インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
彼女に選択肢を与えてから数分が経つ、やはり彼女には難しい選択肢だっただろうか?そんな事を考えているとコンコンっと扉がノックされる。
「デュノア、とりあえずベットに入っていてくれ。バレないようにな」
「うん」
「黒神さん、いらっしゃいます?まだ夕食を取られていないようですけど、身体の具合でも悪いのですか?」
「セシリアか、いや特に問題は無いがデュノアが少し体調を崩してな。軽い看病をしていたところだ」
万が一セシリアが入ってきても大丈夫なように、シャルロットには冷えたタオルをのせておく。こうすれば大丈夫だろう、それにシャルロットの顔も少し赤いしな。
「そうでしたの、では薬を取りに行って来ましょうか?」
「いやそこまで崩してるわけじゃない、まだ日本の環境に慣れていないだけだ」
そう言ってセシリアを部屋の中に入れる、変に何か隠しているとは思われたくないからな。
「大丈夫ですかデュノアさん」
「うん、大丈夫だよ。心配させてごめんね」
布団に入っているシャルロットがそう伝える、表情といい完璧だな。
「俺が食堂で軽食をもらって来るから安静にしてろ、変に動いて体調崩されたらかなわないからな」
「うん、わかった。オルコットさんは黒神さんと一緒に行ってあげて」
そう言ってシャルロットはゆっくりとまぶたを閉じた。安静の時間と一人で考える時間を与えてやらないとな。
「さてと、食堂に行くかセシリア」
「はい、ご一緒しましょう。珍しいこともあるものです」
部屋から出て鍵をかける、誰かに入られたら困るからな。セシリアが「参りましょう。」というと、するっと腕を取られた。流石イギリス人、日本人が不得手とする行為にも躊躇がないらしい。いきなり密着されると困るのだが。まぁ俺が気にしなければ良いだけか。
食堂につくと織斑や鈴の姿が見える、既に食事を取っているようだな。他にも本音や鷹月などクラスメイトがいる、本音の近くには簪がいるな。相変わらず仲が良い事だ。
「さてと、なに食べるかな……」
「わたくしは既に決まっていますので、先にあちらの席でまっていますわね」
「わかった」
セシリアと一旦別れて俺は食券機の前に移動する、ある程度何でも揃っているこの学園の料理は有り難いな。シャルロットには何を食べさせたら良いだろうか?おにぎりだけでは流石に持たないよな、ならば他のものを考えよう。
「Aセットを一つと、お持ち帰りでおにぎりって出来ますか?」
「出来るけどどうかしたのかい?」
「ちょっと同室の子が体調崩しちゃって、何か栄養価のあるもの食べさせたいなと」
「それならおにぎりとこれかな」
そう言って取り出したのはインスタントの味噌汁だった、これならば電気ケトルでお湯を沸かせば飲めるな。インスタント味噌汁は正直言ってあまり体に良くは無いがこの場合は仕方がない、あとは主食となるおにぎりをいくつか貰っておくとしよう。
「ありがとうございます、おにぎりの方は五つほどお願いできますか?」
「任せておいて、アンタが食器もどしにきたときには渡せるようにしておくから。はいAセット」
食堂のおばちゃんからAセットを貰い、セシリアの待つ席へと移動する。
「待たせた」
「いえ、大丈夫ですわ。いただきましょう」
そうして食事を取り始める、たまにはセシリアと食事をするのも悪くない。イギリス料理は独特なものが多いが味は良い、セシリアも最初定食を見たときは驚いていたが一口食べてみると、結構ハマってしまったらしい。今も焼き魚定食を食べているからな。
「ん……ちょと飲み物取って来るな」
自身のコップが空になっていることに気がついた俺は一度席を外し、ウオーターサーバーに向かう。途中ラウラが食堂のおばちゃんと話している姿が見えた。その後ろでは数名の生徒がラウラのことを見ていた。やはり数時間前の出来事がきっかけだろうか?そうとう怯えられているのか、謎の多い転校生だと思われているのだろう。
「あの……オハチください」
「オハチ?ああ箸のことかい、ほら持っていきな」
ラウラは箸が欲しかったのか日本の文化に触れようとしているのだな、関心関心。少し様子を見てみると、なれない箸で食べ物を取ってはいるものの、口に運ぶ前に落ちてしまう。日本の箸は海外の人からはとても難しいといわれている。ラウラも例外ではないだろう。セシリアは何度も日本食を食べているうちに慣れたらしい。
「むっ……」
苦戦しているが、何とかしてご飯を食べようとしている。だが食堂もあと十数分で閉まる、取り残されないようにしなければな。俺は彼女にスプーンを持っていく、使い慣れているものだったら大丈夫だろう。
「ラウラ、スプーンを使え」
「
そういって立ち上がり敬礼するラウラ、まだ癖は抜けていないか……流石軍人だな。遠目から見ている生徒達が何処かほっこりとした表情でこちらを見ているが、一体何なのだろうか?ラウラにスプーンを渡した後俺はセシリアの元に戻り、食事を再開する。やはりこの食堂の料理はおいしいものだな。
「戻ったぞシャルロット」
「あっ、おかえり千春さん」
少しは楽に慣れたのだろうか、彼女の表情は少し和らいでいるように見える。
「お腹すいてるだろう、おにぎりと味噌汁貰ってきたから食べな」
「うん、ありがとう。いただきます」
ニッコリと笑って俺から受け取るシャルロット。定食などにしてなれない箸を使わせるわけにも行かなかった。インスタントの味噌汁は沸かしたお湯を注ぎ入れ、スプーンでかき混ぜる。これで朝までは持つだろう。
「それでシャルロット、決まったか?」
「まだだよ……僕はまだ決められない」
流石に一日では決められないか、だがまだ時間はあるそれまでに決めてもらえればいいだけだ。急かすような真似はしないさ。
「そうか、時に思うのだがシャルロット。君は人に頼るって事を覚えた方が良い、そんなに遠慮したりしているのであれば損するだけだ。いきなりってのは難しいが、最初は誰か頼る人を見つけるんだ。俺でも良い教員の誰かでも良い信用できる人をつくるんだ。そうすれば悩みも話せるし、きっと助けになる」
彼女は誰にも頼らずここまで来た、家でも誰にも頼らなかった結果がこれなのだろう。頼らないことは自分を成長させるのに役立つが、一人では限界があるのが現実だ。人と協力することで自分の欠点が見つかる、それを改善することができればさらに成長へとつながることが出来るはずだ。
「千春さん……」
しばらく迷っていたようだが、何かを決心したのか口を再び開く。案外決心するのは早いのな、そんなに急かした覚えは無いのだが……
「僕は、ここに居たい。男としてではなく女としてこのIS学園に通いたい」
彼女はしっかりと俺の目を見ながらそう言葉を発した。彼女は性別を偽らず、本来の女性として生きていく道を決めた。
「ちゃんと言えたじゃないか」
シャルロットの頭を撫でる、やっと人に頼り答えを出すことが出来たんだな。これも成長だシャルロット、君は一つ殻を破り捨て成長できたんだ。さて彼女からの許可は出た、最後の仕上げはフランスで行うとしよう。
「食事が終わったらゴミはこの机の上に置いてくれ、俺は少しシャワーを浴びてくる」
「うん、わかったよ」
シャワールームに移動する、ここでシャルロットの裸を見てしまった。いやもう思い出すのはやめよう。思い出したらキリが無い。カゴに脱いだ服を入れ着替えを取り出す、バスタオルも問題ない。よし。問題なし!
千春さん僕の名前覚えていてくれたんだ、名前で呼ばれるのは恥ずかしいけど嬉しいな。あったのは一度だけなのに、記憶力がいいんだね。
僕はおにぎりをほお張りながら食べ進める。千春さんが持ってきてくれたんだ、感謝して全部食べないと。
「そう言えば僕の下着、カゴに入れっぱなしだ。取っておかないと」
そう思い僕は脱衣所に移動する、シャワーの音がしているから千春さんには気づかれないだろう。僕も千春さんに気がつかなかったし。
「あっ……」
かごの中で僕の下着と千春さんが脱いだ服が混ざってしまっている、もしかしてかごの中しっかりと確認していないのかな。この中から僕のを探す為に漁らないといけないのか……人として思うところはあるけれど、他の人に僕が女って事ばれない様にする為だし仕方ないよね。
「えっと……」
千春さんの服大きいな~と思いながらもカゴを漁っていく、まずは下のほうが見つかった。あとは上を探すだけだがなかなか見つからない。何処にあるんだろう?
そうしているうちにシャワーの音が止まった、だけど僕は下着探しに集中していて気がつかなかった。
「あった!」
僕がそういった瞬間、シャワールームの扉が開き千春さんが出てきた。腰にはタオルが巻かれている。
「……シャルロット?」
「これは違うんです、けっして千春さんの服を漁ってたわけじゃなくて―――」
僕は必死に言い訳を探す、僕は間違ったことはいっていないが千春さんからすれば間違いなく自分の服を漁られていると思われるだろう。現に僕の左手には彼が着込んでいたシャツや下着が掴まれている。そして右手に握られているものは自分がつけていた下着だけで―――下着?
「シャルロット、とりあえずそれをしまって一回出てくれないか?着替えられないからな?」
「はっはい!」
身に着けていた下着がばれてしまった、正直興h恥ずかしかった僕はいそいで脱衣場から出て行く。下着は別のところにしまうことにしよう。少し経つと千春さんが着替えて出てくる、僕と似たようなジャージだけど黒がベースのものに白いラインが入っているものだった。
「あの千春S―――」
「あれは俺の不注意だ、気にするな。それだけだ」
「わかりました」
僕を責めずにお互いの責任として割り切った、面倒ごとは避けたい感じなのかな?それとも僕に気を使ってる?少し顔が赤いしそうなのかもしれない、それにしても千春さんの身体凄かったな~鍛えられてたし僕とは全然違う。やっぱり男性との体のつくりは違うよね。当たり前だけど。
「そろそろ寝るとしよう、こんな時間だからな」
「わかりました」
僕達はお互いのベットに潜り入っていく、今日はいろんな意味で忘れられない日だったな~
「おやすみ、シャルロット」
「おやすみなさい、千春さん」
そう言葉を交わして、僕らは眠りに落ちていった。
日曜は番外編行きです。番外編は三日にわけて投稿します。