インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
「と言うことで!織斑くんクラス代表おめでとう!」
「おめでと~」
クラスメイトによってクラッカーが乱射される。織斑の頭に落ちる紙テープは、織斑の心に重くのしかかっていた。
現在は夕食後の自由時間。場所は寮の食堂である、一組のメンバーは千春を除いて全員揃っていた。各自飲み物やお菓子を手にわいわいと盛り上がっている。
「……」
皆はめでたいと言っているが、ちっともめでたくない。なんなんだこのパーティーは。壁には『織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書かれた紙がかけてある。就任パーティーか……まぁなってしまったものは仕方が無い、しかし何故千春がこの場に居ないのかが疑問だ。
「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるね!」
「ほんとほんと。」
「同じクラスになれてラッキーだったよね~」
さっきから相づちを打っている女子は二組だったり、三組だったりしたりがするんだが。気のせいだっただろうか?いや気のせいではないな、確実に人が多い。明らかに三十名以上はいる、何でクラスの集まりでクラスの人数を軽く超えてるんだよ。
「人気そうだな一夏」
「……本当にそう思うか?」
「ふん!」
箒は鼻を鳴らしてお茶を飲む、相変わらず機嫌が悪い。
「はいはい~、新聞部です。話題の新入生、織斑一夏君と黒神千春さんに特別インタビューをしに来ました~!」
その言葉に一同盛り上がる。何で盛り上がるんですかね?
「私は二年の
とりあえず受け取って名前を確認する、画数の多い漢字が使われているんだな。この名前を書いている本人は大変なんだろうな。
「ではずばり織斑君!クラス代表になった感想をどうぞ!」
ボイスレコーダーを俺に向けてくる、無邪気な子供のような瞳を輝かせている。
「あ~えっと……」
感想なんていわれても特に何もない、千春に負けてセシリアにも負けた……全負した俺が代表をやっていると言う時点でおかしい。だけど二人は俺に代表を託した、なら男としてしっかりしないとな!
「頑張ります」
「もっといいコメント頂戴よ~。俺に触れるとヤケドするぜ!とかさ~」
その台詞だいぶ前の時代に流行ってる気がする。
「自分、不器用なんで……」
「まぁいいや、適当に捏造しておくからいいとして」
よくねえよ。独断と偏見による偽造で間違ったイメージが伝わるじゃねぇか!こうやって世間には間違ったことが広がるのか、恐ろしい……
「もう一人の男性操縦者の人は?」
辺りを見回しても千春は来ていない、この人の言葉を聞いて回りの人たちがざわざわし始める。中には「千春さんに会いに来たのに。」と言う声も聞こえる、そう言えばあの人千冬姉の幼馴染って言ってたな。昔の記憶とかあまり覚えてないんだよな~
「黒神さんは参加していませんよ」
オルコットはどうやら知っていたみたいだ、前もって参加しないということを聞いていたのかな?
「誘わなかったの?」
「誘おうと思ったのですが……黒神さんの部屋が何処かわからなくて」
違った。セシリアも千春の居場所がわからないだけだった、それにしても本当に何処にいるんだ?俺が部屋を伝えられたときも、既にいなかったし……別のところに移動させたのかな。
「他の方にも伺ったのですが、結局何処なのかわかりませんでしたわ。得られたとしたら黒神さんは織斑先生といることが多いみたいでして……」
千冬姉とそんなに交流があるのか、珍しいな。幼馴染だけのことはあるのかな?仮にそうだったとしても、一緒にいるときが多い気がするな。
「確かに私も黒神さんが織斑先生と歩いてるところ見たよ~」
「私は朝一緒にトレーニングしてるところを―――」
皆色々見てるんだね、それだけ注目されているってことなのかも知れないな。
「そっか、本人から教えてもらったりとかは無かったの?」
「なかったですわね……」
「そうなんだ。織斑君よりあの人のほうが人気なのに。しかたない、黒神さんに関してはまた後日にしておくよ」
それは本人のいないところで言ってほしかったな……千春のインタビューは正直気になる、忘れてることが多いからな。
「セシリアちゃんもコメントくれるかな?」
「あまりこういったコメントは好きではないのですが……仕方ないですわね」
満更でもなさそうだ……というか意外と近くに居たんだな。写真対策なのか髪型に気合が入っている気がする。
「ではまず、何故私と黒神さんがクラス代表を辞退したのかと言うと―――」
「長くなりそうだからいいや、写真だけ頂戴」
「最後まで聞きなさい!」
「いいよ、適当に捏造しておくから」
「それは困るんですが……」
何を書かれるかわからないもんな、そりゃぁ困るわ。
「とりあえず二人並んでね。写真撮るから」
「注目の専用機持ちだからね、本当は三人の写真がほしかったんだけど」
「そうですか……そう、ですわね」
何故か残念そうな表情を浮かべるオルコット。千春が来ると思って気合入れたんだろうな。
「……」
「なんだよ箒?」
「なんでもない」
なんでこっちをじろじろ見てくるんだ?何か用があるのかと思ったが、違ったらしい。紛らわしいな。
「それじゃあ撮るよ~931÷(810+3)は~?」
「えっ……4?」
「ぶー、1.14514でした!」
なんだそりゃ、全くわからない。
パシャッとカメラのシャッターが切られる。……ん?
「なんで全員はいってるんだ?」
恐るべき女子の行動力、一組のメンバーが一瞬で周りに集結していた。箒までいる、一体何がしたいんだろうか。
「あなたたちね……」
「まぁまぁ~」
「セシリアだけ抜け駆けは無いでしょ」
「まぁいいですけど。」
何はともあれ、この『織斑一夏クラス代表就任パーティー』は十時過ぎまで続いた。女子のエネルギーを侮っていた、そう気がついた頃には既に夜はどっぷりふけってた。俺は消耗しながら部屋へと帰還し、ベットに寝転がっていた。
「今日は楽しかっただろう。良かったな」
とげとげしい口調で箒が嫌味を言ってくる。なんなんだろうか、俺に喧嘩を売っているのか?よくわからないな。
「楽しいものか、疲れただけだ。お前は逆の立場だったら嬉しいのかよ」
「あぁ……そうだな。楽しいかもしれないな!」
本当はそうじゃないくせに、すぐに意地をはる。一度言い出すと引っ込みがつかなくなって自爆する、箒はそういうやつだ。適当に話を切り上げてやった方がいいだろう、これ以上おかしなことを言われる前に眠りにつきたい。
「あっそう、じゃあ俺寝るわ」
「まだ十時半ではないか、もう寝るのか?」
「疲れたんだよ、そういうときは早く寝るに限るんだよ」
「そうか……なら寝間着に着替えるからそっちを向いていろ」
同居生活も一週間を超えるが、何でこいつは俺がいるときに寝間着に着替えるんだろうか?俺が歯を磨いたり、シャワーを浴びているときに済ませればいいと思うのだが。事実俺はそうしている訳だし。
「なぁ箒。前も言ったが着替えは俺が居ないときに―――」
睨みつけられた
「……わかったよ、向こう向いてればいいんだろ」
これだから女はよくわからない、特に箒に関しては全くわからない。とりあえず俺は身体の向きをごろりと変えておく。
「…………」
「…………」
この沈黙の時間が嫌なんだ。妙に時間が長く感じるし、ちょっとした衣擦れの音が異様に気になる。俺だって健全な十五歳の男子であって、この落ち着かない感じはなれない。
シャツを置く音が聞こえる……以前にシャワー上がりの姿を見てしまったことがある、それが自然と脳裏に蘇ってしまう。ますます落ち着かなくなってしまう。
それからしばらくの間、何とも言えない着替えの音に翻弄される。俺は眠るどころではなくなってしまった。
「もういいぞ」
許しが出たので身体の向きを元に戻す。別に戻さなくても良いと思うのだが、一度それで何故か怒られたのでもう何も言わないことにしている。
「帯新しくしたのか?」
箒は毎日寝間着浴衣を着用している。何処までも和を貫いているやつだ。まぁ良いと思うけどな。腰に巻いてある帯が昨日のもと全く違うものだったから、俺は何の気なしに指摘してみた。
「良く見ているな」
先ほどのとげとげしさが無くなり、上機嫌になっているように見える。よくわからないやつだな。
「色も模様も違うんだから、普通気が付くだろ。毎日箒を見てるんだからな」
「そうか……私を毎日見ているか、そうかそうか」
どうやら上機嫌で何度も頷いているらしい。
「よし、では寝るとしよう」
とてもじゃないが寝るやつのテンションではない、ともあれ箒が上機嫌に戻ってくれて何よりだ。
「おう、おやすみ」
少しずつ眠くなってきた俺は、今度こそ睡眠へと落ちていく。
その日の夢は、何故か昔のことを思い出す内容だった。
次回は幼馴染の子ですね