インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 (更新終了) 作:灰崎 快人
金曜の午後11時、これから俺はフランスへと飛び立つ。目的はアルベール・デュノアとの接触とシャルロット・デュノアの命を狙う一派の排除。後者のほうは可能であれば完全排除する。一日であれば恐らく可能なはずだ。それで無理だったらラウラに謝罪することにしよう、間に合わなくて彼女を敗退させてしまえばお互いに影響が出てきてしまう。それだけは避けたいところだな。
「行くのか千春」
後ろから声をかけられる、そこには心配そうにこちらを見つめてくる千冬の姿があった。一人で海外に行くことについては慣れている、それに集団に囲まれるのも慣れているから問題はない。あとは怪我をしないかと物を盗まれないかの問題だけだ。
「あぁ一日最悪の場合トーナメントには間に合うようにする。それまではラウラとシャルロットのことを頼んだ」
「わかった、こちらに関しては任せろ。特に一夏には要注意しておく」
あいつは勘がいい時と悪いときがある。その二つを合計10で表すのであれば、悪いときが9.9良いときが0.1という感じだ。極端ではあるがあいつはそういう奴だ、嫌な時ほど頭が切れる。だからこそこういった時はとことん注意しなければならないのだ。
「頼んだぞ、千冬だけが頼りだからな」
「わかっている。さっさといって来い」
千冬との会話を終えて俺は学園から去って行く、最低限のお金と服装とナイフさえあれば―――ナイフは空港に通らないか。現地で回収することにしよう。
さらば日本っていってもすぐに帰ってくるんだけどな、しかし久しぶりにフランスに行くな。ISを広めようとしたとき以来の訪問だ、それなりに景観が変わってるだろう楽しみだな。前段階でアルベールには連絡を入れている問題は無いだろう、それにあっちの方で武器は要されているはずだされてなければ造るからいい。
「しばらく眠るとするか」
そうしてフランスに到着するまで俺は深い眠りについた。
12時間後、飛行機はフランスへと着陸した。日本からフランスまでの飛行時間は約12時間、かなり長かったな。日本とフランスでは約7時間の時差があるつまり現在時刻は日本時間で土曜の午前11時、だがフランスでは土曜の午前4時とかなり早い朝になっている。これは間に合うかどうかわからなくなってきたな。日本時間で日曜の23時までには帰りたいところだ。
「久しぶりに来たなフランス、景色は変わってないところが多いが―――女尊男卑は浸透してしまってるか」
空港を見回すと男性が女性に振り回されているのが多数見受けられる、まだ日本はマシなレベルなんだろうな。それとも俺の見えないところではこう言った景色が広がっているのかもしれないな、そう考えると何処も彼処も同じか。
「さてと、ここからタクシーで……いや歩いていこう。変に絡まれてたりしたら面倒だからな」
タクシーなどを使って余計なお金を使いたくない、だからと言ってIDを起動して飛ぶと言うのもそれはそれで問題を起こしそうだ。幸いなことにデュノア社は空港から近いところにある、だからこうして歩いていける。大体三時間くらい歩けば良いだろう。走れば一時間半で行けるな、よし走っていこう。
「さてと、ここがデュノア社だな。相変わらず大きいビルだな、これが倒産するなんて考えられないけどな」
そうして本社に入ろうとする、当然の如くセキュリティーに止められ係員が走ってくる。俺はここに入るための身分証明書とか持っていないからな。
「何者だ!」
「アルベール・デュノアに会いに来た。彼に伝えろ「千春が来た」と」
一応名前を伝えてみる、これで分かってくれればいいのだが……これで分からなければアルベールに電話して入れてもらうとしよう。
「千春……まさか黒神千春か!?これは失礼しました!話は聞いています、此方へどうぞ!」
なんだ話は聞いていたのかそれはよかった、アルベールもちゃんと部下の教育はしているみたいだ。
「こちらが社長室です。それでは私はこの辺で」
案内係がそう言って後を去る、さてとやっとここまで来たな。俺は社長室の扉を開けて入っていく、そこにはデュノア社の社長でありシャルロットの父親であるアルベール・デュノアが座っていた。その隣ではアルベールの正妻でありシャルロットの義母であるロゼンダ・デュノアが座っていた。
「お久しぶりですね。何年以来でしょうか?それでは話のほうに―――」
「悪いけどちょっと静かにしていてくれないか?」
そう言ってアルベールを黙らせる、彼はビックリした表情を浮かべるものの素直に従ってくれた。まずは盗撮・盗聴されていないかの確認だ、敵組織に聞かれていては困るからな。社長のデスクから観葉植物まで隈なく探す、大体手がつけられないところとかに仕掛けられていることは確定だろう。まぁ大体はこんな観葉植物だな。根元の方をよく見てみると小さな黒い箱が埋められていた、これで間違いないな。後はこいつの電波がどこに飛んでいるか、それさえわかれば完結に処理することが出来る。まぁわからないんだけどな。それを握りつぶして破壊する、とりあえず今はこれだけしかないみたいだな。
「もういいぞ、盗聴器を壊したからな」
「盗聴器が仕掛けられていたのですか!?一体いつ仕掛けられたのかわかりませんが、とにかくこれで気兼ねなく話が出来ますな」
「あぁそれで?シャルロットの命を狙っているのは?どこの誰だ?数は何人いる?最低限の装備の用意はしてくれたか?」
そこが重要な点だ。とにかく今の俺には情報が必要だ、何も知らずにこのフランスへと来たのだ。ある程度情報提供してもらわなくては守りたいものも守れない。
「急がなくても大丈夫です情報は簡単に逃げませんから。まずシャルロットを狙った一派なのですが、メラルドと言う男性を中心としています。彼の周りには軍人上がりや、機械や化学に心得のある人物が部下として彼を慕っています。彼は過去に違法薬物を使用していたので、解雇しました。恐らくそのことを逆恨みしているのでしょう。そこで私の娘であるシャルロットを狙い殺そうとしたのでしょう」
「なるほど?逆恨みね~くだらないし幼稚すぎるな。違法薬物を使用したのは自分の自業自得だろうに。だがまあいい。それモノは用意してあるか?」
「こちらに」
そう言って彼が取り出したのはアタッシュケース。ゆっくりとロックを外してあける、そこにはフランス製のナイフやフランス製のMAS Mle.1950と恐らく彼らがいるであろう場所を示した地図が入っていた。
MAS Mle.1950はフランスのサン=テティエンヌ造兵廠で設計された自動拳銃だ、1950年に開発されてフランス陸軍の制式拳銃となっていたMAS 35を元にしている。同銃は7.65×20mm弾を使用していたのに対し、本銃では、ワルサーP38などと同じ9x19mmパラベラム弾の規格にあわせてスケールアップしている。またグリップの滑り止め横溝など、デザイン上でもワルサーP38との類似点が指摘されている。
1980年代に入ると新制式拳銃としてPAMAS G1(ベレッタM92G)が選定され、本銃はこちらに更新されて運用を終了することとなった。口径9MM、弾は9x19mmパラベラム弾を使用する。装弾数は9+1発と少ない、作動方式はシングルアクション・ショートリコイルが採用されている。
この銃は
「良い銃だ、よく手配してくれた。後のことは任せろすぐにケリをつけてやる」
相手の人数、場所はしっかりと頭の中に入れた。あとは相手の武力がどの程度かだ、軍人上がりが居るということは機関銃があってもおかしくない。それをしっかりと扱えるかどうかは別の問題だけどな。
「お願いします。どうかシャルロットをお護りください」
俺は暗殺者でもないただの一般人、だがそれなりにやることはする。例えそれが悪事だろうと。俺はアタッシュケースを受け取り社長室の扉に手をかける。
「あぁそうだ。戻ってきたら、色々と話したい事があるんで。それなりの準備はしておいてくださいね?」
そう言って社長室を後にして会社から立ち去る。さてとお仕事開始だな。
誓って殺しはしていません