インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了)   作:灰崎 快人

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戦場しか知らない彼女に文化を教えたのはクラリッサと千春



ラウラ・ボーデヴィッヒ

時間は放課後、場所は第3アリーナ。今日も今日とて俺は打鉄弐式(うちがねにしき)の開発に汗を流していた、後もう少しで完成と言うところではあるが問題はシステム面である。この機体には『マルチロックオン・システム』というものを搭載予定だ、だがそのシステムは未だに完成していない。やはり俺だけでは限界があるのか。だからと言って束の力を借りるわけにも……だが借りなければシステムは完成しない、結局俺は人に頼らないと出来ないのか。

 

「簪、そこの装甲はこの部分に重なるように設置してくれ。あとこれは試作段階のIOSなんだが、これをコントロールシステムとして組み込んでおく」

 

「わかりました。」

 

「楯無さんはこの装甲を簪と「協力」してとりつけてください」

 

「わかったわ」

 

簪と楯無さんを合わせて三人での作業となっていた。これが意外と効率が良くて作業が捗る、質と量が安定しているといいなこれ。それはともかく俺は動力を繋げますか。そうして地べたに寝そべっていると突然、何かが超高速で放たれた音が響く。恐らくアリーナの中で誰かが模擬戦闘をしているのだろう、そう思いアリーナ内を見回す。そこには赤黒い機体・青色の機体そして黒色の機体が空を舞っていた、鳳とセシリアとラウラか。あの三人が絡んでいるとは珍しい、何かあったんだろう。そう思い再び打鉄弐式と対峙する、こいつには稼働データが必要だがその前に完成させなければ意味が無いな。楯無さんのIS稼動データを引用するのも悪くないかもしれないな。

 

ドゴォンッ!

 

突然爆音が響き渡る。驚き再び視線を向けるとそこには煙が舞い上がっている、その煙を切り裂くように影が飛び出してくる。

 

「あれは……セシリアと凰!?」

 

特殊なエネルギーで覆われたアリーナのシールドで隔離されたステージからこちらに爆風が及ぶことは無いが、同時にこちらからの声も聞こえない。

爆発の起きた中心部へと視線を向ける。そこには漆黒のIS『シュヴァルツェア・レーゲン』を装着しているラウラの姿だった。

セシリアと鳳のISはかなりのダメージを受けている、これ以上のダメージを受けてしまえば恐らく強制解除まで持ち込んでしまう。ラウラが何を思ってあんなことをしているのかは不明だが、元教え子の不始末は見逃す負けには行かない。簪と楯無さんに後を任せて、俺は急いでピットへと向かっていく。

 


 

「くらえっ!」

 

鈴のIS『甲龍(こうりゅう)』の両肩が開く。そこに搭載されているのは第三世代型空間圧縮作用兵器・衝撃砲《龍砲》の最大火力攻撃である。訓練機の装甲なら恐らく一撃で沈められるだろうその砲撃をラウラは回避使用ともしない、おそらく何か秘策があるのだろう。

 

「無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな」

 

衝撃砲は不可視の弾丸それがラウラに向かって放たれる、だがその攻撃はいくら待っても届くことは無い。停止結界というもので止められているのだろう。

 

「まさかこうも相性が悪いなんて……」

 

衝撃砲を無効化したラウラはすぐさま攻撃へと転じる。肩に搭載された刃が射出され、鈴に向かって飛翔する。どうやらワイヤーで接続されているみたいだな、複雑な軌道を描いて追撃射撃をくぐり抜けている。そして鈴のISの足を捕らえる。俺のIDと同じ使い道のある装備のようだな。

だがそんな事はどうでもいい、俺はラウラを止める為にステージへと飛び出した。

 

「終わりか?ならば―――私の番だ」

 

言うと同時に瞬間加速(イグニッション・ブースト)で地上へと移動、鈴を蹴り飛ばしセシリアを近距離からの砲撃を当てようとしている。という感じだろう、勿論させるわけがない。俺はライフルを展開しラウラ目掛けて撃つ、ラウラのISから緊急回避メッセージが表示されたのだろう。ラウラは緊急停止しレーザーを回避する。一応鈴には当たらないように調整したので大丈夫だろう。

 

「さてと、ボーデヴィッヒ?何故ここまで二人を追い詰めたのか理由を聞こうか?」

 

「ふっ……軽くお話しをしていただけです。喧嘩を振ってきたのは後ろの二名なので」

 

「なに言ってるの!私達の祖国のことを『数くらいしか能のない国』と『古いだけが取り柄の国』って侮辱したじゃない!」

 

「そうですわ!同じ欧州連合の代表候補生として恥ずかしい限りですわ!」

 

凰とセシリアが俺の後ろで吠えている。確かに祖国を侮辱するのはかなりタブーなことだ、特に目の前にその国出身のものがいたのなら尚更だ。

 


 

「なるほどな、どうやら躾が必要らしいな」

 

「副教官?」

 

黒神さんの雰囲気が一気に変わりましたわ、一体何が起きていますの?

 

「構えろラウラ・ボーデヴィッヒ。これから行うのは模擬戦ではない、実戦だ」

 

「なっ!?」

 

黒神さん貴方は一体何が起きているのですか?それにあなたから見える禍々しい気配は一体―――

 

「セシリア、ここは引くわよ!私達がいても邪魔になるだけ!」

 

「わ、わかりましたわ!」

 

私達は急いでピットへと戻ってISを解除する、ここまでボロボロになってしまっては月末の対抗戦に挑めるかどうかわかりませんわね。整備科の生徒達が駆け寄ってきてくれたことでなんとか立ち上がることが出来るほど、身体的ダメージを負っているとは思いませんでしたわ。

 

「二人を保健室に!あと織斑先生に連絡を入れて!」

 

私達は彼女たちに連れられて保健室へと移動する、黒神さんどうかご無事で。

 


 

「副教官!私は貴方と争うつもりは―――」

 

「黙れ。次回は無いといったはずだ」

 

副教官から感じるこの気配、間違いなくドイツ軍で指導を受けていたときに感じた殺意だ。私は貴方を怒らせるほどのことをしてしまったのですか、副教官!

瞬間彼の姿が消える。目の前から消えたと思った次の瞬間、私の腹部に衝撃が走る。ゆっくりとその先を見てみると、彼の拳が私の腹部にめり込んでいた。私が反応できないほどの超高速で彼は私のことを攻撃した、その事実だけがそこにあった。何メートルか吹き飛ばされるがなんとか体制を立て直す、彼の姿を再確認しようと視線を向ける。

 

「行動が遅い」

 

既にこちらに銃口を向けており何発かの弾丸が放たれていた、私はシュヴァルツェア・レーゲンに搭載されているシステム『AIC(慣性停止結界)で弾丸の動きを何とか止める。だが彼はこちらに止め処なく弾丸を放ってくる、この能力にはかなりの集中力が必要になる。それを理解しているのかしていないのかは不明だが、彼は弾倉が空になるまで打ち続ける。その瞬間背後から二つの衝撃が伝わる、それは私のISに装備されているブレードにそっくりだった。恐らくあの教員と戦闘したときに使ったものだろう。それが私の背に突き刺さっていた。

 

「そっちを気にしている場合か?敵は目の前に移動しているぞ?」

 

「くっ……副教官!」

 

私が気をとられている瞬間に加速してきたのだろう、私はなすすべなく彼の拳を顔面に受けて地面に直撃する。ISに搭載されている絶対防御が無ければ私の顔は悲惨なことになっていただろう、重い身体を持ち上げ標的である彼を見据えようとする。だが―――

 

「どうした?お前はこの程度の軍人なのか?」

 

既に彼の姿は視界内にいなく、私の頭の上に彼はいた。彼は私を覗き込むように見てくる。そして私の体に衝撃が走る、私の顔横には壁があり副教官がその壁に立っていた。違うこれは私が倒れているんだ、壁だと思っていたのは地面だ。私が追いつけないほどの速さで彼は攻撃を繰り返しているんだ。

 

「貴様はISの機能に頼りすぎている、だから慢心など起こすんだ。その機能はまだ未完成それを何度も使えばそれなりに欠点も見えてくる。さて?覚悟はいいか?」

 

私の腹部を踏みつけてそう問いただしてくる、なんとか抜け出そうと試みるも彼の足はビクともしなかった。それだけ強い力で私は踏みつけられていると言うことだ……

 

「完全に動けなくなったか、チェックメイトか?昔のお前ならこの程度簡単に抜け出せたはずだが?随分と腕が落ちたものだな」

 

「くっ……」

 

私のこめかみにライフルと思われる銃口が突きつけられる、あの時と同じだ。

 

「ボーデヴィッヒ?それでも軍人か?」

 

認めたくは無いがこれは現実であった。私が鈍っているということもある、そして彼自身が昔よりも強くなっていると言うこともある……私の完全敗北だ。

 

「降参します……」

 

その言葉をきいた副教官は、私から足をどかし纏っていたISを解除する。しかし彼の目は冷たいままであった、私を許す気はないとはっきりわかるほどだ。

 

「今回のことは千冬にも報告する、あとで呼び出されるかもしれないが……それくらいの覚悟があってこんな問題を引き起こしたのだろ?」

 

「………………」

 

「その前に、俺からのお仕置きだ」

 

そう言って私を抱きかかえたかと思えば、休憩室に連れて行かれた。ISを解除しろと言われたのでこれ以上怒られないためにもおとなしく指示に従った、そして個室へ連れられると私を掴みひざの上に乗せた。

 

「あの、副教官?」

 

「悪い子にはこれが一番だからな」

 

彼がそういった瞬間私のお尻を痛みが襲う、これも私は知っている。これはとても屈辱的なことであることを!そうこれは!

 

「お尻ペンペンだ!」

 

過去に一度教官が副教官にされているところを見たことがある、これを受けていた教官の姿はとてもではないが屈辱的なことを受けていると言う表情を浮かべていた。それを今私は受けてしまっている、同じ人物同じ境遇でだ。

バシバシと容赦の無い攻撃が私のお尻に降り注いでいく、私は今回の件を忘れることは無いだろう。ここまで屈辱的なことを受けたのは久しぶりだった。過去屈辱的だったことは戦術も何も知らない彼に射撃訓練で負けたことくらいだろう。何故負けたのか今でも分からない。

 

「赤く腫れてきたな、まだやめないがな」

 

私は副教官が許してくれるまでお尻を叩かれ、頬とお尻を真っ赤にすることしか出来なかった。




きっとドイツにいた時もこんなことされてたんだろうな
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