インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新凍結)   作:灰崎 快人

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前回が……いつだ?もう忘れられているんじゃないかと思われてます。


クラス代表発表!

翌日の朝四時、昨日の疲れが残っている状態でトレーニングが始まった。

 

「痛っ……ここはあまり動かさない方がいいな」

 

昨日の試合で負傷したところがヒリヒリする、痛すぎて痒くなってくる。治るには数日掛かりそうだな、昔はこのくらいすぐに治ったが老いには勝てないのかもしれない。

 

「軽くするか?その方が負担も少なくなるが」

 

少しは心配してくれるみたいだな、千冬が心配してくれるのは珍しいけどな。

 

「いやいつもので良い、IDにもさっさと慣れておきたいからな」

 

実戦を経てわかったことがある、IDを動かすにあたり俺の身体能力が試される。ID装甲の重さが身体にズシっと来る、その為には身体を鍛えて重さに耐える事が重要だ。まずは千冬の体重を利用し筋力・脚力を向上させる、ある程度鍛えられたらIDを装着し鍛える。これを行えば実戦での技術や技能を格段に上げることができるはずだ。

 

「わかった、では失礼するぞ」

 

俺の背中に腰を下ろす千冬、これがいい感じの重りになるのでトレーニングの最初には持って来いだ。本人に重いなんて冗談でも言えないけどな?え?言ったらどうなるって?勿論生きて帰れないだろうね。それに女性に体重とかの話はタブーみたいだから……。

 

「ぐっ……よし、はじめるからカウントを頼む」

 

「それでは腕立て伏せ百回、はじめ!」

 


 

こうして朝のトレーニングが始まっていく、この後は走り込みによる体力つくりなど基本的なことだ。この日課が終わった後の朝食は本当においしく感じる、いや食堂のおばちゃんが作ってくれたから間違いなくおいしい。食堂に女子生徒しか居ないのを見るたびに、男子操縦者は貴重なものなのだと実感できる。こちらを見てくる生徒や、相席を狙ってくる生徒もしばしば……ちなみに織斑一夏は束の妹の篠ノ之、その他女子生徒に囲まれながら食事を取っている。千冬の弟と言うこともあるのだろう。俺はと言うと、今日は布仏さんと鷹月さん相川さんそして一年四組の簪さんとの相席だった。簪さんの苗字を教えてもらいたかったが、とある事情により言いたくないらしい……名前呼びは少々抵抗があるが、彼女から名前で呼んでほしいとのことなのでそれに従うことにしよう。

 

「黒神さんは専用機持ちなんですよね?」

 

「ちょっと特殊な専用機だけどね」

 

ちょっとどころではないかなり特殊な専用機だ、そもそもISではないし……ISの兄弟機ではあるものの分類的にはどうなるんだろうな。

 

「それってやっぱり日本の倉持技研からですか?」

 

表情が曇ったような気がしたが……倉持技研からではないこと、前の職場であったことを簪さんに話す。すると何処か彼女の表情がやわらいだ気がした、もしかしたら彼女は倉持技研と何か因縁があるのかもしれないな。さて何かあっただろうか?

 

「えっと……じゃあ私が日本の代表候補生なのは先ほど話しましたよね?実は倉持技研によって開発される専用機が送られてくるはずだったんですけど、なかなか送られてこなくて……」

 

倉持技研で開発されている専用機?あぁ確かに一つだけあったな。確か名前は―――

 

「打鉄弐式だったか?」

 

「はい!それです!」

 

その機体の搭乗者の名前は分からなかったが、まさか簪さんだったとは……

 

「ふむ……あれは俺も協力していたが直ぐに担当から外されたからな、最後に見たときは全く出来上がっていない状態だったはずだ。しかし遅れていると言うことは何かしらトラブルがあったのか、または別の何かに力を人員を割ったのかのどちらかだろう。いっその事未完成な状態でもこちらに送ってもらってはどうだ?自分の専用機なのだから細かい調整もしたいだろう?」

 

「……そうですね」

 

「あと遅れていた理由がわかったら俺に教えてくれ」

 

たしか倉持技研には白式が渡っていたはずだ、男性搭乗者であり千冬の弟と言うこともありほとんどの人材がそちらに渡ったのかもしれないな。それならばこちらで組み上げてしまったほうが早い。一人で組み上げたほうが早く済むからな。

 

「それじゃあ、打鉄弐式が送られてきたら教えてくれ。しっかりとサポートするからさ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

そうして朝食を済ませ教科書などが入ったかばんを片手に、一年一組の教室へと向かっていく。今日も今日とて織斑が千冬に叩かれていた、理由は勿論言うまでも無いだろう。

 


 

そして朝のSHR(ショートホームルーム)。二人を除いた生徒の耳にありえない言葉が入っていた。

 

「……では一年一組のクラス代表は織斑一夏君に決定ですね、一繋がりで良い感じですね!」

 

山田先生は嬉々として話しているが、クラスの女子生徒たちには絶望の表情が浮かんでいた。先日の模擬戦を見ていたからだろう、織斑一夏は黒神千春・セシリアオルコットに敗北している為、クラス代表に名は上がらないだろうと思っていたということだろう。しかし山田先生から発せられた言葉に衝撃を隠せない。特に織斑一夏と篠ノ乃箒からは戸惑いの声が上がっている。千冬からはこの状況をどうするんだ?という視線が送られてくる。ある程度は対応するつもりだから問題ないとアイコンタクトで返しておいた、小さくため息をつかれた……仕方ないだろう

 

「先生、質問があるんですが……」

 

「はい、なんですか?」

 

「俺は昨日の試合に負けたんですが、何故クラス代表になっているんでしょうか?」

 

やっぱり疑問に思うよな。自身は完全敗北したのにもかかわらず何故か代表になっているんだからな、だが決まってしまったものは仕方が無い。さてと山田先生に説明させるわけには行かないしさっさと説明して終わらせよう、セシリアにも俺が説明するって言ったからな。

 

「俺とセシリアが辞退したからだ」

 

「なんで!」

 

「俺が代表になるよりかはこのIS学園に所属してる生徒が務めたほうがいいだろ?俺みたいなおじさんが代表になんてならないほうがいいだろうしな」

 

「……セシリアは?」

 

「わたくしが代表候補生になるよりも黒神さんの方が適していると考え、辞退したのですがその黒神さんも辞退してしまったので……結果的に敗者のあなたに決定したと言うことですわ」

 

そう言えばそんな事言ってたな……あれは完全なまぐれだったと言ったのに、それでも実力といわれるのは困る。

 

「そんな……」

 

「まぁ代表ともなればISの操縦技術も向上するだろ、代表戦とかあるしな、実戦には事欠かないだろう?敗者は勝者に従わないとな?」

 

まぁ何かしら事態が悪化したらサポートはしてやる。とだけ伝えておいた、何かしらの揉め事が起きるのは確定だろうしな。

 

「まぁ……最初の男性操縦者だしね~」

 

「そうだね~本当は黒神さんにやってほしかったけど、黒神さんがそういうなら仕方が無いね」

 

「私達は貴重な経験を積める。他のクラスに情報を売れる。一粒で二度おいしいね、織斑くんと千春さんは」

 

納得はしてくれたみたいだが……情報を売られるのは困る、クラスメイトを何だと思っているんだ?悪いがある程度の距離は取らせて貰うとするか。

 

「まぁ後はISの技術を教えてくれる人が要ればって感じだろ」

 

「じゃあ私が!」

 

私がと言っているところ悪いのだが、今の段階で教えられるのはISの基礎知識のみだろう……織斑一夏の場合実技も教えなければならなくなるわけだが、訓練機とアリーナの予約も埋まっている。男子生徒だからといって特別扱いは出来ないだろうからな。

 

「あいにくだが、一夏の教官は足りている。私が、直接頼まれたからな」

 

「そんな……」

 

「幼馴染だからっておいしいところとらないでよ!私だって織斑君に教えたいもん!」

 

「Cランクのくせに!」

 

ISを操縦するのに必要な身体的素質を持っているかどうかをランク付けしたものの通称を「ISランク」と呼んでいる。値が高ければ高いほどISの可能性を引き出すことが出来るらしい、ただISによって値が変化することもあるらしいのでほとんど宛にしない方がいいものだ。ちなみに俺のランクはSだった。これは千冬と同じレベルだ……機械壊れてるんじゃないのか?

 

「ら、ランクは関係ない!頼まれたのは私だ!い、一夏がどうしても懇願するからだ!」

 

「座れ、馬鹿ども」

 

流石ブリュンヒルデ、騒がしかった空間が一瞬で静寂に包まれた。しかしまぁ……

 

「はぁ……」

 

「そのため息はなんだ」

 

「いや、この雰囲気の中で三年間も過ごすのかってね……」

 

「耐えろ、望んできていないのはお前以外にも居るんだからな」

 

耐えますよ、耐えるしかないんだから……救いがあるとすれば馴染みのある人物が居るだけだろう。それだけでも心が救われるものだ。

 

「お前たちのランクなどゴミだ。私からすればどれも平等にひよっこだ。そんな段階で優劣を付けようとするな」

 

確かにブリュンヒルデからすればCとかBと言っても全て下のものになるからな。ISとカリスマ性だけは高いが、家事洗濯などの日常的なものは……半人前に近いんじゃないのか?まったく昔はあんなに可愛かったのに。

 

「何か言ったか?」

 

「いや何も言ってません」

 

クソッ!なんで分かるんだ!俺は千冬の心や思考回路は読めないのに何で反対はできるんだ!そんなに分かりやすいのか俺は!だが実際家事洗濯はほとんど出来なかったな、中学の時だってハンバーグ焦がしたり包丁で指きったりしてたからな……そこが可愛いわけだけども。

 

「ほう」

 

何故か織斑と二人暮らしだったのもあって食事とか作ったり、あいつに教えたりしたときもあったな……通い妻?違う違うってまだそんな仲じゃないって。それを言うのなら通い夫だろう。夫でもないけどな。

瞬間!大きく振りかぶられた出席簿が脳天に直撃する!その一撃は重く凄まじいものだった、机に顔面からぶつかっていく。

 

「……悪かったよ」

 

「わかればいい」

 

畜生!こいつは叩くしかないのか?もう少し別の手段を覚えてほしいものだ!

 

「クラス代表は織斑一夏。異存は無いな?」

 

「「「はーい」」」

 

こうして一年一組のクラス代表は織斑一夏となった。




よーし負けヒロインだ~
まぁ出ないんですけどね

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