インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
そうしてくれれば負荷が減ってくれる。
放課後の第三アリーナ、今日も今日とて織斑の特訓を行う。ある程度鍛えておかなければ、織斑千冬の弟は弱いと認識される。千冬はそれでもいいらしいが、当の本人である織斑一夏はそれだけは回避したいらしい。既に手遅れだとは思うが、やれるだけやってみよう。
「篠ノ之。何処か顔色が悪いが、何かあったのか?」
昼に何があったのかはわからないが、篠ノ之箒がなにやら思い詰めてる表情を浮かべていた。
「いや……なんでもない」
「体調悪かったらちゃんと言えよ?」
「もちろんだ」
本人は問題ないと思っているようだが、他人から見ていると思い詰めているようにしか見えない。あの小さいのと何があったのか疑問が頭を過ぎるが、正直今はそんなことどうでもいい。今回は目標は織斑の操縦技術の向上だ、あのままでは格好がつかないからな。
「織斑、今日は近接戦闘と回避行動の訓練だ。模擬戦のときの映像を確認したが、お前は大振りなのが多い。確かに大きく振りかぶるのは良いことだ、だがお前は剣速が遅い。箒は確か剣道の大会で優勝していたな、それでお前の腕の違いを的確に見せる。篠ノ之、試しにこのダミーを斬ってみろ。織斑もな、二人の剣速の違いから確認する必要がある」
そう言って地面からダミーのISを出す、これはアリーナに設備されている機能である。主に二年が射撃訓練に使っているものだ、さまざまな場所に展開することでタイムアタックなどが可能になる。ちなみに空中には円形状の的が展開される仕組みになる。ちなみにセシリアには近接武装を展開できるように訓練させている。
「わかった」
「わかりました」
それぞれの機体に搭載されている近接武装を展開する。雪片と
「じゃあまずは織斑からやってくれ」
「よーし!」
雪片を展開した織斑は、ダミーを目の前に大きく振りかぶり斬り捨てる。まぁ良い方だろう。
「次は箒だ、やってくれ」
「わかった。」
既に織斑と違って構え方が違う、そして剣速がすばやい。織斑が斬り捨てたダミーと箒が斬り捨てたダミーを見比べつつも、二人を集める。
「よし、じゃあこれを見てくれ」
先ほどの二人の太刀筋を動画として記録した、これで違いを確認する。
「織斑と箒の動きの違いだ。織斑とは違って箒は下半身の使い方や手首の使い方が異なる、他にも色々な違いがあるが主な点としてはこの二つだ。後は予備動作の有無くらい。」
織斑は構えてしっかりと斬るっというのを順序良く行っている形だ。しかし、箒の場合は一撃で終わらせるっというのを行動で表した太刀筋である。そして斬られたダミーの切断面をみると織斑のは曲がっているようにも見える。
「なるほど……つまり一夏は鈍っていると」
「そうだな。特に剣筋は酷く歪んでいる、これでは戦えるかどうか……織斑は幼い時に剣道をしていたと聞いた、その時の動きは覚えているか?」
「なんとなく……」
だいたいなんとなくと言うときには、ほとんど憶えていないと言うことが多い。素直に言わないと後悔することになるので、皆は気をつけよう!
「憶えていないな、それは箒に教えてもらえ。次に操縦技術についてだが、無駄な動きが多いな。セシリアの狙撃を受けたときに、大きく回避していることが多い。そこをセシリアは的確についている、それで少しずつSEが削られていったんだ。これに関しては慣れになってしまうからどうしようもない」
セシリアと織斑が戦っていたときの映像を流す。ブルー・ティアーズによる翻弄攻撃が目立つが、それによって度々被弾している織斑が映っている。このときのセシリアは本気でやっていたと後日聞いた、まぁ距離をつめられたら苦手だもんな。
「そしてここが一番の問題はこれだ、零落白夜を使いすぎなことだ。この能力は自身のSEを削って自身の力とするものだ、その性質を理解しなければ一生このままだ。特に当てることも出来ない剣なのだから、使用する意味が無い。自ら自滅しに行っているだけだ」
セシリアとの戦いでブルー・ティアーズを撃墜する際に零落白夜を展開しているが、正直言ってしまえばこの程度に能力をしようする意味は無い。
「うぅ……」
「黒神さん、そこまでにしてさしあげて。織斑さんが泣いていますわ」
そこまでボロクソに言っていないのだがな……まぁ良いだろう。
「あぁ悪かったな、ということで近接の訓練はここで止めて次だ。次は回避極振りだ。セシリアと俺が中遠距離からの単発射撃、箒は近距離での模擬戦闘になる。大きく回避するのはいいが、すぐに次の行動に転じれるようにしろ」
そう言ってセシリアと共に上空に移動する、スターライトmkIIIとカノンによる中遠距離射撃を始める。勿論箒には当てないように弾道を調整している。
「行くぞ!一夏!」
「こい!」
織斑は箒との鍔迫り合いや、セシリアからの射撃を避けなければならない。だが箒との近距離戦闘に集中しているところを狙うと、簡単に被弾する。これは不味いな、相手がブーメランとかの武器を使ったりしたら背後から直撃だろうな。
「織斑、回避に専念するのもいいが相手の武装の特徴を理解するのも大切だ。お前の雪片の特徴もだ。わかったな?」
「はい!」
本当に大丈夫か?まぁ本人が言うのであれば一応信じてみるか、それで駄目なのであれば俺が教えるしかない。
「よし、でははじめ!」
先ほどと同じように射撃と斬撃を繰り返す。今度はこちらに集中しているようで、箒から何発か太刀を喰らっている。ISの機能でセンサーが反応するはずなのだが……気づかないのか?それとも気づいていても反応し切れていないのか?
「一夏!狙撃に集中しすぎだ!それでは懐がお留守になってしまうぞ!」
「わかってるつもりなんだけどな!」
気づいてはいるみたいだな、だが対処法が理解できていないようだ。しょうがない、少し助言してやるか。
「ヒントだ。セシリアはレーザー系、俺の銃は実弾だ。雪片で防げるのはどっちだ?能力は使うなよ」
「えっと……」
あぁやっぱり理解していなかったな、これはしっかりと教えてやらないと駄目だな。
「ふむ……一旦やめるぞ」
そう言ってセシリアと共に着陸する。どうして止まったのか理解できない織斑は疑問を浮かべている表情が見える、こいつの心が読まれやすいのは顔に出ているからだろうな。
「セシリア、ちょっとこのカノンを持っていてくれないか?」
そう言ってセシリアにカノンの
「いいですわよ、ですが一体何に使うのですか?」
「俺のISには白式と同じ雪片が搭載されている、それを使ってあいつに特徴を理解させる。と言っても同一とは言えないけどな」
実際機体に搭載されていた
「わかりましたわ、距離はどのくらいからでしょうか?」
「十メートルで頼む、そこから単発で射撃してくれ。場所は適当でいい」
「了解です!」
十メートル程度ならば簡単に斬れる、スロットから雪片改を展開し右手で構える。
「ということで織斑、良く見ておけ。雪片の特徴と最低限度の回避だ」
「準備はよろしいですか?」
「あぁいつでも良いぞ」
流石に子の距離なら弾道が見れるだろう、織斑は無理でも箒ならば……いけるのかな?
「ではカノンからいきますね」
「頼む。」
画面に危険信号が表示される、シグナルが表示されると同時に意識を集中させる。弾道を予測したうえで刀を振る、銃弾の勢いを落とす。その為には剣速が銃弾の速度と相殺できる速さでなければいない。装甲に当たらない弾丸は完全に無視だ。
「ふっ!」
「見えないんだが……」
やっぱり見えていなかったな、箒の方はどうだ……同じように見えないか?
「不可能に近いはず、何故そこまでの技量があるのだ?私には足りない何かがあるのか?」
あぁもう完全に考え事をしてるな、こりゃ駄目だ。
「次に狙撃します」
スターライトmkIIIを展開しているのが確認できる、既にこちらに銃口が向いていることから準備万端である。
「了解」
そう言うと真正面に構える。銃弾よりも速いが、レーザーは弾道が読みやすい。曲がるレーザーの武装は聞いたことが無いので、今のところ避けやすい部類に入ってくる。
「せりゃぁ!」
少々手に振動が伝わるが、レーザーを真っ二つに切り裂く。
「レーザーが真っ二つに……」
「これが雪片の特徴、最低限度の回避、そして実弾とレーザー式の違いだ。それを踏まえた上でもう一度行う。良いな?」
まぁあくまで俺の雪片の特徴でもあるんだがな、それに織斑はまだ銃弾を斬ることなどできないだろうし……ただし実弾に直撃したとしてもある程度防ぐことができる、そこだけわかってくれればいい。
「はい!」
「セシリアもありがとうな」
「お安い御用ですわ黒神さん」
セシリアからカノンを返却してもらう、空薬莢はしっかりと回収する。再利用するのに必要だからな。
「よし、再開するぞ!」
織斑の特訓が再び始まった。
「まぁここまでやれれば上出来だろ、後は戦闘中に相手の特徴を見抜けるかだな」
弾道はある程度避けれるようにはなったものの、流石に銃弾やレーザーを斬ることはできなかったな。後は回避の仕方を変える必要もあるな、あとは荷電粒子砲を……いや必要ないか。そこまでの技量がまだ無いからな。
「今日はここまでにする、明日は攻めに特化させる。避けたところで攻撃が当たらなければ意味が無いからな」
避けているだけではただ時間が過ぎるだけだ、その為には決定的になる攻撃方法が必要だ。まぁ今のままでは絶対無理だろうけどな。
「しっかりと体を休ませておけよ?後々支障が出てくるからな」
「はい……」
「箒の太刀筋もなかなか良かったぞ、ただ真っ直ぐすぎてな……癖があればいいんだがな」
「あまりそういったことはしたくないのだが……」
嫌そうな顔をする、どうやら世の中の恐ろしさや卑怯なやつに遭ったことがないんだろうな。世の中にはいいやつも居ればクソヤロウも居ると言うのに……
「真剣勝負で相手が正々堂々戦うと思うなよ?この世の中に正々堂々の精神を持っているやつはあまり居ないからな」
「……わかった」
あまり納得はしていないようだな、だがこれが現実だ。それがわからなければその程度の人間だったということだ。
「それじゃあピットに戻るぞ」
ピットに戻りIDを解除する。最初の頃よりは身体への負荷も減った、少しずつではあるもののコツはつかめてきている。あとは実践で試すしかない。
そんな事考えていると、織斑が項垂れていたのである程度のアドバイスを送っておく。改善策もしっかりと考えていなければ短所を埋めることなどできない、改善策をつくり実践することで原因がわかる。まぁ織斑に関しては短所が多すぎるのだがな。
「無駄な動きは若干ではあるが減った、それだけで十分だ」
「そう言われても……あまり変わった気がしないんだよな」
「自分で変化がわかるほどではないと言うことだ、だが今回の特訓でお前の長所を一つ見つけた。」
「なんだ?」
「お前は瞬発力が良いんだ、こんな感じにな!」
疑問の顔を浮かべている織斑に対し、空のペットボトルを投げつける。距離は一メートルあるかどうか、しかしそんな事は織斑には関係ない。なぜならこいつは瞬発力に長けているからだ。
「危なっ!急に投げるなよ」
そう言いながらも織斑の手の中にはしっかりとペットボトルが納まっている。やはりこいつは瞬発力が高い、これを利用して何か作戦を考えなければいけないな。瞬発力を利用した作戦……うーん、あるのか?
「ほら、しっかりとキャッチ出来てるじゃないか。それがお前の長所だ、ただその長所もISの操縦技術が乏しいからついていけていないんだけどな」
「……そうか」
あまり納得していないな、長所がそこだと嫌なのか?姉と同じようになりたいと言う考えを持っているとは聞いていたが、絶対無理だろどう足掻いても織斑は千冬にはなれない。同じ武装、同じISを使ったとしても絶対にありえない。
「これから先の伸びしろは大きいだろう、期待している」
「一夏!」
急にスライドドアが開いて小さいのが現れる、着替えてたらどうするんだよ……
「おつかれ!はいタオル、飲み物はスポーツドリンクで良いよね」
そんなことはどうでも良いのか、織斑にタオルとドリンクを手渡している。こいつあれだな、馬鹿というか常識が無いんだろうな。
「サンキュー。あぁ沁みる……」
「変わってないね、一夏。若いくせに体のことばかり気にしているとこ」
身体のことを気にしていないと病気になったりするぞ、それに成長も妨げられる……小さくてまな板のような体系になるからな。
「若いうちから不摂生にしていたら後悔するぞ。癖になってあとから後悔するのはお前なんだかな」
「うるさいよおっさん」
おぉ~相変わらず口が悪い、まあ俺の事に興味が無くて知らないからだろうな。それはそれでありがたいんだがな、あまり知られることは好きではないからな。
「俺がおっさんなら織斑先生はおばさんと言うことになるな、まぁお前には関係の無いことか」
「うっ……」
なんで千冬の名前を出すとこいつは怯むんだ?良くわからないやつだな。
「ところで一夏さ、やっぱり私がいなかったら寂しかった?」
「まぁ遊び友達が減ったのは寂しかったな」
「そうじゃなくってさ。」
なんかいい雰囲気になっているのがムカつくな……俺はこの場を引いたほうが良いか、あの小さいのも俺が居たら邪魔だろうしな。
「俺は邪魔そうだから、このへんで失礼するぞ」
「ありがとうな!」
「ありがとうございましただろ?」
「ありがとうございました!」
「よろしい」
織斑にもある程度言葉遣いを教えておいた方がいいのかもしれないな。常識知らずは社会に出たときに苦労するからな、実際俺も社会に出た時には苦労したものだ。交通バスの乗り方がわからなかったりと、色々と苦労した……インターネットを使ってやっと理解できるレベルだった、しっかりと事前に調べておいたほうが良いと思った。それにドイツに行ったときには、日本との暮らしとの違いに苦労したものだ。例としてあげるのであればお風呂である。ドイツのお風呂場にはバスタブ付のものが少なく、シャワーだけのところが多かった。この学園の寮のように広いシャワールームと同じ感じである。それに夜の安息時間帯である騒音規定には特に気をつけなくてはならない、夜22時以降翌朝~8時頃まではシャワーなどの利用を極力避ける必要があると言うことを学んだ。これは完全に勉強不足だったので、後悔している。
支度を済ませて、俺は更衣室のロッカーを閉めてその場を後にした。
千春が更衣室から出て行った後、鈴は何故か不機嫌そうに頬をふくらませていた。千春の態度が気に食わなかったのか?
「ふん!偉そうに……」
「そう言うなよ、千春は千冬姉の幼馴染なんだから」
「本当に幼馴染なの?」
「そうだぞ?」
鈴は千春のことを知らなかったのか。確かに千冬姉と一緒に鈴の家に行ったときには居なかったからな、それに話に出したことも無いからな。
「ってことはさっきまで話してたこととか、全て千冬さんに伝えたりしてるんじゃ……」
「まぁそうなんじゃないか?千春の部屋知らないけど」
実際に俺の特訓の成果とか話しているみたいだしな、千冬姉から話してくれることがたまにある。俺の実力はまだまだ下の下だが……いつかは千冬姉見たいになれるように頑張るんだ!弟が不出来じゃあ千冬姉も困るだろうし、何より格好がつかないからな!
「……そう」
そんな事を考えていると、鈴は何処か顔色が悪そうだった。何か変なものでも食べたのか?
「顔真っ青だけどどうしたんだ?」
「なんでもないわよ」
そんな事を言っているが、どう見ても大丈夫ではない。しかし鈴本人が大丈夫だと言うのであれば大丈夫なのだろうと信じよう。
「さてと、早いところ部屋に戻らないと箒に怒られるな」
「なんであの子の名前が出てくるの?」
そう言えば部屋について何も言っていなかったか。
「俺、今箒と同じ部屋なんだよ。別の部屋を用意できなかったっていわれて、だから今二人で―――」
「そ、それってあの子と寝食を共にしているってこと!?」
「まぁそうだな。でも箒で助かったよ、これが見ず知らずの相手だったら緊張して寝不足になっちまうからな」
「…………」
「どうしたんだ鈴?」
「……だったらいいわけね……」
「なんて?」
うつむいている鈴が何を言っているのか、聞き取れなかった俺は耳を傾ける。鈴は下を向いている為表情が見えない、せめて見たいところではある。
「だから幼馴染だったらいいわけね!」
「うおっ!びっくりした!」
急に顔を上げるな!ビックリするだろう!あと少し近かったら俺の顔面には頭突きが当たっていただろう、危ない危ない。
「なるほどなるほど、良くわかりました。」
なんか勝手に納得しているが……何を納得したんだ?何度も何度も頷いているが、俺に全くわからない。男にわからなくて女にわかるものってなんだろうな?逆に女にわからなくて男にわかるものってなんだろうな?これは感想で言ってもらう……いや止めておこう。
「一夏!」
「なんだよ」
「幼馴染が二人居るってこと、忘れないでね?」
「別に忘れないんだが」
「じゃあまた後でね!」
そう言って鈴は更衣室から飛び出していく、相変わらず元気なやつだ。というか積もる話は何処にいったんだよ!全然話しないじゃないか!全く……ちゃんと話するんだよな?幼馴染の考えることは良くわからないな、特に女の幼馴染は……
あーなんかまた面倒なことが起きそう……首突っ込みたくは無い仕方が無い