インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
昨日千冬に酒を飲まされた後の記憶が一切無い、俺は一体何をしてしまったのだろうか……彼女に手を出していないことだけを願うしかない。とりあえず起き上がって、朝練の準備をしておかないと。
ゆっくりベットから起き上がる、妙な違和感に襲われながらもしっかりと身体を起こした。少しずつ視界がよくなり頭が回っていく。
ポケーッとしながら状況を確認すると、何故か生まれたままの姿であった。
「なんで俺は裸なんだ?夜一体何が―――」
「寒い………」
声のした方に視線を移動させると、そこには生まれたままの姿で腕にしがみついている千冬の姿があった。
―――え?
うわぁぁぁぁ!俺は本当に何をしたんだ!?なんで千冬と裸で寝ているんだ!?何でこうなったんだ?
……駄目だ、思い出せない。何も思い出せない。
「千冬……起きてくれ、頼む起きてくれ」
声をかけるが千冬は全く起きる気配が無い、揺さぶって起こすしかないのか?いやしかし!今の彼女は裸なんだ、こんなことしてしまえば拳が飛んでくることは間違いない。なんとかして千冬を起こさないと……
「いやその前に手を出していないかの確認だけを……いやどうやって調べるんだよ、う~ん」
確認するために彼女にかかっているシーツを剥がす、というわけにも行かないだろう。そこで起きてしまったら俺が変態だと思われる、それだけは避けたいところだ。そんな事を考えていると、隣からくすくすと声が聞こえてくる。
「……千冬?」
「おはよう千春、よく眠れたか?」
どうやら既に起床していたらしい、それなら俺の声に応えてくれても良いと思うんだけどな~?悪戯のつもりなのか?
「あ、あぁ……眠れたが。とりあえず隠してくれないか?」
イスにかけてあった大きいサイズのバスタオルを千冬に渡す、しぶしぶ受け取ったあと千冬は身体を隠しベットから起き上がった。
「私は別にいいのだが……千春の方こそ、立派な物が丸見えだぞ?」
そういわれて今現在の姿を確認する。俺の身体には今何も身に着けていない、そして千冬と対面している状態だ。千冬がすこし頬を赤らめながらも、チラチラと下のほうを見ている。
「チラチラみるな!」
急いで着替える、こんな辱めはさっさと終わらせておかないと……そうだ千冬に一つ確認することがあった。
「千冬!俺昨日の夜の記憶が無いんだけど!お前に何したんだ?手は出してないよな?暴力とかも振ってないよな?何も無かったよな?」
頼む、何も無かったといってくれ。仮に何かしてた場合、最悪行為をしていたとしたら……俺は責任を取って―――
昨日の夜は激しかったな。」
あぁ……なんということでしょう。俺は千冬の初めてを無理やり奪ったということになる、もう二度とお酒は飲まないと誓わなければ。あとしっかりと責任も取らないと。いろいろと問題も起こるだろうし、その処理も行わないと……
ふふっ少しからかっただけだが、なかなか初々しい反応をしてくれるじゃないか。昔は千春にやられていたが……今では私がやり返す側になってしまったな。ぶつぶつと何か呟いているが、しかたない正気に戻してあげるか。
「千春」
「なっ……なんだ?」
怯えている表情を見るのも新鮮だな、こうして目の前で見てしまうと……いじめてくなってしまうな。しかし今回のことに関しては言っておかねばな。こいつは考え込んだら一人の世界に閉じこもってしまうからな。
「安心しろ、『お前からは』手を出していない」
「ほ、ほんとうか?ほんとうに?」
本当に何も覚えていないのか、何度も訊ねてくる。そこまで心配するのは千春らしい。
「あぁ本当だ、だから安心しろ」
「そうか、そうかそうか……よかった、千冬に手を出してないんだな」
よかったか、少し複雑な気持ちになるのはなぜだろうな。妙に安心しきっている表情を浮かべているのがまたムカつく。
「まだ大丈夫なんだな」
「……何か言ったか?」
「いや何も!」
『まだ』か、いつかあの言葉を言ってくれるということか?―――想像しただけで顔が赤くなりそうだ。千春にはばれていないだろうか?それにしても千春はこういったことに疎いな。『お前からは』と言っているのに彼は『手を出していない』と言ってきた、つまり私からのみだと思っているんだ。そう考えているのであれば今はそれでいいだろう。
「とりあえず今日もトレーニングを……する時間がないな」
時刻は既に七時を回っていた、流石にする時間は無いな。今日は止めておくか。
「千春。お前はいつも通り先に行っておけ、その後私もここから出る」
「わかった、じゃあさっさと準備済ませる!」
千春が私の部屋にいるのは私達を除いて山田先生しか知らない。全生徒にばれてしまわない様にと、時間をずらしている。ばれる前に部屋を決めなくてはいけないな……すこし寂しいが。
「それじゃあいってくる!」
「あぁ気をつけてな」
寮から出た後、俺は一目散に自身のクラスに入っていく。丁度織斑も来たようであった。
「織斑君、黒神さん!おはようございます、転校生の噂聞きましたか?」
朝から元気な子だ、やっぱり若い子は元気であるべきだな。それにしても転校生か……転校生?
「転校生?今の時期に?」
「なんでも中国の代表候補生らしいですよ!」
中国……代表候補生……転校生?もしかしてあの時の?いやそうだな、そうに違いないな。こんな時期に編入する時点であいつしか居ない。というかあのときにあったやつで間違いないだろう。
「ふーん」
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入でしょうか?」
いやおそらく俺たち男性操縦者関係で転入してきたのだろう、最悪相部屋になってしまえばデータを盗める。セシリアは単にISの稼動データのためにこの学園に入ってきているが、ここから先の転校生はほとんどが男性操縦者のデータを獲るために来るだろう。
「どんなやつなんだろうな~」
「気になるのか?」
「少しは」
「そうか……」
「今のお前に女子を気にしている余裕はあるのか?来月にはクラス対抗戦があるというのに」
「そうですわ織斑さん。クラス対抗戦に向けてより実戦的な訓練を行いましょう。中遠距離は私が、近中距離は黒神さんがお相手いたしますわ。一組の中で専用機を持っているのはわたくしと黒神さん、そして代表のあなただけなのですから」
確かに専用機を持っていれば、アリーナの申請だけで済む。そう考えると専用機持ちだけで模擬戦闘をしたほうが手っ取り早い。
クラス対抗戦とは読んで字のごとく、クラス代表同士によるリーグマッチ戦である。本格的にISを学ぶ前の、スタート時点での実力指標を作るためにやるらしい。またこのイベントはクラス単位での交流およびクラスの団結力を強める為のイベントでもある。
やる気を出させる為に、一位を取ったクラスには優勝商品として学食デザートの半年フリーパスが配られる。
「まぁやれるだけやってみるか」
「やれるだけでは困りますわ!織斑さんには勝っていただかないと!」
「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする」
「織斑くんが勝つとクラスの皆が幸せだよ!」
などといっているが皆フリーパスが欲しいだけである。しかし今の一夏は基本的なIS操作技術でつまづいている状態だ、これをあと少しの期間内に戦えるようにしなければならない。フリーパスは確かに魅力的ではあるが、カロリーの悪魔が忍び寄っていることを彼女たちは知っているのだろうか?
「織斑くん頑張ってね~」
「フリーパスの為にもね!」
本音が漏れている生徒もいる、そこまでして欲しいのか。
「今のところ専用機を持っているクラス代表は一組と四組だけだから、余裕だね!」
果たして余裕なのだろうか?不安要素しかない。そんな事を考えていると―――
教室の入り口から声が聞こえた。どこかで聞いたことのある声だと思い扉の方へ視線を送る。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単には優勝できないから」
そこにはあの時の小さい迷子が立っていた。あぁやっぱりこの子だったのか。
「鈴……お前、鈴か?」
「そうよ、中国代表候補生、
なるほど、あの子は織斑と知り合いだったらしい。だからこの学園に転入して来たのか、データも盗みに。ファン・リンインか……警戒しておくことにしよう。
「何かっこつけてるんだ?すげぇ似合わないぞ?」
「なんてこと言うのよあんたは!」
まるで小学生の喧嘩だな、織斑も余計なこと言わなければ良いのに……
「あれ?おっさん、ここの生徒だったんだ」
「まぁそうだな、どうせ興味ないだろうから関わらないと思うがな」
そう言いながらも少女のほうへと進んでいく。こう近くで見ると本当に小さいな……ちゃんとご飯食べてるのか?それとも遺伝なのか?
「男性操縦者が二人いるのは知ってたけど、まさかおじさんだとは思わなかった」
「そうかい」
「一夏に勝って、イギリスの代表候補生とも接戦したらしいわね」
ずいぶんと知っているな、それだと何故織斑が代表をやっているのかも理解しているみたいだな。
「まぁ私はあんたのことなんて眼中に無いから」
「そうしてくれ、後早く自分のクラスの戻れ」
「生憎おっさんの言うことは聞きたくないの、ごめんね?」
「鬼が来てもか?」
そういって少女の後ろを指差す、呆れたような態度を示し仕方ないと後ろを振り返った。
「もうSHRの時間だ、教室にもどれ」
そこには最強こと織斑千冬が立っていた。朝のこともあり、あまり千冬を直視できない……
「ち、千冬さん……」
「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ、あと年上は敬え」
「す、すみません……」
明らかに態度が違うのに納得がいかない。しかし千冬は教師、俺は生徒という関係上仕方が無いのかもしれない。
「また後で来るからね!逃げないでよ一夏!」
織斑を何だと思ってるんだろうか、少なくともこの馬鹿は逃げないだろうな。
「さっさと戻れ」
「はいっ!」
そういって小さいのは二組の教室に走り去って行った。廊下は走らない、これ常識。
「あいつ、IS操縦者だったのか……知らなかった」
「一夏、今のは誰だ?知り合いか?えらく親しそうだったが」
あーあー目の前に千冬がいるのに余計なおしゃべりしちゃって……こりゃ叩かれるな。
「席に着け馬鹿ども」
うん、やっぱり叩かれたね。わかってたけど、こいつらに学習能力が無い。
「それと黒神、誰が鬼だって?」
あっ……しっかりと聞こえていたんだな。
「すいませんでした」
俺の頭上に出席簿が叩き困れる、相変わらず容赦が無い一撃だな。まぁそんな事はどうでもいい、今日も一日頑張るか!
次回は……なんだ?