インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
ズドオオオオオンッ!!!
鈴に刃が届きそうになった瞬間、突然大きな衝撃がアリーナ全体に走る。鈴の衝撃砲かと思ったが、そうではない。範囲も威力も桁違いだ。しかもアリーナ中央からもくもくと砂煙が上がっている。どうやらさっきの衝撃は「それ」がアリーナの遮断シールドを貫通して入ってきた衝撃波らしい。
「なんだ!?何が起こっいるんだ……」
何も状況が理解できない俺は頭の中が混乱していた、そんな俺に鈴からプライベート・チャンネルが飛んできた。
『一夏、試合は中止よ!今すぐにピットに戻って!』
いきなり何を言い出すのか。そう思った瞬間、ISのハイパーセンサーが緊急通告を伝達してきた。
《ステージ中央に熱源、所属不明のISと断定。ロックされています》
アリーナの遮断シールドはISと同じもので作られているらしい、それを貫通するだけの攻撃力を持っている機体が乱入してこちらをロックしている。つまりピンチというやつだ。
『一夏早く!』
「お前はどうするんだよ!」
まだ初めての相手との回線の開き方がわかっていない俺は、普通にオープン・チャンネルで聞く。
「あたしが時間を稼いで、先生達が来るまで耐えるから!その間に逃げなさいよ!」
「逃げるって……女を置いてそんなことできるか!」
「アンタのほうが弱いんだからしょうがないでしょうが!」
思いっきり叫ばれた。俺がプライベート・チャンネルで返さなかったから鈴も普通に喋っている。
「別にあたしも最後までやり合う気はないわよ。こんな異常事態、すぐに学園の先生達がやってきて事態を収拾―――」
「あぶねぇ!」
間一髪、鈴を抱きかかえてさらう。その直後にさっきまでいた空間が熱線で砲撃されていた。
「ビーム兵器……しかもセシリアのISよりも出力が高い」
ハイパーセンサーの簡易解析でその熱量を知った俺は、背中に冷たい雫が伝わっていった。これが武者震いというやつなのか。
「ちょっと!馬鹿!離しなさいよ!」
「おい、ちょっ、暴れるな。―――馬鹿殴るな!」
「うるさいうるさい!離しなさいよ!」
シールドエネルギーに守られているとはいえ、速射砲のごとくパンチを顔面に向かってされているのだ。気分のいいものではない。
「だいたい何処触ってるのよ!」
「っ!来るぞ!」
うるさい鈴はさておき、煙を晴らすかのようにビームの速射が放たれる。あんな強力なビームがこんなにも撃ち出されると、避けるのも難しい。それをなんとかしてかわすと、その射手たるISがふんわりと浮かび上がり俺達の前に姿を現した。
「なんなんだこいつ!?」
姿からして異形なものだった。深い灰色をしたそのISは手が異常に長く、つま先よりも下に伸びている。しかも首というものが無い。肩と頭が一体化しているような形をしている。何より特異だったのは『
通常、ISは部分的にしか装甲を形成しない。防御はほとんどがシールドバリアーによって行われる為、装甲はあまり意味を成さない。勿論防御特化型ISで物理シールド搭載している機体もある、けれど肌が露出しないISは聞いたことが無い。
そしてその巨体は姿勢を維持するためなのか、全身に大型スラスター口が見て取れる。頭部には剥き出しのセンサーレンズなどが並んでいて、腕には先ほど撃って来たビーム砲口が左右合計四門あった。
「お前何者だ!」
謎の乱入者に問いかけるも、こちらの呼びかけには答えない。当然といえば当然なのかもしれない。
『織斑君!凰さん!今すぐにアリーナから脱出してください!すぐに先生達がISで制圧に行きます!』
割り込んできたのは山田先生だった。心なしかいつもよりも威厳を感じる。いつもこれだったらいいのに。
「俺達は先生が来るまで食い止めます!」
あのISは遮断シールドを簡単に突破してきた。ということは今ここで誰かが相手をしなくては、観客席にいる人間に被害が及ぶ可能性が―――もうほとんど居ない!?既に避難はほとんど終わっているみたいだ。
「いいな鈴!」
「誰に言ってるのよ!それより離しなさいよ!動けないじゃない!」
「ああ、悪い悪い」
俺が腕を放すと、鈴は急いで離れる。そこまで嫌だったのか?それは悪かった。
『織斑君!?駄目ですよ!生徒さんにもしもの事が―――』
言葉はそこまでしか聞けなかった。敵ISが体を傾けてこちらにビームを撃って来る。それを避ける為に意識を集中する。
なんとか成功した。
「向こうはやる気満々みたいね」
「みたいだな」
俺と鈴は横並びになってそれぞれ得物を構える。下手に動いたら確実に墜とされる、それだけはなんとしても避けたい。それにしてもどうやってあいつを倒すかを考えないと……
「一夏、あたしが衝撃砲で援護するから。あんたはその武器で突っ込みなさいよ、それしかないんでしょ」
「その通りだ。じゃあそれでいこうか」
お互いの武器を切っ先を当てる、これが合図となる。俺と鈴は即席のコンビネーションで飛び出した。
織斑たちが謎のISと戦闘を開始する前
「一体何が墜ちてきた……まさかテロリストか?」
「遮断シールドを突破するほどの兵器を所持している、これはかなり危険です!急いで避難しましょう!」
避難したいのは山々であるが謎の機体の乱入により、アリーナの観客席内は混乱でざわついている者が多く危険な状態であった。
『千春!聞こえるか千春!』
千冬から緊急の通信が飛んでくる、こんなに焦っている辺りかなりまずい状況だな。
「聞こえるぞ千冬!こっちの状況は酷いものだがな!」
『何者かにアリーナのドアをハッキングされた!こちらからの通信を全く受け付けない!お前には生徒の避難誘導をしてほしい!』
「任せろ!こっちには生徒会の面子もいる。直ちに開始する!」
『頼んだぞ!』
千冬からの通信を切って急いで楯無さんたちに状況を伝え、いそいでドア前まで移動する。ドアの付近でも恐怖に駆られて押し寄せている生徒の姿が多く見られる。
「ドアをこじ開ける!ドア付近にいる生徒は離れろ!」
大声で注意喚起をし、ドア付近の生徒を退避させる。この程度の扉ならばIDを起動するまでも無い!緊急用の取っ手を掴み強引に扉をこじ開けていく。
「こんなもの……オラァァァ!!!」
ドアを完全に開き、楯無さんを中心とした生徒会面子に避難誘導を任せる。他の場所にも同じような扉があるはずだ、そっちにも急いで向かわないと。いつかこっちに被害が及ぶ可能性がある、それだけはなんとしても避けたい。さっきと同じように素手でこじ開けていたら時間が掛かる!こうなれば手段を選ばずにやるしかねぇ!ID展開、Connect……construction。部分展開右腕部を選択、展開まで0.01秒……展開完了!武装選択!《影縫》展開―――完了!
「離れろ!」
影縫でドアを切断する、多少瓦礫ができてしまったが避難に支障は無いだろう。あとは生徒や関係者を避難させていち早くこの場を離れるしかない。
「千春さん!こっちの避難誘導は終わりました!私達も急いで避難しましょう!」
『千春聞こえるか!まずいことになった』
また何か問題が起きたのかと思いアリーナを見ると、織斑たちが謎のIS相手に対応している様子が見えた。鳳は大丈夫だとは思うが問題は織斑だ、彼女にさえ手一杯だったのにあのISと対峙している。今すぐにでも離脱した方がいいが……何か考えがあるのだろう。
「簪、先に本音たちと避難していてくれ!」
「ですが!ここは危険です!今すぐにでも―――」
「頼む、避難してくれ!俺はあの馬鹿共を退避させる!怪我人は楯無さん、布仏さんと協力して!」
ここで簪を逃がしておけば、被害は少なくなる。こちらに気がついたのかISの砲身がこちらを向いていた。
「くっ……わかりました!黒神さんも気をつけてくださいね!」
簪たちを避難させた後、通信が入っている千冬に確認を取る。
「千冬!あの馬鹿二人は足止めをしているのか?」
『そうだ、だが教員があの場に行くのにも時間が掛かる!お前はあの二人のサポートに回ってくれ!』
「了解した!千冬は他の教員との連携を頼む!」
黒式を展開し装着する。遮断シールドが部分的に破壊されている為、侵入するのは容易いだろう。簡単に墜ちるなよ二人とも!教員たちがどれだけの実力を保持しているかは知らないが、最低でも時間は稼いでみせる!
遮断シールドをぶち破ってくる相手に対して、絶対防御もない機体で挑む千春は頭がおかしい。
評価が極端ですね……やっぱり受ける人と受けない人がはっきり分かれます、これが二次創作の醍醐味ですね。