インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
「では午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」
時間ギリギリでなんとか全員起動テストを終わらせたようだ、全員でISを格納庫へと移動させる。そして全力疾走で再びグラウンドへ。ここでまた遅れれば鬼教師に何を言われるか、わかったものではない。
そんなこんな肩で息をしている生徒がいる中、千冬は連絡事項を伝えて山田先生と一緒にさっさと引き上げてしまった。
「まぁこんな所だろう……」
訓練機は専用のカートで運ぶのだが、動力などの補助機能は一切付いていない。俺は倉持技研での経験があるので難なくISを格納庫へと移動させることが出来た。まぁ慣れがあれば簡単に運ぶことが出来そうだ。コツがかなりいるがな。
織斑の班とデュノアの班で対応が違うのが気になったが……まぁ織斑だしいいだろう。
「シャルル、着替え行こうぜ。俺たちはアリーナの更衣室まで行かなきゃいけないしよ」
「えっと……僕はちょっと機体の微調整をしてからいくから、先に着替えててよ。日本の企業にいた黒神さんにも協力してもらうし。待たなくて良いよ」
「いや、別に待ってても平気だぞ?俺は待つのに慣れてるからな」
うーん?何がしたいんだこいつは、もしかしてあれか?男の友情がどうのこうのって感じなのか?こうなると織斑は引かない。デュノアも困惑しているなこれは何とかしてやるか。確か篠ノ之が呼んでいたな、これを利用させてもらうか。
「待っているのは良いが、お前は篠ノ之を待たせているはずだ。また怒られても知らないぞ?俺がデュノアのことを担当しておく」
「おう、わかった」
そう言って織斑はさっさと更衣室へと向かった。そんな簡単に引くのであれば最初からそうしてほしいものだ。
「はぁ……それにしても、厄介なことは舞い込んでくるものだな」
そうボソッと呟く、俺の考えであれば
「それで?機体のどこが悪いんだ?」
「えっと、ここなんですけど……」
そう言って彼が掲示したスクリーンを確認する。特に問題は内容に見えるが、彼には問題があるように見えたらしい。となれば身体にあっていないのだろう。
「とりあえずデュノア一度装着してくれ、そこから調整に入る」
「お願いします」
そうしてデュノアの機体の微調整が始まった。わずかな調整でも装着者には敏感に感じ取ることが出来る、そこにあわせることが一番大切なのだ。まぁこれは本人がやったほうが1番良いんだけどな。
「どうだ?少しは楽になったか?」
「はい、さっきよりもかなり扱いやすくなった気がします!」
「なら良かった。今度は出力系統か……これに関しては動かして調整するしかない。これ後にしておくか?」
「そうですね……もうこんな時間ですし」
そう言ってデュノアが時計を見る。時刻は既に十二時を過ぎており午後の授業まで残り数十分というところだろう、元からここにいる予定だった俺は持参した弁当箱を広げる。IS学園は全寮制なので弁当を持参したい生徒がいた場合に備え、早朝のキッチンは使えるようになっている。そこで軽く食事を取る為にサンドイッチを作った、それを口に運ぼうとる。すると何処からかくぅ~っと音が聞こえた、音が鳴ったほうへ視線を向けるとデュノアがお腹を押さえて苦笑いしていた。そうだデュノアはまだこの生活には慣れていない、だからこそ食堂の場所もわからないはずだ。
「食べるか?サンドイッチ」
そう言って彼に一切れのサンドイッチを差し出す。
「いいんですか?」
「お腹空いてるんだろ?もう少ししたら午後の実習が始まる。それまで我慢できるとは思えん、成長期なんだからな。沢山食べて大きくなれ」
「ありがとうございます。」
そう言ってサンドイッチをほお張るデュノア。やっぱりお腹がすいていたのか、パクパクと食べ進めあっという間にサンドイッチが手元から消えた。
「そんなにおなかすいてたのか?」
「それもありますけど、おいしかったので……つい」
「それは良かった、沢山あるからもっと食べて良いぞ。俺は少しあっちで着替えてくるからな」
「はい?わかりました」
そう言って一度デュノアから離れる。午後の実習は整備だ、正直言ってスーツは汚したくない。整備科に置いていたつなぎに着替えるとしよう、あれで整備した方がモチベーションが上がる。昔も思い出せるしな。スーツを脱いでつなぎに着替える、身体のサイズが変わっていないことを実感しながら身にまとっていく。やっぱりこれだよな。うん。
デュノアのもとに戻ると、先ほどまであったサンドイッチが残り二つになっていた。あれ?俺10個くらいつくった筈なんだけど……もしかして?
「デュノア結構食べたね」
「あっ―――えっと」
「怒ってないから安心して、それだけおいしかったって事だろ?ならいいよ」
誰かに料理を作って食べてもらう、それで喜んでもらえるのであればありがたいことだしな。
「それにしても……まさかデュノア社の人が来るとはね」
「意外でしたか?」
「いやそうでもない、俺は7年くらい前フランスに渡ったことがあるんだ。その時にデュノア社の社長さんと話をしたこともあるよ」
「父とですか?」
「あぁ、たぶんだけどその場に君もいたはずだ。9歳くらいだったかな?」
「そうですね……確かそのくらいです」
「だけどおかしいんだよね。俺はその子の名前を知っているんだけど……シャルル・デュノアって子ではなかったんだよね。それにその子は女の子、君とは違う」
そう言うとデュノアは俯いてしまう、やっぱり彼は彼女だったか……それとも双子だったのか。どちらにせよ確認は取らせてもらうとしよう。
「まぁそんな些細なことはいいさ、今の俺には関係が無いからね」
そう言って彼の頭を撫でる。彼は少々戸惑ったものの、何かを思い出したように笑顔になり撫でられた。
「さてと、トイレとかは済ませておきなよ。そこにあるからね」
「わかりました」
そう言ってトイレに移動するデュノア……確かめる為に覗くとかそういったことは一切しない。人にもプライバシーというものがあるからな。だがその前に、確認のメールを送らせてもらうとしよう。
『こんな朝早くに失礼をお許しくださいアルベール・デュノア社長。私黒神千春と申します。ご存知かもしれませんが、第二の男性操縦者です。また貴社にISの利便性を伝えに来たものでもあります。貴社の事とシャルル・デュノアについて確認したいことがございますので、折り返しメールを頂けたらと思います』
っとこんなもので良いか、それにしてもデュノアのやつ遅いな……もしかして迷ったのか?しょうがない探しに行くか~俺は重い身体をゆっくりと動かしてデュノアの向かったほうへと移動する。
「―――で?どうしてこうなった?」
あれからデュノアを発見することは出来たものの、彼は沢山の女子生徒に囲まれていた。彼がこちらに助けを求めたのは良いものの、こっちにも飛び火してしまう形となり……現在は撮影会が始まっていた。
「ごめんなさい黒神さん……」
「いや、俺は構わないんだが。あと少しで授業始まるぞ?」
「どうしよう……」
「大丈夫だ、丁度千冬が来たからな。」
そう言うと女子生徒が一気に振り返る。勿論そこに千冬がいるわけも無く、彼女たちはまんまと騙されてしまった。千春はその瞬間を見逃すわけも無くデュノアを抱えて全力疾走で場を離れる。逃がしたとわかるといなや、悲鳴を上げて悲しむ女子たちの悲鳴が響き渡った。
「次から気をつけろよ?シャルロット」
「わかりました」
デュノアに忠告し、もとの場所に戻っていく。一瞬デュノアが何か考えるような表情を浮かべたが、気にせずに俺は格納庫へと戻った。
「うん?デュノアと黒神か。ちょうどいい、お前たちに伝えたい事があってな」
格納庫に戻ると千冬の姿があった、俺たちに何か伝えようとこちらに近づいてくる。とりあえずデュノアは下ろしておくか。
「なんだ話って?」
「お前たちの部屋だ。千春、デュノアお前達は同室だ。こいつが部屋の鍵だ、無くすんじゃないぞ」
千冬から鍵を渡される、さらっと行っているが俺は千冬の部屋からお引越しするらしい。色々と不安だが……まあ仕方が無い、帰ったら荷物をまとめて移動するとしよう。
「とりあえずこれからよろしくなデュノア」
「は、はい!よろしくお願いします!」
すると午後の授業が始まる鐘の音が聞こえてくる、それと同時にこちらに走ってくる一団の姿も見える。一組と二組だ。
「ここに残ってよかったかもな」
「そうですね」
一組と二組の生徒が肩で息をしている中、千冬から午後の実習を開始すると告げられる。これはかなり疲れるものだから、彼女らにはしんどいだろうな。そうして午後の実習が始まった。