インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
翌日。
時刻は四時を回り始めた、今回の予定は生徒会室に向かうことだ。楯無さんの伝えたいことというのがわからないが、あの目を見る限り真面目な話であろう。
「黒神さん、放課後空いてますか~?」
クラスメイトから誘いが来るが、生徒会に行かなくてはいけないと伝えると、しょんぼりとした様子で帰っていった。俺よりも暇人な織斑を選んだほうがいいと思うぞ、年齢も近い方が恋愛しやすいって聞いたことがあるからな。
「千春~今日も訓練頼むぜ!」
「織斑か、すまないが今日はパスだ」
「なんでだよ?」
「生徒会に招待されていてな、どうも重要な話みたいだからな」
そうかもしれないという可能性があるだけだ、実際はそんなに重要でもないのかもしれない。
「そうか……じゃあ空いている日に頼むぜ!」
「あぁそうさせてもらう」
教室を後にし俺は楯無さんが待つ生徒会室へと脚を進めていく、何故か後ろに本音がついてきているが……気にしないでおくとしよう。
生徒会室前、俺は閉ざされた扉をノックする。
「どうぞ」
扉の前から声が聞こえる、恐る恐る扉を開けるとそこには生徒会長である
「失礼します」
「そんなに硬くならなくても大丈夫ですよ」
「いえ、このままで居させてもらいます」
何故かこうしなければ落ち着かなくなってしまった、職業病というやつだろうか?
「それでお話しとは?」
「はい、今回私が黒神さんを呼び出したのは……私達生徒会に所属していただきたいからです」
予期していなかったことを言われた俺は、一瞬頭の中が真っ白になってしまう。IS学園に1年も居ない俺を何故生徒会に所属させようとしているのか、俺よりも優秀な人材はいくらでもいる。それでも俺を誘ってくる理由がわからない。
「何故わたしを?」
「理由はいくつかありますが、一番の理由は貴方が一年の中で判断力・観察力・行動力に優れているという点です。私達生徒会は現在三人での運用を行っていますが、先のアクシデントの影響により仕事が回らなくなっている状態です」
「生徒会が三人、楯無さんと虚さんと―――」
「私だよクロさん~」
本音だった、だからここについて来ていたのか。それならそうと教えてくれた方がありがたかったのだが、こればっかりは聞かなかった俺が悪いか。
「黒神さん、私は貴方のような優秀な人を探していました。貴方を逃すのは惜しいです、この機会にぜひ生徒会に入っていただきたいのです」
「……話を一度持ち帰ってもよろしいですか?いきなり言われましても、こちらも困るので」
「構いませんよ、ご検討のほどよろしくお願いしますね」
生徒会室を後にした後俺は一人整備科に移動する、黒式のダメージと《ヴォイド》の修復をする為だ。整備科の生徒には許可を取り、一部だけ場所を空けてもらっている。俺が生徒会に所属か……正直なところ乗る気にはならない。基本的に放課後は空けておきたい主義だ。そうすれば何かあったときにすぐさま行動できる。まぁ実際は成人男性が生徒会に入ってしまったら色々と問題が起こりそうだからである、面倒ごとはなるべく裂けたい主義である。
端末を起動して黒式の装甲を展開する、装備欄からも半壊したヴォイドを展開する。装甲の方は一見何も変化がなさそうに見えるが、よく見ると歪んでいる。ヴォイドはもっと酷く、少しでも粗末に扱えば崩れてしまいそうだ。慎重にそして丁寧に扱う、これが基本だ。再び端末を操作し修理材を展開し具現化する、一般のISにも使用される物質だが、盾に使用する修理材は一味違う。特殊な物質が使われており、これがビームを遮断する。ただし従来のISが使用できる盾とは耐久の面で劣っている為、使用するたびに整備が必要になる。扱いに厳しい装備だ。
「さてと……はじめるか」
修理材と鍛金道具を片手に歪んでしまった装甲を戻していく、何度も正しい状態に戻るように定板、ガスバーナーそしてトンカチで形を整えていく。そこに修理材を部分的に塗っていく。まだ状態が良いほうだったから幸いだったが、最悪の場合一から装甲を造り直す必要がある。過去に暮桜が破損し、装甲パーツの代えが無い状態であった。俺はそこで気休め程度の修理をした事があるが、かなり酷いものであった為もとの形に戻すのが手一杯であった。だがその経験が今生きているのかもしれないな。
「まぁこんなもんだろ、後は試運転してからって感じだな」
装甲の修理が終わり、今度は盾の修復を試みる。盾は原型を留めてはいるものの、廃棄した方がいいといわれそうなレベルだ。中心から熱で溶かされたような跡があり、それが全体に伝わって歪みを生み出してしまった。耐久性が無いのは予想していたがまさかここまでとは思わなかった。まずは溶けて歪な状態で固まった部分を削り取っていく、溶けてしまったところは使い物にならない。全体的に削り歪んでいないかを確認する、無ければ熱してドロドロになった修理材をそこに入れていく。多少デコボコするが、それは削って一定にするので問題ない。修理材が固まるまで黒式を装着し動作確認やシステム問題の有無が無いか確認する、問題があればそれはおそらく装甲を外したさいに起こる配線の繋ぎ忘れなどだろう。
「システム起動、黒式装着」
装甲が体を包み込む。無事に展開・装着が完了したことを確認し、システム・コントロール画面を展開する。現在の黒式の状態から、装着者である俺の体調などのデータが表示される。要らないデータを次々と消していき、問題のがないかを確認していく。
「状態は問題なしっと、動作も良好……何も問題は無いみたいだな」
何度も動き回り異常が無いか確認し、IDを解除する。特に問題が無いのであればもう手をつけなくても良い、それにまだ残っているものがあるしな。
「さてと、固まって―――無いね。まだ時間が掛かるか」
待っている時間が暇になるな、何かすることはないかと周りを見回す。整備科の生徒達が訓練用のISを分解・組み立てを行っている、訓練用であるIS『
打鉄は日本が造り出した第二世代ISである。性能としては安定を図っており、武者鎧のようなデザインになっている。まさに日本製ということがわかるデザインだ。両肩部分に装備された盾は「破壊される前に装甲が再生する」など、防御面に特化している。近接ブレード『
専用機や後期型第二世代ISが各部のアーマーを大型化し手足を延長した形態に対して、基本的に搭乗者本来の体格からあまり遺脱サイズだ。ただし追加装備の種類によっては変化する。
日本式のOSによって第二世代でも最大数の
基本的にスペックがいいので徹底的にOSを弄れば、専用機になりうる可能性を秘めている。現に簪は打鉄を発展させた機体を専用機にしようとしていた。その機体が未だに完成していないらしいが……大丈夫か倉持技研。
次にラファール・リヴァイヴだ。この機体はフランスのデュノア社が造っている第二世代型ISである。最後期の機体であり、そのスペックは第三世代初期型に遅れを取らない。現在配備されている量産ISの中では最後発であるが第3位のシェアを誇っているため、七ヶ国でライセンス生産、十二ヶ国で制式採用されている。操縦性がよく汎用性が高いのが長所であり、操縦者を選ばないという多様性役割切り替えを両立している。
外見上の特徴はネイビーカラーをした四枚の多方向加速推進翼である。また拡張領域が広く、追加装備の搭載量は最大でも10体になる。アサルトライフルから重機関銃まで幅広く扱える武装がありその特徴から別名『飛翔する武器庫』の異名を持っている。
こちらも先ほど述べたように汎用性が高い為、専用機になりうる可能性を秘めている。
どちらも初心者向けのISである為、授業でも実践として使用される。その分機体のメンテナンスが必要となる、万が一破損でもして生徒に怪我をされたらたまったものではないからな。
「よく出来ている、流石整備科なだけはあるんだな」
「私達が使うISですからね、私達で整備しないと……」
打鉄を整備している生徒と話をしていると、周囲の生徒の視線が集まる。こっち見ないで整備に集中した方がいいぞ、でなければ最悪の被害を―――あの子ケーブル千切ったな。流石にあれを直すには時間が掛かる、俺も手伝ってやるか。
ラファール・リヴァイヴの配線を直すのに手間取っている生徒の下に移動し手伝う、ISは特殊な配線で繋がれている為企業に勤めている人間でも、めんどくさがってやらない人が多い。一番大切でもあり一番重要なことでもある。
あの後盾の修理材は固まらなかったので、そのまま放置し寮へと戻った。千冬が出迎えてくれるが、帰ったときにかけてくれた言葉は「臭い」だった。酷いな……
それにしても生徒会へと入ってくださいか、本当にいいのだろうか?こんななりの俺が生徒会に入るよりは、まだ未来ある生徒が入ったほうがいいのではないかと考えてしまう。更識さんにも考えがあるのだろうな。これはしばらくの間考え込みそうだ。
後日、盾の修復を急ピッチで行う黒神の姿をみた整備科の生徒の技術が上昇したのはまた別のお話しである。