インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
そしてここで千冬と千春の同棲は終わります、今回からはデュノアとの同室となります。
「それじゃあこれからよろしくな、デュノア」
「はい。よろしくお願いします、黒神さん」
夜。夕食を終えた俺とデュノアは部屋へと移動してきた。食堂では二人目と三人目の男性操縦者が仲良くしているということで、相変わらずの女子たちの質問攻めにあいそうになり、丁度こちらに近寄ってきたときには二人とも食事を切り上げていた。食事くらいゆったりとさせて欲しいものだ。一息尽きたい俺は部屋に備え付けてあるポットでお湯を沸かし、日本茶をつくっている。デュノアはそれに興味があるのか、自身も貰っていいかと尋ねてきた。特に問題は無いが、出来立てのため熱いということだけを注意してお茶の入ったカップを渡す。
「紅茶とはずいぶんと違いますね。不思議な感じです。でもおいしいです」
「気に入ってくれたのなら何より、今度機会があれば抹茶を試してみたらいい」
ちなみにセシリアは日本茶が苦手なようだった、特に緑色ということが引っかかっているみたいだった。
「抹茶っていうのはあの畳の上で飲むやつですよね?特別な技能がいるって聞いたことがあります」
「そうだな。抹茶をたてる技術が必要だが、近年ではカフェとかで手軽に飲めるようになってるぞ。抹茶ラテってやつもあるしな。もし良かったら今週の土日のどっちかで案内しようか?」
「いいんですか?一度飲んでみたかったんですよね」
「他にも色んなところに連れて行ってやるよ」
「ありがとうございます黒神さん」
柔らかな笑みを浮かべるデュノアに、一瞬あの子を重ねてしまう。中性的な印象がそうさせてしまうのか、こうも笑顔を向けられると戸惑ってしまう。
「まぁ俺も久しぶりに買い物とかいきたかったし、ついでってことだ」
あくまでもそうしておく、実際俺は抹茶が苦手だ。あれ苦いじゃん。あれより日本茶飲んでほうが幸せを感じられるよ。
「それでなんだがデュノア、シャワーの順番はどうする?俺は後でも構わないんだが」
「僕が先でもいいの?」
「構わないぞ、俺は色々とやらなくちゃいけないことがあるからな。帰ってくるのも遅くなるだろう」
「じゃあ先に頂いちゃおうかな」
「あぁそうしてくれ、あとこの部屋に設備されているもので無くなりそうな物があったら言ってくれ。追加しておくよ。シャンプー類のものは洗面台の戸に入れてあるから、そこから取ってくれ」
「わかりました」
そんな話をしていると端末が振動する。おそらく昼ごろに贈ったメールの返信が帰ってきたのだろう、デュノアには気が付かれないようにしないとな……
「そういえば織斑君いつも放課後にISの特訓をしてるって聞きましたけど、もしかして黒神さんが教えてるんですか?」
「前まではね、だけど今は別の依頼が入ってるから参加できないんだ。今月には学年別トーナメントがある、それまでには参加したいところだけどな」
それにあの子のISもトーナメント前に完成させないと……これはのんびりしてる暇は無いな。
「それって僕も参加していいのかな?専用機もあるから少しは約に立つと思うんだけど」
「それだったら泣いて喜んでくれると思うぞ」
教え方に難がある二人が今の織斑を特訓しているんだからな、馴染みやすいやつがいれば安心するだろう。特に男同士って事もあるんだろうけどな。
「それじゃあ先シャワーどうぞ、俺はちょっと色々と弄らなくちゃいけないからな」
「うん、わかった。」
デュノアがシャワー室に移動したことを確認し、端末を起動する。いくつか表示されているスクリーンからメールボックスを選択し確認する、先の振動はアルベール・デュノアからのメールであった。フランスの時刻は大体11時ほどだろう、まぁその辺はどうでもいいとして問題はメールの生身だ。恐る恐る届いたメールを確認する。
うちのシャルルが何かそちらで問題を起こしたでしょうか?もしそうであれば本当に申し訳ない。
私たちのほうでは特に何も問題は起きていませんが、そちらが疑問におもっていることなどがあればいつでもメールを送ってください。待っています。
アルベール・デュノアより』
だとさ、どうやら俺にはまだバレていないと思っているらしい。ならばこちらも徹底的に捜索させてもらうとしよう。
そう書いたメールを送信する。これである程度状況は理解していると伝わるだろう。あとは返事を待ちつつ彼女に真意を聞き出すだけだ。タイミングがあればの話だがな。
「全く……困った御方だ」
シャルロットが出てくるのを待ちながら、お茶を飲む。そう言えば彼女着替え持って行ったか?持っていったよな?まぁ呼ばれたらってことにしておくかな。
「さて……あとは楯無さんと千冬には伝えておくとしよう。もう既に知っていると思うけどな」
二人のアドレスは知っている、千冬はもとから登録されていた。楯無さんは生徒会室で会ったときに交換してもらった、こうすれば万が一のときに連絡が出来るからな。
とりあえずこれでいいや、あとあと彼女とは話す機会があるだろう。それより問題は千冬の方だ。さて……どうしたものかな。
起きたら質問攻めに会うんだろうな……千冬が般若の表情を浮かび上がらせているのが容易に想像できる。少し時間が経ったのち、デュノアがシャワー室から出てくる。意外と長かったな。
「サッパリしたみたいだな」
「うん!気持ちよかったよ」
デュノアの服装は長袖長ズボンのジャージ、縛っていた髪の毛は解けており真っ直ぐに伸ばされていた。うんやっぱり女の子だよな?男って言うには無理があると思うんだよな。
「それじゃあ俺も入ってくるかな、先に寝ててもらっても構わないからな」
「わかりました~」
恐らくだが、俺が入っているうちにシャルロットは端末を弄るだろう。だが問題ない、あの端末は許可制であって他の人が操作できないようになっている。ハッキングもされない強度な設計になっている。何されても安全だ。
やっと見つけた、幼い頃に僕を守ってくれた人。黒神千春さん。僕は彼に会う為にこのIS学園に入ってきたんだ、社長命令で「データを盗め」って言われてるけど、それは二の次。僕は性別を偽ってIS学園に転入した、これがばれたら僕は処分を受けることは確実だろう。だからこそばれない様にしなきゃ……彼にはバレていないよね?うんそう考えることにしよう。
「よし、始めよう」
机の上に彼の携帯端末があった、これが彼のISの待機状態であることをしっかりと把握していた。僕はすぐさまデータを盗むために端末へと手を伸ばしケーブルを接続した、するといきなり無数のパスワード入力などが表示された。簡単にデータを盗めないことなど分かっていた、けれど僕は諦めずに何とか解除しデータを盗もうとした。
けれど僕にも限界があり結局彼のデータを盗むことは出来なかった。だけどまだ初日、これから先の時間は限られているけれどまだ時間はある。
「今日は駄目かな……」
僕は諦めて片方のベットに身体を預ける。今までの緊張と疲労感が一気に身体から出てしまったのか、僕の意識は直ぐに暗闇へと堕ちて行く……彼に出会えたんだからきっといい夢見られるよね?
シャワー室から帰ってくると、そこには幸せそうに眠るシャルロットの姿があった。それもそうか、女ということをばれないように色々と工夫していたみたいだしな。緊張ということもあったんだろう。そっと彼女の頭を撫でる。彼女の横にはケーブルがあり彼女の持っていた端末とつながっていた。やっぱりデータを盗めと命令されていたな、俺は机の上にある端末を確認する。
しっかりと弄られた履歴と警告が画面に表示されている、まぁ逆にデータ盗めたしいいかな。盗もうとしたら自分のデータがコピーされているって知ったらどんな表情を浮かべるのかな?ゆっくりと眠っている彼女の顔を覗き込む、幸せそうに眠ってるな……何かいい夢でも見ているのだろう。
「おやすみ、シャルロット。良い夢見るんだよ」
「……さん。」
寝言だろう、彼女の口からそう言葉が漏れる。幸せそうに笑みを浮かべる彼女は一体どんな夢を見ているのだろう。そんなことを思いながら電気を消しベットに身体を預けていく、今日は実演もあり整備などいろんなことがあった。彼女に関してもこれから疲労がたまるだろう。そう思うとため息が出てしまうが仕方が無い。今日の疲れが身体と精神に溜まっていたのだろう、俺の意識は直ぐに暗闇へと墜ちていった。
翌日、鬼のようにメールが溜まっていたのは言うまでも無かった。楯無さんからは無理難題を押し付けられ、千冬からは反省文二十枚ほどの理由を書けといわれた。世界最強と学園最強を同時に敵に回すとこんなことが起きてしまうんだと、身をもって理解したのだった。
デュノア社にもいろいろと問題があるみたいですね。