらセシリアの攻撃を回避していく、先ほどよりも動きに磨きが掛かっているように見える。どうやらあいつは実戦経験を積めば積むほど強くなるらしい、誰でもそうであるが。

 

「良し!このままなら行ける!」

 

ついにはビットを破壊できるほどの技量になってきた、セシリアも異常な成長性に驚きを隠せないのか照準が少しずれているようにも見える。織斑はレーザーの間を潜り抜け、セシリアの懐へと忍び込む。あとは零落白夜を起動している雪片でなぎ払うだけだ。っと思っていたそのとき。

 

「白式SE残量0、試合終了。第二試合勝者セシリアオルコット。」

 

ブザーが鳴りセシリアの勝利が決まった、状況が理解できていない両者と観客席からは疑問の声が上がっていた。なお千冬と俺からは「やっぱりか」という言葉が漏れた。

 


 

「なんで俺負けちゃったんだ?」

 

試合結果に納得が出来ていない織斑は何故自分が負けたのか理解できていないようだった。

 

「バリア無効化攻撃を使ったからだ、武器の特性を考えずに戦うからああなる」

 

「バリア無効化攻撃?」

 

「相手のバリアを切り裂いて本体にダメージを与え、自分のSEを攻撃に転換する能力だ。私が第一回.二回モンドグロッソで優勝できたのも、この能力によることが大きい」

 

零落白夜は自身のSEを犠牲に相手に直接ダメージを与える特性があるのだが、こいつは特性を理解せず早々起動してしまったため、自身のSEが減っていくことに気がつかずに戦った結果、試合に負けてしまったのだ。

 

「だからいきなりISのSEが0に……」

 

「ISの戦いはSEが0になったところで勝敗が付きます、バリア無効化攻撃は自分のシールドを犠牲に相手にダメージを与える。言わば諸刃の剣ですね」

 

「つまり、お前の機体は欠陥機だ」

 

「欠陥機!?」

 

「言い方が悪かったな、ISはまだ完成していないのだから欠陥も何もない。お前のISはちょっと攻撃特化になっているだけだ」

 

欠陥機のほうが正しいと思う……と言いたかったが心の底にしまって置くことにした。

 

「ISは今待機状態になっていますけど、織斑君が呼び出せばすぐに展開できます。規則があるのでちゃんと読んでおいてくださいね」

 

山田先生から手渡された本は入学時に貰った資料よりもより分厚かった、国語辞典を二冊重ねたぐらいだろうか?それほど分厚かった、鈍器として扱えるだろう。

 

「わかりました……」

 

「最後に織斑対黒神の試合を行う、休憩は2分だ。しっかりと休んでおけ」

 

そう言って最終試合の準備に取り掛かるべく、一夏・千春は再び待機室に移動し試合開始のアナウンスが掛かるのを待った。




次回はたぶん一月に上がるんでしょうね……早く上げれたら良いな。
成績
織斑 0勝1敗0引
セシリア 1勝0敗1引
千春 0勝0敗1引
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