インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了)   作:灰崎 快人

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知らない天井

「…………」

 

朝、目が覚めて最初に映り込んだのは知らない天井だった。

昨日は箒達と一緒に屋台や花火を楽しんだ、その後は千春の運転する車に乗り込んで――――そこから憶えてない。

 

「何処だここ?それに箒達はどこに?」

 

和室には二つの布団がぽつんと置かれている。もう一つの布団は誰かが使っていたようで、少し乱された状態で放置されていた。

時計を見れば既に10時を過ぎている、夏休み中で無ければ完全に遅刻だった。

(とりあえず起きるか)

じっとしていても何も分からないので、布団から離れた一夏は家を探索するように動いていく。

 

「和風の家だな」

 

部屋は障子で分けられており畳が敷き詰められている。こんなところ来たことがあっただろうか?と思考を巡らせるがいまいち思い出せない。

部屋探索していくなかで離れたところから談笑している声が聞こえてきた、声は間違いなく箒たちだった。

 

「箒」

 

「おっ一夏やっと起きたか」

 

「あぁ」

 

声の方に向かってみると、テーブルを囲むように談笑している箒達が居た。千冬姉も山田先生も。千春の姿だけはまだ見えない。

ふと思ったのだが何故ここに二人が居るのだろうか?普通なら学園に戻っていてもおかしくはない、俺が言うのもなんだけど教員としてのなんとかがあるんじゃないのか?

 

「こっちの仕事は終わっている、だからこうして羽を伸ばしていても問題ない」

 

「少しでもゆったりしておきたいですからね~」

 

何故声に出していないのにそっちに伝わってるのか理解できない。顔に出やすいのだろうか?

苦笑いしつつも敷かれた座布団に腰を下ろす、ゆったりしているが俺はこの家が誰の家か全く分からない。少し警戒しつつもシャルロット達が呼んでいる本?アルバムに視線が移る。

 

「何見てるんだ?」

 

「千春さんと千冬さんと篠ノ之博士の幼い頃のアルバムだよ、本棚の中に並んでたんだって」

 

ちゃんと昔の思い出は保管してあるのが千春らしい、その内容に惹かれるように俺は後ろに回り込む。

実は俺が生まれてくる前までのアルバムを俺は見たことがない。千冬姉が見せてくれないといったほうが正しいだろう。

二人とも何かを隠したがっている?それとも過去のことは恥ずかしいから見せたくないのかのどちらかだろう。

 

「これが昔の――」

 

アルバムには幼き頃の千春達が和気藹々と公園で遊んでいる様子などの写真が入っている。今では考えられない笑顔を見せている三人、この笑顔が消えてしまった理由は間違いなくISも関わっているだろう。

三人が集まったとき話している様子を俺たちはこっそり見ていたことがある。そのときの三人は過去のことをなど知らないと言わんばかりにこれと同じ笑顔を浮かべていた。

あのときだけは素直になれているんじゃないだろうか?きっとそうだと信じたい。隠していることなどないと。

 

「可愛い」

 

「私が会ったときよりも幼いですわね」

 

「これは小学生の頃だな、全く……懐かしいものだ」

 

懐かしさに浸っている姉を見ると本当に幸せだったと言うことが伝わってくる、それを見てシャルロット達が羨ましそうにしている。

一瞬表情が暗くなった気がした、まぁ過去の思い出なんて嫌なこともあるだろう。それが姉に起きたことなのか二人に起きたことなのかはわからない。

 

「これは教官の両親が撮影されたのですか?」

 

「いや篠ノ之さんだ、千春は――――待てよ?」

 

突然厳しい顔つきになる千冬姉。必死に何かを思い出そうとしているのか眉間にしわがよっている。15年間弟として姉を見てきたけど、こんな姉は初めて見た。

俺よりも時間を共にしていることが長いから悩みの一つや二つもあるのだろう……幼馴染みって大変だな。

 

「「へっくしゅん!!」」

 

◆

 

ふと思ってしまった。私はあいつの親に会ったことがあっただろうか?これまで何度も二人で家に来ては課題をやったりなど勉学にも勤しんでいたが……いや一度だけあるな。

だが千春とは似ても似つかない両親、むしろ他人では無いかと疑うレベルだ。

昔の千春はどちらかというと一夏と似ているような気がする。面影がある。

だが二人は全く血の繋がっていない赤の他人のはず、何故面影を感じる?千春がアイツを教育したからか?いやたかがそれだけで面影が有るわけがない、それよりももっと何か別の理由があるのか。

 

「千冬?」

 

二人の似ている点を見つけていった方が早いかも知れんな……

まず料理が出来る点、剣術の教えを受けている点、ISを動かすことが出来る男性という点、両親が居ない点、朴念仁なところがある点――――ふむ。

しかしそれだけで?もし仮にアイツが私と同じだとしたら?いやそんなことは無いはずだ。

 

「おーい千冬?」

 

しかしそれしか思い当たる節がない、そもそも生身でISを撃退するなど普通はあり得ない話だ。

そもそも色々疑い深かったところはいくつもあった。身体の治癒能力の異常性、これは一夏にも垣間見えたが千春の方が治癒が早かった。VTシステムに振り回されたときも福音に墜とされた時も翌日には動ける様になっていた、普通なら入院コースでおかしくない

人間を超越しているのが垣間見えたのはまさしく福音戦闘後だろう。戦闘から帰ってきた千春の体はボロボロであったのにかかわらず、内部には全くといっていいほどダメージが無かった。そしてあの時できた最大の医療を終えて二時間経たないうちに意識を覚ました。骨折したところも翌日にはほぼ万全とまでいえるほど直っていた。

訳が分からないと思うが、私もわからない。

 

「…………こちょこちょ」

 

「んんんっっ~~~~!!!」

 

急なくすぐり攻撃に無防備だった私はすんなりとそれを受けてしまった。一瞬の出来事だったが思考を破壊されるのには十分だった。

 

「考え事するのも良いがちゃんと回りの声には応えろよ?」

 

一番人の意見を聞かないやつに言われたくない。

 

「お前がそれを言える立場か?」

 

「まあまあ。それはさて置き俺の部屋からアルバム持って行ったな?」

 

「こいつらが見たいと言ったからな、何冊かあったうちの一冊を持ってきた」

 

デュノアが手に持っているアルバムを確認して少しため息を漏らす、まだ一冊だけだったから良かったのだろう。全部持ってきていたらなんと言われたか……

 

「ちゃんと元の場所に戻してくれよ?あと千冬は勝手に持ち出すな」

 

「悪かったな」

 

◆

 

正直昔の俺を見られたくないのは正直なところだ。特に見られたくないのはあと二つあるアルバムの内片方、そこには俺が一番隠したい写真がまとまっている、少し内容を明かすとしたら『女装』この一言に尽きる。

俺は二度としたくないが、最悪の場合することにはなるんだろうな。

 

「はぁ……」

 

パシャッ!

 

「パシャッ?おい待て誰だ写真撮ったの」

 

絶対に誰かが写真撮ったよな?絶対に犯人見つけるからな?絶対に消去させるからな?最悪端末破壊してやるからな!?

 

「俺が優しく言ってる内に答えてくれよ?」

 

怒っているのが伝わっているのか全員怯えてる様子だった、殺気は漏らしていないはずだが?

 

「「「「「ごめんなさい……」」」」」

 

一人じゃ無かった。

スッと手を上げたのはシャルロット、セシリア、ラウラ、簪そして山田先生だった。いや山田先生はなんで撮った?理由なんて無いと思ったんだがこの人もか。

 

「全く。ちゃんと消しといてくれよ?」

 

「「「「「はい……」」」」」

 

「あとアルバムは没収」

 

シュンとした表情になっているが、そんなの俺は知らない。部屋に戻しにその場を後にするが後ろに誰か着いてきている、全く物好きなやつもいたものだな!

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