インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新凍結)   作:灰崎 快人

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書き直しを行いました第三話です。
織斑と黒神の関係を少々変更しました、また一夏アンチのタグを消去しアンチは念の為にしておきました。


最強の弟

「それで何か御用ですか?織斑一夏君」

 

織斑一夏(おりむらいちか)、千冬の実の弟でありISを最初に動かした男でもある。見た目は好青年だが、中学の時代に無断でアルバイトをしていたことがあり一度千冬と千春に説教を三時間ほどされた過去を持っている。また異常なほどの鈍感であり、酷いときには何故説教されているのかすら理解できないほどだ。この数年で成長したかもしれないと思っていたが、先の自己紹介で何も成長していないことを感じ取ることが出来た。

 

「憶えてくれてたんだな、あんたもIS動かしたんだろ?折角なんだし、仲良くしようぜ!」

 

「えぇ、構わないですよ」

 

「二人しか居ない男同士仲良くしておこうぜ、千春!」

 

相変わらず年上に対してもこの口調なのか……一度それで不良にボコボコにされたって言うのに。

 

「はぁ……そう言うところは変わらないな、今はこのままで良いが学園の先輩に対しては最低限の礼儀は持つようにしておけ?」

 

「わかってるよ、それじゃあよろしくな!」

 

やっぱり昔から何も変わっていないな……そう思っていると一人の少女が近くへとやってきた。

 

「すまない。そいつ(一夏)を借りてもいいか?」

 

どうやら織斑を目的にやってきたらしい。やっと勇気を振り絞って話しかけてきた女子生徒が現れたんだな、そう思い話しかけてきた少女の顔を見る。また懐かしい顔が拝めたものだな。

 

「構いませんよ、どうぞどうぞ篠ノ之箒(しのののほうき)さん」

 

「私のことを知っているのか」

 

「えぇ、あなたのお姉さんに良く話を聞かされていましたからね。それに昔あったこともあるんですよ?」

 

篠ノ之箒、天災である篠ノ之束の実の妹であり日本の代表候補生でもある。中学三年生の時、剣道の全国試合にて優勝を果たし新聞の表紙を飾るほどの実力者であったが、束がISを開発したことで姉妹の仲が悪くなっていることも知っている。織斑に恋していることは何故か前日の夜に電話が掛かってきた為知っている。というか言われなくとも幼い頃の二人を知っている為聞かなくともわかる。

 

「すみません、昔のことはあまり……」

 

束のせいかな?思い出したくない記憶もあるようだ。それは仕方がない。

 

「織斑君に用があるんでしょ?それだったら早いところ進ませた方が良いよ、時間も限られていることだからね」

 

「はい、それでは失礼します。一夏行くぞ」

 

「あぁ……」

 

姉同士の仲が良いから弟妹も仲がいいんだな、面影が見えるから面白いな。

 

「さてと、授業の準備をするかな」

 

「黒神さん、さっきの方とは何かご関係が?」

 

少し話すとしたら第二回モンド・グロッソ決勝戦当日で織斑が誘拐されたことがあったが、千冬は決勝に専念して俺は織斑の救出を開始したのは良かった。誘拐犯を始末――牢獄にぶち込んだところで織斑にはこう言われた、「何で千冬姉じゃないんだよ!」って言われたんだ。何でだろうな?姉の方が良かったのかな?内心キレそうだったがなんとか救出することに成功したし良しとしよう。

 

「まぁ色々と長い付き合いだったからね、また何時か話すよ」

 

「分かりましたわ、それでは私はここら辺で」

 

「あぁ、また次の時間でな」

 

授業の準備も途中だし急ぐか、色々と用意しなくてはいけないみたいだしな。

 


 

さて山田先生による授業が始まった、正直言ってかなり分かりやすい。参考書よりも詳しく説明がされているのでこの授業を受けてもISがわからないなどと言う生徒はいないだろう。冷や汗を流しながら教科書を眺めているあいつ以外は。

 

「―――ということで、ISの基本的運用は現時点では国家の認証が必要であり、枠内を外れたISの運用をした場合は刑法によって罰せられます」

 

一通りISについての条約などが語られたところで一区切りがついた、今のところは俺の知っている情報と何一つ変わっていない。正直一安心だ。これで違ったら頭の中にあった常識がぶっ壊れるところだった。

 

「織斑くん、黒神さん、ここまでわからないことは何かありますか?」

 

授業についていけていないと感じ取ったのか、山田先生が俺と織斑に確認を取って来る。

 

「前職がISに関するものでしたので、今のところは問題ありません。確認したいことがあれば質問させていただきます」

 

「わかりました、織斑くんはどうですか?何か分からないことなどありますか?」

 

なんか織斑冷や汗かいてるけど、どうした?まさかわからないとか言わないよな?こんなにもわかりやすいのに?こんなにもわかりやすいのに!?(大事なことなので二度言いました)

 

「あ~先生」

 

「はい!なんでしょう。」

 

「ほとんど全部わかりません!」

 

えぇ……?こんなに分かりやすい説明は今まで聞いたことが無かったのに、本当にわからないのか?ほら全部わからないとか言うから山田先生涙目になってるじゃないか!嘘ですとか言っておけ!そうすれば丸く収まるから!

 

「千春も本当はわからないんだろ?ハッキリ言っとけって」

 

「いや……普通に分かる。企業に勤めていたからこれくらいは基本中の基本だったぞ?」

 

「嘘だろ……」

 

「織斑、入学前に渡した参考書に目を通したか?」

 

「えっと……電話帳と間違えて捨てました」

 

あぁだから織斑は授業の内容を理解できなかったのか。いや表紙にIS学園とかいてあるんだけどな?それに最近は電話帳すら見なくなったぞ。全てデータベースに保存されているからな。

 

「今から再発行してやる、一週間以内に覚えろ。いいな?」

 

「いや、あの厚みを一週間は無理d「いいな?」……はい」

 

「それで良い、では授業を続ける」

 

授業が再開されるが当然織斑が理解できたことは一つもなかった。俺のほうは一部情報が変わっていた程度だ、余裕で授業にはついていける。

 


 

「なんだよこれ、全然理解できない……」

 

授業が終わり少しの休憩時間となった。織斑は千冬から受け取った参考書に目を通してはいるものの、まるで理解できない様子であった。このままではカーストに墜ちていくかもしれないと感じた俺は、頭を抱える織斑へと近づいていった。

 

「織斑一夏君、何かわからないことはあるかい?」

 

「全部わからない!何なんだよアラスカ条約って!」

 

「いや、それはわかっていないとかなりの問題になるね。アラスカ条約というのは正式にはIS運用協定という、基本的にはISの取引とかを規制したり技術を共有するって事だよ。わかったかな?」

 

「全然わからねぇ……」

 

端を折って説明しているせいでもあるのだろうが、織斑がここまで理解できないとは思わなかった。

 

「それじゃあ仕方ない、織斑先生に泣きついてでも教えてもらうしかないね。それじゃあまた後で」

 

織斑の場所を後にしてIDの細かいシステムを構築しておかなくてはいけないな。未だに初期設定で動かしている状態だ、早いところ自分にあったものにしておかなくては使えるものも使えない。

 

元の席に戻ると再びセシリアが出向いてくれた。

 

「黒神さんは前職でISに関するものに就いていたと言っておりましたが、何をなされてたんですか?」

 

「自己紹介でも言ったけどISのシステムや武装などの開発を行う日本のIS企業に就いていたんだ、だから一通りのことは把握済みだ」

 

自己紹介でも説明したんだけどね?

 

「そういうことでしたの、ということはメカニックとしての腕がかなりおありなのですね」

 

「いや、そうでもない。実際中の下くらいだったからね……頑張って働こうと思ってたらこんなことになってしまったけどな」

 

実際倉持技研で働いたのは二年程度でしかない、なのでそこまでの実力があるかといわれるとそうでもない、ルーキーと呼ばれる立ち居地だろう。

 

「そうでしたわね、ちなみに入試はお受けになられまして?」

 

「あぁ、一応受けたほうがいいと言われてね。結果的に負けたけど」

 

「そうなのですか?お相手はどなただったのでしょうか、私のお相手は山田先生でしたけれど……」

 

「織斑先生だったよ、三十分粘って負けた」

 

最後の最後に本気出しやがって……初心者相手に瞬間加速はえげつないって。システムを理解していても、それに対応できるとは限らないんだからな?そんな事を話していると、授業開始を告げるチャイムが鳴り響いた。

 

「次の授業の時間だな。早く席に戻った方がいいぞ、でなければ出席簿を喰らう羽目になるからな」

 

「えぇ、それではまた後ほど」

 

この後、とんでもない事に巻き込まれることも知らずに俺は授業の準備とIDのシステム構築に取り掛かった。


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