インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
あの後何事もなく順調に日常が進んで現在は千冬の持っている授業の時間である。
正直朝の一件が気になって授業に集中できない。何故あの時千冬はからかってきたんだろう……本当は何かあったんじゃないのか?それに頬を赤らめながら言っている辺り絶対何かあっただろ!何で教えてくれないんだろうか!この込み上げてくるムカムカをどう抑えればいいんだろうか?
「はぁ……」
「ほう、ため息をつくほど私の授業はつまらないか?千春」
Oh……いつの間に、ため息をついているところを見られてしまったか。さてどう誤魔化すものかな、下手に誤魔化せば拳か出席簿が降りかかる。
「いや、違うぞ」
「ほう?なら何故ため息をついた?」
「それは……」
言える訳ねえだろ!こんな所で言ったらとんでもない事になる!もしここで言った場合、社会的に殺される……諦めるしかないな。
「―――ごめんなさい」
ばしーん!と激しい打撃音が響いた。相変わらず頑丈な出席簿だ、一体何でできているんだ?
そう言えば箒が叩かれていたな。転校生が幼馴染ってことに驚いたのか?それとも純粋な嫉妬心による集中力の乱れなんだろうか?まぁ俺には関係ないな。
授業が終わって昼休みに突入した。俺は午前中の授業で三回も千冬に叩かれた、原因はわかってるんだけどね?その悩みを誰にも相談できないのが悩みなんだが。
「黒神さん、大丈夫ですか?あまり授業に集中できていらっしゃらない様子でしたけど」
セシリアが不安そうにこちらの顔色を窺ってくる、流石できる子は違うな。
「あぁ大丈夫だ、気にするな……大人になると色々問題にぶつかるんだ」
例えば加齢臭とか、炭酸水を飲むのがきついとか、焼肉とかの脂身がしんどいとかな。若い頃に戻りたい。最近だと視力が少し悪くなってきた。
「そうですか……では食堂に行きませんこと?すこしは気分が楽になるのではありませんか?」
そういえば朝何も食べてないな、しっかりと食事を取ることも大切か。そうすればすこしは頭が回るかもしれない。
「そうだな、食堂に移動するとするか」
そう言ってセシリアと一緒に食堂に向かう。途中何人かの生徒にじろじろ見られたり、話しかけられたりされた。あとはなんか新聞部の人が来たが、後にしてくれと言って名刺だけ受け取った。いつかしっかりと受けてやらないとな。
「何やってるんだあいつら?」
食堂にたどり着くとそこには織斑と箒、そして―――
「待ってたわよ一夏!」
転校生の小さいのが居た。ラーメン片手に通路を塞いでいた、正直邪魔だ。
「とりあえずそこを退いてくれ。食券出せないし、普通に邪魔だぞ?」
「うるさいわね!わかってるわよ!」
「ラーメンのびるぞ」
「わかってるわよ!何で早く来ないのよ!」
何故早く来なくてはいけないのだろうか?自分の考えていることが全て当たり前だとでも思っているのか?それとも馬鹿なのか?
「……なんか騒がしくなりそうだな、早々に立ち去っておくのがベストだろう」
とりあえず食券をおばちゃんに渡す、今日の昼はしょうが焼きに春雨サラダだ。ガッツリしたものが食べたかったからな。
「そう言えばわたくし黒神さんに、伺いたかったことがありますの」
伺いたかったこと?何だろう、想像ができない。
「昨日織斑さんのクラス代表就任パーティーをしたのですが、黒神さんの姿が見えなかったので……」
えっ何それ、聞いてないんだが?もしかしてはぶられたのか?そんなに嫌われるようなことしたのだろうか?もしかしてはぶられたのか?とりあえず平静を装っておくとしよう。
「そんな事があったのか、知らなかったな」
「やはり誰も黒神さんには話していなかったのですね。昨晩どちらにいらしたんですか?」
別にはぶられたわけではないのか。そういえば俺の部屋誰にも教えてなかったな、だから俺の居場所がわからなくて伝えられなかったということか。
「自分の部屋に居たぞ、まぁその頃には寝てたと思うがな」
「そうですの……それは残念ですわね。せめて部屋の場所だけでも教えていただけませんこと?」
俺の部屋……千冬との相部屋だと、この場で言っていいことではないな。ここははぐらかしておくか。
「俺の部屋?そうだな……千冬に聞いたほうが早いかもな」
「それってどういう―――」
セシリアが疑問を投げかけてくるが、その前に立ち上がる。これ以上はこの場では言えないからな、それに二人っきりのときに言おうとしても誰か聞かれてしまう可能性もあるからな。
「これ以上のことは言えないかな。ご馳走様、それじゃあ俺は教室に戻ってる」
「……わかりました」
残念そうな表情を浮かべるセシリアに、罪悪感を覚えながらも食堂を後にした。
三人で座れそうな席を見つけて談笑し始める。鈴とは一年ぶりの再会だ。箒に比べると短い期間だが、それでも大切な幼馴染だ。
「鈴、いつ日本に帰ってきたんだ?おばさんは元気か?いつ代表候補生になったんだ?」
「質問ばっかりしないでよ。アンタこそ、何IS動かしてるのよ。ニュースでアンタのことが出てきたとき、ビックリしたんだからね?」
丸一年ぶりの再会ということもあって、普段の俺からは考えられないほどの質問を投げかける。付き合いの長い幼馴染は、空白期間が気になるというものだ。箒の場合もそうだったからな。
「一夏、そろそろどういう関係なのか説明してほしいのだが」
鈴と仲良く話しているのが気に入らないのか、多少棘のある声で訊いてくる。周囲のクラスメイトも興味津々とばかりにこちらを向いていた。たしか箒と鈴って面識無いんだよな。
「あぁ箒は知らなかったな、丁度入れ替わりだったからな。箒が引っ越して小四の終わりごろだっただろう?鈴が転校してきたのが小五の頭だったんだよ。それで中二の終わりごろに帰国したから、会うのは丁度一年ぶりになるな」
「こっちが箒、前に話してただろ?小学校からの幼馴染で、俺の通っていた剣道場の娘」
「ふ~ん、そうなんだ」
鈴はじろじろと箒を見ている。まるで品定めしているようだ、箒も負けじと鈴を見返していた。
「初めまして、これかよろしくね」
「こちらこそ」
そう言って挨拶を交わし握手をしている二人の間で、何故か虎と龍の幻覚が見える。俺は疲れているのだろうか?だとしたら休もう。日本人の悪いところは休み方を知らないことだ、とフランス人社長がテレビで言っていた。この状態だと社会人になったときに確実に死ぬな。
「そういえばアンタ、クラス代表なんだって?」
「まぁそうだな」
「ってことは、あのおっさんに勝ったってこと?」
おっさんて、千春のことか?あの人おっさんなんて年齢だったかな、たしか千冬姉と同年齢だった気がしたんだけど。そうなると千冬姉はおばさんに……本人には言わないでおかないと。
「いや負けたぞ、完全敗北だ」
悔しいけど負けを認めるしかない、あの試合では確実に戦い方のセンスが違いすぎた。
「は?負けたのに代表してるの?」
「そうなんだよ、セシリアにも負けた。だけど二人が代表を辞退したんだ」
面倒だから押し付けたのかと最初は思ったが、そういうわけではないんだよな~しっかりと理由も言ってくれたし。
「ふうん……変なの。まぁいいわ、それなら私がISの操縦見てあげようか?」
「いやいい、セシリアと千春と箒の三人に見てもらってるから。それに鈴は二組だろ?」
しっかりと特訓のスケジュールを組み上げられているし、俺に厳しくして強くさせようとしていることはわかるんだが……厳しすぎて体がもたないかもしれない。
「まぁそうだけど、それじゃあ空いている時があったらさ―――」
「あいにくだが、一夏は私達とISの特訓をするんだ。放課後は埋まっている」
「じゃあそれが終わったら行くから、積もる話もあるしね。ちゃんと空けといてね。じゃあね、一夏!」
そう言って駆け足で食堂を去って行く、相変わらず元気なやつだ。断ることもできなかったな……絶対待ってないといけないやつじゃねえか。
「一夏、特訓の方が優先だぞ!」
「わかってるて!」
そしてこっちも断れる状況じゃないな、難儀なものだな……
次回は遅れます
織斑くん強くしよう?